著者
赤羽 ひろ 川染 節江 品川 弘子 日比 喜子 深井 康子 茂木 美智子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.405-411, 1990-11-20

すしの食生活における位置づけを知る目的で、すしの利用状況について、全国を12地域に分割し、各地域に在住する3世代の女性を対象に、アンケートによる意識調査を行い、すしの利用に対する意識について以下のような結果が得られた。1)すしの利用状況をみると地域・年齢を問わず、夕食に自宅で家族と喫食する割合が約80%を占め、日常食、行事食、来客食などに利用されている。2)すしに対する意識は、地域・年齢を問わず平均評点4以上(5点評点法)で、すしに対する「好き」意識が高くなっている。また、年齢が高くなるに連れ「ごちそう」意識が強くなっているが、「好き」意識と同様、いずれの地域・年齢においても平均評点4以上と高い嗜好性を示した。3)すしの「好き」意識とすしめしの味付けの好みの関係を求めたところ、すしが好きなことと酸味を好むことには正の相関、塩味とは負の相関があった。4)すしを調達する場合には、東日本では出前に依存する率が高く、西日本では手作り度が高くなっている。また、喫食回数が多いほど手作り度が高く、にぎりずしをよく食べる地域ほど手作り度が低くなっている。5)持ち帰りずしの利用経験は、20歳代、40歳代では約88%であるが、60歳以上では約73%である。また、持ち帰りずしを利用する場合の種類はにぎりずしが約60%を占め、利用する理由は、手軽さが約54%を占めている。持ち帰りずしの月平均の喫食回数は約1回とすし全般の喫食回数(月平均2.4回)の約2分の1である。また、持ち帰りずしの購入金額は一回当たり700円前後ですし全般の購入金額(1,000円程度)の7割程度である。6)好まれるすしの種類は、北海道、東北、関東、東海地域でにぎりずしを好む傾向がみられ、近畿、中国、四国地域では関西風などのちらしずしを好んでいた。江戸前のにぎりずしとちらしずしを合算すると、北海道、東北、関東、東海地域で60%以上を占め、九州地域でも約50%回答されている。好まれるすしの種類を要素として12地域の類似性についてクラスター分析を行った結果、東九州と九州の類似性が示された。
著者
谷 泰弘 長尾 高明 竹中 規雄
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1567-1572, 1982-12-05

正面研削における切削機構を解明するために, 熱間鋼との相似性が主張されているプラスティシソ(油粘土)を被削材として, 切込み量が一定ですくい角が負の二次元正面切削のモデルテストを切削条件を変えて行った。まず非常に高性能の円孔平行平板形構造の小型三方向ロ一ドセルを開発し, このロードセルを平板状の切れ刃に、埋め込むことにより, 切れ刃すくい面に作用する応力の分布を測定し, 次のような結果を得た。(1)切れ刃すくい面上の垂直応力は切れ刃先端部で大きく, 接触領域中央部でほぼ一定であるような分布をしており, 摩擦応力は正負両方向に交互に変化するような分布をしている。(2)すくい角および切削速度が変化しても, その分布形状には大きな変化はないが, 垂直応力の値はすくい角が小さい程, また切削速度が大きい程大きくなっている。一方, 摩擦応力の絶対値は逆に小さくなっている。
著者
河野英太郎 新谷 和司 前田 香織
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.80, pp.33-38, 2001-07-27
被引用文献数
3

