著者
三浦 瑠麗
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

これまで「攻撃的な戦争」の多くが軍の責任に帰されたのに対し、シビリアンは多くの攻撃的な戦争を引き起こしてきた。軍がシビリアンの推進する好戦的な戦争に反対したケースさえ数多く指摘できる。同様に、リベラリズムの議論は権威主義体制、全体主義体制やミリタリズムの国が攻撃的な戦争を引き起こしがちだと考えてきたが、実は安定したデモクラシーによって数多くの攻撃的な戦争が引き起こされてきたのである。本研究はデモクラシーにおける「シビリアンの戦争」というこれまで見過ごされてきたテーマの研究であり、リアリストの理論では説明できない開戦判断や敵意の説明、安保政策研究者が勝敗にのみ注目してきた戦争の開戦判断に纏わる説明を提供し、リベラリストが分析してこなかったデモクラシー下のシビリアンの戦争の理論化を試みた。事例としてアメリカ、イギリス、イスラエルの先進民主主義国を比較分析することにより、先進民主主義国特有の現代的な問題、軍の反対する「シビリアンの戦争」を指摘し得た。シビリアンの攻撃的な戦争は個別の歴史研究で明らかにされてきたし、人々は同時代の好戦的なシビリアンの存在をみとめてきた。しかし、個別の戦争の説明は特定の指導者の資質や好戦性など属人的な議論に流れがちであった。本研究は構造的な要因を説明し、デモクラシー下のシビリアンが攻撃的な戦争、不必要な戦争を望んだ時には、民主的な制度や理念による戦争の防止は期待できず、対照的な軍の消極性を考えれば、シビリアン・コントロールもまた攻撃的な戦争を防止するための解ではないことを解き明かした。このように、本研究は伝統的政軍関係理論とは異なる政治と軍事の関係の研究分野を切り拓くことができたのである。本研究はわたくしの博士論文として東京大学に提出するため、執筆の最終段階である。
著者
三浦 瑠麗
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は多国籍企業の展開を通じた人々の意識の変化、そしてそれが国際関係にもたらす長期的な影響の仮説を理論的に構築し、部分的に実証することであった。そこで、昨年度は初年度の理論化の作業に続いて中国発多国籍企業のイギリスにおける進出の政治的余波とそれへの対応を調査し、先進国市場に進出したアジア発多国籍企業が直面する課題とそれへの対応が確実になされていることを確認した。また、経済的相互依存による平和仮説、いわゆるコマーシャル・ピースの例外とされる東アジア(いわゆる東アジアパラドックス)において、日中韓につきN=各2000での対外意識調査を設計し同時に実施した。それを分析した結果、人々の対外認識がビジネスの性質によって大きく異なることを実証した。一般的には東アジアでは歴史問題の存在によって厳しい政府間の対立があり、また攻撃的な世論の存在がその政府の対立姿勢を支えているとされる。しかし、東アジアパラドックスの存在を指摘しただけでは、コマーシャル・ピースのメカニズムが実際に存在しているのか、それとも存在していないのか(政治と経済は別なのか)は定かではない。したがって、本研究ではコマーシャル・ピースが機能するための段階論を定義した上で、日中、日韓の貿易構造や国内政治経済構造を分析の射程に含め、どのようにコマーシャル・ピースが十分に作用しなくなっている状態なのかを解析した。この研究成果は東京大学政策ビジョン研究センターの主催した日米中韓を主な参加者とする国際会議において発表し、高い評価を受けた。また、時事通信社のE-Worldにも短い論考ではあるが日中両国民間にしぼった分析を寄稿した。引き続き研究成果を還元するため成果を様々な媒体に公表していきたい。
著者
岡田 康志 川口 喬吾 池崎 圭吾 佐々 真一 神原 丈敏 榎 佐和子
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

