著者
國分 功一郎 熊谷 晋一郎 千葉 雅也 松本 卓也
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

自閉症の医学的研究は、近年、次々と新しい事実・データを明らかにしており、それらの理論化が必要とされている。また近年の研究により、二十世紀フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの思想の自閉症的側面が明らかにされつつある。本研究は両者を融合させ、人間についての新しい理論を作り出すことを目指している。哲学の研究者二人と、病院勤務の経験のある二人の医学研究者が共同で研究を行う点にこの研究課題の特徴がある。二〇世紀、哲学は精神分析学と強く結びついて発展した。それに対し、医学あるいは一般医療と哲学との交流は稀であったと思われる。本研究課題は、文医融合という研究の可能性を探るものでもある。
著者
吉信 淳 松永 隆佑
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

触媒反応や化学的気相成長など表面反応プロセスを自在に制御し、生成物を望み通りに合成することは、表面科学の究極の目標の一つである。通常の表面プロセスは熱活性化により促進されるが、反応座標に沿った活性化エネルギーを超えることができる極めて少数の分子のみが生成物に至るレアイベントでもある。そのため高温・高圧が必要となっている。本研究では、精密に位相制御が可能な遠赤外から中赤外領域の高強度波長可変テラヘルツパルスにより吸着分子の束縛運動や変形を駆動し、レアイベントである重要な触媒反応や表面プロセスを低温で誘導することを実証し、新たな物質合成の道を切り拓くとこを目指す。
著者
上野 千鶴子 盛山 和夫 松本 三和夫 吉野 耕作 武川 正吾 佐藤 健二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

新しい「公共性」の概念をめぐって、公共社会学の理論的な構想を提示し、「自由」や「感情公共性」その応用や展開の可能性を示した。福祉とジェンダーについては定量および定性のふたつの調査を実施し、報告書を刊行した。その調査結果にもとづいて、福祉多元社会における公共性の価値意識を比較検討し、さらた具体的な実践の可能性を求めて、地域福祉、住民参加、協セクターの役割、福祉経営、ケアワークとジェンダー等について、経験データにもとづく分析をおこなった。ジェンダーと階層をめぐって、少子高齢社会と格差問題について、高齢者の格差、若年世代の格差、少子化対策とジェンダー公正の関係等についても、経験データにもとづいて、比較と検証をおこなった。福祉社会については、「自立」と「支援」のその理念をめぐって、その原理的な検討と歴史的な起源についても検討を加えた。文化と多元性の主題では、多文化主義と英語使用の問題、文化資源学における公共性、公共的な文化政策の実態と問題点について、研究を行ったほか、近代における宗教と政治の位置についてもアプローチした。また営利企業における公共性とは何かというテーマにも切り込んだ。環境については地球環境問題における「環境にやさしい」技術の関連を社会学的に分析し、新しい知見をもたらした。詳細は、科研費報告書『ジェンダー・福祉、環境、および多元主義に関する公共性の社会学的総合研究』を参照されたい。チームでとりくんだ4年間の成果にもとづき、現在東京大学出版会から『公共社会学の視座(仮題)』 (全3巻)をシリーズで年内に刊行するよう準備中である。
著者
杉橋 陽一 石光 泰夫 川名子 義勝 長木 誠司 田中 純 一條 麻美子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究においては次のような成果を得た。1.中世の伝説・説話が伝承されてゆく過程における語り手と聞き手の相互作用、および文字による記録がそこに与えた変化の考察、および、中世からルネサンスにいたるポリフォニックな教会音楽における聴取経験と歌唱法の分析をおこなった。そのうえで、宗教による社会統合との協同ないし葛藤のプロセスを明らかにした。2.ルネサンスからバロック時代にかけての、ページェントや祝祭における観衆の役割と「見せ物」の社会的効果の考察、および、オーケストラによるコンサートという聴取形態の成立過程と、そこにおける作曲者、演奏者、聴衆の関係性の変化をめぐる歴史的分析をおこなった。3.ヨーロッパ18世紀の市民文化成立期において、異なる書き手による手紙や日記、文学作品が相互に引用し関係しあってかたちづくっていた、異種混淆した言説空間の双方向的様態を究明した。また、19世紀後半以降のインテリア(私的空間)のデザインをめぐる住文化における建築家と居住者との対立・協調プロセスを、とくにウィーンの動向を中心に分析した。このような西洋の芸術の動向と比較しながら、日本における集団的な競技としての文芸の伝統(連歌、俳句)や茶の湯を、インタラクティヴィティの観点から考察した。4.マルセル・デュシャンやジョン・ケージをはじめとする芸術家たちによる営為が、いかに「芸術」概念の再検討をうながし、鑑賞者の位置にどのような変容をもたらしたかを、その後の現在にいたるインタラクティヴ・アートの動向との関係を視野に収めながら分析した。
著者
大澤 昇平
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

