著者
兵野 洋一 田野 俊一 市野 順子 シュ ビン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.418, pp.93-98, 2010-02-11

アルファベットを特定のルールに従って組み合わせる事で,英単語を漢字のような方形の文字として表現する「新英文書法」という現代美術の作品がある.この作品を美術館の来館者にインスタレーションとして体験してもらうため,コンピュータで文字を生成するアルゴリズムをアーティストと共に検討し,キーボードから入力されたテキストをその場で処理して出力するプログラムを開発した.
著者
守田 了 本田 雄斗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.493, pp.223-228, 2014-03-13

テレビ中継や競技技術の向上や審判の補助のために,競技映像を映す複数台のカメラを設置し,その映像を解析することが行われている.本論文ではフィギュアスケートのテレビ中継映像からの技術要素の推定を行う.フィギュアスケートの技術要素の採点方法はより透明性のある採点を目指して刻々と変化している.ここでは2014年における国際フィギュアスケート連盟ISUが用いている得点方法を用いる.特にフィギュアスケートの得点を左右する6種類のジャンプの識別と技術要素の得点における基礎点を識別することを目標とする.まずリンクサイドを復元し,さらに人間の頭部の位置を推定し,リンクにおける人間が滑った位置の軌跡を視覚化する.またフィギュアスケートの中継映像における競技者の映像から頭部,胴体,右上腕,右下腕,左上腕,左下腕,右手,左手,右足,左足を識別する.これらから首,右肩,左肩,右股関節,左股関節,左ひじ,右ひじ,右ひざ,左ひざ,左手首,右手首,左足首,右足首を識別する.各関節2自由度の13箇所,26自由度の各関節の姿勢を推定する.各関節の姿勢は人間の動作範囲に基づいて180度に制限する.テレビ中継映像は視聴者が競技をテレビ中継から演技中の競技者を見やすいように複数のカメラを切り替え,カメラを自由に動かす中で競技者の演技を推定する.実際にフィギュアスケートの得点を左右する6種類のジャンプの識別と技術要素の得点における基礎点を識別することで有効性を示す.
著者
関根 慶太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, pp.539-540, 1996-03-11

何故ニワトリの足は4本なのか?先日友人同士集まって雑談をしていたところ、最近の小学生にニワトリの絵を描かせると、足を4本持ったニワトリを描くものがかなりいるそうだ、という話になった。それを受けて別の友人が、でもそんなのはまだ良いよ、私の知人の家では、高いお金を払ってデパートで大きなカブトムシを子どもに買ってやったところ、しばらくして子どもが、「電池を買って頂戴」といってきた。理由を聞いたら、カブトムシが動かなくなったから「電池切れ」だという。子どもの話だと思って笑っていたら、ある有名大学の電気工学の実験の時間に、学生が「指導書の通りに配線してもモータが動かない。この指導書は間違いではないか」と真顔で抗議にやってきた。行ってみたら、確かに配線は正しいが、なんとビニール線の被覆を剥いていなかった、という極め付きの話題まで飛び出してきて、一同口アングリとなってしまった。しかし、ビニール線を剥かない、というのは話題性があるが、OPアンプやロジックICの電源回路を配線していない、というのは全国の大学(しかも電気、電子工学科)の学生実験室では、ごくありふれた光景であろう。なぜ、昔なら考えられなかったような珍妙なことが起こるのであろうか?もうおわかりのように、一口で言えば、実物を見たり、触ったり(できれば遊んだり)した体験がないからである。とくに、最近の指導要領の変革で、低学年から、高校に至るまでの過程で、「実験時間に、その実験が行われるのを見たこともない(自分でやってみる、等と言うことは論外である)」という学生が大多数を占めてきているのが現状である。また、むかしなら、電気を学ぼうと志願する学生の多数派の理由は「電気が好きだから」、「電気がやりたいから」であった。従ってラジオとまではいかなくても、電気工作くらいは自分でやった経験を持っており、ビニール線は被覆を剥かなければ電流は流れない、ということくらい「常識」であって、学ぶべき「対象」ではあり得なかった。と、昔を懐かしんでいるだけでは「年寄りの愚痴」であって、「このような体験不足」の学生に技術者、研究者としての基本的な体験を与える」というのが現在の学生実験に課せられた使命といえよう。
著者
山内 寛行 赤松 寛範 藤田 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会秋季大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.2, 1994-09-26

