著者
田中 大祐 加賀谷 重浩 中村 省吾 酒徳 昭宏
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

富山県の立山浄土山山頂付近と富山大学屋上の2地点で採取した大気試料中の細菌群集と真核生物群集の特徴をPCR-DGGE法で比較した。その結果,立山と富山大学屋上の2地点の細菌群集構造は大きく異なっていると考えられたが,真核生物群集構造は類似している可能性が示された。また,大気から単離した赤色色素産生細菌3株は,紫外線(UV-B,UV-C),乾燥,過酸化水素などの環境ストレスに対して耐性を示し,大気環境中での生存に適した性質を持っていると考えられた。
著者
松岡 和生 山口 浩 川原 正広 松田 英子
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

直観像と共感覚はともに、眼前には存在しない対象物や風景、色彩やパタンといった視覚像(Photism)が外部空間にありありと「見える」という特異な視知覚性イメージをともなう現象である。本研究はこうした直観像と共感覚のPhotismの感覚的鮮明性と外部投射性に関わる知覚情報処理について脳機能画像法、視線活動計測、認知行動実験を用いて検討し、その特異性を示す科学的エビデンスを提供する。また直観像・共感覚保有者の視空間イメージ表象能力をアファンタジアからハイパーファンタジアに至るスペクトラムの一方の極に位置づける「認知―神経機構モデル」の構築を試みる。
著者
斎藤 英喜 中嶋 奈津子 八木 透 星 優也
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、地域の神楽には、都会から多くの見学者が押し寄せるなど、その関心、興味が高まっている。その一方では、担い手たちの高齢化、地域の過疎化によって、休止に追い込まれる神楽も少なくない。また神楽の執行が形式化、イベント化する傾向もみられる。こうした神楽にたいする関心の高まりと地域が抱える問題にたいして、本研究では、これまで重視されていなかった、「中世の神楽」の実態を明らかにすることで、神楽がもつ「宗教性」とともに、その歴史的な展開を示すことで、日本の宗教文化のあらたな面を提示することが可能と考えられる。
著者
大形 徹 辻尾 榮市
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

太陽を載せるエジプトの三日月の舟の観念は中国にも影響を与えたようだ。太陽が地を潜ったあと復活再生して天空に昇るように、死者もまた舟に乗ってあの世に復活した。中国では仰韶の墓に龍に跨る人の造形がある。龍の原形はワニであり、水平線から天の川を遡り、背に乗る死者の魂を天に運んだのだろう。龍の角は殷・周ではキリンで後に羚羊や鹿の角になる。角をつけなければ空にのぼれないのだろう。戦国から漢代にかけて龍と舟が結びついた。そして被葬者は龍の舟に乗り、あの世に復活再生するという観念が生まれた。これは扶桑の枝に再生する太陽とも重ね合わされた。死者が復活する初期の仙人の原形ともいえる。
著者
萩原 孝恵
出版者
山梨県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

「舌打ち」や「笑い」は通言語的であるにもかかわらず、そこには社会的・文化的・慣習的な用法が存在する。本研究は、定延(2005)のいう「口の中の文化」に焦点を当てる研究である。本研究が着目するのは、非言語行動としてタブー視される「舌打ち」と、特におかしくもないところで笑う不可解な「笑い」である。研究対象は、“日本語文化と異なる”タイ人およびベトナム人の「舌打ち」と「笑い」である。定延(2005)を援用すると「口の中の異文化」が本研究課題となる。本研究は、誤解や摩擦の要因となり得る「舌打ち」や「笑い」に注目し、自文化の物差しでは測れない、他文化の非言語コミュニケーション行動を紐解いていく。
著者
久松 伸
出版者
麻布大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

堆肥化が困難だと言われているイチョウ落葉を用いて堆肥化を行い、その堆肥化過程中に存在する微生物フローラを調べた。その結果、微生物フローラは堆肥化過程で大きく変化することがわかった。また、堆肥化過程で内部温度が上昇する時期に微生物を単離して、各微生物のPCB分解能を調べたところ、ほとんどの試料で培養液中のPCB量が半減することがわかった。特に、1つの細菌では、約90%の減少を確認できた。
著者
岸 啓子
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

