出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.613, pp.1-216, 2003-07
著者
大谷 正幸
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.101-126, 2021 (Released:2021-09-30)

浅間社は富士信仰を行うための施設であるが、富士信仰の多様さに合わせてその形態や実際に祀る神はさまざまである。本論ではその諸相を提示し、最終的に、富士山―一次的に富士信仰を受容する大都市文化圏―二次的に受容して独自にローカルな信仰様式・習俗を創り出す文化圏近郊や富士山との中間地帯、という構造が富士山を挟んで東西にあるとする富士信仰の伝播と受容に関するモデルを考えたい。浅間社の諸相として、中世の城郭に浅間社が祀られた事例、富士信仰に因んだ可能性がある地名を中部地方各県から検索し、その中から「フジヅカ」に関する事例、「フジ」という名を持っていても富士信仰かわからない社の事例を挙げる。特に「フジヅカ」については研究史上その定義をめぐって議論があり、議論の有効性に対して疑問を持つ立場から考えてみたいと思う。
著者
中町 敦子 中村 恵子 四宮 陽子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.151-158, 2004-05-20
参考文献数
12
被引用文献数
3

デュラム小麦のセモリナ粉100%使用,標準ゆで時間11分のスパゲティを用いて,ゆで時間を5~20分まで変えて試料を調製し,アルデンテについての官能評価,水分音量・ゆで歩留測定,拡大写真撮影,糊化度測定,破断試験を行い,以下の結果を得た。1)官能検査の結果,9,10,11分ゆでが「アルデンテである」と評価され,10,11分ゆでが「少し芯がある」,「好ましい」と評価されたので,好ましいアルデンテは10,11分ゆでであった。2)日本人のアルデンテの10,11分ゆでは,ゆで歩留2.3~2.4,水分含量63~64%に相当し,これらは中心の白い芯がなくなった状態で,糊化度は90%以上であった。イタリア人のアルデンテはゆで歩留2.1~2.2とすると,ゆで時間8~9分,水分含量約60%に相当し,中心にまだら状に白い芯が残り,糊化度は約80%であった。3)破断曲線を微分すると,ゆで時間の違いによってダブルピーク,肩,シングルピークの3つに分類された。日本人が好む10,11分ゆではシングルピークの形で,イタリア人が好む8,9分ゆでは肩がある形であった。破断曲線の微分はスパゲティの芯のゆで状態の指標になった。4)20分放置により,拡大写真撮影では中心部への水分移動が見られたが,糊化度はゆで直後と差が認められなかった。また破断曲線の肩はシングルピークになり,破断特性値は全体的に低下した。
著者
根本 泰行
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.75, 2016 (Released:2016-08-01)

故・江本勝博士は、水が記憶している情報を可視化する方法として、1994年に水の氷結結晶写真撮影法を開発し、その後の5年にわたる実験結果をまとめて、1999年に水の氷結結晶写真集『水からの伝言』を出版した。『伝言』の要点は、「水は情報を記憶する可能性がある」というところにある。しかしながら、従来科学においては、「水の情報記憶」について、なかなか認められず、結果として「『水からの伝言』は非科学的である」との批判を受けてきた。ところが過去10年ほどの間に、世界のトップレベルの科学者たちから、「水は情報を記憶する」ということを示唆する証拠が提示されてきている。 ワシントン大学のジェラルド・ポラック博士は、水には固体・液体・気体の他に、「第四の水の相」とでも呼ぶべき特殊な「相」があることを発見した。そして博士は「『第四の水の相』を考慮すると、『水からの伝言』で示されている現象を初めて科学的に説明できる可能性がある」という趣旨の発言をしている。その理由として、博士は以下の2つ―すなわち「水が凍る時、水は必ず『第四の水の相』を通過する」ということと、「『第四の水の相』は、水分子がランダムに動いている従来の液体の水のイメージと異なり、極めて秩序正しい形になっているので、実際に情報を記憶する能力を持っている可能性がある」ということ―を挙げている。 本講演においては、『水からの伝言』について簡単に説明した後に、ポラック博士の『第四の水の相』について、専門外の人にも分かりやすく紹介し、それらの間の関連性について議論する。
著者
大戸 朋子 伊藤 泰信
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科 文化人類学分野
雑誌
コンタクト・ゾーン = Contact zone (ISSN:21885974)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2019, pp.207-232, 2019-08-31

