2 0 0 0 OA 正法眼蔵

著者
道元 著
出版者
国母社
巻号頁・発行日
1896
著者
八尋 春海
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.129-134, 2003-03-29

本論は,岩井俊二が脚本と監督を担当した『Love Letter』の芸術的価値について,作品の技巧を分析することにより明らかにするものである。まず,この作品が影響を受けたテレビ番組,映画監督大林宣彦,作家オスカー・ワイルド,マルセル・プルーストなどについて先行研究に言及しながら,さらに新たに発見した影響関係を指摘する。次に,映画の価値を高めるものとして登場人物や舞台などの共通性がうまく機能していることを,過去へのこだわりというモチーフに焦点を絞り込んで明らかにしていく。最後に作品のプロット及びストーリーにおいて,その中に隠された仕掛けや意味について検討し,作品の主題ともなっている"Love Letter" が,実は,主人公が出したものではなく,彼女が受け取ったものであるという解釈を導く。
著者
熊谷 瑞恵
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-24, 2004-06-30

本研究は、中国新疆ウイグル族のナンの利用を中心とした食事文化を明らかにすることにより、ムギ食品が食卓上で持つ「主食」「副食」に代わる独自の位置付けを描き出すことを目的とする。ユーラシア大陸はムギとコメという主要な穀物の違いによって二分することができる。ヨーロッパのパンを主とするムギ食文化には、パンを「主食」という概念で呼ばず、料理を「主食」と「副食」という概念に区分しない特徴がいわれてきた。本研究は、パンに注目してなされてきたそれまでのムギ食文化に対する見解に、中央アジア、新疆ウイグル族にとってのナンという新しい事例と見解を加える。そのために本稿はまず「主食」「副食」に代わるかれらの料理区分を明らかにし、それが「食事」と「茶」であること、その中で「ナン」を食すことがかれらにとっての「食事をとる」という概念と対応していないこと、そして、1日に7、8回あるかれらの食事回数のうちでかれらの語彙における「食事」に対応する食事がほとんどないことを家庭における直接観察から描き出す。そして、ウイグル族にとってのナンの位置付けが「食事」よりも「茶」の中核をなすものであることを示し、ナンと料理との関係が構築する食事体系が「主食」「副食」のある文化とは異なるものであることを描き出す。そしてその食事体系は、家庭の食卓を囲む人々との間において常に「場の共有を目的として」食べるという機能を果たすものとなっていることを論じる。
著者
山田康弘 高野和人編纂
出版者
青潮社
巻号頁・発行日
1987
著者
白井 忠功
出版者
立正大学
雑誌
立正大学文学部研究紀要 (ISSN:09114378)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.71-94, 1987-03-20

Nobutada Konoe (the 8th year of the Eiroku Period : 1565-the 9th year of Keicho Period : 1614) tried to retire the Minister of the Left (Sadaijin) in the 1st year of the Bunroku Period (1592), and go to Korea in obedience to the plan of the dispatch of troops by Hideyoshi Toyotomi. But, for this plan he incurred the Emperor Goyouzei's anger and was exiled to Satsuma, Bounotsu belonged to Kagoshima prefecture in April, the 3rd year of the Bunroku Period (1594). In the midst of this exile he recorded an account of travels to Bounotsu from Kyoto and the life in his miserable exile. I examined and set forth my several opinions about the account of his travels and life with the help of simple account (an sccount of travels in Bounotsu of Nobutada : a separate paragraph) and a detailed description (an account of Sanmyakuin) in this paper.
著者
木村 朝 鈴木 福二
出版者
一般社団法人粉体粉末冶金協会
雑誌
粉体および粉末冶金 (ISSN:05328799)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.497-501, 1987-11-25 (Released:2009-05-22)
参考文献数
3
被引用文献数
6 7

Colored nacreous pigment used so far is a mixture of various colored pigments and titanium dioxide coated mica (TiO2-coated mica). One of the major problems for apprications to cosmetics and other fields is the lack of stability and safety of it. We have developed a colored nacreous pigment having bright color tone and pearly gloss having excellent stability and safety. In order to obtain such colored nacreous pigment, a part of titanium dioxide layer on mica was reduced to black titanium oxide, and then the reduced TiO2-coated mica was coated with titanium dioxide. The products obtained were the colored nacreous pigment, which was colored by interference color of titanium dioxide, and had extremely improved color tone, good consistency of color appearance and interference color. Various colors were available by adjusting the thickness of the titanium dioxide layer coated on the reduced TiO2-coated mica. This colored nacreous pigment does not contain any colored pigments.
著者
中村 直生 高須 賀豊 高塚 勇
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.119-126, 1987-09-30 (Released:2010-08-06)
被引用文献数
2