家電機器のネットワーク化により,より多くの機器の遠隔制御・監視が可能になりつつある.筆者らも家電機器を対象とする遠隔機器制御プロトコルRACP(RemoteAppliance Control Protocol)を提案している.本稿では,多くの家電機器に採用されている赤外線リモコンの遠隔制御にRACPを適用して,多くの一般家電を遠隔制御するシステムについて述べる.まず,システムの設計とプロトタイプシステムの実装について述べ,次に処理のオーバヘッドに関する評価と操作性についての評価について述べる.また,本稿で用いたシステムと,家電機器のより新しいネットワーク方式である,Bluetooth,IEEE1394やUSBとの併用についても言及する.Recently, more and more home appliance can be controled and monitored remotely through networks like the Internet. We proposed a protocol, RACP (Remote Appliance Control Protocol) to control remote home appliances through the Internet. In this paper, we show an applications of RACP to control infrared remote controllers and its implementation using Java. Also, we show its evaluation from the viewpoint of protocol overhead and user-friendliness. Last, we mention the combination of our protocol and the other remote control specifications like Bluetooth for wireless, IEEE 1394 and USB.
著者
河西 省司 渡辺 淳吉 諏訪 正輝
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.45, no.398, pp.1119-1124, 1979-10-25

モノレールや新交通システムに採用されている剛体電車線では,集電装置が離線しやすく,騒音が大ですり板の寿命が短い欠点がある.そこで,これらの問題点を解決する新しい集電装置を試作し,回転円板形等価実験装置を新設して各種実験し,新形集電装置と新しく開発した黒鉛分散鋳造銅合金すり板とを組み合わせた結果,騒音低減が著しく,また離線率およびすり板の寿命も現状品に比較し,格段に向上させることができた.
著者
中谷 裕一 徳永 徹郎 山口 仁 伊東 匡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.280, pp.115-118, 2005-09-08

近年ブログ利用者が急速に増加し, ブログの繋がりを利用した情報発信ツールとして注目されている.これに伴い, 今後取り扱う情報に公開情報だけではなく守秘情報も含まれることが考えられる.このため守秘情報の隠蔽が必要となるが, 現行のブログシステムは守秘情報を扱うことがないため, 含まれる情報の隠蔽手法は考えられていない.これに対し本稿ではブログデータにメタデータを付与可能とするCaTaCプラットフォームを拡張し, ブログシステムにおける守秘情報の抽出・隠蔽を実現する手法を検討・提案する.本手法により, 将来の, ブログを使った新しい通信方法技術の確立が行える.
著者
船越 裕介 松川 達哉 渡邉 均
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.153, pp.35-40, 2006-07-06
被引用文献数
4

通信を含む社会基盤系サービスは,サービス障害が社会に及ぼす影響が大きく,報道の対象となることが多い.しかし,報道される明確な基準がなく,報道有無の関係から具体的な通信ネットワークの信頼性向上に展開することが困難である.本稿では影響規模と影響時間,申告件数というパラメータに社会的影響度を測る指標としてトラヒックパターンを組み込み,報道有無に関して判別する方法を提案する.更にその効果についても述べる.
著者
和田 大介 小林 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.99, pp.7-12, 2008-06-13

本稿では,オンラインゲームをピュア型P2P(peer to peer)ネットワークにおいて行なった場合のプレイヤ間の時間チート(time-cheat)と呼ばれる不正行為の防止を行うプロトコルの一種を提案する.本方式では,分散ゲームにおいて時間チートを防止するための基本的なプロトコルであるロックステップ(lockstep)プロトコルにビザンチン合意(Byzantine agreement)アルゴリズムを組合せて用いており,あるプレイヤが不正行為を行っても他のプレイヤは引き続きゲームを継続することが可能になる.
著者
西川 寛
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. B, 電力・エネルギー部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. B, A publication of Power and Energy Society (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.127, no.7, pp.827-832, 2007-07-01
被引用文献数
2 2

