著者
石川 一三夫 Hisao ISHIKAWA
出版者
中京大学法学会
雑誌
中京法学 (ISSN:02862654)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.237-267, 1996-04
著者
清水 芳見
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.166-185, 1989-09-30 (Released:2018-03-27)

本稿では, ヨルダンの北部のクフル・ユーバーという村の邪視信仰について, 記述, 考察する。この村では, 邪視は妬みと不可分に結びついており, 妬みが生じるような状況下では, どんな人間でも邪視を放つ可能性があるとされている。邪視除けの方法として, この村でもっともよく行なわれるのは, 邪視にやられると思われたときに特定の文句を唱えることであり, 邪視にやられて病気になったときの治療法としては, sha' ir al-mawlidと呼ばれる植物などを焚きながら特別な祈念をしたり, クルアーンの章句を唱えたりすることがよく行なわれる。この村では, 邪視を放った者を公に告発するようなことは行なわれないが, この告発ということに関連して, 邪視を放ったという疑いをかけられないようにするための方策がよく巡らされる。最後に, この村では, 邪視がつねにイスラームというコンテクストのなかで理解されているということが, 本稿全体を通して明らかになった。
著者
丹治 光浩 Mitsuhiro TANJI 花園大学社会福祉学部 THE FACULTY OF SOCIAL WELFARE HANAZONO UNIVERSITY
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-11,

スタートレックとは、22~24世紀の宇宙を舞台にした冒険物語である。その魅力は、最新の宇宙論を取り入れたリアルな未来世界の構築に止まらず、登場人物が織り成す人間関係や精神哲学にあることはいうまでもない。一般に芸術作品には作者の個人的な心理が反映されると同時に、さまざまな形で現実社会が反映されることが少なくない。たとえば、スタートレックにおいて人類が出会うさまざまな異星人は我々人間の一面をデフォルメして表現されたものであり、人類と異星人との間に生じるさまざまな誤解や葛藤は、そのまま現代社会における国家間の対立や人種問題の反映と考えることができる。本論では、臨床心理学的視点からTNG第9話を心の構造、TNG第79話を児童虐待、TNG第111話をPTSDとして解釈した。映画「GENERATION」は対象喪失と喪の作業として解釈し、平行宇宙はユング心理学における「影」として解釈した。そして、ボーグは無意識、ボーグドローンから人間世界への再適応は精神疾患の治療プロセスとして解釈した。
著者
山道 真人 長谷川 眞理子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.199-210, 2012-11-30 (Released:2017-10-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

保全生態学は生物多様性の保全および健全な生態系の維持の実現への寄与をめざす生態学の応用分野であり、保全活動に大きな貢献をすることが期待されている。この目標を実現するためには、保全生態学研究が保全活動の要請に見合って適切に行われている必要がある。そこで日本における保全生態学の研究動向を把握する一つの試みとして、1996年から発行されている代表的な保全研究・情報誌である『保全生態学研究』(発行元:日本生態学会)に掲載された論文のメタ解析を行った。その結果、近年になって論文数は増加し著者も多様化している一方で、研究者は自分の所在地から近い場所で研究を行う傾向があり、研究対象地は関東地方と近畿地方に集中していること、研究対象種は植物・哺乳類・魚類が多く、昆虫や他の無脊椎動物が少ないといった偏りがあることが明らかになった。この結果をもとに、応用科学としての保全生態学のあり方と今後の課題について考察した。
著者
久保 英幸
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.381-386, 2006 (Released:2006-10-19)
参考文献数
12

There are many human infectious diseases derived from pathogenic viruses. In line with the infectious disease surveillance systems of Osaka City, the staff of our institute′s department of microbiology seek to isolate and identify human pathogenic viruses from patient specimens using a number of routine methods. In the present review, I describe methods of pathogenic virus identification using the standard virus neutralization test and the latest methods using virus genome gene analysis, together with Japanese law on infectious disease.
著者
Keiko ITO Shintaro ABE Ryo YAMASHITA Daisuke SUMIYAMA Tomoko KANAZAWA Koichi MURATA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.229-231, 2020 (Released:2020-02-18)
参考文献数
22
被引用文献数
4

Prevalence of antibodies to Toxoplasm gondii was studied using the latex agglutination (LA) method, followed by sucrose density gradient centrifugation (SDGC) method on the small Indian mongoose (Herpestes auropunctatus), which inhabits Amami-Oshima Island. Of the 362 samples, 38 (10.5%) revealed positive. Single or double peaks in the 7–8 and/or 12–14 fraction to LA titer by SDGC indicated the early stage of T. gondii infection. It is suggested that domestic/feral cats play an important role for spreading this zoonotic pathogen to the mongoose as well as other species that are endemic to this island. Future studies are warranted to prevent the transmission of T. gondii among cats and wild animals in order to maintain the ecosystem health.
著者
長野 栄俊
出版者
国際忍者学会
雑誌
忍者研究 (ISSN:24338990)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.2-15, 2018 (Released:2020-03-05)
参考文献数
21

