著者
西山 孝樹 藤田 龍之 天野 光一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.13-31, 2019 (Released:2019-02-20)
参考文献数
39
被引用文献数
1 2

わが国の近世以降に実施された社会基盤整備は,現代へ繋がる萌芽であったとされる.しかし,江戸幕府下に実施された先の整備は,一次史料から網羅的に明らかになっていないのが現状である. そこで本研究では,幕府が編纂した公式記録『徳川実紀』を用いて,江戸時代前中期に実施された道路行政政策に着目した.その結果,「道路」に関する記述は,維持管理等を定めた「規則の制定」に関する記述が最も多かった.一方,「道路」の新規造成や補修等,「道路施工」に関するものは非常に少ない状況であった.研究対象とした時代は,「道路」の維持管理は行われたものの,幕府直轄による道路造成は積極的に行われていなかった.幕藩体制を維持するために江戸へ攻め込まれることを防ぐ必要もあり,土木工事を抑えていたと推察される状況にあったことを示した.
著者
宇都宮 智昭 佐藤 郁 白石 崇 乾 悦郎 石田 茂資
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_1-I_6, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1 4

わが国における洋上風力の導入ポテンシャルは膨大であるが,水深50m以上の海域におけるポテンシャルがその大半を占めている.この膨大なポテンシャルを活かすためには,浮体式洋上風力発電の実用化が必要となる.しかしながら,浮体式洋上風力発電は世界的にもまだ実証段階であり,わが国における浮体式洋上風力発電の早期実用化を図るため,平成22年度から環境省により浮体式洋上風力発電実証事業が開始されることとなった.本論文では,本実証事業の概要とこれまでの主な成果を紹介する.
著者
田中 健路 伊藤 大樹 昌子 舜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_187-I_192, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
9
被引用文献数
2

東シナ海上で発生する気象津波の伝播・増幅過程について,Princeton Ocean Model (POM)を基本モデルとした多重ネスト型数値モデルを構築して解析を行った.気圧波が東シナ海上を東進する際に,沖縄トラフ通過時の海洋長波の位相速度の急増に伴い,正の気圧偏差前面に形成された第1波の押し波が気圧波よりも30~60分早く九州西岸に到達することが示された.気圧波が長崎湾に到達する際に,25分から30分 の周期帯の成分が増幅し,第3波で全振幅2m以上の副振動が発生することが示された.連続した小規模な気圧波群が九州西岸を通過する場合,個々の気圧波のスケールが小規模であっても,数10波連続すると九州西岸の広範囲において気象津波の到達による副振動が生じ,湾の固有振動周期の振動が長時間残存することが示された.
著者
大洞 久佳 大野 栄治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
no.30, pp.45-54, 2002

本研究は, 旅行費用法による環境価値計測の可能性を示すことを目的とし, 環境価値に含まれる各種要素 (利用価値, 随意価値, 遺贈価値, 代位価値, 存在価値) の相関関係から, 利用価値によって環境価値のどの程度が説明できるかを検証した.まず, 各価値には有意な相関関係があり, 各価値が独立していないことを明らかにした.次に, 利用価値と各価値の相関関係より, 利用価値で説明できる部分は, 随意価値の80.17%, 遺贈価値の57.79%, 代位価値の76.60%, 存在価値の36.71%, 合計価値の78.98%であることを示した.したがって, 利用価値以外の環境価値も利用価値で80%程度説明できるため, 利用価値を評価対象とする旅行費用法で環境価値の相当部分が計測できることの可能性が示された.
著者
野口 孝俊 内藤 裕之 守屋 典昭 眞鍋 匠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_990-I_995, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

東日本大震災では,地震による被害に加え,大規模な津波により貨物やがれき等が大量に港内に流入し,航路や泊地を閉塞したため,港湾機能が一時完全に麻痺する事態となった.東京湾に東日本大震災級の大津波が来襲した際には,首都圏の機能を麻痺する被害が想定されるが,緊急避難物資輸送を行うための航路の早期啓開は必要不可欠である.本稿は,啓開を行うための海底障害物の形状,寸法,および座標などを早期に把握できる4Dソナーシステムの実用性を現地確認し,航路啓開技術としての有効性について評価したことを報告する.
著者
Tracey H. A. TOM 金 洙列 武田 将英 倉原 義之介 原 知聡 西山 大和 川崎 浩司 間瀬 肇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_133-I_138, 2019
被引用文献数
2