Following the examples of other countries, in April 2005 Japan launched wholesale electric power exchange operations as a primary item of system reform in line with electric liberalization. Only two years have passed since the initiation of these operations. However, in the summer of 2005, the surge in market prices was evident, which suggested that certain measures should be taken to confront potential market risks. Establishing a useful system for forecasting market prices through the modeling of price fluctuations in the wholesale electric market became essential. Currently, various price models are being proposed. Taking both the limited amount of data and the model's purpose into consideration, this study adopted the univariate time series model.<br>We conducted a time series analysis on the open price indexes in the JEPX spot market with the Box-Jenkins method. Since a seven-day cycle can be observed in the data, we adopted the seasonal ARIMA model. In accordance with the procedures of the Box-Jenkins method, we determined the degree of the model's polynomial using the autocorrelation and partial autocorrelation of the data and estimated the parameters of the model with the maximum likelihood method. We conducted a forecast on next day JEPX spot market prices with this time series model and examined its validity and utility as a forecasting tool.<br>Price forecasts made with this model require only a small amount of data and will save substantial analysis work. Consequently, this method is expected to be widely used by market participants as the reference data for their bid pricing.
著者
角田 肇 臼杵 〓 岩崎 寛和 美誉志 康 市川 意子
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.437-445, 1983-04-01

女性性器は膣から卵管に至る管腔臓器であり,性交,月経,分娩など細菌感染の機会も多いという解剖生理学的な条件から,性器感染症の頻度が高い理由を説明できる.従来子宮腔や卵管などは生理的には無菌と信じられているが,かかる要因から,発症するか否かは別として,細菌が上行して存在する頻度は決して少なくないと推定される.一方子宮頚部病変に由来する子宮周囲組織(傍結合織)の炎症性変化,いわゆる傍結合織炎の病態については諸説があって結論がえられていない.以上の実態を明らかにすべく研究を行った.対象は子宮癌16例と子宮筋腫,内性子宮内膜症だと良性疾患13例で,すべて腹式子宮全摘出術時に各組織を無菌的に採取し,膣分泌物も含めて好気性ならびに嫌気性菌の検出を系統的に行なった.1.良性疾患では13例中6例に嫌気性菌を証明した.2.子宮内膜から5例,卵管および傍結合織から5例に細菌の存在が証明された.3.頚癌0期のうち,円錐切除後の2例では,頚部周囲組織に著明な細菌感染を認めた.4.頚癌および体癌では,進行期が進むにつれて,リンパ節ならびに傍結合織中に細菌検出率が上昇した.5.膣以外の部位に嫌気性菌を証明しえた頻度は良性疾患では13例中3例に過ぎなかったが,子宮癌では16例中9例と過半数を占めた.6.膣と膣以外の部位との細菌叢の相関は,余り密接ではないが,ある程度の相関性を認めた.なお証明された細菌叢の大部分は腸内細菌叢として知られているものである.以上の成績から,膣内細菌叢は上行性あるいは経頚管壁リンパ行性に内性器および周囲組織に波及し,常在菌叢として存在することが証明されたが,これらの細菌は生体の条件により慢性あるいは急性炎症を惹起する,いわゆるopportunistic infectionの可能性を示唆している.
著者
石川 真
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.9-16, 2009-02-28
被引用文献数
1

本研究は,コンピュータや携帯情報端末の限定された表示サイズ画面に提示される文章の表示に関する特徴を「見やすさ」や「好み」という観点から明らかとすることを目的とした。コンピュータ画面上に,携帯電話ディスプレイ,PDA ディスプレイ,パソコンモニタの表示サイズに合わせたテキストエリアを確保し,文章を提示して実験的検討を行った。はじめに,5種類の文字サイズと3種類の行間幅を組み合わせた文章をそれぞれの表示サイズに提示し,見やすさと好みについて評定させ,分析したところ,見やすさ,好みの双方とも,明確な特徴が示されなかった。そこで,各情報端末において,一般的に文章提示に用いられる3種類の文字サイズと3種類の行間幅を組み合わせて見やすさと好みの評定をさせ,分析・検証を行った。その結果,いずれの表示サイズにおいても,提示した組み合わせのうち,中間の文字サイズ,中間の行間幅が最も見やすく,また好まれることが示された。さらに,見やすさと好みの評定の関連性に着目して分析したところ,それほど強い相関関係は示されなかった。The purpose of this study was to clarify features of sentence presentation on the information terminals that had restricted display size. Especially the experimental study was examined from the point of legibility and preference. Firstly, sentence presentation was analyzed by combined conditions on five character sizes and three types of line spacing, but the result didn't indicate statistical features in each cases. Secondly, sentence presentation was analyzed by combined conditions on general three character sizes and three types of line spacing. The result showed that the middle type in both character size and line spacing was most legible and most preferable in all conditions. Thirdly, relationship between legibility and preference was examined. The result showed legibility was correlated with preference, but correlation coefficient was not so high.
著者
吉田 正人 河内 直子 伸岡 雅裕
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.119-128, 2003-12-30
被引用文献数
2

