著者
三宅 雅人
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では肥満・糖尿病における種々の代謝調節組織の細胞で生じる小胞体ストレスの病態増悪化機構について転写制御に着目して解明を目指す。特に小胞体ストレス応答性転写因子ATF6 βに着目して、組織特異的欠損マウスの解析により作用組織を同定し次世代シーケンサーを用いた解析によりその制御機構を明らかにする。また、低分子化合物スクリーニングを行い、ATF6βの特異的阻害剤を開発して肥満・糖尿病への応用を目指す。
著者
小林 郁 谷口 裕信 浦野 綾子
出版者
皇學館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

代々伊勢神宮外宮の権祢宜を務めてきた橋村氏は、西国を中心に約31万軒の檀家を擁する神宮御師でもあった。本研究では、新出資料である「伊勢御師橋村家関係資料」約10,000点と、中世後期より存続する同家の墓石群を網羅的に調査・整理し、それを素材として、信仰の地“伊勢”に関する総合的研究を行うことを目的とする。本研究では、①「伊勢御師橋村家関係資料」の目録作成、②文献資料・墓石群の調査報告書の作成、③企画展示の開催、④皇學館大学デジタルアーカイブ(現在構築中)での資料電子公開、を目標とし、伊勢神宮研究にとどまらない多分野にわたる学問領域の基礎的資料情報としてアプローチできることを目指す。
著者
坂部 貢 立道 昌幸 遠藤 整 清島 大資
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

ネオニコチノイド系農薬(NN)と同様にフルピラジフロンおよびスルホキサフロルの作用機序は、昆虫のニコチン性アセチルコリン受容体にアゴニスト作用をもつ事によって、神経を異常興奮させる事で害虫を駆除しており、種選択性でヒトには安全であるとされている。申請者らはNNをマウスに投与した実験を行い、中脳に蓄積しやすい事、造精機能やテストステロン合成酵素のmRNA発現量が低下する事などをすでに発表している。NNと同様の毒性があると考えられるフルピラジフロンおよびスルホキサフロルをマウスに投与し、精巣や神経に与える影響を検討し、標的害虫以外の生物にとって安全かどうかの検討する。
著者
安森 偉郎
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

半導体デバイスの製作実習は、半導体製造装置やドラフトチャンバ等の設備が完備された環境でないと学生実験実習は困難となる。そこで、これらの半導体製造装置等をほとんど備えていなくても、通常の実験室のような環境において製作実習を実施する方法について研究してきた。その結果,半導体製造装置やフッ酸などを使わないシリコン太陽電池の製作方法を考案した。本研究では製作条件と太陽電池の性能との関係について調べ,最適な製作条件を見出す予定である。また、製作方法を改良し更に簡単にシリコン太陽電池が製作できる方法を確立する。
著者
川西 正祐 榎屋 友幸 大西 志保 平本 恵一
出版者
鈴鹿医療科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

腫瘍形成時やがん組織周辺の炎症部位では、炎症関連DNA損傷が誘発され、がんの発生や悪性化を引き起こす。炎症シグナルとして働き、最近がん治療の標的分子として注目を集めているHMGB1 (High-Mobility Group Box1) が、遺伝子変異や細胞死誘導の繰り返しに重要な役割を果たしていることから、本研究では、HMGB1特異的阻害剤で抗炎症薬のグリチルリチンによる炎症関連DNA損傷抑制機構を解明する。また、本研究では炎症性微小環境中での抗炎症薬による炎症関連DNA損傷制御の分子機構を解明することにより、がんの発生のみならず悪性化も制御する新しい戦略的がん化学予防法を開発する。
著者
香曽我部 琢
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、離職が少なく、長期的に就業を継続する保育者が多い園に着目し、その園の保育実践の質も把握した上で、保育者たちがどのような関係性を築いてきたのか、そのかかわりの経験や出来事を包括的に捉え、そしてそこで生起する感情を明らかにする。とくに、仕事に対する活力や情熱などのポジティブな感情であるワーク・エンゲージメントに焦点を当て、その形成プロセスを巨視的・縦断的な視点で明らかにする。そして、その知見をもとにリーダーシップと同僚性を育む研修プログラムを開発することを目指す。
著者
岩崎 美智子 富田 喜代子 松本 なるみ 亀崎 美沙子
出版者
東京家政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、方法としてのライフヒストリーを検討した後、戦後の保育所における保育内容や「ララ物資」などの救援物資、保育者養成の実態を文献・資料等によって明らかにした。さらに、全国17 都道府県において元保育者への詳細なインタビュー調査を実施して、職業選択の要因、「生きがい」の構成要素、人生の転機や挫折・困難の経験について分析をおこなった。また保育者が考える専門性や保育者にとっての「戦争」の意味を考察した。
著者
関 耕平 除本 理史 井上 博夫 藤原 遥
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

