著者
倉林 敦 太田 英利 田辺 秀之 森 哲 米澤 隆弘 松田 洋一
出版者
長浜バイオ大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、ヘビからカエルに水平伝播したLINEレトロトランスポゾン(ここではTE-X表記)について、(1)水平伝播時期と地域の解明、(2)水平伝播遺伝子の視覚化、(3)爬虫類・両生類以外のマダガスカル産脊椎動物にもTE-Xの水平伝播が生じているかの解明、(4)水平伝播を媒介した寄生虫・ウィルスの探索、(5)南アジア原産のブラーミニメクラヘビが、マダガスカルのヘビタイプのTE-Xを持っている理由の解明を目的としている。本年度は、(1)分岐年代推定と水平伝播発生地域の推定を行った。(2)シマヘビと、ネガティブコントロールのツメガエルに対して染色体FISHを行なったところ、前者では強いシグナルが出たが、後者ではシグナルが得られなかった。これにより、FISHによる染色体上のTE-X検出系が確立できた。(4)蛇の体組織からウィルス核酸抽出方の確立を試みた。現在までに行なった実験系では、ウィルス核酸よりも細菌由来核酸の出現率の方が高かった。(5)バングラデシュとスリランカにおいて、現地共同研究者により、メクラヘビの採取が進んでいる。現時点で、バングラデシュでは30個体、スリランカでは19個体のサンプルが得られている。さらに、インドでは、30個体以上のメクラヘビが収集され、そのうち1個体がブラーミニメクラヘビであったが、残りは別種のヘビであった。そのうち1種は、異種間交雑起源のブラーミニメクラヘビの父方系統に属する種である可能性が高いことが分かった。さらに、インドのブラーミニメクラヘビについては、Hi-Seq NGS によりシークエンスが行われ、130 Gbp のアウトプットが得られた。また沖縄産個体について、MinION NGSによるシークエンスを行い、40 Gbpのアウトプットを得た。南アジアにマダガスカルヘビタイプのTE-Xを運んだベクター蛇の可能性が高いスナヘビが収集できた。

1 0 0 0 近代将棋

出版者
近代将棋
巻号頁・発行日
vol.16(8), no.186, 1965-08
著者
羽田 健三 野沢 進之輔
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.473-486, 1969-06-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

1.長野県長野市信州大学教育学部構内で1967年に,キジバト(Streptopelia orientalis orientalis)の繁殖生活を観察した。2.巣造り期間は2~4日。♂は枯枝を嘴で折ったり,地上から拾ったりして巣材運搬のみに従事し,♀は巣場所でそれを受けとり,小枝を組み合わせて巣を造る。3.卵数は4巣において2卵で,1巣のみ1卵であった。抱卵は1卵産卵後から行ない,♀と♂が朝方と夕方2回交代し,♀は夕方から夜間を経て朝方まで平均17時間,♂は昼間の平均7時間続けてだく。抱卵日数は15~16日間であった。4.給餌は♀,♂とも行ない,親の口の中へ雛が嘴を入れ,親は首を上下にふりながら液状の餌を戻して口うつしをする。抱卵は育雛前,中期まで抱卵タイプでの♀♂交代が続き,抱雛しながら夫々の親が給餌する。このため前,中期ほど給餌回数が多く14~19回となり,後期は給餌だけに巣を訪れ1日3~4回である。巣立ちはふ化日から15~17日間である。5.次の繁殖は同じナワバリ内で巣場所をかえて行ない,抱卵期に入ると♂だけが前巣の雛に給餌する。6.キジバトのナワバリはMAYR(1935)の分類のB型に属する。7.繁殖諸仕事の♀♂分担は次のようである。抱卵,抱雛の割合の約70%は♀であり,給餌はその60%が♂である。ナワバリ防衛は90%以上を♂が受けもつ。

1 0 0 0 OA 花袋歌集

著者
田山花袋 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1918
著者
国友 浩
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.617-621, 2007-08-05
参考文献数
10
被引用文献数
1