<p> 海洋工事は気象や海象の影響を受けやすく,作業船の運航ルートの設定や荒天時の作業可否の判断,避難港の利用にあたり,できるだけリードタイムの長い海象情報は重要である.本研究では,全球波浪予報値とニューラルネットワーク(NN)を利用した1週間波浪予測法を提案し,その基礎となる精度検証を行った.日本気象庁波浪モデルやアメリカ海洋大気庁波浪モデル,ヨーロッパ中期予報センター波浪モデルによる1週間先以上の全球波浪予報値が提供されているが,それらの日本沿岸における波浪予報値としての精度は良くない.そこで,NNを利用した非線形変換による精度の良い波浪予測法を目指し,その第一歩として,全球波浪解析値および予報初期値を用いてその可能性を調べたものである.</p>
著者
金 洙列 武田 将英 間瀬 肇 倉原 義之介 原 知聡 西山 大和 川崎 浩司 水谷 英朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.18-26, 2019
被引用文献数
2

<p> 本研究は,作業船の準備や港湾・海洋工事の施工計画に役に立つ波浪予測法を確立することを目的として,全球波浪予報値と機械学習の一つであるGroup Method of Data Handling (GMDH)における部分表現式を用いた日本沿岸の1週間先までの波浪予測法を提案する.具体的には,常陸那珂港を対象として,3種類の全球波浪予報値とGMDHの部分表現式を利用した1週間先までの波浪予測が可能なモデルを構築し,予報初期値と解析値を用いて精度検証を行った.その結果,有義波高に対しては,アメリカ海洋大気庁波浪モデルとヨーロッパ中期予報センター海洋波浪モデルの2種類の全球波浪データを用いる部分表現式,周期に対しては,日本気象庁波浪モデルとヨーロッパ中期予報センター海洋波浪モデルの2種類を用いる部分表現式が予測精度が良いことがわかった.</p>
著者
石澤 友浩 國生 剛治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.736-746, 2006 (Released:2006-11-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

地震時の斜面安定は,静的震度を考慮した滑り面法や加速度時刻歴を用いたNewmark 法により評価されてきたが,これらの方法は破壊後の大きな変形量や下流への影響範囲の評価には無力である.本研究では,地震時の斜面崩壊に関わるエネルギーに着目したエネルギー的評価方法の開発を目指し,新たに工夫した振動台実験により乾燥砂模型斜面の滑り破壊に関わるエネルギーと斜面の残留変位量を計測した.模型実験では,斜面変形に関わるエネルギーが破壊後の変形量と密接に関係していることが示された.振動台の振動数と斜面勾配の斜面変形量への影響を検討し,これらの結果と剛体ブロックモデルでのエネルギーバランスに基づき,実用レベルへの課題はあるものの,エネルギー的な斜面変形量の簡便な評価法の基本的な可能性を明らかにした.
著者
SUPPASRI Anawat 山下 啓 LATCHAROTE Panon ROEBER Volker 林 晃大 大平 浩之 福井 謙太朗 久松 明史 今村 文彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_1597-I_1602, 2017
被引用文献数
2

2016年11月22日にMw 6.9の福島県沖地震による津波が発生した.震源は福島県沖であったが,最大津波高は宮城県において観測された.宮城県では地震発生から約2時間後に仙台新港において水位1.4 mの第2波目の津波の観測により,津波注意報から津波警報に切り替えられた.本稿はその特徴を理解するために,津波数値解析と現地調査を行った.数値解析では震源から仙台湾に到達する津波伝播の様子を再現し,断層の走向と仙台湾の地形の影響によって生じた津波の屈折および反射等により仙台新港における津波が高くなることを説明できた.また断層走向が90度の場合でも,仙台新港における津波波形を比較的良好に再現できた.他方,現地調査では,宮城県東松島市宮戸地区で最大T.P.+4.0 mまで遡上したことが分かった.また,ドローン画像より,仙台市蒲生地区の津波浸水域を推定できた.
著者
土屋 悟 松山 昌史 森 勇人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_355-I_360, 2019 (Released:2019-10-17)
参考文献数
9

