著者
浅尾 裕信 武田 裕司 斉藤 真一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

閉経後肥満症はヒト乳癌のリスク因子の一つであり、脂肪組織由来のエストロゲンがその主な要因と考えられる。膜型インターロイキン21(IL-21)を発現するマウスでは血中エストロゲンや脂肪組織が増加し、乳腺組織の異形成と乳癌が高頻度で発生する。この病態はヒト閉経後乳癌の発症基盤と共通するものがあると考えた。本研究では、IL-21が脂肪組織の増加を介してエストロゲンの産生亢進に至る機構と、その後の乳癌発生へのIL-21の関与を解明することを目的としている。ヒト乳癌発生においてもIL-21の関与が確認できれば、閉経後乳癌発症の予防法の開発が期待される。
著者
青山 敦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では,明瞭な空間情報をもつ聴覚・触覚・前庭感覚を主な対象として,自然には存在し得ない特殊環境(音が左右反転して聞こえる聴空間,手指への接触が左右反転して受容される触空間,重力方向が上下反転する前庭空間等)を最新のデバイスを用いて構築する.構築した各特殊環境への順応過程における脳活動を検討し,頑健性や適応性を創発する動的な多感覚統合機能のメカニズムを包括的に検討する.
著者
染谷 明正 長岡 功 鈴木 香
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

グルコサミンは関節機能の改善効果をもつ機能性食品素材として広く知られている。申請者らはこれまでグルコサミンの抗炎症作用および、その分子メカニズムを解析してきた。一方、その過程でアンチエイジング作用があることを示唆する結果が得られた。本研究では、グルコサミンの新たな機能としてのアンチエイジング効果およびそのメカニズムについて調べる。そのためにアンチエイジング作用を発揮するためのグルコサミンタターゲット分子を同定し、老化細胞ならびに老化モデル動物を用いて同定された分子の作用メカニズムを検証する。
著者
藤木 大介
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

作文等,人が文章を綴る際,心(頭)の中でなにが起こっているかについては,これまで主として認知心理学の領域で研究されてきた。例えば,アイデアを練るとか,それを言語化するとかいったことは示されてきた。一方,これらの行為がどのように心の中でなされるかについては明確な説明がなされていない。そこで本研究では,どのようにして文章を綴っているかについて仮説を立て,その正しさを検証する実験を積み重ねていく。
著者
池亀 美華 岡村 裕彦 平山 晴子 福原 瑶子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

我々は、機械的刺激による骨芽細胞分化促進に伴い著しく増加する新規因子としてVGLL3を見出し、さらに、VGLL3は選択的スプライシング調節機能をもつ可能性をつかんでいる。本研究では、培養細胞と実験動物を用いて、VGLL3の骨芽細胞分化や骨形成における働き、さらに遺伝子のスプライシングバリアント発現への影響について解析する。その結果、新たな骨芽細胞分化調節機構が明らかになることが期待される。
著者
内山 武人 宮本 葵 青山 隆彦
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