当初は強い相互作用を記述する模型として導入された弦理論は,現在ではその役割を変え,超弦理論としてすべての素粒子とその相互作用を記述する究極の統一理論として精力的に研究されている.この超弦理論がツイスター空間という新しい活躍の場を得て,再び強い相互作用を記述する模型として復活し,新たな注目を浴びている.本稿では,このツイスター弦理論について簡潔に紹介する.
著者
坂口 達馬 梶山 徹 三宅 麻文 片山 俊郎
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.43-49, 2022 (Released:2022-04-15)
参考文献数
26
被引用文献数
1

【目的】ヒドロモルフォン持続皮下投与法によるタイトレーション(以下,本法)の有効性と安全性を検討した.【方法】2020年2月から2021年10月まで,中等度から高度のがん疼痛に対して本法を適応した症例を後方視的に解析した.【結果】計37例中,オピオイド・ナイーブは1例(2.7%).タイトレーション開始時,完了時のヒドロモルフォン投与量は各1.92 mg/日,2.40 mg/日(いずれも中央値),3日以内のタイトレーション完了は33例(89%).著効(Numerical Rating Scale [NRS]≥66%改善)は33例(89%),有効(NRS≥33%改善)は3例(8.1%),無効(NRS<33%改善)は1例(2.7%)であった.有害事象は眠気が3例(8.1%),血圧低下が1例(2.7%)であった.【考察】本法は簡便かつ安全で,中程度から高度のがん疼痛に迅速かつ効果的な鎮痛が得られた.
著者
熊井 正貴 加藤 信太郎 小柳 遼 敦賀 健吉 伊藤 陽一 山田 武宏 武隈 洋 菅原 満 川本 泰之 小松 嘉人
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.51-58, 2022 (Released:2022-04-15)
参考文献数
26

【目的】緩和ケアに携わる医療提供者のターミナルケア態度の実態とそれに関連する要因を明らかにすることを目的とした.【方法】がん治療医と緩和ケア医を含む緩和ケアに携わる医療提供者を対象にFrommelt Attitude Toward Care Of Dying Scale Form B日本語版(FATCOD B-J)を用いて質問紙調査を実施した.【結果】解析対象は223例であった(回収率42.2%).FATCOD B-J総得点を目的変数とした重回帰分析の結果,偏回帰係数は年代で40代と比較して30代以下が低く(−3.8),業務から得られる満足感を感じているほうが高く(+5.7),緩和ケアへの関心が強いほうが高かった(+6.2).【考察】緩和ケアへの関心と業務から得られる満足感がターミナルケア態度の涵養に重要である可能性がある.
著者
松村 宏 桝本 和義 吉田 剛 豊田 晃弘 中村 一 三浦 太一
出版者
日本加速器学会
雑誌
加速器 (ISSN:13493833)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.63-71, 2021-07-31 (Released:2021-08-04)
参考文献数
16

Measurement of activated materials and evaluation of activated areas of several types of accelerator facilities were studied for decommissioning planning from FY2017 to FY2020 under the contract of the Nuclear Regulation Authority. The research results were summarized in “Manual of Measurement and Evaluation of Activation for Decommissioning of Accelerator Facilities.” This manual consists of the classification of the activation area of accelerator facilities and the measurement and evaluation of the activation of concrete structures and metallic accelerator components in the decommissioning of accelerator facilities. This manual will be used for the decommissioning of accelerator facilities in Japan.
著者
岩村 健司 井﨑 基博 永友 真紀 畑添 涼 小薗 真知子
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
熊本保健科学大学研究誌 = Journal of Kumamoto Health Science University (ISSN:24335002)
巻号頁・発行日
no.19, pp.129-137, 2022-03

2011年より本学に言語聴覚学専攻が新設された。本専攻では3年次に臨床実習が行われる。しかし,そもそも全国的にも小児を対象として言語聴覚療法を実施できる施設が少ないこともあり,それらを志望する学生について実践的教育の機会が少ない現状があった。そこで2017年度に本学において,「地域の言語発達障害児支援と大学生の学びの場充実化プロジェクト」を実施し,本学言語聴覚学専攻において,子どもの言語障害の支援を行うための体制を整えた。2018年度には「言語発達臨床教育研究室」として大学運営協議会によって認可され,これまで地域支援と学生教育を続けてきた。 2020年度からは,世界中に蔓延した新型感染症の影響により,これまで行ってきた活動を転換せざるを得なかったが,今後も,教育及び地域貢献の一環として継続していく。
著者
伊藤 拓
出版者
日本加速器学会
雑誌
加速器 (ISSN:13493833)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.181-186, 2020-10-31 (Released:2021-10-05)
参考文献数
16

