著者
井邑 智哉 髙村 真広 岡崎 善弘 徳永 智子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.15212, (Released:2016-07-09)
参考文献数
29
被引用文献数
5

We developed a scale to measure time management and assessed its reliability and validity. We then used this scale to examine the impact of time management on psychological stress response. In Study 1-1, we developed the scale and assessed its internal consistency and criterion-related validity. Findings from a factor analysis revealed three elements of time management, “time estimation,” “time utilization,” and “taking each moment as it comes.” In Study 1-2, we assessed the scale’s test-retest reliability. In Study 1-3, we assessed the validity of the constructed scale. The results indicate that the time management scale has good reliability and validity. In Study 2, we performed a covariance structural analysis to verify our model that hypothesized that time management influences perceived control of time and psychological stress response, and perceived control of time influences psychological stress response. The results showed that time estimation increases the perceived control of time, which in turn decreases stress response. However, we also found that taking each moment as it comes reduces perceived control of time, which in turn increases stress response.
著者
若田 忠之 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.147-158, 2015-07-01

本研究ではPCCSトーンおよび音楽の調性の変化に伴う高音の変化に着目し,それらの調和関係と印象次元における関係を検討することを目的とした.実験1では音楽刺激として2つの曲を8つの調性に変化させた刺激および色刺激としてPCCSトーンを用いた.被験者は刺激の印象評価を行い,音楽刺激に対する調和色の選択を行った.その結果,音楽の高さと色の明度の間に関連が見られた.そこで,実験2では音楽刺激の音域を拡げた上で再度検討を行った.その結果,色と音楽に共通する印象次元として,力量性因子,活動性因子が見られた.力量性は明度および音の高さと,活動性は彩度と対応することが示された.活動性因子と対応する音楽の属性は本研究からは明らかにすることはできなかった.音楽の印象は主に高音の変化に伴っており,これらは与えられた刺激の中で相対的に評価されていることが示唆された.本研究からは,"cross-modal研究においてPCCSトーンは感覚間のイメージをつなぐ表象として用いることができる可能性が示唆された.
著者
川尻 真也 川上 純 岩本 直樹 藤川 敬太 荒牧 俊幸 一瀬 邦弘 蒲池 誠 玉井 慎美 中村 英樹 井田 弘明 折口 智樹 江口 勝美
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.190-194, 2008 (Released:2008-06-30)
参考文献数
12

症例は56歳,女性.主訴は多発関節痛.1999年に拇趾MTP関節の痛風発作を発症した.その後,痛風発作を繰り返すもコルヒチン内服にて症状は軽快していた.しかし,2006年頃より関節痛は全身の多関節におよび,持続性となった.2007年4月,多発関節炎の精査加療目的にて当科紹介入院となった.入院時,著明な高尿酸血症を認めた.入院中,関節炎発作による全身の関節痛および高熱を認めた.関節液所見にて白血球に貪食された尿酸ナトリウム針状結晶を認め,痛風と診断した.デキサメタゾン4 mg筋注およびコルヒチン投与により症状は改善した.
著者
杉浦 美砂 青木 昭子
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.415-420, 2015-10-25 (Released:2015-12-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1

両肩関節炎を呈したことから一時リウマチ性多発筋痛症(PMR)と診断した慢性結節性痛風の症例を報告する.85歳の男性.高血圧,狭心症,不整脈,糖尿病など複数の疾患を有し,複数の診療科が処方した多数の薬剤を内服中であった(多剤併用;ポリファーマシー).X年8月両下腿の腫脹,発赤,疼痛と発熱が出現し,下腿蜂窩織炎の診断で入院した.抗菌薬を投与され解熱し,下腿の症状は改善したが,1週間後に両肩の疼痛と可動域制限が出現した.血清CRP高値,リウマトイド因子,抗CCP抗体陰性,全身ガリウムシンチグラフィーで肩関節を含む多関節部に集積が認められ,PMRと診断した.プレドニゾロン(PSL)10 mgにて症状は改善し退院したが,退院直後に左肩と左膝の疼痛のため,続いて右前腕と手指の疼痛と腫脹のため,1カ月間に2回入院した.左母趾基部に小結節が見られたため穿刺したところ,白色ペースト状物質が吸引され,偏光顕微鏡で針状結晶が認められたことから痛風結節と診断した.約30年前に痛風発作の既往があり,以後アロプリノールを継続服用していたが,2年前の入院後にその処方が中断していた.さらに,肥満,飲酒,糖尿病,脂質異常症,うっ血心不全,不規則な服薬,利尿薬内服など痛風の複数の危険因子を有していた.アロプリノール中断の理由と高齢者のポリファーマシーの弊害について考察を加え報告する.
著者
長岡 慎介
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.26-31, 2016-01-01 (Released:2016-04-01)