生体分子モーターのin vitro での1分子計測を契機に、少数分子の非平衡系に対する統計力学・情報熱力学理論が近年大きく発展した。しかし、より生理的な条件あるいは細胞内での生体分子の挙動の理解には至っていない。本研究では、in vitro および細胞内での1分子計測と理論研究のフィードバックにより、細胞内のような本質的に非平衡な混雑環境を前提とした統計力学・情報熱力学の理論構築を行い、実際の生体分子機械に対してこれを適用することで、生体分子機械の設計原理の解明を行う。
著者
佐倉 統 平石 界 池田 功毅 中西 大輔 横田 晋大 三浦 麻子 小森 政嗣 松村 真宏 林 香里 武田 徹 水島 希
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

放射線リスクの認知特性と社会内拡散動態を明らかにし、風評被害や差別の抑制に貢献することが目的である。個人の認知的特性を対象とする行動免疫班の実験は、放射線リスクに対する忌避感情が当初の予想より強固で制御困難であることを明らかにした。放射線リスク関連情報のツイッターでの動態を解明するソーシャルメディア班は、放射線についての否定的感情が強力であり、他の災害リスクと異なる拡散パターンを確認した。抑圧的でないリスク管理の方途を考察する社会実装班は、感染症などの過去の風評被害や差別の事例との比較分析やメディア論的考察をおこなった。研究遂行および成果発表は福島の研究者や生活者と共有することを心がけた。
著者
石丸 径一郎
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.283-290, 2002-02-25
被引用文献数
1

Studies on identity and adjustment of minority group members exist independently in each minority group. The author tries to integrate studies on various minority groups in the viewpoint of identity development. An integrated model of minority group identity development is proposed on the basis of studies from three fields (ethnic minority, sexual minority, visual impairment). From this integrated viewpoint, many minority group members can benefit from preceding studies of other fields.

21 0 0 0 OA 大日本史料

著者
東京大学史料編纂所 編
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
vol.第12編之32, 1935
著者
西島 央
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.57-76, 2004-03-10

In Japan, what sort of people attend classical music concerts? It has been said that the classical music is an orthodox current of culture from the West, which was set up alongside the establishment of the modern educational system in Japan. Recently, however, the number of classes of music and other arts related subjects has been reduced as a result of the new national curriculum. In addition, the development of the Internet has provided a dramatic increase in terms of alternative access points to music. These are resulting in a dramatic change of music culture. Under these conditions, is it probable to think that attitudes towards classical music concerts might be in a process of change? The purpose of this paper is to illustrate the current conditions in relation to classical music concerts attendance from a sociological perspective. Methodologically, the paper draws upon evidence garnered from a questionnaire survey conducted at classical music concerts in Tokyo, Niigata and Kagoshima, between April and August 2002. To date, there have been few studies to investigate the sociological profile and associated behaviour related to classical music concert attendees, except the index of a stratum research. In this research, I will make use of sociological description of attendance, exploring the issue of regional difference. Subsequently I will analyze attendee's first experiences vis-a-vis the concert. Finally I will specify the features of attendance in relation to those classified as ""Jouren"" i. e. regular goers and those labeled ""Ichigen"" i. e first-timers. I will analyse the differences between them in light of a number of sociological indicators and their musical experiences during their formal education. As a kind of pilot study, I will propose a research framework that could provide a signpost for future research exploration.
著者
奥野 淳也
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