本稿は福井藩の忍者について、松平文庫の藩政史料を用いた考察を加えることを目的としている。 まず制度面では、従来「忍之衆」として紹介されてきた同藩忍者が、藩内では「忍之者・忍組」と呼ばれていたこと、設 置期間は慶安2 ~慶応2 年(1649 ~ 1866)であったことなどを明らかにした。また、人数や家格、給禄、居住地の変遷をたどるとともに、明治初年の元「忍之者」の人名と、歴代「忍之者預り(忍之者支配)」の人名を史料から抽出した。 次に職掌面では、探索に代表される忍び御用やかれらが担った軍役の内容について事例を紹介しながら考察した。あわせて義経流忍術の稽古や武具管理といった同藩に特有の事例を紹介し、その職掌の多様性を示した。 最後に同藩における忍之者という役職が廃止されるに至った要因として、探索対象となる情報の高度化や探索者に求められる資質の高度化があったことを指摘した。
著者
徳田 誠 田中 誠二 川浦 香奈子 軸丸 裕介
出版者
佐賀大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

様々なイネ科植物を摂食するがオオムギは摂食しないというトノサマバッタの寄主特異性に着目し、オオムギ品種Betzesの染色体を1対ずつコムギに導入したオオムギ染色体導入コムギ系統を用いて、トノサマバッタの行動や寄主選好性、生存率や発育期間に影響を及ぼすオオムギ側の要因を解明すべく研究に取り組んだ。コムギを与えて幼虫を飼育したときに比べ、オオムギ染色体導入コムギ系統6Hで生存率が有意に減少し,2Hで1齢および2齢幼虫期間が有意に遅延し。以上より、オオムギの6番染色体および2番染色体には、それぞれトノサマバッタの生存および発育に負の影響を与える遺伝的要因が含まれていることが示唆された。
著者
前野 浩太郎
出版者
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

サバクトビバッタの母親は群生相化すると産卵数を減らす代わりに、大型の卵を産むことが知られており、本申請者はこの相変異が関係した繁殖能力の生理・生態学的研究に従事してきた。その中で、大型の卵から孵化した幼虫の方が小型のものよりも飢餓条件に強いことなどを明らかにしてきた。本種の生息地であるアフリカのサハラ砂漠で行ったフィールドワーク中に雌成虫が産卵する現場に遭遇した。一連の観察の中で、どのように群生相が行動し、交尾・繁殖しているのかを調査した。
著者
古田 雅一 伊藤 憲男
出版者
日本食品照射研究協議会
雑誌
食品照射 (ISSN:03871975)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.43-46, 2013-09-30 (Released:2014-04-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
藤本 眞一 加藤 巳佐子 石川 貴美子 原岡 智子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.544-556, 2012 (Released:2014-04-24)
参考文献数
12

目的 保健所は,公衆衛生活動の中心的機関として地域住民の生活と健康に極めて重要な役割をもっている。平成 5(1993)年度に広島県において,全国で初めて保健所と福祉事務所が統合され「総合福祉保健センター」が設置されて以降,「平成の大合併」などにより都道府県立統合組織が構築されてきた。そこで,その組織と権限の実態を明らかにした上で,今後のあり方を考察することを目的とした。方法 インターネットにより都道府県ポータル•サイト等から平成23(2011)年度当初の保健所や福祉事務所の組織実態を都道府県保健所単位で抽出•分類し主な保健•衛生に関する権限について調査した。さらに町村部において,保健所と福祉事務所から提供されるサービスが,いずれの機関から提供されているかを調査した。結果 全国373都道府県立保健所が存在し,単独組織はその僅か 1/4 であった。統合形態としては,福祉事務所と保健所が一旦結び付いた上で総合事務所に統合される形態が約 4 割を占め,中には 3 つの保健所がひとつの総合事務所に統合されている例もあった。統合組織を構築しても,権限をその長に委任し直したところは約 1/4 であった。法令上福祉事務所ではないのに「保健福祉事務所」等の名称である統合組織は,保健所の統合組織の 1/3 を占めていた。福祉事務所に関しては中国地方を中心に町村自らの設置が進んでおり,道府県において福祉事務所と統合する理由がなくなってきている。また福祉事務所の社会福祉法上•名目上の位置付けと,実質上の福祉事務部門との位置付けの差異が目だった。結論 保健所を含めた組織統合理由は行政改革として組織数を減少させるためと推測された。道府県が,福祉事務所ではないのに,福祉事務所を想像させる紛らわしい名称の統合組織を作ったり,本来の福祉事務所でない場所にある統合組織そのものを法令上,福祉事務所と位置付けることは,住民に無用の混乱を生じさせる恐れのある対応であると考えられた。組織統合しても権限が保健所長に放置されたままであることは,保健•福祉サービスの一体的提供を理念としていない証拠であり,権限委任の見直しができないような統合組織の構築は無意味である。今後は,健康危機に関係する生活衛生関係業務などにも着目して統合を実施すべきである。
著者
市山 高志
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.5-8, 2010-02-28 (Released:2010-04-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