To develop a novel makeup which is effective in making wrinkles less visible, optical properties of the makeup compornents and their mixtures were systematically studied.It was discovered that within a specific composition range, it was possible to produce a makeup more effective in making wrinkles much less visible than possible with other mixtures. The composition of this “SOFT FOCUS MIXTURE” was found to be strongly dependent on the optical properties as well as the ratio of the powder to the oil. Two major factors found to contribute to the reduction of wrinkle visibility are: (a) Optical blurring of the outlines of wrinkles, and (b) Reduction in the differerence of lightnesses due to diffuse reflection. The first is strongly dependent on the concentration of the oil phase while the second is affected by the gloss of the powder. By optimizing these two factors, effective makeup have been prepared to make wrinkles less apparent.
著者
三浦 浅子 本多 たかし
出版者
福島県立医科大学
雑誌
福島県立医科大学看護学部紀要 (ISSN:13446975)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.27-36, 2014-03

本研究の目的は,口腔内の衛生状態の判定として目視確認による清潔判定には客観性が乏しいと考えたので,口腔内の唾液のATP値測定の有効性について明らかにすることである。健常者10名で14件について,起床時,朝食・昼食・夕食後,就寝前の歯磨きによる唾液のATP 値の日内変動を分析した。今回の結果では,唾液のATP値は起床時と歯磨き前は低く,歯磨き後は高かったが有意差は認められなかった。しかし,就寝前歯磨き後と翌朝起床時の唾液のATP値には有意差(p<0.05)が認められた。歯磨きによって歯垢面のプラークが吐き出されATP値を高くしていること,うがいの仕方によって食物残渣やプラークが残留していることが考えられた。これらは,唾液に含まれるATP値が1日を通して食事の前後で継時的に変化することを示しており,唾液のATP値ふき取り法は,口腔内の常在菌と食物残渣の両方を測定することができ,口腔内の衛生状態を客観化する簡便な方法として有効であることを示唆した。
著者
藤田 郁尚
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第42回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.W3-3, 2015 (Released:2015-08-03)

私たちは、使用した時に不快な感覚を引き起こさない快適な化粧品を開発するため、感覚刺激の評価方法の確立を試みてきた。最近、温度感受性Transient Receptor Potential (TRP)チャネルが温度受容だけでなく、化学物質による侵害刺激にも重要な働きを示すことが明らかになってきた。その中でも唐辛子の辛み成分であるカプサイシンの受容体であるTRPV1、わさびや芥子の辛み成分であるイソチオシアン酸アリルの受容体であるTRPA1が、特に化学物質による痛み受容に重要な役割を持つ。これまで、皮膚上における感覚刺激へのTRPA1の関与について、様々な刺激要因を対象に研究を続けてきた。化粧品における感覚刺激の標準物質として用いられる防腐剤のパラベン類がTRPA1を活性化させ痛みを引き起こすことを見出してから、ヘアカラーの刺激の大きな原因であるアルカリ剤、化粧品に含まれる一価アルコールと、皮膚上の感覚刺激を引き起こす物質のTRPA1への関与を次々と明らかにしてきた。これと並行して、皮膚上の感覚刺激を軽減するためのTRPA1抑制剤の探索も行い、ユーカリオイルの主成分である1,8-シネオールにTRPA1抑制効果があることを見出した。最近では、皮膚上の冷感覚が外部温度に影響を受ける現象に冷受容体であるTRPM8のチャネル自体の特性が関与すること、つまり、事前暴露温度によってTRPM8の冷閾値が変化し得ることを見出した。これら、これまでの研究内容に、直近の研究成果を含めて報告したい。
著者
寺島 恒世
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.10-19, 1994-07-10

院政期の後、宮廷和歌はいかなる達成を目指したか。生成の<場>に根差して和楽に資する役目を担いつつ、歌はいかに創作詩でありえたのか。その課題を、後鳥羽院と左大臣良経の酬和に発した『仙洞句題五十首』を例に、成立に関わった定家の、作品の<場>に試みた方法を検証することを通して考察した。併せて、その試行が『新古今集』完成に向かう時代に果たした役割を、後の建保期における回顧をも踏まえて検討した。