平成25年度の中心的課題は、北欧諸国の中央地方改革を、福祉国家形成・再編の政治過程との関係性に着目しながら、分析する作業である。昨年度は、スウェーデンのレギオン設置改革の考察を主たる論題としたが、本年度はそれに引き続き、分析対象をデンマークにも広げ、北欧近接比較の観点から検討することを試みた。北欧諸国を一つの「北欧モデル」論で語る論調がある一方で、その類似性の中の差異に着目した秀逸な比較研究がこれまで多く出されてきた。その厚い基盤を吸収しつつ、福祉国家再編期の北欧二国の政治現象を比較の枠組みの中で捉えるべく、その準備の考察を進めた。成果は、2014年6月の日本比較政治学会において報告されることが予定されており、目下その用意を進めている段階である。また、両国の福祉国家形成のプロセスについて、その収敏一分岐(類似性と差異性)のダイナミズムを、歴史的な時間軸の中に置き直し、その位置づけを考究する作業にも取り組んでいるが、これに関しては、学位請求論文執筆時までの続行課題としたい。北欧における市民社会論・国家社会関係をめぐるトピックスを検討する作業も、関連文献の収集. 読解を、引き続き、行っていく。
著者
十字 猛夫 朴 京淑 金 相仁 朴 明姫 竹内 二士夫 徳永 勝士 PARK Myong Hee KIM Sang In PARK Kyoung Sook
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

大韓民国ソウル市に在住する30家系,家族員計150名より血液試料を得て,HLAーA,B,C,DR,DQ型,及びHLAに連鎖する補体成分C4,B因子(BF)のアロタイプを検査した。なお、各家族には,少なくとも3人の子供がいることを条件とした。この結果から両親集団におけるMHC(主要組織適合性複合体)ハプロタイプ計120本を決定した。なお,これは韓国人のHLA分布に関する最初の大規模な家系調査である。この結果より,韓国人における代表的なMHCハプロタイプを求め,さらに,すでに我々が行なってきた日本人や北部中国人での結果と比較した。その概要は以下のようにまとめられる。1)韓国人で見出されたMHCハプロタイプは,我々が以前に調査した日本人や北部中国人で見出されたMHCハプロタイプと基本的に類似しており,ヨ-ロッパ人で報告されているMHCハプロタイプとは全く異なる。2)しかしながら,より詳細に見ればこれら東アジアの諸集団の間にも有意な差が認められる。すなわち,日本人・韓国人・北部中国人におけるMHCハプロタイプの頻度分布を比較すると,日本人と北部中国人の関係が最も遠く,韓国人は両者の中間に位置し,やや日本人により近い特徴をもつことが明らかとなった。3)以下,具体例をあげる。まず,韓国人で最も多いMHCハプロタイプ,Aw33ーB44ーBFFーC4A3ーC4B1ーDRw13ーDQw1は8%の頻度で見出された。このMHCハプロタイプは日本人でも2番目に多いハプロタイプであるが,中国人ではまれなものであった。このように,日本人と韓国人で共に頻度が高い一方,中国人ではまれなMHCハプロタイプとしては,A24ーCw7ーB7ーBFSーC4A3+3ーC4B1ーDR1ーDQw1や,A2ーCw11ーBw46ーBFSーC4A4ーC4B2ーDRw8ーDQw1,あるいはA11ーCw4ーBw62ーBFSーC4A3ーC4B1ーDR4ーDQw3などが見出された。4)日本人で最も多いことが知られているMHCハプロタイプ,A24ーBw52ーBFSーC4A3+2ーC4BQOーDR2ーDQw1は韓国人でも比較的高い頻度で見出された。我々はこのMHCハプロタイプを北部中国人でも高い頻度で見出している。このように,3集団に共通して見出されたMHCハプロタイプとしては,A2ーCw11ーBw46ーBFSーC4A4ーC4B2ーDR9ーDQw3があるが,このハプロタイプの場合には,日本人と韓国人でやや頻度が低くなっていた。5)上記3)と対照的に,北部中国人で最も多いMHCハプロタイプ,Aw30ーCw6ーB13ーBFSーC4A3ーC4B1ーDR7ーDQw2は韓国人でも4%以上の頻度で見出されたが,このハプロタイプは日本人ではごくまれなものである。6)以上のような結果より,我々は東アジア諸集団におけるMHCハプロタイプの分布状況から組先集団の複数の移動,拡散ル-トを推定した。まず第一に中国地方から朝鮮半島を経由して北九州および本州中央部に至るル-トである。これは,A24ーBw52ーBFSーC4A3+2ーC4B1ーDR2ーDQw1を持つ集団で代表される。7)第2に朝鮮半島から日本海を越えて,本州中央部の日本海側に至る移住ル-トである。これには,Aw33ーB44ーBFFーC4A3ーC4B1ーDRw13ーDQw1や,A24ーCw7ーB7ーBFSーC4A3+3ーC4B1ーDR1ーDQw1あるいはA11ーCw4ーBw62ーBFSーC4A3ーC4B1ーDR4ーDQw3などを持つ先組集団が含まれていたと考えられる。8)第3に,中国北部から南下し,朝鮮半島にもやって来たが,日本列島には殆ど到達しなかったグル-プがあったものと考えられる。このグル-プが持っていたMHCハプロタイプが,Aw30ーCw6ーB13ーC4A3ーC4B1ーDR7ーDQw2であったと考えられる。以上のように,家系調査に基づくMHCハプロタイプの分布調査は,互いに近縁な集団間の遺伝的関係を探るために,極めて有力なマ-カ-となることが分かった。
著者
高橋 均 荒 このみ 山本 博之 増田 一夫 遠藤 泰生 足立 信彦 村田 雄二郎 外村 大 森山 工
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

