著者
米虫 敦 谷川 昇 澤田 敏 狩谷 秀治 野村 基雄 鎌田 実 中谷 幸 吉田 理絵
出版者
関西医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

経皮的椎体形成術後に放射線治療を施行を可能とするための基礎データを得ることが本研究の目的である。本研究により、骨セメントが放射線治療時の線量分布に与える影響を明らかにした。この結果を基にして、椎体転移による激しい疼痛の集学的治療として経皮的椎体形成術と放射線治療の併用療法が可能となり、疼痛緩和治療のイノベーションが創出される。本研究結果は、Radiology Research and Practice誌に公表した。
著者
堀内 聡
出版者
久留米大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

以下の目的を達成するために研究3を実施した:ストレスマネジメント行動を行うことに対するセルフエフィカシー、意思決定バランス、および変容プロセスがストレスマネジメント行動の変容ステージ移行を予測するか否かを縦断的な調査により検証する。全米からproactiveにリクルートした、ストレスに関連した症状(頭痛など)を経験したことのある者1085名を対象とした。このサンプルは主に女性、白人で構成されている。このうち約半数はエキスパート・システムとワークブックを利用した介入を受けている。介入の期間は6ヶ月であり、フォローアップは1年間である。介入前、その6ヶ月、12ヶ月、および18ヶ月後に、変容ステージ、変容プロセス、意思決定バランス、および自己効力感の尺度に回答している。ベースライン時のそれぞれの変容ステージごとに、ベースラインからその6ヶ月までの変容ステージの変化にもとづいて、対象者をステージが進んだ者(前進群)、変わらない者(残留群)、および後戻りした者(後退群)に分類した。前熟考期と維持期については、それぞれ後退群と前進群がないため、2群に分類した。この上で、3または2群の間で、ベースライン時点における変容プロセス、意思決定バランス、および自己効力感の得点を比較した。以上のような分析の結果、以下の点が示された:(1)前熟考期では、体験的・認知的プロセス、恩恵、および自己効力感が重要である。:(2)熟考期と準備期では、TTMの要因ではなく、ストレスが重要である。:(3)実行期および維持期では、行動的プロセス、体験的・認知的プロセス、および自己効力感が重要である。
著者
李 善愛
出版者
宮崎公立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、日韓両国のアマ(海士・海女)の地域別、年齢別、漁業活動について比較考察することで、東アジア沿岸地域の持続可能な資源管理や漁場利用のための民俗知モデル構築を試みた。
著者
高取 聡 起橋 雅浩 北川 陽子 福井 直樹 岡本 葉
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

多岐にわたる加工食品を高脂質食品、低脂質食品、準農産物、ノンアルコール飲料及びアルコール飲料に分類して、これらに適用できる迅速かつ簡便な残留農薬一斉分析法を構築した。当該分析法を活用して市場に流通する加工食品中の残留農薬を分析した結果、食品衛生法の基準を超過する農薬を含む加工食品を検知し、販売者に自主回収を促した。また、消費者からの要請に基づいて風味異常を呈した食品から原因と推察される農薬を検出し、当該分析法の実用性を証明した。
著者
阿部 曜子
出版者
四国大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、グレアム・グリーンが、メディアに強い関心を持ち、メディアを戦略的に使ってきたことに注目し、その表象の在り方を考察するものである。グリーン研究の中では、周縁的な資料とされさほど論じられては来なかったが、グリーンは膨大な量の投書を新聞や雑誌に送り続け、また数多くの映画批評を書いてきた。時代的言説空間を視野に入れつつ、それらを分析・検証することにより、グリーンが大衆文化装置としてのメディアの力学を熟知し、それらを巧みに取り入れ自らの領域としていたことなどを明らかにする。
著者
有吉 誠一郎 田井 野徹 寺嶋 亘 大谷 知行
出版者
名古屋工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、超伝導トンネル接合素子(STJ)の新しい作製法を用いて究極感度の検出デバイス実現へ向けた技術的基礎を築くことにあった。具体的には、従来の多結晶成膜法(スパッタ法)に代わり、単結晶成膜法(分子線エピタキシー法)を導入し、原子層レベルで平坦なトンネルバリア界面を形成することで超低雑音特性をもつAl系STJ素子の作製技術を検討した。まず、Al単層膜の成膜時にはAl203(oool)とsi(111)の2種の基板を用いた。反射高速電子線回折(RHEED)や原子間力顕微鏡等を用いて薄膜の結晶性と平坦性を多角的に評価した結果、平坦性と結晶性の両立の観点から成膜時の基板温度は約100℃が適していることが分かった。次に、MgOをトンネル障壁とする3層膜をSTJ素子に加工し0.3Kに冷却して電流電圧特性を評価した結果、STJ素子の臨界電流密度は15.5~ll7A/cm2、素子品質の指標の一つであるR、g/R、は4.0~60.2であり、良好な特性を有する3層エピタキシャルSTJ素子を実現した。
著者
大森 美津子 小野 幸子
出版者
香川医科大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