アスリートが禁止薬を「故意」に摂取したのか、あるいは「うっかり」して摂取したのかを正しく判断する際に、代謝物に関する情報を分析することは大きな意味を持つ。本研究では、気管支拡張薬として用いられる一方で、筋肉増強薬としてドーピング禁止薬に指定されているクレンブテロールとその代謝物に着目する。複数の想定代謝物を化学的に合成し代謝物の同時定量法を確立するとともに、確度の高い薬物動態モデルを構築し、ドーピングの適正な判断に資することが本研究の目的である。本研究により得られた知見は、ドーピング検査においてより正確な判定を可能とし、公正なスポーツを行うための活動に寄与できるものと考える。
著者
田畑 泰彦 林 壽郎 筏 義人
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究の目的は、細胞の分化増殖を促す細胞増殖因子を材料とうまく組み合わせることにより、積極的に細胞を増殖させる機能を備えた生体材料を開発することである。つまり、細胞増殖因子の徐放化技術とこれまでの人工材料とを複合化することによる生体材料の創製を試みる。そのため、その第一段階としての、細胞増殖因子の徐放化の検討を行った。この徐放化技術により、増殖因子のin vivoでの安定性の向上、ならびにその作用を有効に発揮させることができる。そこで、平成6年度には、増殖因子を徐放化するための高分子ハイドロゲルの調整、ならびにハイドロゲルからのモデルタンパク質の徐放化を調べた。タンパク質はその環境の変化により容易に変性失活することから、まず、架橋ハイドロゲルを作製し、その後、タンパク質をハイドロゲル内に含浸させる方法によりタンパク質含有ハイドロゲル製剤を得た。平成7年度においてはハイドロゲル用の生体内分解吸収性の高分子としてゼラチンを取り上げ、グルタルアルデヒドにて化学架橋することによりゼラチンハイドロゲルを作製した。これらの架橋試薬ならびにゼラチンの濃度を変化させることにより、ゼラチンハイドロゲルの分解性はコントロール可能であった。ハイドロゲルからの塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)の徐放を試みたところ、ハイドロゲルの分解とともにbFGFが徐放され、その徐放パターンがハイドロゲルの含水率、つまり分解性により変化することがわかった。本年度はbFGF含浸ゼラチンハイドロゲルから徐放されるbFGFの生物活性について検討した。その一つの方法として、bFGF含浸ゲルをマウス皮下に埋入した後の血管新生効果を評価した。bFGFの水溶液投与群においては全く血管新生が認められなかったのに対して、bFGF含浸ハイドロゲルの周辺には有意な血管の新生が認められ、ハイドロゲルから徐放されたbFGFの生物活性が残存していることが確かめられた。また、微粒子状のゼラチンハイドロゲルを用いた場合にも、同様にbFGFの血管新生作用の増強が見られた。
著者
川本 思心 鈴木 努 種村 剛 杉山 滋郎 田中 幹人 石井 哲也
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

文献・インタビュー・質問紙調査等によって、日本におけるデュアルユース概念の特徴は以下のように概括された。1)用途両義性と軍民両用性の連続性がない。2)軍民両用研究ではなく軍事研究に着目している。3)資金出資組織によって軍事研究か否かを判断する「入口議論」に傾いている。4)「両義性がある」ことが、軍民両用研究を肯定(追認)する根拠にも、否定する論拠にもなっている。5)核兵器や化学兵器、バイオテロといったイメージが中心。これらの成果は学会・シンポジウムで10回発表し、論文6本、書籍5冊、一般記事等3本として公開した。また、一般向けイベント主催・登壇5件を行い、本件に関する議論を広く社会に発信した。
著者
原 佑樹 名川 恵太 井上 勉 小澤 栄人
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究ではまず当院過去10年間の両側腎臓MRIの症例を用いて3D自動セグメンテーションシステムの構築を目指す。次にこれらの過去画像群および自動化ツールで得られたsegmentation dataのセットを用いて、texture解析と深層学習を用いたCKD患者の腎機能予測モデルの構築を目指す。さらに深層学習(3D CNN)を用いた腎機能予測モデルの構築も行うことで、腎機能予後評価のさらなる向上を狙う。低侵襲なMRI検査およびtexture解析や機械・深層学習といった手法により、CKDの早期診断やリスク予測ができれば、その予防や症状改善に貢献できる可能性がある。
著者
下仲 基之
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

創傷治癒過程の制御は,細胞外マトリックスや血液中の有形成分および可溶性成分,そして線維芽細胞と血管構成細胞との間の多次元的な相互作用に加え,細胞間コミュニケーションツールとして最近注目を集めているエクソソームのタンパク質やmiRNAによるタンパク質発現制御などが極めて重要な役割を担っていると考えられる。本研究では,創傷治癒過程の制御におけるエクソソームの重要性を,線維芽細胞の3D培養系に血管内皮細胞の灌流培養系を組み合わせたex vivoの創傷治癒モデル系を用いて解明していく。
著者
高橋 眞由美 清水 孝彦
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