■ウェブマイニングのための検索APIを利用したサンプリング手法に関する研究サンプリングはウェブマイニングにおいて重要な問題であり,アプリケーション・プログラミング・インターフェース(以下,API)を通して効率的にサンプリングする問題を扱う研究が盛んにおこなわれている.本活動ではその中でも特に検索 API に着目したサンプリング問題に焦点を当て,Wikipediaのようなオントロジを活用した辞書ベースのサンプリング手法を提案する.実験では,Facebook からデータを独自にクローリングしたデータに基づき仮想的な APIを構築し,ε-グリーディやε-ファーストなどの強化学習に基づく方策を比較する.■OSS コミュニティおよびクラウドソーシングの統合によるソフトウェア開発者の能力予測に関する研究クラウドソーシングサービスを対象に開発者の能力の推定が行われている.ソフトウェア開発プロジェクトの成功は,開発者の能力に依存するが,こうした能力を推定するのは自明な問題でない.一般に,クラウドソーシングサービスでは,能力はユーザによって評価付けされる.本活動では,オープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティとクラウドソーシングサービスを統合することにより,ソフトウェア開発者の能力を推定することを目的とする.まず,能力の推定問題が OSS コミュニティからの素性生成の問題に帰着されることを示し,開発物に基づき開発者の能力を抽象化した値であるs-indexを提案する.具体的には,oDesk (クラウドソーシングサービス)および GitHub (OSS コミュニティ)を統合し,oDesk から得られるデータを教師データする評価値予測モデルを構築する.実験結果では,s-index を用いたモデルが nDCG の観点から用いないモデルよりも上回っていることを示す.
著者
西山 昭仁
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.33-47, 2010-12-24

A large earthquake, called the"Bunsei Kyoto earthquake,"occurred at about 3 : 00 P.M.-5 : 00 P.M. 2nd day of 7th month, Bunsei 13th (Gregorian calendar: 19 August, 1830) in Kyoto, Kinki district, Japan, causing enormous damage, especially in the central part of Kyoto city. Large structures of representative architecture in Kyoto city at the time such as the Nijo Castle, Imperial Palace, and major temples, as well as the walls (e.g., stone walls or tamped earthen walls) surrounding them were heavily damaged. Further, there were collapses of a number of Machiya, traditional Japanese residential architectural style incorporating workplaces of merchants and craftsmen, which caused many casualties. About 60% of the area of Kyoto city was occupied by such buildings housing merchants and craftsmen in those days. One major contributing factor of the collapses of Machiya is thought to be the rapid diffusion of pantile roofs in the 19th century.
著者
金山 幸司
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

脱毛症に対する先進医療として、細胞を用いた毛髪再生医療が注目されている。毛包由来の毛乳頭細胞を用いた基礎研究が多く行われる中、未だにヒト細胞から構成される毛包の新生は実現していない。近年、毛包を構成する真皮毛根鞘に比較的未分化な細胞が多く存在することが明らかになってきた。この真皮毛根鞘に存在する間葉系細胞である真皮毛根鞘細胞に着目し、臨床応用可能な毛髪再生治療を開発することが本研究の目的である。本年度は、まず臨床検体の採取と毛包由来の毛乳頭細胞および真皮毛根鞘細胞の初代培養を行った。患者からの提供検体に付属する毛包を採取し、毛乳頭と毛根鞘をそれぞれ単離した。大気酸素下または低酸素下で細胞培養を行ったところ、いずれの場合も細胞の増幅が可能であったが、特に真皮毛根鞘細胞は低酸素環境下で増殖活性が増大した。細胞移植による治療には細胞の増幅が不可欠であるが、毛乳頭細胞よりも増殖活性の低い真皮毛根鞘細胞の増幅を得るためには低酸素環境下での培養が有効であることを確認できた。次に増幅後の培養細胞を用いて遺伝子発現解析を行った。細胞内に発現している多分化能関連遺伝子のmRNA量をRT-PCRで解析したところ、真皮毛根鞘細胞ではSOX2の発現が毛乳頭細胞と比較して40倍以上高値を示した。真皮毛根鞘細胞は毛包再構築の主体となる毛乳頭細胞とは異なる特徴をもつこと、および毛包新生を実現するための移植細胞ツールとして高い潜在性を有することが確認できた。
著者
月村 辰雄 中川 久定 葛西 康徳 川中子 義勝 中川 純男 佐々木 あや乃 多賀 茂 羽田 正 月村 辰雄 松浦 純
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