『平均律クラヴィア曲集I』にバッハが想定した音律について、資料および和音の協和の観点から考察した。表紙唐草は24長短調を網羅した音楽史上初の曲集をライプツィッヒトマス教会カントル職への応募作品として提出するにあたり、不適切な調律での試奏による作品評価の低下を回避するため、最適調律法(バッハ音律)を自ら表紙に記したものである。彼は音楽史上画期的な全調構成のみならずその演奏に最適な調律をも提示することで、自身の総合的能力を示したと考えられる。完全5度の唸りの数を聴くことは調律の基本プロセスであるが、5度の唸り状態を丸の数(1~3重)で示すと共に、装飾を兼ねて唐草模様風図示した点は独特である。
著者
加藤 邦彦 宮崎 真素美 疋田 雅昭
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、「戦後詩の第二世代」と呼ばれる詩人たちの活動を支えた詩雑誌、「詩学」「現代詩」「ユリイカ」を中心に、昭和30年代の詩について研究する。戦後詩の第二世代は、批評の方面では非常に多く取り上げられているものの、研究としてはまだほとんど進んでいない。そこで、「詩壇ジャーナリズムの第一期」を形成した上記3誌に注目することで、(1)戦後詩の第二世代の特質およびその形成過程、(2)昭和30年代の詩の展開が雑誌メディアによって誘導され、かたちづくられたものであることを明らかにする。
著者
新井 紀子
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

コンピュータサイエンスにおいて、最も中心的な問いのひとつが、与えられた関数(グラフ)を計算するための最も効率のよいアルゴリズムは何か?と言う問題である。これは、ひとつには「P=?NP」問題に集約される。この課題に対して、ロジックからのアプローチとしては、次の2つが考えられる1.与えられた命題論理の体系に対し、その体系では多項式サイズの証明が存在しないような定理群を発見する2.与えられた2つの命題論理の体系が相対的にどちらの方が証明効率がよいか本研究においては、タブロー法とレゾリューション法の証明の複雑さに関して研究を進めた。この2つの体系は、多くの自動証明機のエンジンとして採用されていることを追記しておく。その結果、1970年代から未解決であった、さまざまなタブロー法のバリエーション間の相対的証明効率の問題を完全解決した。まず、自動証明機のエンジンとして最も採用されているclausal tableauというタブローは一般的なタブローに比べて、superpolynomial-timeな遅延があることを発見した。また、resolution法はタブロー法に比べてexponentialのスピードアップがあると信じられてきたが、それは誤りであり、resolution法はタブロー法に比べて、擬似多項式時間分しかスピードアップしないことを論理的に証明した。一方、本研究においては、clausal tableau法にシンメトリーという推論を付け加えることによって、新しい体系SCRを構築し、その証明力についてさまざまに考察した。結果、resolutionでは短く証明できない多くの組み合わせ論的な問題がSCRでは多項式サイズの証明があることがわかった。SCRはタブロー法をベースとしているため、自動証明に応用することができ、これをGodzillaという自動証明機として実現した。
著者
藤田 郁尚
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

アルミニウムの状態の違いによる侵害受容性TRPチャネルであるTRPV1、TRPA1への影響をパッチクランプ法及びカルシウムイメージング法によって確認し、アルミニウムイオンがTRPV1、TRPA1の活性抑制効果を示すことを明らかにした。また、また、pH4、6、7.4の条件において硫 酸アルミニウムカリウムのTRPV1、A1の抑制効果を調べたところ、酸性pHにおいて観察される高い抑制効果は中性pHでは減弱するものの、中性条件においても抑 制効果を確認することが出来た。更に、ヒト被験者への硫酸アルミニウムカリウム水溶液(酸性pH)を毎日一回の使用を一ヶ月続けた結果、皮膚水分量の上昇が確認された。
著者
山下 利佳 黒木 唯文 江越 貴文 小関 優作
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