中東アラブ世界は,イスラーム文明がもたらした「読み(誦み)」「書く」伝統が連綿と受け継がれてきた地域である。その伝統は,21世紀でも依然として健在である。他方,ヨーロッパ近代が生みだしたテクノロジーによって,その伝統が新しいメディアによって再構築され,以前には考えられなかった形で伝播していく動きも見られ始めている。本稿は,そのような新旧の伝統と革新が複雑に入り交じる現代中東アラブ世界の「読み(誦み)」「書く」伝統を支える知的インフラである出版メディア(書籍,インターネット)の一側面を描写する。
著者
弓削 千文 木藤 伸宏 菅川 祥枝 奥村 晃司 吉用 聖加
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.13-13, 2003

【目的】膝関節の運動機能の客観的評価として関節可動域・筋力・筋持久力の測定が一般的には行われているが、滑らかさを定量的に評価することは臨床的に重要な意味を持つ。そこで今回我々は、膝関節運動の滑らかさに着目し数学的解析を行い、臨床に役立つ指標として活用するため、加速度センサと電気角度計を用い、膝関節屈伸運動の滑らかさを定量化する試みを行った。【方法】対象は、膝関節疾患・中枢神経疾患の既往のない健常者男性5名、女性5名とし、年齢27.6±3.9歳、身長165.7±9.3cm、体重59.7±12.3kgであった。膝関節屈伸運動を他動運動と自動運動とで比較した。他動運動では、被験者の脛骨粗面直下に圧電型の3軸加速度センサ(MA3-04Acマイクロストーン(株))を固定。膝関節外側面にBiometrics社製2軸ゴニオメータ(SG150型)を貼付した後、膝関節屈曲0から120°までの屈伸運動をCYBEX CPMモード90・180 deg/secにて各10回施行した。自動運動では、座位にてメトロノーム使用し、膝関節屈曲0から120°までの屈伸運動を2000・4000msecの速さで各10回施行した。評価パラメータとして(1)膝関節屈曲30から60°の矢状面で生じる加速度を一次微分し躍度を算出、この算出値を動作の滑らかさを表す指標(jerk)として用い、(2)膝関節屈伸運動時の躍度波形より振幅値・Movement Unit(加速度の微分が0を通る回数)(以下、MU)を求め、各試行の平均値を算出した。サンプリング周波数は4000Hzとし、統計処理はStatView-J 5.0を用い、一元配置分散分析(Scheffe)を行い有意水準は5%未満とした。【結果】膝関節屈曲-伸展運動とでは有意差は認められなかった。躍度波形での最大-最小振幅値の差(Max-Min)、MUの平均値は、他動伸展運動ではMax-Min;(緩) 290±93/s<SUP>3</SUP>、(速)679±397/s<SUP>3</SUP>、MU;(緩) 46±6.9回、(速)20±5.3回となった。自動伸展運動ではMax-Min;(緩) 98±50/s<SUP>3</SUP>、(速)136±91/s<SUP>3</SUP>、MU;(緩)27±11回、(速)17±6.7回となった。他動屈曲運動Max-Min;(緩) 225±54/s<SUP>3</SUP>、(速)456±116/s<SUP>3</SUP>、MU;(緩) 44±7.7回、(速)20±4.6回となった。自動屈曲運動Max-Min;(緩) 102±60/s<SUP>3</SUP>、(速)135±79/s<SUP>3</SUP>、MU;(緩) 27±11回、(速)19±4.8回となった。Max-Min・MUともに、他動運動での(緩-速)と、(速)での他動-自動運動で有意差が認められた(p<0.001)。【まとめ】Max-Minが小さければ動作は滑らかであることから考えると、他動より自動運動の方が、(速)より(緩)の方が滑らかであることが認められた。また、MUの増大はフィードバック調節が頻繁に行われていることを示しているため、自動運動では(緩)の方がフィーバック調節が頻繁に行われていることが認められた。本研究により、躍度波形の解析は膝関節運動の滑らかさの指標として有用であることが確認できた。
著者
鈴木 淳
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.65-67, 2012-03-30 (Released:2012-08-23)
参考文献数
7
被引用文献数
3 2
著者
川瀬 雅雄 吉岡 丹 細谷 美佳子 紫竹 美和子
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.48-53, 2015-03-31 (Released:2015-09-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2

