著者
山室 真澄 鑪迫 典久
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

市販の柔軟剤4製品を最適化した方法で分析した。各社ともほぼ同じ香料を組み合わせて使用していた。同じ方法で千葉県の人工河川の河川水を使って分析したところ、標準試薬にある12成分のうち10成分の人工香料が検出された。このことから、最適化した方法で環境水中の香料成分を検出できることが分かった。環境水にマイクロカプセルの形で拡散している場合、環境水を濾過して懸濁物を接触する二枚貝がマイクロカプセルを取り込んでいる可能性がある。そこで西日本の汽水湖沼および首都圏の感潮河川で漁獲されたヤマトシジミを提供いただき分析したところ、柔軟剤から検出された香り成分と似た組み合わせで人工香料が検出された。
著者
前田 康二 上浦 洋一 金崎 順一 長岡 伸一 篠塚 雄三 萓沼 洋輔
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

平成11〜13年度にかけて実施された本特定領域研究(B)は、次世代素子実現のための材料制御に新たな道を開くため、半導体における電子励起原子移動現象について、得られた知見をもとにして制御性と効率の良い新しい原子・分子操作技術を開発することを目標に、8つの研究班が対象とする物質と問題意識を共有しながら、現象の全容と個々のメカニズムを明らかにすることを目的とした共同研究である。具体的には、Si、C、GaAsなどの物質を対象とし、電子励起法としてレーザー光、放射光、電子線、イオン照射、電流注入、荷電制御といった様々な方法を用い、いかにすれば高い制御性(選択性)をもって、効率の良いナノプロセスが可能となるかを明らかにしようとした。本年度は研究取りまとめとして、班長会議を2回、研究会を1回開催し、NewsLetterを1回発行した。領域全体としては、高効率化と選択性の向上に関して次のような一般的指針を示した。すなわち、効率の高い物質系は、電子励起状態が軌道縮退していることによって潜在的不安定性を持つ半導体中の多くの欠陥中心、短時間で変位を起こしえる水素など軽元素、構造的に柔軟性を有する欠陥・表面、また物質的に多様な軌道混成をとりえる炭素物質、であること。また効率を上げるためには、高密度励起による長寿命2正孔状態の生成や不安定化駆動力の増大、協調励起による反応促進、パラレルプロセスの採用、等を図ることが有効であること。さらに、本来有するサイト選択性を保持するためには、励起電子(正孔)のバンド拡散の抑制などが必要であること、などを明らかにした。
著者
池亀 彩 石坂 晋哉 田辺 明生 竹村 嘉晃
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、研究代表者・研究分担者によって、本研究のテーマであるボトムアップ型のさまざなな開発のあり方を記述・分析するためにそれぞれのフィールドワークが行われた他、インド人研究者を招いて研究会を行った。1:フィールドワーク:池亀は南インド・カルナータカ州における宗教リーダーの開発プロジェクトを調査した他、ダリトのリーダーによる活動も当該年度は調査を行った。また東南アジアへプランテーション移民として渡ったインド人コミュニティーについての歴史的調査も並行して行った。田辺はインド西部プーネ市近郊で部族出身の若者によるNGOの調査を行った。竹村はインド・ケーララ州、タミル・ナードゥ州およびシンガポールでインド舞踏の教授法とメディアとの関わりについて調査を行った。石坂はインド・ウッタランチャル州で自然農法運動の展開に関する調査を行った。2:研究会では、国立民族学博物館に客員教授として来日していたジャナキ・ナーヤル教授を招聘し、ジェンダーと近代開発について歴史的に考える研究会(開催日2017年10月22日、東京外国語大学本郷サテライト、東京外大南アジア研究拠点FINDASとの共催)を持った。当該年度は、代表者・分担者のそれぞれが多くの媒体で研究成果を積極的に発表した年でもあった。今後はそれぞれの研究を全体のテーマである「ポスト開発」という概念の発展へとどう結びつけるかが鍵となる。当該年度ではそこまでの概念のすり合わせは出来なかった。
著者
外村 大 宮本 正明 猪股 祐介 坂田 美奈子 伊地知 紀子 菅野 敦志 岡田 泰平 松田 ヒロ子 加藤 恵美 中山 大将
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は、それぞれ分担研究者が担当する、過去の紛争、戦争、植民地支配等に起因する対立、葛藤の「和解」に関わる市民の活動についての、資料収集と整理、関係者からの聞取りを進めた。それぞれの研究内容については、適宜、報告を行い、その内容を相互に把握し、比較検討して各自の研究のうえでも参照している。整理に着手した資料のうちには、1970年代以降現在まで、戦後補償運動の各種市民運動、訴訟等に関わってきた市民活動家兼研究者が所蔵する大量の資料があり、これについては、2017年度中に、予備調査を行うとともにデータベース作成の準備を進めた。また、いくつかの重要な市民活動の担い手については、研究分担者全員ないし一般市民にも公開でヒアリングを行った(市民の活動についての関係者からの聞取りとしては、戦時動員の対象となり、死亡した朝鮮人の遺骨返還の活動を行う僧侶や「満蒙開拓」の史実を語り継ぐ活動に取り組むNPO法人理事などからの聞取りなど)。このほか、2018年4月に、脱植民地化と冷戦激化を背景に起きた大規模な住民に対する過剰弾圧、虐殺事件である、済州4・3事件が70周年を迎えるということもあり、それをどのように遺族らが記念し、「和解」を導き出そうとしているか等についても実情把握を進めた。その一環として、3月28~30日には分担研究者ら7名が済州島を訪れて、地元研究者との交流、遺族からの証言の聴取などを進めた。さらに「和解学」の創成をかかげて行なわれている、シンポジウム等にも、分担研究者は積極的に参加し、企画されている「和解学」の研究叢書の執筆の準備を進めている。
著者
渡辺 浩 江頭 憲治郎 碓井 光明 塩川 伸明 西川 洋一 城山 英明 大村 敦志 中谷 和弘 長谷部 恭男
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2001