火山活動に伴い発生する津波は,地震による断層運動を要因とする津波より発生頻度が低く,その実態はあまり明らかになっていない.また,火山活動に伴い発生した津波の国内外事例を対象に解析的検討が実施されているものの,発生過程は多様であり未解明な部分が多い.そこで本研究では火山活動に伴い発生する津波のうちカルデラ陥没に着目し,水理模型実験によりカルデラ陥没を想定した津波の発生機構を明らかにするとともに,数値計算により既往の検討手法の妥当性を検証した.その結果,水理模型実験によりカルデラ陥没に伴う津波の発生機構が確認できた.また,水理模型実験結果の再現計算により既往の検討手法による初期波形計算手法でカルデラ陥没に伴う津波の発生が表現可能である.
著者
吉枝 春樹 小林 渉 岩倉 成志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.43-62, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
25

東京圏の都市鉄道は莫大な乗降者数による停車時間の伸長が,混雑率緩和のための運行頻度増のネックとなっている.これを極めてシンプルな着想で解決する.それは,現在の信号システムに比べ,列車間隔をより短く制御できる移動閉そくシステムで運行頻度を増やして,列車毎の乗降者数を減じ,停車時間を縮減して,大幅に混雑率を低減させるというものである. このため,2つのアプローチをおこなった.まず,運転理論に基づく分析で,最小運転間隔90秒の可能性を示す.次に,停車時間を規定する乗降行動と列車挙動のエージェントシミュレーションモデルを構築する.これを用いて停車時間と運行間隔の縮減を分析し,検討路線では移動閉そくと主要駅の改良により95秒間隔で運転でき,大規模な線増投資を行わずに,混雑率150%まで緩和できることを示した.
著者
有泉 毅 五十嵐 寛昌 今立 文雄 黒沼 出 貝沼 憲男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
トンネル工学研究発表会論文・報告集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.343-348, 1998

Shield tunnelling method has been widely applied to construction of underground structures in urban area and a demand for long distance tunnelling under high underground water pressure isgrowing recently.<BR>To deal with the demand, we have been developed a high durability new tail-end-sealing system which is made by filling up ordinary wire brush with poly urethane form. However, for more long distance tunnelling, it is necessary to have aditional technology which make able to replace damaged tail end seals with new one.<BR>We designed a new sealing system which is applied technique of preceding new tail-end-sealing system. A series of fundamental efficiency tests has been carried out.<BR>As a result, it was clarified that the new sealing system has higher sealing performance and higher durability.
著者
鈴木 高二朗 河合 弘泰 仲井 圭二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_926-I_931, 2011 (Released:2011-12-08)
参考文献数
5

南関東沿岸の異常潮位に関する研究を行った.異常潮位はその継続時間によって2種類に分類できる.継続時間が短い異常潮位に関しては,銚子付近における北系の強風と高波が異常潮位の生成に重要な役割を果たし,異常潮位は南関東沿岸を伝播する.継続時間の長い異常潮位に関しては,黒潮の離岸距離が異常潮位の大きさと関係している.野島崎から黒潮までの距離が近いほど,異常潮位は発達する傾向がある.
著者
吉田 護 梶谷 義雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_251-I_258, 2019

本研究では,2016年熊本地震で被災した熊本市健軍商店街を対象として,通行量調査,タクシー利用者数データ,インタビュー調査を用いて,核店舗の被災が地域住民及び周辺店舗へ及ぼした影響を明らかにする.結果として,核店舗の営業再開は商店街の通行量や買い物タクシー利用者数の回復に大きく寄与したが,震災以前の水準までは回復しきれず,核店舗の営業休止中に住民の買い物行動が変化,営業再開後もそれが維持されている可能性が示唆された.また,コミュニティ活動を目的とした商店街訪問者は震災前後で維持されており,コミュニティ機能が震災及び核店舗の営業休止による商店街の賑わいの低下を軽減させることに寄与したことが示された.
著者
高須 豊 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.21, pp.515-521, 2004
被引用文献数
1

