著者
デルクロア マーク 中谷 智広 渡部 晋治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.405, pp.55-60, 2007-12-13

一般に、雑音や残響の影響により音声認識率は低下する。これに対し、音声強調を前処理として用いると、時間的に変化する音響的な歪みをある程度低減することができるが、必ずしも音声認識性能を改善できるとはかぎらなかった。また、モデル適応技術を用いることで、音声強調処理後の音声と音響モデルのミスマッチをある程度低減することができるが、動的なミスマッチについては扱うことはできなかった。音声強調とモデル適応のより最適な組み合わせ法の開発が重要であると考えられる。本稿では、動的なミスマッチについても適切に低減できるモデル適応法を提案する。分散を静的な分散と動的な分散で構成されるパラメトリックモデルで表現し、適応処理に基づき、モデルパラメータを最適化する。実験により、残響除去を前処理として用いた場合に、認識誤りを80%削減できること、およびクリーン音声に近い5.4ることを示す。クリーン音声の場合と近い性能が得られた。
著者
竹中 毅 相澤 祐一 鈴木 晋太郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.570-575, 2009-09-01

音楽の設計は,他の人工物の設計と比べて,環境条件や目的を明示化することが極めて困難である.そのため,音楽の設計理論に対する科学的,工学的なアプローチは少なく,作曲行為は人間の暗黙知に大きく依存している.一方で,既存の音楽には時代や地域を超えた共通性が見られることから,音楽的秩序には人間の認知的・身体的特性に基づく必然性があると思われる.筆者らは,人間の認知的特性に基づいて,創発的に楽曲断片を生成することで,音楽の発生学的な根拠を理解することを目的としてきた.本稿では,筆者らの研究例を紹介するとともに,新たな音楽設計理論の可能性について議論したい.
著者
竹井 将紫 中村 俊介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.37, pp.105-107, 2007-05-11

本稿では,身体の動きを音楽と映像に変える『神楽-KaGuRa-』を応用した合奏システムを提案する.コンセプトは「ヒトとヒトとの協調性」であり,以下3つの小テーマを持 つものである.(1)体験者同士が互いの存在を直接的に意識できること(2)体験者同士が協調しながら身体を動かすことで音楽が生成されること(3)体験者同士の掛け 合いがコンテンツ内容の展開に反映されることThis paper reports the ensemble system that applies "KaGuRa" that changes a motion of the body into audio and visual. The concept is "The player's cooperation", and the one with three small themes hereafter. (1) The player should be able to consider existence each other immediately mutually. (2) Music must be generated with the movement of the player of his body mutually cooperating. (3) Player's negotiation must be reflected in progressing of content.
著者
岸部 幹 吉野 和美 和田 哲治 金井 直樹 原渕 保明
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.99, no.9, pp.795-800, 2006-09-01
被引用文献数
2

著者版17歳男、前胸部痛、呼吸困難感を主訴とした。40〜60本/日の喫煙習慣があった。身長166cm、BMI 17.4であり、右側頸部に握雪感を伴う皮下気腫を認めた。胸部単純X線にて右鎖骨上窩の皮下気腫像を、頸・胸部CTにて右咽頭外側面〜胸鎖乳突筋裏面〜気管分岐部に気腫像を認めた。予防的にセフォペラゾンナトリウム:スルパクタムナトリウム合剤を開始したところ、前頸部から胸部の痛みは発症後2日で消失し、皮下気腫像は発症後6日目に消失した。食道造影、気管支ファイバーで異常はなく、特発性縦隔気腫と診断した。退院後43日目、誘引なく左頸部疼痛と呼吸困難感を認め、咳が多かった。CTにて左頸動脈間隙から胸鎖乳突筋裏面、鎖骨上窩、胸骨裏面、気管分岐部周囲、腹部大動脈周囲に気腫を認めた。後頸部から硬膜外ブピバカイン持続注入を開始したところ、翌日には疼痛、咳が消失した。また、セフォペラゾンナトリウム:スルパクタムナトリウムを7日間点滴した。気腫は消失し、禁煙を勧めて退院となった。以後、再発は認めなかった。
著者
キャンベル ニック
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
巻号頁・発行日
vol.99, no.487, pp.61-67, 1999-12-03