被災地域では、地震・津波・原発事故など被災要因や時間経過によって復興に向けたニーズが多様化・複雑化し、従来型の画一的な行政対応では十分に応えられない状況にある。本研究の目的は、「参加型予算」に基づいた機動的で柔軟な復興行財政制度の具体像と、地域自治組織に予算編成・決定権限の一部を委ねる自治体内分権のありかたを明らかにすることで、多様化・複雑化する被災者の復興ニーズに応える復興政策を実現する。
著者
稲永 清敏 小野 堅太郎 人見 涼露
出版者
九州歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

二日酔いでの喉の渇きは、「エタノール利尿による」という通説がある。このことに疑問を持ち、ラットを用いて実験を行った。ヒトで泥酔するほどのエタノールの投与で喉の渇き行動は誘発されたが、利尿ではなく、むしろ抗利尿が観察された。私たちは、二日酔いでの喉の渇きは、エタノールの分解産物であるアセトアルデヒドが口渇中枢(喉の渇きをコントロールする脳部位)に直接作用するか、あるいは、アセトアルデヒドが降圧作用を起こし、レニン‐アンギオテンシン系を活性化することによる間接的な口渇中枢ニューロンの活性化によって起こることを明らかにした。
著者
佐々木 哲也 本田 尚 山口 篤志
出版者
独立行政法人労働安全衛生総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ワイヤロープの疲労破壊はこれまで表面素線が先行すると考えられていたが、IWRCロープでは、内部の素線が先行する場合のあることが明らかになっている。そこで、本研究では各種IWRCロープについてS字曲げ疲労試験を行うとともに、ワイヤロープ素線のフレッティング疲労試験を行った。その結果、フィラー形とウォリントンシール型ではどちらも内部の損傷が先行するが、その損傷形態には大きな違いがあることが明らかになった。またフレッティング疲労には、素線に作用する繰返し引張荷重の大きさよりも素線同士の圧縮力の方が大きな影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
矢田 勉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

前近代の日本語表記における漢字・平仮名・片仮名の三字種の関係性については、片仮名・平仮名の用途区分を中心に言及されてきたが、先行研究は、ある一時期のみを分析対象とするか、時代差を考慮せず一つの論理で説明しているために、その時代的変遷が分析されてこなかった。本研究計画は、そうした問題意識から、三文字体系併用についての史的記述の再構を目ざす。そのために、同時期成立の漢字文・片仮名文・平仮名文の例を時系列に沿って出来る限り多く収集した上で、各々の筆者や成立事情・内容などを踏まえて、なぜその表記体が選択されたのかを分析し、各時代における三体系の用途の相違と重なりとを明らかにし、その変遷を記述する。
著者
佐藤 伸一 小川 文秀 小村 一浩 岩田 洋平
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