自動車がステータスや社会的地位のシンボルとするような現代の日本社会における社会的風潮, 自動車に対する肯定的な信念はどのように形成されたのであろうか本研究では, 認知的不協和理論や自動車利用習慣形成プロセスモデルから, 自動車免許の取得によって人々の自動車に対する信念を肯定的なものに変化するとの仮説を措定した.そして, 自動車利用に関わる種々の信念を自動車免許取得前後で測定したパネルデータ (サンプル数=157) を用いた分析を行った結果, 仮説は支持された.すなわち, 自動車免許を取得した人々の自動車に関わる信念が, 自動車免許を取得していない人々のそれよりも肯定的なものであるという可能性が統計的に示唆された.
著者
長谷川 知子 藤森 真一郎 申 龍熙 高橋 潔 増井 利彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_227-I_236, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

本論文では気候変化による作物収量変化が,食料消費,飢餓,マクロ経済に対してどの程度影響するのかを分析する.将来の社会経済条件の違い,気候条件や適応策の取り方などの諸条件をシナリオとして与え,これらを比較することで気候変化によってもたらされる農業部門への影響を総合的に解析する.分析には世界経済モデルと作物モデルを用いる.社会経済条件,農業に強く関連する事象としてシナリオで考慮するのは,人口,GDP,作物収量(気候変化の影響と適応策の効果を考慮)とした.結果は以下のことを示唆する.社会経済条件は栄養不足人口や食料消費にとって大きな因子である.気候影響は適応策を適切に実施する場合栄養不足人口に対して軽微な影響であるが,適応策を適切に実施できない場合大きな影響を持つ.また,作物収量変化によるGDP損失は比較的小さいことが明らかとなった.
著者
長江 剛志 赤松 隆 清水 廉 符 皓然
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.264-281, 2020 (Released:2020-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本研究は,経路と出発時刻を同時に選択する動的利用者均衡配分 (DUE-SDR: dynamic user equilibrium with simultaneous departure time and route choice)モデルの解法を開発する.具体的には,まず,一起点多終点もしくは多起点一終点の一般ネットワークを対象とし,待ち行列の物理的長さを捨象したpoint-queueモデルを用いて渋滞を表現する枠組を示す.この枠組の下で,DUE-SDRモデルを混合線形相補性問題として定式化する.次に,こうして定式化された問題が,適当な離散時点の枠組下で等価な二次計画問題に帰着することを明らかにし,これをFrank-Wolfe法を用いて解くアルゴリズムを開発する.最後に,提案解法をSioux-Fallsネットワークに適用し,未知変数が数万個に及ぶ問題に対しても,実用的な時間内に均衡解が求められることを示す.
著者
鈴木 博人 河島 克久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_301-I_306, 2018

<p> 本研究では,新潟県とその周辺地域における鉄道駅構内の露場で観測された年最大積雪深の資料を整理することで,1927年冬期から2018年冬期における豪雪年の年最大積雪深の分布図を作成した.これらの分布図は,この期間の年最大積雪深の観測記録が残る地点のデータを基に豪雪年として抽出された1927年,1940年,1945年,1961年,1963年,1984年の各冬期について作成した.その上で,豪雪年における年最大積雪深の分布の地域的特徴を明らかにした.さらに,雪の降り方とそれが鉄道に与えた影響や,鉄道で行われてきた雪害対策について概観する.</p>
著者
丸山 喜久 山崎 文雄 用害 比呂之 土屋 良之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.582-594, 2006 (Released:2006-07-20)
参考文献数
20

高速道路で重大事故や大規模災害等が発生した場合,その負傷者が重傷である可能性が高く,ドクターヘリを活用することにより高い救命効果が期待できる.一方,ヘリコプターの離着陸に伴うダウンウォッシュと呼ばれる吹き下ろし風が原因となり,対向車線の走行車両が二次的な事故を起こしてしまうことが懸念されている.そこで,本研究では,建設中の第二東海自動車道(第二東名)においてドクターヘリのダウンウォッシュ風速の観測を行った.さらに,実車を用いた走行実験と数値解析により,ドクターヘリのダウンウォッシュが車両の走行安定性に与える影響について評価した.