コエンザイムQ(CoQ)は抗老化作用が期待される栄養補助食品の1つであるが、その作用や効果については科学的に充分に検証されていない。そこでマウスを用いて解析した結果、加齢に伴って脳のミトコンドリア機能が低下したマウスに水溶性CoQ10を飲水投与したところ、CoQは脳関門を通過して脳細胞のミトコンドリアに到達し、ミトコンドリア機能を若齢マウスレベルに回復させることが判明した。またCoQ合成酵素をコードしている遺伝子のひとつであるclk-1がミトコンドリア機能の調節を介して寿命に影響を与えている可能性を明らかにした。
著者
大場 秀章
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ベンケイソウ科の分類体系の確立の上で、Berger(1930)のマンネングサ亜科の位置づけが最も重要であることがOhba(1978,1995)や‘t Hart(1995)の形態形質に基づく解析及びvan Ham(1995),van Ham & ‘t Hart(1999),Mort et al.(2001)の分子系統解析の結果指摘されている。マンネングサ亜科の多様化のひとつの中心であるアジア産の所属について初めて分子遺伝学的な解析を行ない、その結果にもとづく論文をSystematic Botany 29(3)(2004)に発表した。さらに、その後明らかになった東アジア特産属Kungiaの分子遺伝学的位置について、ハンブルクで行われた国際多肉植物学会で口述発表した。それらの成果は、まもなく刊行されるK.Kubitzki (ed.), The Families and Genera of Vascular Plantsに、J.Thiedeが書くことになっている。本研究によってベンケイソウ科は単系統群であり、クラスラ亜科とベンケイソウ亜科に2分され、リュウキュウベンケイソウ群を分った後に、東アジアに分布の中心をもつHylotelephium, Orostachysなどの属を含む一群が分れ、残りの一群から新旧両世界に分布する多様な属が派生分化したことが支持されることが判明した。分子系統樹を反映した分類体系を構築する過程で、イワレンゲ属Orostachysは3つの単系統群の複合産物であることが判明した。その1群はKungiaとして、独立の属とすることが適切である。他の2群のうちの1群はベンケイソウ属Hylotelephiumと単系統群となることが判った。この群にOrostachysのタイプを含むため、タイプを変更してOrostachysという属名を保留するか、発表年の新しいHylotelephiumをOrostachysの異名とするか、しなくてはならなくなり、国際植物分類学会連合誌Taxonにタイプ種の変更をともなう提案として発表を準備している。
著者
永渕 裕子
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