本研究は,古典の受容に関してもっとも重要なファクターであると考えられる古典教育について,現代,世界の各地域でどのように意義づけられ,どのように教えられ,かつそれぞれの文明圏にどのような効果を及ぼしているのかを,内外の研究者を招いて共同討義によって明らかにし,その上でさらに考察を深めようとしたものである。本年度は4名の研究者を講演に招いた。その結果,近代の古典学の源流の一つともいえるベルリン大学における古典教育の具体像,近現代を通じて200年以上も古典研究のエリート層育成に力があったフランスのコンクール・ジェネラルというシステム,が明らかとなった。また,ホメロス以来の光輝ある古典の伝統と現代ギリシア語による一般大衆教育との鋭い対立という問題を抱えるギリシアの実情報告は,古典教育の持つマイナス面に対する意識を新たにさせた。(これは今後の検討課題である。)以上のより詳細な内容は,特定領域研究「古典学の再構築」研究成果報告書第7分冊,B03調整班報告書において発表される。
著者
下田 正弘 蓑輪 顕量 永崎 研宣 大向 一輝 宮崎 泉 納富 信留 Muller Albert 苫米地 等流 藏本 龍介 船山 徹 高橋 晃一 師 茂樹 齋藤 希史 高岸 輝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は「人文学がデジタル時代にいかに遂行されうるか」という次世代の人文学にとって重要なテーマについて、人文学諸分野が参照可能なデジタル知識基盤を仏教学から提供し、人文学全体が共同で未来を開く方法論を検討する〈統合デジタル研究環境〉を形成する。そのため、人文学におけるテキスト、画像、事物、行為等の研究対象の相違と、思想、言語、歴史、行動科学等の研究方法の相違の両者を視野に入れ、両者から生まれる知識の多様性を、デジタル技術を通し効果的に保存し利用する多層的概念モデルを構築し、新大蔵経データベース(新SAT-DB)に実装して提供する。
著者
沙川 貴大 伊藤 創祐
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究では、情報と熱力学を融合させた理論、すなわち情報熱力学に基づいて、生体情報処理の理論的研究を行う。とくに、生体情報処理は本当に熱力学効率が高いのか、といった基本的な問いに答えることを目指す。また、情報理論の分野で注目を集めている「リソース理論」の考え方、さらにはトポロジーの概念を応用することで、狭義の情報熱力学にとどまらない多角的な理論研究を行う。さらに、情報幾何の手法と熱力学を組み合わせることにより、熱力学的な不確定性関係の新しい理論を発展させ、生体情報処理への応用を行う。
著者
小島 荘明 (1992) 小島 莊明 NOYA Oscar NOYA Belkisy 古田 隆久 松本 直樹 北 潔
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

芽殖孤虫は、無制限ともみえる自己増殖を行ない、人体に寄生した場合最終的には全身諸臓器を侵して宿主を死に至らしめる寄生虫であるが、その生活史や感染経路については未だ明らかでない。そこで、この寄生虫の自然界における宿主を見出すべく、ヴェネズエラにおいて、トカゲ・カエル・フクロネズミなど水辺において捕獲した小動物の寄生虫について検索した。その結果、芽殖孤虫は発見できなかったが、これらの動物から、新種と思われる糸状虫1種、Taenia属条虫3種を見出したほか、回虫類、鞭虫、蟯虫、鉤頭虫などを得た。さらに、感染宿主の免疫応答や免疫変調、感染に対する感受性や病理学的変化の差異について検討するため、各種の純系マウスを用いて感染実験を行なった。虫体を1虫ないし1/3から1/7まで切断し、マウス腹腔内に注入し、経時的に血球算定と抗体産生について検討するとともに、虫体の増殖と病理組織学的反応について検討した。その結果、IgE抗体の産出については、C57BL/6において最も早く感染後18日目から検出され、かつ7週目に最も高いPCA抗体価(1:160)が得られた。虫体の増殖や感染動物の病理学的反応は必ずしも一定せず、また注入した虫体の大きさにも関係なく、早い場合には感染後3週目に腹水の貯留が顕著となり、死亡する個体も出現したが、奇妙なことには、それらから得られた虫体を同系統のマウスに継代しても、同様に激し状を起こすことなく6カ月以上経過する例も存在した。腹水貯留例について剖検すると、腹水は血性、膿性はリンパ性で激しい腹膜炎が起きており、肝表面に白色苔状の付着物が認められ、辺縁部は鈍となり、肝脾の腫脹が認められた。虫体は注入時より成長し、複雑に分岐したり、分裂増殖して個体数が増加していた。断端組織構造は、D.erinaceiのプレロセルコイドに類似していた。
著者
今井 浩三 中村 卓郎 井上 純一郎 高田 昌彦 山田 泰広 高橋 智 伊川 正人 﨑村 建司 荒木 喜美 八尾 良司 真下 知士 小林 和人 豊國 伸哉 鰐渕 英機 今井田 克己 二口 充 上野 正樹 宮崎 龍彦 神田 浩明 尾藤 晴彦 宮川 剛 高雄 啓三 池田 和隆 虫明 元 清宮 啓之 長田 裕之 旦 慎吾 井本 正哉 川田 学 田原 栄俊 吉田 稔 松浦 正明 牛嶋 大 吉田 進昭
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)『学術研究支援基盤形成』
巻号頁・発行日
2016