声によるコンピュータ情報へのアクセスは、平等なコミュニケーションの方法として有効であろう。情報化社会の進化が生み出したコンピュータのキーボードを自由に操り、自由に情報をアクセスできる人と、コンピュータを使えないがために情報化社会から取り残された人との差を縮めるだろう。社会の国際化や情報化によって、多言語コミュニケーションはより一般的かつ身近なものになったが、今だ言葉の壁は大きい。本報告で紹介する音声合成とそのデータベース作成技術により、親しみやすい、聞き取りやすい、個人性をもつ合成音声が可能になりました。しかし、この音声合成技術の高品質化に伴い、新たな問題が生まれた。つまり合成された音声があまりに人間の声に近いことによって生じた著作権(声の権利)と、翻訳された結果や声で伝えるニュアンスの相違など内容に対する責任の問題である。
著者
吉利 宗久 津島 ひろ江
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.225-233, 1999-12-25

本研究においては, アメリカ合衆国における健康障害児の統合教育をとりあげ, ヘルス・ケアサービスとの関係から今日的課題を探った.近年では, 個別障害者教育法(IDEA)における統合教育の要求や医療技術の進歩とともに, 健康障害児が通常の教育環境において教育を受ける機会が拡大している.それに伴い, 教育現場においても, 教育者が複雑なヘルスケアへの対応を求められるようになってきた.しかしながら, それと同時に, 「特殊教育及び関連サービス」の枠組みの中でのヘルス・ケアの性質や範囲をめぐる議論がなされ, 訴訟においても大きな争点となっている.そこで, 健康障害児の教育状況を把握し, ヘルス・ケアをめぐる法解釈と判例を中心に検討を進めた.また, ケアサービスの提供システムに関する実態と問題点についても言及した.
著者
中井 孝芳 高尾 諭司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.73, pp.15-22, 2001-05-18
被引用文献数
1

この報告では発声者自身がどのように知覚しているかについて述べている。我々はプロープマイクロホンにより外耳道から1cmの位置での音 (空気伝導音声) と、口唇から正面30cmの距離での音 (正面音声) を測定した。また、超小型加速度計で側頭骨の骨振動 (骨振動) を測定した。被験者は6から8名である。結果より, 高周波で空気伝導音声は正面音声に比べ 5から10dB 低いことがわかった。空気伝導音声を発声者自身に聞かせたところ. 自分自身の声に近いが低音が足りないことがわかった。骨振動は300Hzと700Hz付近にピークがあり、1kHz以上はノイズレベルであった。空気伝導音声と骨振動を加えると発声者自身の声に近くなった。この時性からも空気伝導が主な経路といえる。
著者
田村 正統 益子 貴史 徳田 恵一 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.545-553, 2002-04-01
被引用文献数
19

本論文では,不特定話者の音声合成単位である"平均声"モデルから,任意話者の特徴をもつ音声を合成する手法を提案する.提案手法は,HMMに基づくテキスト音声合成システムに基づいている.HMMに基づく音声合成システムでは,多空間上の確率分布(MSD)に基づくHMMを用いてスペクトル及びピッチパラメータを同時にモデル化しており,HMMのパラメータを適切に変換することにより合成音声の声質や韻律特徴を変換できる.本論文では,MLLRアルゴリズムをMSD-HMMに拡張し,ピッチ及びスペクトルモデルの話者適応を行うことにより,目標話者の少量の文章を用いて,声質のみでなく韻律情報も適応できることを示す.主観評価試験により,ピッチ及びスペクトルを同時に話者適応することにより,平均声モデルを数文章で適応したモデルから,特定話者モデルからの合成音声に近い音声を合成できることを示した.
著者
長塚 豪己 鎌倉 稔成
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.583-598, 2003-09-25
被引用文献数
6

ワイブル分布の位置パラメータγの有無に依存しない形状パラメータmの推定を行う方法を提案する.ワイブル分布の推定問題は,位置パラメータの存在で大きく異なってくる.一般には困難とされている3パラメータワイブル分布の推定において,位置パラメータと独立に形状パラメータを推定できる方法は非常に有用である.数値実験で,γが存在するかどうか判断しにくい(γが0に近い)ワイブル乱数に対し,我々の提案法と2パラメータのワイブル分布をあてはめた場合の最尤法の比較を行う.そして,提案推定量の性質の良さを示す.また,実データの解析例で,その適用における簡便さも示す.
著者
鹿内 健志
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.53-107, 1998-12-01