関節リウマチ(RA)の治療には炎症の制御と骨破壊の制御が重要である。Interleukin(IL)-34はColony-Stimulating Factor-1 Receptor (C)の第2のリガンドとして発見された慢性炎症と骨吸収に関与するサイトカインである。IL-34のRAの病態における役割を明らかにする目的で実験を行なった。RAおよび変形性関節症(OA)患者血清およびRA滑膜細胞を用いた。各種サイトカインをELISA法で測定した。CSF-1Rの発現は免疫組織染色で検討した。血清IL-34はOAに比べRAで有意に増加していた(RA;13.0±23.1,OA; 0.3±0.3 pg/ml, p<0.05)。RA初代滑膜細胞の培養上清で自発的にIL-34の産生を認めた。RA線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)はIL-1,TNFα刺激でIL-34を産生した。RAFLS はIL-34の受容体であるCSF-1Rを発現していた。RAFLSはIL-34刺激でIL-6を産生した。IL-1で刺激したRAFLS から産生されるIL-6は抗IL-34抗体, 抗CSF-1R抗体で抑制された。RA患者ではIL-34産生が亢進しており、滑膜病変でIL-34が産生れ、病態形成に関与していることを明らかにした。IL-34はRAの新たな治療標的となる可能性が示唆された。さらに本研究者はRA滑膜の病態形成にプロラクチが関与していることを報告している(JRheumatol. 1999, 26(9):1890-1900.)。滑膜細胞にIL-34を滑膜細胞にIL-34を添加すると培養上清中のプロラクチン産生の増加が認められた。これまでIL-34とプロラクチンの関連の報告はなく、今後さらに検討を重ねたい。肺がん患者の癌細胞がIL-34を産生し、IL-34をターゲットにした肺がん治療を提案する論文がある。IL-34をターゲットにしたRA治療を行うことで、担癌患者の腫瘍免疫を抑制にせずにRA治療ができる可能性があり 癌合併RA患者血清を用いた実験を追加し、この点も引き続き検討したい。
著者
足達 薫
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、イタリア・ルネサンス期の美術様式としてのマニエリスムの造形的論理の源泉を考察することを主目的とした。その際、フリウリの記憶術師・キケロ主義文学者ジュリオ・カミッロ・デルミニオによる美術論に焦点を当て。その言説の再構成に基づき、同時代の絵画や彫刻や版画がいかにして形成され、また同時にいかにして受容されたかを推察しようとした。ジュリオ・カミッロの主テクスト『劇場のイデア』、『模倣論』、『雄弁のイデア』を精読し、不明な箇所についてはイタリアの各研究機関および図書館等を訪れて原典資料と比較し、マニエリスム美術の「時代の眼」(マイケル・バクサンドール)を浮き彫りにすることができた。
著者
内田 雅也 石橋 弘志 平野 将司 水川 葉月
出版者
有明工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

近年、分子内にフッ素原子・官能基が導入されたフッ素系農薬が盛んに研究開発され、殺虫剤の開発品の70%以上が「新世代の殺虫剤」と呼ばれる「フッ素系殺虫剤」である。フッ素系殺虫剤は、使用量も年々増加しており、おもに河川等を通じて海洋に流出し、海洋生態系への影響が懸念されるが、淡水生物を用いた影響評価しか実施されてなく、海産生物での影響評価例は少ないことから海域における環境リスクは不明である。本申請課題ではフッ素系殺虫剤の海域におけるモニタリング、海産甲殻類アミを用いた生態毒性試験およびトランスクリプトーム解析を実施し、海域におけるフッ素系殺虫剤の汚染実態と環境リスク評価を実施する。
著者
元雄 良治 済木 育夫 高野 文英 牧野 利明 石垣 靖人 島崎 猛夫
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

臨床的には22例の大腸癌患者のオキサリプラチン(L-OHP)を含む化学療法レジメン(FOLFOXorXELOX)に人参養栄湯(NYT)を併用したところ、全経過を通してgrade2までの末梢神経障害に留まった。動物実験では、マウスにL-OHPを腹腔内投与して誘導した冷痛覚過敏と機械的アロディニアに対してNYTの経口投与により有意な改善作用が認められた。細胞実験では、PC12細胞のL-OHP処理により短縮した神経突起をNYTが回復させた。
著者
池添 泰弘
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、反磁性物体が磁場から受ける反発力を利用した反磁性浮上技術を開発する。一般的には反磁性磁気浮上は世界有数の超強力磁石が必要と考えられており、一般企業や大学の研究者が実験をする機会はほとんどない。しかし、最近、詳細な磁場分布計算により、市販の永久磁石でも水やガラスなどの磁気浮上が可能であることがわかってきた。永久磁石で物体を浮かす技術を確立できれば、従来宇宙実験棟内で行われていたような実験が、安価に誰にでも実施出来るようになり、液体から固体まで、且つ生体材料から無機固体材料まで、また基礎的な自然科学から実用的なコロイド・界面化学の領域まで、非常に広い範囲の応用展開が期待される。
著者
香川 せつ子 佐々木 啓子 中込 さやか
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