戦後、欧米先進諸国に向けて、開発途上国出身の多くの移民が流入し、かれらを文化的に同化することは困難であったため、同化ではなく統合を通じてホスト社会に適応させようとする≪多文化主義≫の実験が各地で行われた。本研究課題はこのような≪多文化主義≫が国際標準となるような≪包摂レジーム≫に近い将来制度化されるかを問うものである。結論として、(1)≪多文化主義≫の背景である移民のエンパワーメントは交通・通信技術の発達とともになお進行中であり、いまだバックラッシュを引き起こす危険を含む。(2)第一世代はトランスナショナル化し、送出国社会と切れず、ホスト社会への適応のニーズを感じない者が増えている。(3)その反面、第二世代はホスト社会の公立学校での社会化により急速に同化し、親子の役割逆転により移民家族は不安定化する。このために、近い将来国際標準的な≪包摂レジーム≫の制度化が起こる可能性は低い。
著者
真鍋 祐子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本の論壇、学会に一定の地位を占める在日コリアン知識人の「知」の系譜をポストコロニアルの文脈から考察し、彼らがその民族的属性において「独自的」な存在でありながら、その語りが「普遍性」を獲得しうるゆえんを検討した。近年の日韓両国における歴史修正の動きを警戒し、ヘイトスピーチ、あるいはセウォル号事件等の社会問題をめぐって政治参与を試みる流れがある一方、慰安婦問題に対する言論活動が際立ったより若い世代では、当事者性に基づく普遍的価値を希求する姿勢が見出される。それは主に世代間の「独自的普遍」の質的変容によるポストコロニアルの視座の転換と捉えられる。
著者
橋本 鉱市 村澤 昌崇 保田 直美 井本 佳宏 白旗 希実子 丸山 和昭 日下田 岳史 谷村 英洋 荒井 英治郎 石井 美和 高橋 望 高橋 哲 小島 佐恵子 勝野 正章
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