本稿は、腐女子と呼ばれる男性同性愛フィクションを嗜好する少女・女性の二次創作活動とメディア利用を対象とし、彼女たちがどのようにコミュニティを形成し維持しているのかについて、作品やキャラクタへの「愛」という不可視で不可量なものを議論の導きの糸として明らかにすることを目的としている。二次創作コミュニティは、二次創作者らの原作に対する「愛」によって形成されている。しかし、原作に対する解釈は個人によって異なっており、「愛」をめぐってコンフリクトが発生する。本稿では、このコミュニティ内で発生したコンフリクトが、2種類の対応によって調停されることが明らかとなった。1つ目は、二次創作者が言行一致の姿勢を取っている/いない、原作のキャラクタや設定から逸脱し過ぎている/いないなどの基準によって、原作に対する「愛」の具体化である二次創作作品を評価し、「愛」がないと判断した場合、コミュニティのソトに押しやり、原作への「愛」を持つ者同士のコミュニティを維持しようとする。2つ目は、過度な性描写や暴力表現などが盛り込まれた二次創作作品であっても、肯定的なコメントを送ったり、無視をして評価を行わないことで、メンバ間の衝突を回避し、コミュニティを維持しようとする、という調停である。

86 0 0 0 OA 十二類巻物

出版者
巻号頁・発行日
vol.[1], 1661
著者
Haruhiko Okumura
出版者
一般社団法人 情報処理学会
雑誌
Journal of Information Processing (ISSN:18826652)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.566-573, 2014 (Released:2014-10-15)
参考文献数
55
被引用文献数
2

“3.11”—the worst disaster in postwar Japanese history, consisting of the Great East Japan Earthquake (March 11, 2011), the subsequent tsunami and the nuclear accident at the Fukushima Daiichi power plant—taught us many valuable lessons. This paper reviews the disaster from a computer scientist's perspective, paying special attention to the problem of presenting data to the public, and discusses what we could do and can still do.
著者
玉置 麻理 岸 さくら 大上 忠宏 清水 愼太郎 神宮 英夫
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.271-276, 2021 (Released:2021-08-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Food quality is often considered to be the only defining factor of food value. In this study, another important aspect of food value is discussed: the social relationships which are commonly fostered by food. The latent value of curry roux for home use was investigated by studying behavior specific to eating curry. It was found that synchronization of spoons (including spoon and chopsticks) per meal time to be an indicator. It is well known that synchronization occurs when empathizing with others, suggesting that creating empathies with others during a meal is the latent value of curry. Also, text data analysis showed that curry is eaten with special and similar positive feelings by home cook and eater, compared to the other meals. These behavioral and psychological specificity supports the creation of empathy by curry.
著者
別府 哲 野村 香代
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.257-264, 2005
被引用文献数
6

Baron-Cohen et al. (1985)以後, 通常4歳で通過する「誤った信念」課題に, MA(Mental Age) 4歳の自閉症児が通過できないことが多くの研究で追試されてきた。一方, Happe (1995)は, 自閉症児も言語性MAが9歳2か月になると「誤った信念」課題を通過することを示した。本研究は, 自閉症児が「誤った信念」課題を通過して「心の理論」を形成するのは, 遅滞なのか, あるいは質的に違う内容を形成しているのかを検討することを目的とする。「誤った信念」課題であるサリーとアン課題を改変したものを通常通りに回答を求めると共に, なぜそちらを選択したかの言語的理由付けを行わせた。対象者は健常児が3〜6歳60名, WISC-IIIでの言語指数が70以上の高機能自閉症児29名(小学校1〜6年生)である。健常児は, 「誤った信念」課題に誤答するレベル(水準0), それは正答するが言語的理由付けができないレベル(水準1), 課題に正答しかつ言語的理由付けもできるレベル(水準2)の順序で発達的に移行することが明らかにされた。それに対し, 高機能自閉症児は水準0と水準2は存在したが水準1のものが1名もみられなかった。これは, 健常児が言語的理由付けを伴わない直感的な「心の理論」を発達的前提に, その後, 言語的理由付けを伴う「心の理論」を形成するのに対し, 高機能自閉症児は直感的な「心の理論」を欠いたまま言語的理由付けによる「心の理論」を形成するという, 質的な特異性を持つことが示唆された。