昨年度から続くコロナ禍による海外渡航制限のため、当初計画していた現地調査は実施できなかった。しかし国内の大学図書館や国会図書館が所蔵する一次資料や先行研究の渉猟およびネット上で公開された海外情報へのアクセスによって実証的研究を進めた。前年度から引き続いて19世紀末から20世紀初頭にイギリスに留学し、帰国後に教育・科学分野で活躍した大江スミ、二階堂トクヨ、黒田チカの軌跡と業績を検証し(香川・中込)、他方では奨学金によるアメリカのブリンマー・カレッジ等への留学が日本の女子高等教育にもたらした貢献(佐々木)ついて検討した。本年度の新たな取り組みとして、研究代表者の香川は実践女子大学創立者の下田歌子の19世紀末におけるイギリス留学について重点的に調査・研究した。『下田歌子と近代日本ー良妻賢母論と女子教育の創出』(共著、2021年9月刊行)では、下田梅子と津田梅子がともに華族女学校在職中に英米に留学していることに着目し、両者の西洋文化受容の過程を比較考察した。また別の論文では、下田と相前後してイギリスに留学した安井てつと下田を比較し、イギリスの女子教育から受けた影響を体育の奨励に着目して比較考察した。本研究課題の特質から、研究成果の海外への発信や海外研究者との交流にも努めた。2021年5月の女性と科学に関する国際研究会(Women and Science in the Twentieth Century)では香川が黒田チカについて報告、6月の国際教育史学会(ISCHE)では香川が二階堂トクヨ、佐々木が藤田たき、中込が大江スミについて報告、11月のイギリス教育史学会(HES)では佐々木が日本女性を対象とした米国留学奨学金について報告した。いずれもオンライン開催であり、海外研究者との対面での交流はならなかったが、頂いた質問やコメントを通して考察を深めることができた。
著者
施 光恒 柴山 桂太 佐藤 慶治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、ポスト・グローバル化時代の日本の国づくりの指針となる「新しい日本型」の社会構想を、政治学や経済学、文化研究の観点から描き出すことを目指す。その際、各国で1990年代以降に本格化し現在まで続く新自由主義に基づくグローバル化の推進の結果として構築されてきた国際政治経済秩序の変革を行う必要がある。そうしなければ各国の政策的自律性が発揮できないからである。それゆえ、本研究では、各国型の国づくりを許容するポスト・グローバル化の多元的国際秩序のあり方を検討し、そこにおける新しい日本型システムをどう描き出すか考察していく。
著者
安藤 寿康
出版者
慶応義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

人間行動遺伝学によって一般知能や外向性などの適性に高い遺伝規定性があることから、数学の問題解決という知的課題を、教授者や仲間関係の中でどのように学習してゆくか、その学習プロセスの中で遺伝要因がどのような役割を演じているかを、一卵性双生児の学習行動とその成果を比較することによって検討した。実験は2回にわたって行われた。実験1 中学2年生の8組の一卵性双生児を対象に2日間8時間の学習教室。異なる4種類の学習スタイル(個別問題解決、共同問題解決、個別問題訂正、教師との1対1活動)を双生児きょうだいは独立に経験させ、それぞれへの学習態度を質問紙法によって訪ねた。その結果、いくつかの学習態度(気楽、緊張、達成、弛緩、有能感)で、偶然よりも高い確率で、双生児きょうだい間の態度に一致が見られた。実験2 小学6年生から中学3年生までの双生児20組を対象に、個別学習と共同学習をそれぞれ4日間8時間行う。ここでは実験1のような質問紙による態度評価だけでなく、より詳しい行動観察と、何組かについて血液検査によるいくつかの神経生理学的形質の遺伝子型の診断も行った。また新奇性探究をはじめとする新しい性格検査、知能検査も実施し、それらの関係を分析してゆく予定である。