今年度は、国家と社会、国際化と法、科学技術の発展と法の観点から第2期のまとめを行った。国家と社会に関しては、1.規範定立・執行における社会集団の役割(経済団体による法形成と執行、ドイツ医療保険法におけるFestbetragsfestsetzung制度、トランスナショナル社会運動)、2.市場と国家(政府業務の民間開放と法制度、株式会社・証券市場・市民社会、会社支配市場規制、ボーダレス化時代における租税制度)、3.ボーダレス時代における社会保障・安全確保・司法制度(社会保障法と憲法、警察行政における計画、関係性における暴力とその対応、司法の独立性)、4.国家財産法における公法と私法(政府業務の民間開放、韓国の国家財産法と法政策的課題)をまとめた。国際化と法に関しては、1.境界とは何か(生権力と国家、国境はなぜそしていかに引かれるべきか)、2.境界の変動および意味変容(国際法における境界の位相、国家の統合分裂とシティズンシップ)、3.変容する国際社会と法・政治の対応(パレスチナ問題と国際法、開発・エイズ・人権、経済連携協定、法整備支援)、4.人の国際移動と法・政治の対応(国際移住の法と法政策、民法における外国人問題、国際化と地方自治)をまとめた。科学技術の発展と法に関しては、1.科学技術と生命観(歴史的視座、動物観と法制度設計)、2.科学技術と制度(学問と法システム、リスク評価と法システム、予防原則)、3.科学技術と刑事法(現代型刑罰法規と罪刑法定主義、科学技術の進歩と刑法-過失責任)、4.科学技術と民事法(証券取引の電子化、無体化・電子化と占有概念、5.科学技術と国際法(非国家主体に対する軍備管理、国際環境法における科学技術と対話プロセス)を取りまとめた。なお、とりまとめの過程で2006年1月に国際シンポジウムを開催した。また、第1期の成果5巻も無事出版した。
著者
梅田 道生
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本年度は昨年度の後半に引き続いて東京大学において研究を行い, 選挙制度改革が有権者の政権評価や投票行動に与えた影響を検証するために, 近年発達したベイジアン動的線型モデルについての研究を行った。またこの手法の基礎となるベイズ統計学とコンピュータを利用したその応用法についても学んだ。さらにこのモデルを昨年度までに作成した1960年代より今日に至るまでの日本の有権者世論調査に関するデータセットに対して用い, 分析を進めた。分析の結果は近日中に論文としてまとめ, 学会において報告する予定である。また本研究課題の一部として, 昨年よりミシガン大学のマッケルウェイン教授と朝日新聞社が衆議院総選挙前にそれぞれの選挙区において行っている有権者調査の1979年以降のデータを用いた共同研究を行ったが, この研究の成果の一部である選挙区レベルでの政党支持及び無党派層の割合の推移と政党得票の関係について, 5月に京都大学で行われた2013年度日本選挙学会総会・研究会において報告することができた。そのほかの研究実績としては, 選挙区ごとの有権者と議員/候補者の政策選好の類似性, および現職優位性について論じた単独研究の成果をそれぞれ学会で報告したこと, 谷口将紀研究室のメンバーでの共同研究の成果を岩波書店『世界』にて発表したこと, さらにダートマス大学の堀内勇作教授との共同研究の成果を, 日本政治学会や米国政治学会などの学会で報告し, さらにその成果の一部に基づく論文を査読付研究誌に投稿したこと, 昨年度執筆した書評が出版されたことなどが挙げられる。
著者
三浦 瑠麗
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は、先進工業国のデモクラシーにおいて攻撃的戦争を促進する条件を、開戦判断時点と戦争のエスカレーション決定時点に着目して導き出した。安定したデモクラシーにおいては、軍が攻撃的戦争を主導した例は見当たらず、むしろ文民政治指導者が下す開戦決定に対して反対した事例が少なくないことを多様な事例検討を通じて例証したこれまでの研究成果のうえに、より詳細な開戦判断と国内的背景の分析を行った。
著者
児玉 英靖 張 或〓 相澤 真一 居郷 至伸 大滝 世津子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.175-195, 2007-03-10