①総括支援活動 : 前年度立ち上げたホームページ(HP)に改良を加えて公募の円滑化を進めた。モデル動物作製解析の講習や若手研究者の交流促進を推進する技術講習会を開催した。成果ワークショップを開催し本活動の支援成果をアピールした。②モデル動物作製支援活動 : 相同組換えやゲノム編集など支援課題に応じた最適な胚操作技術を用いて、様々な遺伝子改変マウスおよびラットを的確かつ迅速に作製し、学術性の高い個体レベルの研究推進に資する研究リソースとして提供した。件数は昨年度より大幅に増加した。③病理形態解析支援活動 : 昨年より多い35件の病理形態解析支援を7名の班員で実施した。研究の方向性を決定づける多くの成果が得られた。論文の図の作成にもかかわり、論文が受理されるまで支援を行った。その結果、より高いレベルの科学誌にも受理された。④生理機能解析支援活動 : 疾患モデルマウスの行動解析支援を実施するとともに、諸動物モデルでの規制薬物感受性解析、光遺伝学的in vivo細胞操作、意志決定に関与する脳深部機能解析、等の支援を展開した。⑤分子プロファイリング支援活動 : 依頼化合物の分子プロファイリング316件、阻害剤キット配付86枚、RNA干渉キット配付・siRNAデザイン合成83件、バーコードshRNAライブラリーによる化合物の標的経路探索15件、を実施し、より多くの研究者の利便性を図った。
著者
吉川 泰弘 久和 茂 中山 裕之 局 博一 西原 眞杉 寺尾 恵治 土井 邦雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2002

研究目的:内分泌撹乱化学物質の神経発達に対する影響の研究は比較的新しく、まだ遺伝子レベルや個体レベルの影響評価がランダムに報告されているに過ぎない。特にげっ歯類から霊長類にわたる一貫性のあるリスク評価研究はほとんど行われていない。本研究ではラット、サル類、チンパンジーの個体を用いて環境化学物質代謝のヒトへの外挿を行う。またラット胎児、げっ歯類・霊長類の神経培養、マウス・サル類のES細胞などを用いて、さまざまなレベルで環境化学物質の影響を解析する。高等動物の比較生物学を得意とする獣医学領域の研究者が研究成果を帰納的に統合しヒトへの外挿を行い、内分泌撹乱化学物質の神経発達に対するリスク評価をすることを目的とした。研究の経過と成果ラットを用いたビスフェノールA(BPA),ノニルフェノールなどのエストロゲン様作用物質、及び神経発達に必須の甲状腺ホルモンを阻害するポリ塩化ビフェニール(PCB),チアマゾール、アミオダロンなどをもちいて神経発達への影響を評価した。主として神経行動学的評価を中心にリスク評価を行い、その結果を公表した。また齧歯類を用いた評価を行うとともにヒトに近縁なサル類も対象に研究を進めた。その結果、(1)齧歯類は神経回路が極めて未熟な状態で生まれるのに対し、霊長類の神経系は胎児期に充分に発達すること、(2)BPAや甲状腺ホルモンの代謝が齧歯類とサル類では著しく異なること、(3)妊娠のステージにより、BPAの胎児移行・中枢神経への暴露量が異なることが明らかになり、齧歯類のデータを単純に、ヒトを含む霊長類に外挿することは危険であることが示唆された。サル類を用いたリスク評価ではアカゲザルでダイオキシン投与により、新生児の社会行動に異常が見られること、BPA投与では暴露された次世代オスのみがメスの行動を示す、いわゆる性同一性障害のような行動を示すこと、甲状腺ホルモンの阻害作用を示すチアマゾールでは著しい神経細胞の減少と分化の遅延が起こること、PCBの高濃度暴露個体から生まれた次世代では高次認知機能に低下傾向が見られることなどの、新しい研究結果を得た。