近年、教育課題の複雑化に対し、限られた予算と人員の下に効率的に対応する手法のひとつとして、教育専門業務のアウトソーシング(OS)が模索されている。本研究は、就学前教育、初等中等教育、高等教育の各段階で進むOSの実態と影響を、総合的かつ実証的に分析し、これからの教育専門職のあり方、外部機関との連携における課題、方策を示すことを目的としている。研究計画としては、①国際比較調査:文献調査及び訪問調査を通じ、教育分野における専門業務のOSを促したマクロレベルの要因を解明する。②質的調査:教育機関、教育専門職、及びアウトソーシングを担う外部組織への聴き取り調査を通じ、OSが教育専門職の業務に与える影響や、必要な方策について明らかにする。③量的調査:質問紙調査及びWeb アンケートを通じ、我が国の教育分野における専門業務のOSの実態と潜在的な需要を把握する。上記3課題に関する初年度の研究実績としては、以下のとおりである。①英国への訪問調査を実施し、マンチェスター大学の研究者、全英教員組合の専門職員、民間教員研修プロバイダーから、教員研修民営化の現状と課題についての詳細な情報供与を受けるとともに、 それぞれの視点・立場での認識を聴き取った。民間教員研修の質保証という課題のほか、教職の専門職性の変容との関係についても示唆が得られた。②初中等レベルでは、学校における働き方改革に関連する基礎的作業として分業化、協業化の精査を進め、東北地方のA県ならびにB市の教育委員会関係者とラポールを形成した。また高等教育レベルでは、都下5大学の教職員に対する聞き取り調査を行った。③初中等レベルでは、小学校・中学校・高校の教員に対し教育業務のOSに対する意識に関する質問紙調査のたたき台を作成し、調査対象地域の選定を行った。高等教育レベルでは、大学教育のOSの現状を明らかにするための質問紙調査の設計を進めた。
著者
大和 裕幸 松本 三和夫 小野塚 知二 安達 裕之 橋本 毅彦 鈴木 淳
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

東大総長・海軍技術中将 平賀譲氏の残された40,000点にのぼる資料をディジタル化して公開準備をおこなってきた。本研究ではディジタル化を完了し、東大附属図書館のディジタルライブラリーで公開すること、さらに東京大学などで平賀譲展を開催し、成果を一般に広め、さらにその図録をまとめることにした。その結果、(1)平賀譲文書のディジタルアーカイブを東大図書館に開設した。URLは以下のようである。http://rarebook.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/hiraga/ (2)平賀譲展-高生から東大総長まで-を東京大学駒場キャンパスで平成20年3月から5月にかけて開催し、あわせて講演会も行った。来場者は2,000名を超えた。また、呉市海事歴史科学館で開催された「平賀譲展」にも本研究での成果を反映して協力した。 (3)図録「平賀譲 名軍艦デザイナーの足跡をたどる」を文藝春秋社から刊行した。平賀譲の資料が多くの研究者の目に触れることが出来るようになったが、その意義は大きい。共同研究者は、経済史、社会学、日本史、技術史、造船史、工学と多方面にわたっており、様々な見地から新しい資料に取り組み、今後の研究のポイントと手法について検討する。具体的なテーマとしては、(1)軍艦建造の過程(計画から訓令・進水・竣工まで)から見た設計学への寄与、(2)イギリス製軍艦の建造報告を主とした艦船技術導入・移転の分析、(3)軍艦建造予算(材料費・工費)の推移をめぐる研究の進展、(4)平賀の講義ノートの復刻・解析、などがあげられた。また今後の課題として、(1)書誌情報の追加作業、(2)ポータルサイトの検討とインプリメンテーション、(3)講義ノートのディジタル化、(4)個別研究テーマの検討などが考えられる。
著者
原田 智也
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

伊豆-小笠原海溝沿いの沈み込み帯は,プレート間巨大地震がほとんど発生しないと考えられてきた.しかしながら,石橋・原田(2013),原田・他(2013)は,史料の再検討と津波シミュレーションから,1605年慶長地震が伊豆-小笠原海溝の巨大地震だった可能性を示した.本研究では,この仮説を検討するために,伊豆小笠原諸島での津波痕跡調査を行った.その結果,父島の境浦において3つ以上の津波堆積物が確認された.さらに,父島の八瀬川河口付近においても,複数の津波堆積物が確認できた.年代測定から,これらは17~18世紀に堆積したことが分かった.しかし,1605年慶長地震よる津波堆積物は同定できなかった.