沖縄島の最大の海草置場は名護市辺野古沖の173 ha, 第二の海草藻場は沖縄市泡瀬沖の112 haであるが,いずれも米軍普天間飛行場の移設や埋め立て計画によって消失の危機にある. これらの開発活動に先立つ環境影響評価には問題点も指摘されており, その監視のためには, 開発サイドから独立した市民による科学的な調査が有効であると考えられる. そこで, 日本自然保護協会は, 2002年5月より, 沖縄県名護市において, 市民参加による海草藻場モニタリング調査「沖縄ジャングサウォッチ]を実施した. 調査では, まず, ボランテイアとして参加した一般市民を対象に,海草の識別方法や調査方法の講習を行ったうえで, スノーケル潜水を利用して, 実際の海草藻場において被度調査を行った.得られた調査データについては,目視による被度判定の個人差を補正し海草各種の分有および被度を解析した.海草は,海岸線からの距離に応じて,種ごとに特徴的な分布を示した.また,辺野古の海草藻場については, 空中写真による分布域の読みとりでは, 実際の分有面積を過小評価していることが判明した.したがって, 米軍飛行場移設にともなう環境影響評価においては, 空中写真に基づいた予測では不十分であり, 現地調査から得られる海草の種ごとの分布および被度の変異も考慮したうえで環境保全措置をとる必要が示唆された.今後の市民参加のモニタリング活動においては, 特定事業の監視のためだけでなく, 赤土流出等の局所的な環境汚染, および温暖化問題等に代表される地球規模の環境変動の影響などを視野に入れた, より広域かつ長期的な調査体制を整えることが望まれる.
著者
関口 達彦 木村 哲也 山田 淳 河野 永治
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:06272997)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.684-685, 1995-03-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
永野 博明 林 和彦 久保 正法 三浦 康男
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.307-314, 1990-04-15
被引用文献数
1

長崎県, および宮崎県を除く九州地方で牛流行熱が発生した. 長崎県では17年ぶりの発生であった. 10月17日に平戸市で初発し, 長崎県では24戸24頭の発生であった. 臨床症状は突然の発熱, 食欲不振および起立不能であった. 発症牛全例において牛流行熱ウイルスに対する抗体価の上昇が見られた. 17例の発症牛のヘパリン加血液から初代HmLu-1細胞で, 12株のウイルスが分離された. これらの分離株は牛流行熱ウイルス山口株の免疫血清ですべて中和された. 電子顕微鏡では, 代表株平戸-9感染HmLu-1細胞の材料中に150nmの円錐型ウイルス粒子が観察された. 平戸-9株と山口株は交差中和試験で, 互いに良く交差した. 牛流行熱ウイルスの分離は, 発症牛の血球材料(洗浄血球)を用いることにより, HmLu-1細胞で容易に分離されることが明らかになった.
著者
森 桂一
出版者
千葉大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.89-99, 1958