傷が治る過程には、様々な因子が関与するが、B細胞と呼ばれる免疫担当細胞が関わっているとは従来考えられていなかった。しかし、今回の研究で、このB細胞に発現する重要な分子であるCD19の発現を欠くマウスでは、傷の治りが悪くなり、逆にCD19を過剰に発現したマウスでは、傷の治りが良くなることから、B細胞が傷の治る過程に重要な役割を担っていることが明らかとなった。
著者
吉川 康夫 熊安 貴美江 飯田 貴子 井谷 惠子 太田 あや子 吉川 康夫
出版者
帝塚山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、スポーツ内で生じるセクシュアル・ハラスメント問題の現状を解明するための最初のアプローチとして、女子大学生のスポーツ領域におけるセクシュアル・ハラスメント認識と経験を調査し、その特殊性を明らかにすることを目的とした。第一に、女子大学生について、セクシュアル・ハラスメントの経験および認識に関する全体的な状況を把握した。第二に、スポーツにおけるセクシュアル・ハラスメントについての経験や考えに関して女子大学生に対するグループインタビューを行った。第三に、体育系の女子学生とそれ以外の女子学生のセクシュアル・ハラスメント経験スポーツの場とスポーツ以外の場で比較し、両グループの経験および認識の差異を検討した。第四に、上記の調査結果を総合的に分析し、諸外国の調査事例との比較検討も含め、日本のスポーツにおけるセクシュアル・ハラスメントの特徴を女子学生の視点から考察した。体育系女子学生がスポーツの場で経験するセクシュアル・ハラスメントと、体育系以外の女子学生がスポーツ以外の場で経験するセクシュアル・ハラスメントの違いに関して、前者は「身体的特徴を話題にする」「腕や肩にさわる」などの行為を、後者はこれら2項目に加え、「性的なことばや冗談」「性的経験について質問」「からだを眺め回す」などの行為を多く経験していた。両者の認識の違いに着目すると、設定した19項目の行為のうち、17項目について、体育系女子学生(スポーツの場)は体育系以外の女子学生(スポーツ以外の場)よりもセクシュアル・ハラスメントになりうる行為に対して許容的であることが明らかになった。とりわけ、前者が経験する身体接触的行為については、これをセクシュアル・ハラスメントと認識しない学生も多く存在し、指導ゆえに許容される身体接触行為のなかに、同時にセクシュアル・ハラスメントとなりうる契機が存在することもまた、確認された。
著者
グレーヴァ 香子 グレーヴァ ヘンリク 赤林 英夫
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は、ゲーム理論を主な道具として用い、労働者、企業は共に戦略的に行動しているという角度から労働の需給がどのように決まるのか、その結果としての賃金分布、就職/転職率労働供給量の性質などを、理論、実証の両面から分析することであった。1年目は労働者、企業がともに長期的利得を最大化するように行動し、しかも労働者は企業の行動を完全には知らないため、企業の評判が均衡に影響するというゲームモデルを構築してその均衡の性質を分析した。これと平行して日本の労働の特殊問題である配偶者控除制度に影響さる女性の労働問題についても考察した。また、実証分析の準備のためアメリカと日本の労働者行動のデータを収集、整理した。2年目は理論モデルの実証を主に、また理論モデルの発展についても研究を行った。理論分析の結果、労働者の転職行動は現時点での賃金だけに左右されるのでなく、労働者が予想する各企業の将来賃金、労働者の家庭状況や税制などにも依存することが考えられた。そこで、労働者が抱く将来賃金の期待は大企業ほど高いという『評判』モデルをアメリカのデータで検証し、理論の結論を支持する結果を得たまた、女性の労働供給は家庭状況や夫の所得控除といった税制に影響されていることも実証されたこの結果、労働供給は戦略的に行われていることが明確になり、これまでの価格理論的考え方(労働は賃金という価格により需給調整される財である)に一石を投じることができた。また、ゲーム理論の観点からも将来の予測がゲームへ参加するかどうかを左右するという新しいモデルとその応用を提供した
著者
原 正昭 永井 淳 田村 明敬 山本 敏充 廣重 優二 小川 久恵 引土 知幸 梅田 光夫 川尻 由美 中山 幸治 鈴木 廣一 髙田 綾 石井 晃
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