Candida albicansに対して抗菌効果を有する植物精油の義歯用歯磨剤への応用について検討した。ティートゥリーオイル(TO)とレモングラス(LE)を使用し,床用レジンに付着したバイオフィルムに対する除去効果について調べた結果,1.0%TO,0.5%LEおよび1.0%LEの義歯清掃への利用は,C.albicans バイオフィルムの除去に有効であることが示唆された。また,これらの精油溶液を用いて磨耗試験を行った結果,水のみでのブラッシングよりも,精油を使用した方が表面粗さは小さかった。以上より,精油は義歯清掃に有効である可能性が示唆された。
著者
斉藤 豪 鳥越 俊彦
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では3次元培養から得られたSphere細胞よりRNAを回収し、がん幹細胞関連遺伝子を定量的RT-PCRにて解析した。得られた候補cDNAより子宮頸癌により特異的に発現しているcDNAをピックアップして以後の実験に用いた。さらにcDNA産物をターゲットとして研究を進め、これらの蛋白の塩基配列からHLA-A24結合モチーフを持つペプチドを合成した。これらを用いて特異的な細胞障害性T細胞による癌免疫を誘導しうるエピトープを検索しこの一部が末梢血単核球のうちCD8-細胞をPHA刺激により抗原提示細胞であるPHA blastに誘導し、特異的なCTLの誘導することが明らかになった。
著者
武田 克浩 佐々木 慎也
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

脳由来神経栄養因子(BDNF)は非外科的歯周治療と併用することで、過度の炎症を抑制し、セメント質や歯周靭帯、歯槽骨などの歯周組織の再生を促進することが示唆された。また、in vivoで認められた炎症制御の機序の一端として、BDNFがマクロファージの活性に及ぼす作用が考えられた。すなわち、BDNFはマクロファージの貪食能を亢進させることで創傷治癒の初期に起炎物質の排除を促進し、歯周組織再生の促進に寄与している可能性が示唆された。
著者
河西 秀哉
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

象徴天皇制においてメディアの影響力は大きい。その関係性は切っても切れないものである。これまで、新聞や雑誌などとの関係性は研究されてきたが、戦後のテレビに関するものは未だ対象となっていなかった。本研究では、1959年10月より開始された「皇室アルバム」を中心とする、象徴天皇制を伝えるテレビ番組に関する史料調査を通じて、象徴天皇制とメディアの関係性を歴史的に検討する。こうした番組を製作した人々や伝えられる天皇側(宮内庁)などの関係者などへの聞き取りも行い、その意図についても明確化する。
著者
高橋 浩二 木島 勉 朴 天秀
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

韓国の古墳および遺跡から出土した翡翠勾玉の集成的研究を行った。次に、これを基礎にして、分布の特徴を明らかにするとともに、各地における出現時期や出土数の変化を検討した。また、弥生・古墳時代の翡翠勾玉と比較して、韓国出土のものが日本列島からもたらされた可能性が高いことを指摘した。そして、これらを踏まえ、韓国出土翡翠勾玉の流通過程について3つのパターンを検討した。なお、一部の成果を1冊の報告書にまとめた。
著者
甲斐 倫明 遠藤 章 高橋 史明 佐藤 薫 伴 信彦
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

CT診断からの臓器線量計算を行うWebシステムWAZA-ARIにおいて、年齢と体型の個人差を考慮できるシステムに拡張したWAZA-ARI 2を開発した。未成年はフロリダ大学で開発した年齢別ファントムを用いた。成人体型の違いを計算するために、日本人の標準体型からBMIで2倍の標準偏差だけ外れるやせ型、2倍と5倍の標準偏差だけ外れる肥満型のファントムを皮下軟組織のみを変形することでファントムを構築した。また、実際の臨床で得られたCT画像をもとにボクセルファントムを構築し、臓器線量の個人差を実際の体型ごとに計算し、体型と臓器線量の関係を導いた。有効直径が体格の指数として利用できることがわかった。
著者
長田 佳子
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