This paper examines the Japanese concept of gemba from the angle of sociology of knowledge. The concept of gemba has been widely used in Japanese schools, factories and offices, which can be literally translated to "the real scene" in English. However, the term gemba often suggests a sense of distinction between "we as powerless workers who know better about the situation" and "they as management or outsiders who do not know what really happens in the scene." Without referring to the social actors who use this concept under specified situation, it is very difficult to pinpoint down exactly what kinds of matter belongs to in a particular gemba. Delineating how this concept was actually used in different social settings, like high school, kindergarten and convenience stores, it suggests that, on the one hand, the concept's intension and the contents it connotes are often ambiguous, on the other hand, its extension often denotes a well-defined and clear boundary of what should be included within a particular gemba. The article thus discusses how the use of this concept may actually relate to group dynamics and thus it may reveal the power structure in contemporary Japanese society.
著者
大沢 真理 シャイア カレン マルガリータ エステベス=アベ 阿部 彩 金 英
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

日本の生活保障システムは、先進諸国の中で最も強固な「男性稼ぎ主」型であり、政府の所得再分配が貧困を削減する効果が、就業者の多い世帯や子どもにとってきわめて弱く、効果がマイナスである場合も少なくない。労働力人口の減少が憂慮される社会としてきわめて非効率で不合理なシステムであること、しかし所得再分配の効率性を高めれば、税・社会保障負担を増すことなく国民の生活を改善できることも、明らかになった。2014年2月には福井県において社会的排除に関するアンケート調査を実施した。働き者の福井の女性が、より働きがいを感じ、地域活動にも参加する条件について示唆を得られた。
著者
金森 修
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

一九六〇年代を中心に我が国のSFの発展を跡づける作業をしている内に、SF史だけに限定するのではない、より広範な視点が必要だということが分かってきた。SFは、同時代の他分野の文学・芸術活動と陰に陽に繋がっているからである。そして、その過程で、いわゆるSF作家と呼ばれる人々よりも広いカテゴリーにある作家たちの調査を始めた。そしてその中で、単なるSF作家とはいえず、戦後文学の重要な一画をなし、まだ充分な研究が進んでいない安部公房の存在の大きさを改めて認識するようになった。そのため、安部公房の全作品を集め、現在入手可能な安部公房論、また海外の安部公房並びにその周辺に関する文献群をすべて集めた。こうして、資料体的には完璧な準備が進んだので、現在改めてゆっくりと評論と作品自体を通読しているところである。もうかなりの量は読破したので、年度末、つまりこの研究の完成する頃には或る程度の目安がついているはずだ。というわけで現在は、安部公房を中心とした文学評論の執筆を目指して努力しているところである。
著者
近藤 尚己 石川 善樹 長友 亘 齋藤 順子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