Even after Kudoa septempunctata parasitic in Olive flounder was found as a cause of food poisoning, similar cases of unknown cause were still taking place. Juvenile Pacific bluefin tuna (JPBT, hereafter) is often presented in those cases and it is suspected that K. hexapunctata parasitic in JPBT would be pathogenic for humans. We attempted to detect K. hexapunctata from JPBT leftover and patients' feces in 4 cases in Niigata prefecture from 2011 to 2014. In addition, we also investigated excretion of K. hexapunctata into the feces after intake of JPBT on a trial basis. The 4 cases occurred during summer from July to September. K. hexapunctata was detected from JPBT leftover and patients' feces; therefore, it was estimated that K. hexapunctata could be parasitic in JPBT eaten in all those cases. Furthermore, we also found that JPBT and Olive flounder were eaten together in 2 cases, but K. septempunctata was not detected from patients' feces. The detection rate of K. hexapunctata from patients' feces was 86% for feces collected within 3 days after meal, but it was lowered 25% for feces collected after 1 week. The quantity of K. hexapunctata excreted into feces after intake of JPBT on a trial basis tended to be declining with time, and then K. hexapunctata was detected in feces up to approximately 3 days after intake of JPBT. From those results, a fecal examination would be important as collecting feces after meal or during an early stage, and feces collected within 3 days after meal could be appropriate for the examination. Cases in relation to JPBT are similar to those of food poisoning caused by K. septempunctata and it is suspected that K. hexapunctata might be the cause. For K. hexapunctata, it would be necessary to accumulate and examine the case data while clarifying its pathogenicity.
著者
名越 利幸 NAGOSHI Toshiyuki
出版者
岩手大学教育学部
雑誌
岩手大学教育学部研究年報 (ISSN:03677370)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.59-71, 2010-02-26