チップ全体の消費電力の半分以上を占める様になってきたデータバスの消費電力を低減する目的で種々の技術が提案されている。例えば、データバスの振幅をダウンコンバーター等の抵抗分割によって0.6Vに制限する方法である。しかし、抵抗分割による振幅制限は、抵抗部によるジュール熱や、DC貫通電流による電力損失を伴う問題がある。一方、上記問題点を解決するために著者らが提案した電荷再利用バス方式は、電源-接地間に並列バスを4対以上積み重ね、その間で上から下のバスへ、1クロック毎に電荷を転送し、再利用するもので、上記電力損失なしに小振幅を実現する方法である。しかし、実際のVLSI、例えばメモリーへの適用を考えた場合、通常データバスは階層構造を持っており、2対が並行レイアウトされたローカルバスと4対以上が並行レイアウトされたグローバルデータバスに分類される。本論文は、レイアウト上、積み重ねるバス数が2対しかないローカルバスにおいても、小振幅で電荷再利用可能なデータバスアーキテクチャーを提案する。
著者
山口 ひろみ 山口 彩夏 山崎 敏正 福住 伸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.499, pp.163-166, 2014-03-10

本研究の目的は、単一試行脳波と音声信号を利用したSSBCI(サイレントスピーチBrain-Computer Interface)において、母音識別に注目した我々の研究を発展させ、子音の識別を可能にすることである。まず、季節の発話時もしくはサイレントスピーチ時の音声データと13ch脳波を計測した。音声信号と、ダイポールがブローカ野に推定された脳波成分の関係をKalman filterで表現した後、HMMを利用して音声信号と子音/母音の関連付けを行った。次に、SS時の脳波からKalman filterで音声信号を推定し、HMMに入力することでサイレントスピーチの内容を予測した。その結果、HMMで出力する対数尤度を比較することで、子音を含めた判別が可能であることがわかった。
著者
広林 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.153-161, 2008-01-01

仮想的な市場モデルに基づいて,経済時系列の予測を行う研究は盛んに行われているが,実際の市場には様々な変動要因が存在するため,長期的な予測は難しい.しかし,経済学では景気循環論やエリオット波動に代表されるように,経済時系列の変動には短期的なものから長期的なものまで様々な周期性の存在が仮定されている.そこで,近年筆者が開発している新しい高分解能周波数解析法(NHA)を用いて,経済時系列の周期性の解析を行い,複合的な周期信号の組合せによって長期的な経済時系列の予測を試みた.検証実験では,過去15年間程度の日経平均株価終値のデータにおいて,過去2年間程度の分析窓長でNHAによる解析を行い,その後2年間の価格変動を予測した.また,本手法における予測可能時期を推定するため,この15年間から学習期間のためのはじめ2年間と評価のための終わりの2年間をそれぞれ除いた約11年間の区間において,予測結果の検証を行った.アジア通貨危機とアメリカ同時多発テロ事件など,世界的に大きな事件が発生している時期付近では予測誤差が大きくなるものの,それ以外の期間ではおおむね変動の概略をとらえることができた.
著者
井上 壮太 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.348, pp.19-24, 2005-10-14

エレキギターはソリッドのボディが特徴である.弦はネックのペグ部分とボディのブリッジ部分に張られており, その振動は, そのネックとボディ振動の影響を受ける.本論文では, 理論的な弦の固定条件と現実のエレキギター(テレキャスター)との比較を, 物理的側面と心理的側面から検討した.その目的は, エレキギターのボディの設計方針とアンプのエフェクト回路の設計に役立てるためである.その結果から, 現実のエレキギターは弦の境界条件が固定時のシミュレーションと比べて「明瞭」, 「力強さ」, 「好み」において高く評価され, 心理的にも好ましく捉えられる傾向が示唆された.
著者
渡辺 馨 小森 智康 梅田 哲夫 浦野 丈治 及川 芳明 荒蔭 雅治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.277, pp.9-16, 1998-09-18
被引用文献数
2

NHKでは、MPEGおよび電波産業界に協力して、計2回のMPEG-2 AACオーディオ符号化の2チャンネルステレオの主観評価テストを行った。この主観評価テスト方法及びテスト結果について報告する。この主観評価テストは、ITU-R勧告BS-1116に従って行った。この結果、2回の主観評価テストは連続性が保たれていること、128kbps/stereoのAAC Mainプロファイル, 144kbps/stereo以上のLCおよびSSRプロファイルはITU-Rの放送品質を満足すること、が明らかとなった。
著者
椋本 介士 福田 明 吉廣 安昭 中野 啓 大市 聡 長澤 正氏 山岸 久雄 佐藤 夏雄 門倉 昭 YANG H YAO M ZHANG S HE G JIN L
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.636, pp.13-18, 2004-01-23
被引用文献数
5