疾病予防行動の社会経済格差是正に向け、人の持つ認知バイアス効果を応用した行動科学アプローチの枠組みを整理したのち、実証研究を行った。健康チェックサービス事業者のデータを用いて、サービス利用の勧誘の際、従来の健康リスクの理解を促す方法と、サービスへの興味関心を引きやすい感性に訴える方法を用いた場合の利用者の属性を比較したところ、後者の方が社会的に不利な状況(無職者など)の割合が高かった。足立区と区内26のレストランと合同で行った、野菜増量メニュー注文者に対する50円割引キャンペーンの効果検証の結果、普段昼食に支払う価格が最も少ない人々でキャンペーンの効果が最も高まり、店舗の売り上げも増加した。
著者
高野 陽太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、外国語副作用foreign language side effectが外国語を使用する日常的な場面でも生じるのかどうかを実験的に調べた。外国語副作用とは、母語に比べて習熟度の低い外国語を使用している最中には、一時的に思考力(非言語的情報処理をおこなう能力)が低下するという現象である。この現象は、Takano & Noda (1993,1995)によって初めて実証的に立証され、その生起機序が理論的に説明された。本研究は、外国語を使用する日常的な場面でもこの外国語副作用が生じるかどうかを調べる研究の一環としておこなったものである。外国語を使用する日常的な場面では、思考の材料は言語的に与えられることが多く、その場合には、思考は非言語的情報処理だけでなく、言語処理も含まれる可能性がある。言い換えると、思考に内言が伴う可能性がある。この内言は、処理の容易な母語である可能性が高い。かりに、思考に母語の内言が伴うとすると、外国語副作用は生じなくなる可能性がある。同時に2つ以上の情報処理をおこなう場合、一般に、処理が互いに類似しているほど相互の干渉は大きくなることが知られている。思考に伴う内言が母語の場合、外言として母語を使用しているときの方が外国語を使用しているときよりも干渉が大きくなり、思考成績は低下することになる。これが外国語副作用を打ち消し、外国語副作用が生じなくなるという可能性が考えられるのである。この可能性を検討するため、実験1では、思考課題に定言三段論法の妥当性判断を使用し、実験2では、知能検査の中で言語性知能を測定するために用いられる問題を使用した。被験者(日本人大学生および大学院生)は、これらの思考課題を言語課題と同時に遂行した。いずれの実験においても、思考課題の成績は、言語課題を母語でおこなったときより、外国語(英語)でおこなったときの方が低下していた。すなわち、外国語副作用が生じていた。従って、これらの実験結果から、思考に内言が伴う場合の多い日常的な外国語使用場面においても、外国語副作用は生じ得ることが明らかになった。
著者
西原 克成 森沢 正昭 松田 良一
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

Rouxの言うように、重力など力学が進化の原因とすれば、進化のエポックを代表する動物に、進化で生じたphysicochemical stimuliを異種性に異所性に人為的に与えれば、進化で生じた物質が異種性に、異所性に生ずるはずである。局所の細胞の遺伝子の発現で、間葉系の高次機能細胞が誘導され、この細胞レベルの分化誘導の積み重ねで形態が決まるからである。この手法を研究代表者の西原が開発し、実験進化学手法(Experimental Evolutionary Research Method)と呼ぶ。これにより哺乳類において希望する間葉系高次機能細胞をハイブリッドタイプで、当該動物の細胞遺伝子を使って人為的に誘導することができる。脊椎動物の進化は、形態と機能と分子レベルでそれぞれ異なる。形態の進化は、内臓頭蓋の形態研究を行う以外には究明することが困難である。進化を遡ると、頸部・胸部・腹部・手と足との尾のすべては原索動物に至って、内臓頭蓋の原器、鰓孔のある口の嚢に収斂して、顔の原器のみとなってしまうからである。この動物がムカシホヤであり、脊椎動物の源となる本体であり、同時に顔の源とも言える生き物である。生命の営み(機能)の中心となる細胞レベルの消化・吸収・呼吸・代謝の要は造血巣であるが、この機能の進化は重力対応により腸管から脊髄腔へ移動する。このように形態と機能レベルの進化は、まぎれもなく生命体の生体力学的対応で生じており、Neo-darwinismのいうような進化の様式はどこにも観察されない。実験進化学手法を開発し次の3点につき研究した。(1)顔の源の生物マボヤの幼形進化の人為的誘発(2)人工骨脊髄バイオチャンバーによる軟骨魚類、円口類の筋肉内における造血巣の誘導(3)原始脊椎動物の組織免疫と胎児蛋白の関係の究明実験結果から、世界に先駆けてNeo-darwinismが完全否定され、脊椎動物の進化がLamarckの用不要の法則によることが検証された。本研究で、150年間脊椎動物の生物学を支配したNeo-darwinismの進化論が系統発生学の観察事実によって完全に否定され、力学対応進化学が実験的に検証された。脊椎動物の進化様式はハードのホメオボックスの情報系とソフトの環境因子と呼ばれる情報系の二重支配であったことが検証された。

45 0 0 0 OA 大日本史料

著者
東京大学史料編纂所 編
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
vol.第12編之19, 1917
著者
柳井 郁子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.107-115, 2002-02-25