北原(2008)は,日本学術会議が行った「科学技術の智プロジェクト」の総合報告書の中で,日本人が身に付けるべき科学・数学・技術に関わる知識・技能・考え方を示した。また,近代以降の科学技術における共通の考え方を6つ示し,その一つとして,科学技術を記述する方法として,数式,言語に加えグラフィック技術の発達による「可視化」の重要性を示した。今後,理科教育においても可視化に関する教材開発が望まれる。気象現象において,「雲」は,唯一,水滴・氷晶により可視化され我々の目に見える。この雲の観察では,これまで地上からの目視による観測が行われ,10種雲形に分類し,雲形ごとに雲量を決定してきた。一方,情報機器の進歩に伴い,ライブカメラなどによる定点観測の手法が定着し,HP 上で,各地の空の様子をリアルタイムで観察することができるようになった(中川ほか2004)。それらライブカメラ映像の比較から,冬の北西季節風が一般風に比べ卓越したとき,日本海側と太平洋側のフェーン現象の対比された様子を観察することも可能になった。また,人工衛星「ひまわり」からの雲画像を利用した雲に関する観察教材も多く開発されている(浦野ほか,1983;三崎ほか,1996)。しかし,地上からの雲の動きそのものに着目した教材は,発生原因が明確で観察領域も限られる富士山の傘雲の例などをのぞき,事例がない。その理由は,①雲の動きが非常にゆっくりしているために目視でその動きを捉えにくい点,②雲が発生・消滅を繰り返すことで,その構造を確認しにくい点,③発生原因の異なる各層の雲が混在して変化していることから雲の空間的広がりを認識しにくい点,などである。これらの要因が複雑に絡みあって,雲の動き自体の生徒理解を困難にしている。 そこで,雲が時々刻々変化する様子をWeb カメラにより画像情報としてPC に取り込み,その複数の画像ファイルをビューワソフトにより早回しで再生する簡易インターバル撮影システムを開発し,中学校での気象教育に活用することを本研究の目的とした。そのシステム構成は,Web カメラとパソコン,画像取り込み及び画像表示ソフトからなる既製品の組み合わせで,安価にしかも簡単に構築可能なものとした。さらに,本システムで取得した雲画像データを用い,中学校3年生を対象にした理科の研究授業を行った。
著者
藤原 裕樹 山下 晃弘
出版者
FIT(電子情報通信学会・情報処理学会)運営委員会
雑誌
情報科学技術フォーラム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.213-214, 2014-08-19

近年,人とコミュニケーションを図るために対話機能を持つロボットの開発が進んでいる.一方,スマートフォンが普及する中,SNS(Social Networking Service)の利用者が急速に増加している.特にSNSの1つであるTwitterは,1秒当たり5700件の投稿がなされており,トレンド分析や口コミ分析に利用されるなどリアルタイム性が高い.そこで,Twitterの会話データに基づいて,リアルタイム性のある新たな対話ロボットのシステムを検討した.今回は,特に発話機能に着目したシステム開発について報告する.
著者
田原 聖隆 高田 亜佐子 義家 亮 上宮 成之
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.21(第21回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.273-278, 2007 (Released:2010-01-30)

ライフサイクルアセスメント(LCA)の実施においては,製品製造による資源使用量および環境負荷物質排出量の明細表であるインベントリデータの収集が必要である。我が国では環境問題への関心の高まりから,インベントリデータの拡充が求められている。本研究ではインベントリデータの拡充を目的として,PRTRデータを既存インベントリデータへ導入する手法を提示し,既存インベントリデータとの差異について検討した。また,導入手法の一部について日本版被害算定型環境影響評価手法(LIME)によるLCIAを比較した。
著者
藤田 裕司
出版者
大阪教育大学養護教育教室
雑誌
障害児教育研究紀要 (ISSN:03877671)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.35-51, 1999-03-30

簡易精神鑑定の結果、多重人格障害と診断された殺人未遂犯の女子患者に関する症例報告の補遺として、当該患者との10回に及ぶ治療面接の経過を、逐語録の形で提示した。紙幅の都合上、本症例の心理検査所見との照合等を含めた総合的考察は、次稿に回す。As a supplement of the previous study on a diagnosed case of MPD, the verbatim of a series of 10 psychotherapeutic interviews with her was presented. She was an attempted murder suspect, aged 24. The general comment on the treatment of this patient is to be made in the following paper.
著者
田中 宏宜 板井 陽俊 安川 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.467, pp.7-10, 2014-02-27

人間の足音には固有の特徴があり,我々は足音を聞くことで個人を認識することがある.近年,歩行足音による個人識別が可能であることが示され,足音の解析や識別率の向上に関する研究が進められるとともに,足音から様々な情報を抽出するシステムへの応用が期待されている.足音を用いた個人の自動判別が可能となればセキュリティシステムの一環として防犯対策,早期犯人逮捕などに貢献できるシステムを実現できる.本研究では従来研究では適用されていないHMMを用いた歩行足音の識別を試みる.