1 Characteristics of adolescence 思春期の特色 われわれが思春期とよぶ子供から成人への移行期は,批判的な時期であると同時に情緒的緊張の時でもあることを忘れてはならない。従って新鮮で生き生きとした創造的表現に導くのにむしろ好適の時期であることを考えねばならない。若いものたちが自分自身の潜在力や周囲の世界というものに気づく始めての時であり,それに対して彼等は青年独特の熱情をこめて反応を示し始めるのである。2 The First duty of education of adolescents 思春期教育の第一任務充分な精神的成熟というものは必ずしも生理的成長に伴わない。しばしばこの時期の複雑な問題の故に人間の身体だけが成長し心は未熟といぅことにもなりがちである。だから教育者の最初のつとめは彼等の生得的な創造能力を逃さないよう均衡のとれた思春期たらしむべく助力を送ることである,この心やりはacademicな適合,技術的訓練に先行すべきものである。3 The Full scope of art in education 教育に於ける芸術の広領域,芸術といぅものは人生経験の諸反応を形に現わすことだと理解された。又すべての個人の精神的肉体的潜在力の具現,成就の可能性を暗示するものである。従ってすべての芸術,音楽,劇,物真似等も絵画,彫刻,建築等と同様に考慮の中に入れるべきである。これについては多数の支持者があって次期総会のテーマに, artからartsへの問題としてとりあげられることになった。4 The Furtherance of moral education by art 芸術による道徳教育の助長,道徳的,倫理的教育は円満な人格発展の中核であることに間違いない。勿論芸術それ自身が道徳を創造するわけでぱない。然し少くとも人生に対してこれから遠ざけたり,又これを破壊したりするものではなく,芸術による教育は道徳の構成的要因を数多用意しているものであることは事実である。本来芸術的達成には心と身体の同時的訓練が要請されている。従て表現の可能性の為道具や材料の統御ということも必要になってくる。尚芸術は社会の道徳的思想を人間の心の中へ伝達したり保持したりするに有効な手段であることも銘記しなければならない。5 The practical element in art appreciation 芸術鑑賞の実利的要素,人類的教養の立場からも,個人の住む特別社会の立場からも鑑賞指導は教育に磨きをかける意味で基本的要素である。かって〓々我々は諸種の芸術を組合せる形でこの目的達成を実証して来た。諸種の芸術を組織的に結合して刺戟暗示を与えるのにも思春期は最適の時機であろう。然し純粋な理論的指導では鑑賞の目的はとげられない。充全な鑑賞に先立って材料や道具に関する初歩的な理解をさせたり又制作意慾に捲込むことも大切である。創造的活動によって青少年が一つのものをしあげたという達成感,満足感は他の抽象的指導では到底望み得ないことであろう。6 Art as a corrective to the lack of balance in contemporary education 同時代の教育の均衡欠如を是正する為の美術,ある傾向として特に目立つ西欧教育の中で一方純粋知識の達成を目指すものや,又一方技術訓練の熟達に傾くものがあるが,普通教育としての均衡を正しく保つためにも芸術の必要を強調せねばならぬ。芸術を通しての教育という概念は教育に全体として働くカリキュラムの統一完化という解釈に於て成立する。7 The unifying function of art in education 芸術教育の統一的機能芸術は従来の盛沢山のカリキュラムと張合って別な分科と解するのでなく,思春期教育に対して他と同格の基礎的要素であると解すべきである。芸術部門の中でも他の色々な学習と同じ創造過程へ,融合させてゆくのが本来ですべて只指導上の便宜でそれらが分けられていると解したい。8 The place of art in the curriculum 教科中芸術の位置 青少年の教育でアートの重要な理由として学校時代全体を通じてこれがカリキュラムや,学校の空間,建物又その育てる人々の内で最も好適な時機に与えられるということが根本問題である。尚この分野の才能が深く身についていなければならぬという認識をもたせなければならない。すべての生徒は更に芸術的諸学習が効果的に受けられるよう,設備材料等その選択範囲を広く用意されなければならない。9 Conclusion 総括 美術は一般教育に於て青少年の成熟助成の為最も効果的な手段である。