This paper investigates a movement to improve people's daily life in a company and how the company tried to control labor's family. In Japan after the World War II family lost an original function of character building, and the family which was interested in scholastic ability and going on to the next stage of education increased. To make clear the change of the family, this paper analyzes the family of labor in the company in 1950s'-1960s'when the number of them increased. In the movement the company guided labor's family in family planning and life planning, and managed labor's family and wife. The model of the family was based on sexual division of labor, and the labor's wife was required to contribute to the company and society by reproduction of the work force.
著者
森 伸子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

腎臓病を自然発症した猫に対するAIMの臨床研究を実施した。初年度は、臨床試験の立ち上げとプレ臨床試験、2年目は、AIM濃度と最適な投与法の検証のための臨床試験、3年目は、腎臓病猫2群に対するAIMの用量の違いによる効果を検証を行った。これらの試験の結果から、AIMの効果と反応マーカーとして有望な項目が、より明確化され、数値の改善だけでなく、QOLの改善も見られ、食欲向上、活動性の復活などの報告も受けた。一方、AIMの投与によっても、変化が見られない猫や途中離脱を希望する場合もあり、さらなる投与法や、AIM形状の改善なども併せて検討していく必要性を感じた。
著者
鵜飼 熊太郎 鈴木 洋一郎 仁木 和昭 高野 元信
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1993

素粒子・原子核実験では、大量のデータ(〜1TB)を処理する必要がある。通常汎用大型計算機のテープ装置は、オープン・リール型又はカセット型である。これらのテープ媒体で1TBのデータは、5千本以上のテープとなり、その保管場所及びテープの取り扱いが問題となる。またワークステーションの標準的テープ媒体である、Exabyteテープは1本で2.5〜5GBの容量があるが、データ転送速度は500KB/秒と遅く大量データの扱いには問題が多い。このためExbyteテープと同じヘリカル・スキャン方式の、VHSテープを使用した汎用計算機用のテープシステムを構築した。VHSテープは、1本で14.5GBの容量を持ち、公称データ転送速度は2MB/秒で、外部機器との接続はSCSI(Small Computer System Interface)規格である。東京大学原子核研究所の汎用大型計算機(FACOM M-780/10s)にVHSテープ装置を接続してマス・ストレージ・システムとすることを行った。汎用計算機のBMC(Block Multiplexer Channel)とVHSテープ装置のSCSIを接続するために、汎用計算機用インタフェースをティアック社で制作した。次いで各種のテストを実施した。FORTRANプログラムによる、VHSテープのwrite処理は1.7MB/秒、read処理は1.1MB/秒で、オープン・リール型テープよりも高性能である。VHSテープ用に変更したARCSプログラム(ディスク装置上のデータを退避・復元・複写・移行を高速に行うプログラム)による原子核研究所計算機システムのバックアップ(容量8.3GB)作業は、完全に無人状態で1台のVHS装置で約80分で終了した。通常この作業は4台のカセット型テープ装置と30本のテープを使用して、必要なテープを装着・脱着することにより30分程度の時間がかかる。このようにVHSテープ装置が、汎用機用の大容量テープ、マス・ストレージ・システムとして非常に有効であること実証した。
著者
藤原 正寛 瀧澤 弘和 池田 信夫 池尾 和人 柳川 範之 堀 宣昭 川越 敏司 石原 秀彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究ではインターネットに代表される情報化技術の進展が経済的取引のガバナンスにどのような影響を与えるのかを、近年発展してきた経済学的手法(情報の経済学、組織の経済学、メカニズム・デザイン論、ゲーム理論など)を用いて分析することを目的としている。全研究期間を通じ研究会を開催することで、情報技術の進展と拡大がどのような経路をたどって、どのような形で経済活動や経済組織に影響を与えるかについて以下のいくつかの論点に分類して分析することができた。1.情報化革命とコーポレートガバナンス--情報化技術が進展することによって、情報量の爆発、経済のスピード化、グローバル化などの現象が発生し、それによって従来とはことなるガバナンス構造を持つ経済組織が活動できるようになった。2.アーキテクチャーとモジュール化--公開されたアーキテクチャーに基づいてインターフェイスを標準化することで、各分業をモジュール化することが可能になる。それによって、分業間の取引に市場原理が導入され、より分権的な分業が可能になる。3.モジュール化とオープン化--モジュール化はバンドリングやカプセル化の総称、オープン化はインターフェイスの共通化の動きを表す。カプセル化はアーキテクチャーを所与としたときに内生的に説明できることが示された。4.ディジタル化--財・サービスのディジタル化が進むことで、複製を作ることが容易になり、財・サービスを提供する初期費用が回収できないために、事前のインセンティブと事後の効率化が矛盾してしまっている。5.コーディネーションの電子化--情報技術の進歩はプログラムによるコーディネーションを可能にさせた。