本稿では,筆者らが南極大陸で行っている流星バースト通信実験の内,第43次南極観測隊が行ったデータ伝送実験の概要とその実験結果を報告する。この実験は, MCC社の通信装置を用いて中山(中国)一昭和基地間で行われた。実験結果から,南極域(オーロラ帯)でも,流星バースト通信によるデータ伝送が可能であることが示される。また,この地域では,不定期ではあるが定常的に流星バーストによるものとは異なる伝搬現象が発生し,データ伝送に利用できることが示される。
著者
長澤 正氏 椋本 介士 福田 明 吉廣 安昭 中野 啓 大市 聡 山岸 久雄 佐藤 夏雄 門倉 昭 YANG Huigen YAO Mingwu ZHANG Sen HE Guojing JIN Lijun
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.636, pp.19-24, 2004-01-23
被引用文献数
5

43次南極観測隊により2002年4月から2003年3月にかけて南極域における流星バースト通信路の性質を調査するためにトーン送受信実験が行われた.観測データの解析の結果,南極域に於いても通信に利用可能な流星バースト通信路が発生すること,また16時から24時(UTC)にかけて流星とは異なる伝搬現象が頻繁に現れ,これも通信に利用できる可能性があることが明らかになった.本論文ではトーン実験の結果から南極大陸におけるこれらの見通し外通信路の統計的な性質について報告する.
著者
東山 薫 IMUTA Kana SLAUGHTER Virginia 北崎 充晃 板倉 昭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.440, pp.103-107, 2015-01-30

心の理論研究は,誤信念課題の通過年齢におけるメタ分析が行われるほど膨大なデータが揃った。その結果,最もデータ数の多い欧米を基準とするとオーストラリアの子どもはそれより早く,日本の子どもは最も通過が遅れることが明らかになった。Naito & Koyama(2006)は,日本語は心的状態語を明確には表現しないために心の理論の発達が遅れると指摘したが,各文化内における検証はなされていても,文化間において共通の文脈下で検証している実証研究はない。子どもの心の理論の発達には母親の言語使用が密接に関わっていることから大人の言語使用についての文化差を見ることが重要だと考えられる。欧米よりも通過が早いオーストラリア,そして最も遅れる日本の文化差の原因を言語使用から検討する。
著者
張 勇 大谷 淳 米村 俊一 徳永 幸生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.456, pp.135-140, 2011-02-28

筆者らの研究室ではネットワークで接続された仮想環境であるサイバーシアターにおける観客効果について検討を行っているが.仮想劇場空間に配置される観客アバターの数が数体程度と少数であり,劇場の背景が無かったので,演技者が実空間中の劇場にいるような臨場感を感じるのが困難であった.さらに,この従来システムにおけるアバターの反応特性は,実人間が観客の場合の反応特性に基づいたものではなかったので,実験結果の信頼性が不明確と言える.そこで,本研究では,5人の実人間が1人20体ずつのアバター(合計100体)を担当する新たなサイバーシアターシステムを構築した.実人間が観客の場合の反応の特性を計測するとともに,その新たな実験システムを用いてアバターが観客の場合の反応の特性を計測するとともに,演技者への主観評価テストに基づき,観客が実人間の場合とアバターの場合の違いを検討した.
著者
広田 修 村上 弾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.392, pp.31-36, 2011-01-20
参考文献数
14

近年、量子鍵配送の安全性評価基準が暗号学的に不適切であることが指摘され、当該課題の根本的な再議論が必要となっている。それを具体化するため、前回の発表では、相互情報量に基づく評価では、暗号学的な安全性が全く保証されていない事例を示した。本稿では、原理的な欠陥以前の問題として、日本の量子鍵配送の実験系の安全性分析が本質的な誤りを指摘する。次に安全性評価の原理的な欠陥を提示した最新理論を用いて、量子鍵配送による配送鍵系列を用いたバーナム暗号は、完全秘匿あるいは無条件安全とはほど遠く、通常の数理暗号より安全性が低くなる可能性も否定できないことを再提示する。また、相互情報量基準から発展した別の基準においても、無条件安全性の保証につながらないことを例証し、単一光子による量子鍵配送技術には原理的な欠陥があることを明治する。その上で、これらの困難を克服するために、盗聴者の検出を基本とする量子鍵配送ではなく、KCQ原理と呼ばれる新しい方法論に基づく光通信量子鍵配送: CPPMを提示する。
著者
近内 亜紀子 浅地 哲夫 小田野 直光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.319, pp.1-4, 2008-11-19