本論文は軟弱地盤において作業を行なう農用車両の走行性に関して, 車輪と土の力学的相互作用の面から究明し, さらに, 耕盤を有する圃場の車両に対する支持力特性について解明し, 農用車両走行部の力学的設計に不可欠な基礎的知見を提示したものである。まず, 車輪と土の力学的作用を把握するため走行車輪下の土の変形計測システムの開発を行なった。本システムにより気乾豊浦標準砂を対象に車輪走行実験を行い, 走行車輪下の土の変形およびけん引力, 接地応力など走行性に関する力学的諸量の計測を行なった。また, 車両の支持力特性について, すべり線法による理論解析を行なった。耕盤を有する圃場の車両に対する支持力問題を, 剛盤上の摩擦性塑性体の二つの近接する荷重に対する支持力問題と理想化した。荷重間隔, 荷重幅および耕盤深さに応じて五つのすべり線場を設定し, これらに基づき支持力の計算を行なった。以下, 各章ごとの総括と結論を述べる。第1章において, 新たに開発した走行車輪下の土の変形計測システムの構造と特徴について論じた。厚さ25μm, 直径5mmのポリエステル製の円形マーカを土槽側壁の内側に設置し, マーカの土に伴う動きを透明な土槽側壁を通し連続写真撮影した。2軸X-Yテーブルと拡大CCDカメラからなる平面位置検出装置により写真からマーカ座標を読取った。これにより土中の変位分布を計測し, さらに有限要素解析における方法を用いて土中ひずみ分布を算定した。計測の不確かさ解析により, 従来の土の変形測定法に比較し, 簡易な方法で, 微小変形から大変形にわたり高精度で計測が可能であることが確認された。また, 新たに開発したマーカは薄いポリエステル製で周辺土壌へ影響を与えることなく, また, 含水比が比較的高い一般の圃場の土に対して使用可能である。第2章では, 土の変形解析システムにより計測した走行車輪下の土の変形解析結果について述べた。車輪は剛性車輪を対象とし, 車輪表面材の摩擦係数による違いを比較するため, 鋼鉄製車輪と鋼鉄製車輪の表面に加硫したクロロプレンゴムを5mm厚さでコーティングしたゴム被覆車輪の2種類を供試した。静的沈下時の土粒子の動きの変位ベクトルは, ゴム被覆車輪および鉄製車輪とも車輪中心を通る鉛直線を中心軸として対称に分布する。車輪が回転すると, 変位ベクトルは車輪前方部で, 前向きの水平成分を持つものと後向きの水平成分を持つものの二つの領域に分けられることがわかった。土の経時的な動きを明らかにするため, 深さ毎の土粒子の変位の軌跡を求めた。また, 土粒子の軌跡を指数関数を用いて表現した。土粒子は車輪中心線が真上にくると, 大略, 最大深さまで動く。ゴム被覆車輪下の土粒子の描く曲線は鉄製車輪のものより土中深くまで移動し, 後方への変化も大きい。車輪と土の接触面では土は車輪表面に固着して動くのではなく, 車輪と土との間にすべりが生じる。鉄製車輪では摩擦係数が小さく, 接触面での車輪と土とのすべりが大きくなり土粒子の変位が小さいと考えられる。ゴム被覆車輪および鉄製車輪下の土中ひずみ分布を等値線図により詳細に示した。各すべり率における鉛直方向・水平方向の垂直ひずみおよびせん断ひずみの特徴について述べ, ゴム被覆車輪と鉄製車輪のひずみ分布の比較を行なった。第3章では, ゴム被覆車輪および鉄製車輪の接地面法線・接線応力分布とけん引力の変動現象について述べた。法線および接線応力の分布はいずれの車輪においても車輪前方部で最大値を示す凸型の曲線を描く。また, 法線および接線応力の最大値はすべり率の変化に伴い変化する。すなわち, 最大法線応力はすべり率の増大とともに減少する。最大接線応力はゴム被覆車輪ではすべり率40%付近まですべり率とともに増加し, その後一定値を示すが, 鉄製車輪ではすべり率40%付近で極大値を示す。接線応力の法線応力に対する比(接地応力比)は, ゴム被覆車輪および鉄製車輪とも車輪と土の接触が始まる部分と接触が終わる部分で高い値を示し, 最小値はその間に現れる。最小値が現れる位置はすべり率が大きくなると車輪前方部に移動する。けん引力の経時的な変動現象を究明するため, その波形を車輪回転角を変数とする正弦関数で近似した。ゴム被覆車輪のけん引力の変動はすべり率によらず, 短周期の振幅の小さい微小振動を示し, 鉄製車輪の場合, 長周期で, すべり率が増大するほど振幅の大きくなる波形を示す。ゴム被覆車輪と鉄製車輪のけん引力の変動の周期と振幅について車輪下の土の破壊態様と照応して論じた。第4章では, 耕盤を有する圃場の車両に対する支持力問題について論じた。すなわち, 本支持力問題を, 二つの近接する荷重が剛盤上の摩擦性剛塑性体に作用するものとしすべり線法により解析を行なった。2荷重によるすべり線場が干渉し, 一般にPrandtl場は成立しないが, 荷重幅, 荷重間隔および耕盤深さに応じて5種