「インフルエンザ脳症」は約10年前に疾患概念が提唱された比較的新しい病気である.本疾患は「インフルエンザの経過中に急性発症する意識障害を主徴とする症候群」と定義される.剖検脳では,著明な脳浮腫を認めるものの,炎症細胞浸潤やインフルエンザウイルスはみられない.従ってインフルエンザ脳炎ではなく,「インフルエンザ脳症」と命名された.当時は死亡率30%,後遺症率25%という極めて予後不良であった.その後の研究で,本疾患の病態に高サイトカイン血症が関与し,末梢血単核球の転写因子NF-κB活性化が明らかになった.抗サイトカイン療法としてステロイドパルス療法および免疫グロブリン大量療法が提唱され,普及した現在は死亡率10%弱に低下した.しかしインフルエンザ脳症の病態は単一でないことが明らかになり,現在は高サイトカイン血症が病態の中心でない「けいれん重積型脳症」といわれるタイプが,高率に神経学的後遺症を残すことから問題となっている.このタイプの病態は長時間のけいれんによる神経細胞に対する興奮毒性が主と考えられている.従って,ステロイドパルス療法や免疫グロブリン大量療法は有効でなく,なんらかの脳保護的治療が模索されている.しかし,現時点で有効性が証明された治療法はなく,効果的な治療法開発が今後の課題である.
著者
平山 朝治 Asaji HIRAYAMA
出版者
筑波大学人文社会科学研究科国際日本研究専攻
雑誌
国際日本研究 = Journal of International and Advanced Japanese Studies (ISSN:21860564)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-22, 2020-02

日本で途切れることなく定められるようになった最初の元号である大宝は首皇子(後の聖武天皇)誕生に因んだものと思われ、中国の建元が漢の武帝即位を基準とするのとは異なり、キリスト受肉紀元ADの影響があるのではないかという仮説を立てて検証を試みる。ADは641年には東シリア教会キリスト教とともに唐に伝わっており、久米邦武は聖徳太子伝にキリスト伝の影響があるとし、7世紀後半に唐からそれが伝わったと論じたが、根拠薄弱と批判されてきた。中国経由ではなく、インド人夫婦をはじめとするドヴァーラヴァティー(現在のタイ国チャオプラヤー川下流域)の遣唐使節が654年日向に漂着し、彼らによってキリスト教が伝えられたことが、天智朝において製作されて流通した日本最初の鋳貨である杋銀貨(無文銀銭)や、インドから中国を経ずに朝鮮半島を経由して日本に渡来したとされる善光寺本尊如来によって裏付けられ、善光寺信仰のほか、祇園信仰、怨霊・御霊信仰や春秋彼岸会にもキリスト教の影響を読みとることができる。日本に定着した不可逆的な歴史意識は終末を欠いており、ダーウィンの進化論との相性がよいことを丸山真男は指摘し、岡本太郎は'70年万博の太陽の塔のなかに生命の樹としてそれを表現した。終末思想は周期化されて辛酉革命・甲子革令の思想に基づく改元慣行となった。後醍醐天皇や孝明天皇の在位中にそれらによる改元があって討幕運動が高まり、1921辛酉年には原敬首相暗殺が起こり、その前後に大正デモクラシーが昂揚した。また、日本固有の進化論的歴史意識は高度経済成長後アイドルが担うようになった。The Taiho era, which was the first era to be established without interruption in Japan, started from the birth of Prince Obito, who later became Emperor Shomu. This era is quite different from China's Kengen era, which was based on the enthronement of the Emperor Wu of Han. In this paper, we explore and test the hypothesis of the influence of the anno domino (AD) period after Christ's incarnation on Taiho.AD was transmitted to Tang with East-Syriac Christianity in 641. Although Kunitake KUME points out that Christianity influenced Prince Shotoku's biography and that it was transmitted from Tang to Japan in the late 7th century, this argument has been criticized as unsound. An entourage which included an envoy of Dvaravati (the present-day Chao Phraya River area in Thailand) as well as Indian couples who intended to pay tribute to Tang came to Japan in 654 via a route that by-passed China. The fact that they also brought Christianity to Japan is supported by the production and circulation of the first Japanese coin (Bon Silver Coin), circulated in the Tenchi era. The principal image of Amida Sanzo-zo (the statue of Amida Triad) in Zenko-ji Temple (善光寺)is believed to have been sent to Japan from India via the Korean peninsula without passing through China. In addition to the Zenko-ji Faith, Christianity's influence can also be found in the Gion Faith (祇園信仰), the Spiritual Faith (怨霊・御霊信仰), and the Spring/Autumn Fair Party (春秋彼岸会).As pointed out by Masao MARUYAMA, the irreversible historical consciousness that has been established in Japan is unending and compatible with Darwin's theory of evolution. Taro OKAMOTO expresses it as the Tree of Life within the Tower of the Sun in the 1970 Exposition. Eschatological thought was transformed into cyclical patterns and was found in the practice of Kaigens based on the ideas of the Shin-yu Revolution (辛酉革命)and the Ko-shi change of order (甲子革令). During the reigns of Emperor Godaigo and Emperor Komei, the Kaigens based on these ideas were performed and the abolition movement against shogunate government(幕府)became dominant. Prime Minister Takashi (Kei) HARA was assassinated in 1921, and the Taisho democracy movement started to become dominant around that time. In addition, Japan's unique evolutionary historical consciousness has been expressed by idols since the period of high economic growth.査読後の著者原稿を登録していたが、2020年2月10日、出版原稿に差し替えた。
著者
鈴木 晃志郎 于 燕楠
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.55-73, 2020
被引用文献数
3