Medical radio-isotopes (RI) are commercially produced by accelerators or nuclear reactors. For more than a half century accelerators have routinely produced medical RI used for radiopharmaceuticals in nuclear medicine. Described here is a general introduction of commercial production of medical RI with an accelerator, and recent topics about technical development of use of an accelerator for production of 99Mo and 225Ac. Nihon Medi-Physics has started a project of 99Mo in-house production with an electron linear accelerator since 2019. Alpha emitting nuclide, 225Ac has attracted much attention recently for therapeutic applications based on the concept of Theranostics. 225Ac supply currently relies solely on 229Th generator but alternative production method with an accelerator has been being developed.
著者
松田 雅弘 高梨 晃 塩田 琴美 宮島 恵樹 野北 好春 川田 教平 細田 昌孝 川口 祥子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.265-269, 2010 (Released:2010-05-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

〔目的〕腹部ベルトを使用し,腹部収縮時と姿勢の違いによる筋厚の変化を明らかにすることを目的とした。〔対象〕整形外科的な既往のない健常男性大学生15名(18-20歳)とした。〔方法〕腹部ベルトの有無と座位・立位姿勢で,腹部筋の収縮による腹部筋厚の変化について超音波測定装置で計測した。〔結果〕内腹斜筋・腹横筋の非収縮時と収縮時の筋厚はベルトの有無・姿勢に関係なく有意差があった。収縮圧変化を比較した結果,外腹斜筋ではベルト有りで有意に増加し,腹横筋はベルト有りで低下傾向があった。〔結語〕腹部ベルトは人工的に腹圧を向上させることで,外部腹部筋の活動に関して活動性を向上させるが,腹横筋に関しては抑制に働く傾向があると考えられる。
著者
大庭 雅道
出版者
一般財団法人電力中央研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

高解像度大規模気候予測アンサンブルデータを用いて、日本に域における風力発電量の将来の変化について調べた。+4度温暖化実験の計算結果を分析した結果、数%程度の風力発電量の低下傾向が見られた。特に夏から秋にかけて全域で減少傾向、冬から春にかけては日本の北で増加、南で減少する傾向が見られた。気象パターン分類により気象場の発生数を分析したところ、この変化は前者では擾乱成分の発生数が、後者では気候背景場の変化が主要因となっていることが示された。
著者
渡上 将治 村川 猛彦 宇都宮 啓吾 中川 優
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.189-194, 2010-05-15
参考文献数
6
被引用文献数
1

筆者らがこれまでに構築してきた聖教書誌情報全文検索システムは,サーバに接続して使用する必要があるため,山奥などでは利用できないという問題点があった.そこで,インターネット環境に依存しない,1台のノートPC上のみで動作するスタンドアロンのシステムの構築を行った.サーバ部のOSをLinuxからWindowsに変更したが,対象データと全文検索エンジンは同じものを使用し,従来のシステムに存在した機能に加えて,新たなデータの追加や,各聖教に対するコメントを残すことができる機能を実装した.本システムと従来のシステムとで検索結果が同じであり,検索時間に関しても2秒以内で結果が表示されることを確認した.

1 0 0 0 OA 西南太平記

著者
沼尻絓一郎 編
出版者
万笈閣
巻号頁・発行日
vol.5号上, 1877
著者
田中 秀生
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.105-113, 2011 (Released:2017-05-10)

ルソーの著作には,対象が三分され(多くは時系列が織り込まれた形で),その中間部分(中間状態,中間項,中間期,等)が,その前後の部分それぞれの善きものの保存と悪しきものの廃棄によって価値あるものとしての属性を帯び,多くの場合,理想的なものにまで高められる,というパタンが観察される。人間の教育がテーマとされた作品『エミール』においても,個人の成長過程の中に「美しい幼年期」の「できあがった子ども」という独特の形象が造形されており,このルソー的<中間>と見做しうるものが出現し,自然状態の子どもとも完成された大人とも質的に区別された,一つの完結した理想状態が表現されている。本稿では,この『エミール』における<中間>性について,その内容の概略を呈示し,またその内容の政治思想における意味を敷衍して検討した。