現在,空港の保安検査としては,X線を用いた手荷物検査及び金属探知を用いた旅客検査が行われている.しかしながら,X線検査は手荷物内物質の形状及びX線透過率から爆薬の有無を判断するため自動判定が困難であり,金属探知においては非金属の隠匿武器等を検出できないという課題がある.海上技術安全研究所においては,現行の検査手法の課題を解決する技術として,核四重極共鳴(NQR)を用いた爆薬検知技術及び,ミリ波を用いた非金属隠匿武器等の検知技術の研究開発を行った.各技術を用いた検査装置試作機を製作し羽田空港保安検査場において実証試験を行った結果,その有用性が示された.
著者
北村 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.282, pp.49-54, 2007-10-18
参考文献数
15
被引用文献数
1

物真似音声が似ていると知覚される要因を調べるため,プロの物真似タレントによる物真似音声と対象話者の音声を比較した.2つの文章音声を分析した結果,基本周波数の平均値は対象話者の音声より20Hz前後高く,その変動パターンはこれらの話者の間でよく似ていた.スペクトルに関しても,その概形や第1,第3,第4ホルマント周波数が対象話者のもに近付けられていた.さらに,声帯音源特性を表す,DFTスペクトルの第1,第2調波の振幅差(H1-H2)もこれらの話者間で近い値を示した.一方,第2ホルマント周波数は話者間で異なっており,音節継続時間長は対象話者のものに近付ける傾向が見られなかった.
著者
高志 修 富永 浩之 林 敏浩 山崎 敏範
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.703, pp.37-42, 2005-02-26
参考文献数
7
被引用文献数
2

近年, 教室のネットワーク環境の整備により, チャットなどを用いた授業支援システムが使われ始めている. 我々は, 対話的なe-Learningの典型例として, 一問一答式クイズAQuAsを開発した. このシステムでは, 授業で用いる様々な試問や質疑を, 一問一答式クイズの多様な実施形態として捉える. AQuAsによる学習支援の方法として, 学習者の解答行為を時系列で分析し, 学習者の理解度や学習態度を把握して, 適切なアドバイスや個人に適応した出題を行う機能を提案する. 一問一答式クイズの解答行為を記録するPDA上のシステムTinyAQuAsを試作し, 予備実験の結果から, 学習者の解答傾向を推定する類型化ルールを検討する. また, ファジィ理論を用いて, より柔軟なルールの記述と推論の方法について議論する.
著者
菊池 之裕 村越 英樹 舟久保 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.97, no.524, pp.37-44, 1998-01-30
参考文献数
5
被引用文献数
1

本論文ではニューラルネットを利用した論理型言語処理系を提案する. 論理型言語で記述されたプログラムをニューラルネットワークへ変換し, ニューラルネットの最適化機械としての能力の適用範囲を論理型言語に記述された問題へと広げるものである. 著者らは以前, ニューラルネットを利用した論理型言語の推論機構について提案を行ったが, Prologの特徴の有意義なデータ構造の一つであるリスト構造については考慮されておらず. 言語処理系としては不完全であった. そこで我々は, リスト構造を考慮した動的なネットワーク構造を固定する変換機構を提案し, その評価を行った. 結果, 効率の改善がみられ, 処理系の完成度を高めた.
著者
沢村 一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.105, no.105, pp.13-14, 2005-05-24

論理学の計算機科学、中でもソフトウェア科学や人工知能の分野で果たしてきた役割はよく知られていることである.他方、議論学は、1970年代頃より、それまでの形式的・数学的論理学では無視あるいは避けられてきた、広義の(非形式的)論理学(虚偽論, 修辞学, を含めて)を研究する分野として、人文社会科学の主に哲学、言語学、社会学などの分野で開始されてきた.最近、真のあるいは実際的な論理学であるといってもよいこの「議論学」が、計算機科学においても注目されてきた.特に、この10年世界的に精力的に研究が推進されているエージェント指向コンピューティングの分野では、エージェント間の通信、相互作用に基づく情報処理の有効な手段あるいは基礎として、その注目度は高い.本講演では、(1)論理学と議論学を改めて比較検討し、(2)議論が計算機科学における今後の有望な通信・計算機構となることを論じ、(3)議論の形式的モデル、特に不確定情報下における多値議論の論理とその応用について述べ、(4)今後の展望や世界的な研究動向を紹介する.また、議論に関係する周辺の話題として、弁証法的議論、西洋対東洋的議論、議論に関するe-learningシステムなどについても触れる.
著者
柴田 勝征
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.50, pp.1-6, 2008-05-16

2000年から3年置きに実施されているOECDによる15歳国際学力調査(PISA)で日本がトップの座から次第に順位を下げていることについて、教育界やジャーナリスムの世界では「学力の低下」とセンセーショナルに論じられており、PISAの問題自体やOECDの掲げる理念そのものを真っ向から批判する論調は日本では皆無と言って良い。本論文ではPISAへの根底的批判と生徒たちの解答に反映されている日本人特有のメンタリティーについて解説する。