<p>今日の地理学において,幽霊や妖怪を含む怪異は,専ら民俗学的な手法に依拠して検討されている.しかし隣接分野では,定量的な手法に基づいた知見が数多く存在し,客観性と厳密性を確保することによって学術的信頼性を高める試みが多くなされている.そこで本研究は富山県を対象とし,今からおよそ100年前(大正時代)の地元紙に連載された怪異譚と,ウェブ上に書き込まれた現代の怪異に関するうわさを内容分析し,(1) 怪異を類型化して出現頻度の有意差検定を行うとともに,(2) カーネル推定(検索半径8 km,出力セルサイズ300 m)とラスタ演算による差分の算出により,怪異の出没地点の時代変化を解析した.その結果,現代の怪異は大正時代に比して種類が画一化され,可視性が失われ,生活圏から離れた山間部に退いていることが示された.</p>
著者
永井 幸寿
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.326-329, 2016 (Released:2019-08-01)

昨年11 月に安倍総理大臣は災害を理由に憲法に 緊急事態条項,すなわち国家緊急権を設けることを 国会で明言した.私は,阪神・淡路大震災で事務所 が全壊して以来,21 年被災者支援活動を行ってき た者として以下に災害の現場に基づく意見を述べさ せていただきたい.
著者
鈴木 真
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.319-348, 2001-12

This article analyzes fiscal problems existing before and after the enthronement of Emperor Yongzheng 雍正帝, taking the cases of auditing the silver reserves of the Board of Revenue and its deficits. Then, the author clarifies the relationship between regulations concerning corruption by the bureaucracy concerned with the fiscal affairs and the establishment of Imperial power.Emperor Yongzheng, who was well informed about fiscal corruption, intended to grapple with reform as soon as he ascended the throne.The establishment of Imperial power and taking hold of the empire's purse strings were indivisible. Solving of the silver reserve deficit was an immediate problem.Yongzheng ordered Yi Qinwang 恰親王 and Boldo, who had been his advisors since he was a prince, to audit the silver reserves of the Board of Revenue. Consequently, it was found in the silver deficit amounted to two million six hundred thousand liang.Yongzheng ordered former members of the Board to compensate the deficit. However, there were some bureaucrats who did not comply. They were Manchu bannermen. This fact suggests that the substance of the deficit did not involve simple illegal acts by bureaucrats but it was related to Manchu bannermen.From such a viewpoint, the author clarifies the background of the deficit caused by Board member Hifene and a clerical official of the Reserves, Zeng Dengyun 曽登雲, in order to detail the embezzlement.Emperor Kangxi 康煕帝's princes participated in both cases. Especially in the case of Zeng Dengyun, fiscal administration was affected by the embezzlements caused by vertical relationships among the Eight Banners, between banner princes and banner bureaucrats, and their bondservants, or between banner bureaucrats and their employees.Therefore, Yongzheng, who intended to establish his power, had to carry out reform immediately after his enthronement. Furthermore, the fact Yongzheng appointed followers under his influence to the bureaucracy and tried to resolve the fiscal problems suggests a necessity to understand the fiscal history of the Qing dynasty in terms of the influence of the Eight Banners.