犯罪現場で時々みられる吸血蚊から、個人特定が可能かどうか、また、吸血後の経過時間を推定可能かどうかを目的として行った。2種類の蚊を、被検者計7名に吸血させ、一定時間経過後、殺虫した蚊からDNA抽出し、各抽出DNAを、3種類の増幅長の異なる増幅産物で定量を行った。また、15座位のSTR及びアメロゲニンの型判定を行った。その結果、型判定は吸血後2日経過まで可能で、ピーク高比などから総合的に半日単位の経過時間推定が可能であることが示唆された。17座位のY-STRの型判定結果も同様であった。今後、改良すれば、より精度の高い吸血後経過時間推定が可能であると考えられた。成果の一部は、英文誌に受理された。
著者
広瀬 統一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究は、スポーツ活動中に好発するハムストリング肉離れの再発予防のために開発された傾斜台を用いて行う「インクライン・ノルディックハムストリングエクササイズ(NHE)」の予防効果に関する学術的基盤の構築を目的とする。そのため、ハムストリング、特に大腿二頭筋の肉離れ既往者を対象にして、本プログラム実施中の①両側・片脚実施時の筋活動の健側差、②エクササイズ介入後のスプリント中の筋の振る舞いと動作変化、③肉離れの再発予防効果の3つの課題を検討する。
著者
中島 秀人
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

マイケル・ポラニーは、ハンガリー生まれの科学者である。しかし、彼についての歴史研究は、後半生の哲学者としての側面に偏っていた。本研究では、彼の物理化学者としての姿を詳しく明らかにした。ポラニーは、ギムナジウム時代から、物理化学に興味を持っていた。彼のブダペスト大学の博士論文は、吸着ポテンシャルを主題としたものだ。その背景には、化学反応の物理学的理解の探求がある。マンチェスター時代の反応速度論研究は、これと同一線上にあった。
著者
佐藤 由紀男
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

北海道苫小牧市タプコプ遺跡出土鉄器が紀元前2世紀の所産であり、かつ刃器であることが確認された。また北海道では、この時期の骨角器に鉄器による加工痕が確認された。鹿の角などの硬い素材の加工道具として鉄器が用いられたのである。こうした鉄器は、船を利用した日本海側の交易・流通で西日本から搬入されたものである。東北北部もその経由地の一つである。現時点では未確認であるが同じ時期の東北北部にも同様の鉄器が存在したと考えられる。
著者
小林 祐子
出版者
公益財団法人三井文庫
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では、これまで不明とされてきた安藤緑山の履歴、すなわち生没年、本名、出自、住居の変遷などについて、遺族からの聞き取り調査により明らかにすることができた。また緑山作品の所在調査を通して、2014年には35件であった作品数が、現時点で国内外に109件現存していることがわかった。さらにX線透過撮影、X線CTスキャナ撮影、蛍光X線分析などの光学的調査を実施し、作品の内部構造や各部の接合に使用されている材料、彩色材料など制作技法の解明に迫った。
著者
今村 明 吉浦 孝一郎 黒滝 直弘 小澤 寛樹
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究で我々は、統合失調症のrare-risk variantを同定することを目標として、統合失調症の多発大家系を対象として、遺伝学的解析を行った。統合失調症多発大家系に属する10名に全エクソン解析を行った。同定された2つの候補遺伝子に関して、統合失調症288名、健常者419名のtarget sequencingを行った。その結果、候補遺伝子はGene Aだけに絞られた。Crispr-cas9にて作成した遺伝子改変マウス(Gene Aのノックインマウス)の行動解析を行った。行動解析の結果、遺伝子改変マウスは活動性が低いまたは運動機能が減衰している可能性が示された。