EBウイルスは、抗体産生細胞に分化するBリンパ球に潜伏感染します。私たちはEBウイルスが再活性化するとき、感染しているBリンパ球の抗体産生を刺激することを報告し「EBウイルス再活性化に誘導される抗体産生系」を提唱しています。この系ではIgM抗体が多く産生され、除去されるはずの自己抗体産生細胞がレスキューされて抗体産生してしまいます。私たちはEBウイルス再活性化の抑制による、バセドウ病など自己免疫疾患の抗体産生抑制治療をめざしています。
著者
亀井 淳三
出版者
星薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1)真菌抽出成分で感作した動物を用いた慢性咳嗽モデルの作成真菌から抽出したアレルゲン物質をラットに感作した後に、咳感受性および気道過敏性の亢進の有無を確認する。真菌から抽出したアレルゲン物質により感作したモルモットにおいて、クエン酸およびカプサイシンにより誘発される咳嗽数は、非感作群における誘発咳嗽数に比べ有意に増加しており、咳感受性の亢進が認められた。一方、ヒスタミンにより誘発される気道収縮反応には、感作および非感作群の間に有意な差はなく、アレルゲン感作による気道過敏性の亢進は認められなかった。また、アレルゲン感作群で認められたクエン酸誘発咳嗽数の増加は、抗ヒスタミン薬により非感作群の咳嗽数のレベルにまで抑制された。これらのことから、真菌から抽出したアレルゲン物質により感作したモルモットにおける咳感受性の亢進はヒトにおけるアトピー咳嗽における咳感受性亢進に対応するもめと考えられる2)アナナダマイドによるTRPV1受容体を刺激し介したC線維興奮と一酸化窒素の関連マウスに高濃度(3mg/ml)のアナンダマイドを3分間吸入することにより誘発された咳嗽数(約15回程度)は、TRPV1受容体の選択的拮抗薬であるガプサゼピンにより有意に拮抗された。また、低濃度(0.3mg/ml)のアナンダマイドの吸入では溶媒である10%DMSO吸入時とほぼ同程度の咳嗽数(7回程度)が誘発されたがnitricoxide(NO)の前駆物質であるL-arginineを事前吸入することにより、低濃度(0.3mg/ml)のアナンダマイドの吸入による咳嗽数は有意に増加した。L-Arginineにより増加した低濃度(0.3mg/ml)アナンダマイド誘発咳嗽数はNOの合成阻害薬であるL-NAMEにより用量依存的に抑制された。Ovalbumineにより感作およびチャレンジにより気道炎症を引き起こしたマウスのカプサイシン誘発咳嗽数は非感作・非チャレンジ群マウスに比べ増加しており、肺胞洗浄液中のNO量も有意に増加していた。これらのことから、気道炎症により増加したNOがC線維終末でのトランスポーターを介したアナンダマイドの取込みを促進し、その取込まれたアナナダマイドがTRPV1受容体を刺激し、タキキニン類の遊離を促進することで、いわゆる咳の受容器の一つであるA・線維終末受容器のrapidlyadaptingreceptorの興奮性を亢進し、咳の感受性を増大させていることが考えられる。これらのメカニズムが気道炎症を伴う慢性咳嗽の発症機序の一因となっている可能性が強く示唆される。
著者
笠井 憲雪 打越 綾子 越本 知大 加隈 良枝
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

我が国では動物実験について実施者側から一般市民への情報発信が極めて少なく、このため一般市民の動物実験への理解が乏しいと考えられる。そこで本研究では動物実験について広く社会に受け入れられる発信方法について研究し、試行し、その基盤の構築について提言する。具体的には次の4つのサブテーマを目的とする。1. 一般市民の動物実験に関する意識調査の実施と継続調査の基盤確立、2. 高校生物教育の動物を用いた学習の適切な支援方法の提言と支援組織の構築、3. インターネットによる動物実験情報発信基盤の構築、4. 動物実験に関する情報発信における倫理に関する研究。
著者
我妻 玲 荒川 正行
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

超高齢社会に突入した我が国においては、高齢者のQOLの低下を防ぐことは、大きな社会的課題である。高齢者が健康的で豊かな日常生活を送る上で最も基本的かつ重要なことは、自由自在に身体を動かせることである。しかしながら、加齢に伴い骨格筋の量・機能は低下する、いわゆるサルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)が起き、運動能力は徐々に低下することはよく知られている。1990年代以降、世界中でサルコペニアに関する研究が行われているが、有効な予防法や治療法は確立されていない。本研究では、新たな治療法として期待されているビタミンDの骨格筋における生理的役割について明らかにすることである。