1.ビハーラ安芸に所属する僧侶1名、ビハーラ花の里病院に勤務している僧侶1名とこの病院でビハーラ活動を行っている「広島県北部会と三次活動の会」の会長に面接を行い、ビハーラ活動の実態について調査した。調査の内容は、ビハーラ活動のきっかけ、組織と運営、目的、対象の選定、活動の場・内容・頻度、活動の評価、今度の課題についてであった。2.179名の一般の人々を対象とした宗教的なニーズとケアに関する意識調査をした結果、(1)保健医療施設に入院または入所時に、宗教的な活動の場が必要と考えた者は3割弱であり、考えなかった者は3割弱であり、残りの約半数近くはわからないであり、(2)必要に応じて関わることのできる宗教家がいて欲しいと考える者は約3割、考えない者は約2割であり、わからない者は約半数であった。(3)宗教家に求めるケアの内容は「心のケア」「心の安らぎ」「死の受容」「専門的な教えや会話」などであった。(4)予後不良の病気に罹患した時に宗教家の関わりを希望する者は約1.5割であった。(5)信仰する宗教がある者の内、予後不良の病気に罹患した時に、宗教的活動を続けることを望む者は約6割であった。詳細については報告書で報告する。
著者
鈴木 孝庸
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、各地に所蔵されている文献資料を直接閲覧することと、平曲演奏家・橋本敏江氏に実際の平曲演奏に関する様々ことがらを聴取することを基礎とし、その上で、考察および資料紹介を行うことにしている。以下、主要な研究成果を挙げることにする。(1)平曲譜本に関しては、9所蔵機関を調査した。(2)2種類の新出平曲譜本を入手した。(3)6種類の平曲譜本の複写を入手した。(4)尾崎家本『平家正節』のパソコン入力を完了した。(5)宮崎文庫記念館蔵『平家物語』(平家吟譜)を影印刊行した。(6)1種類の平曲指南書の複写を入手した。(7)當道資料に関しては、5所蔵機関を調査した。(8)1種類の新出當道資料を入手した。(9)2種類の當道資料の複写を入手した。(10)橋本敏江氏よりの「平物」に関する教授は終了し、特別な曲に入り、「読物」は終了した。
著者
渡辺 隆 大場 孝信
出版者
上越教育大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

鉱物の組み合わせや鉱物の組成は温度や圧力などの物理条件が一定の時は母岩の組成に支配されることが良く知られているが、混合層鉱物の生成を母岩の化学組成との関係で考察されたものがほとんどない。これに関係するいくつかの研究があるが、世界の泥岩中の続成作用でできたイライト/スメクタイト混合層の化学組成や層電荷は、比較的良く似ていると述べている。このことは、世界の砕屑性堆積物の化学組成が似ており、そこからできるイライト/スメクタイト混合層の化学組成が似ていること示している。また、SiO2活性度がイライト化に関係があると報告している。これまでの研究で我々も、同じ層準で泥岩中のスメクタイトの方が砂岩中のスメクタイトよりイライト化がわずかに速いことを確認した。しかしながら、東頚城ボーリング試料を見るかぎり、砂岩と泥岩のSiO2量に違いはみられない。Altaner(1986)は、K-長石からのKの溶脱は、イライト化にともなうKのスメクタイトへの固定に比べ、はるかに大きいことを報告している。このことも、堆積物の粒子の大きさより鉱物の組み合わせが重要である事を示唆する。これらの結果と本研究の結果から考えると、新潟平野ボーリング試料と東頚城ボーリング試料の化学組成の違いは小さく、イライト化に重大な影響を与えていないように見える。深度増加にともなう温度の増加と、反応が進む継続時間の方が、イライト化進行にとって重要だと考えられる。また、東頚城ボーリング試料の砂岩と泥岩の化学組成はほとんど同じことから、砂岩と泥岩にイライト化進行の違いを認めるとするなら、源岩の化学組成の違いでない別の要因を考える必要がある。このため、スメクタイトからイライト化にともないKの供給物として、K-長石、火山ガラスや黒雲母の表面がどのように溶脱していくのかを詳細に検討をする必要がある。
著者
野嶋 慎二 易 洪艶
出版者
福井大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

1.研究の目的本研究は、中国で急激な都市化により都市周辺部の集落が市街化され大きな社会問題となっている城中村の持続的な開発整備方法を検討するため、城中村と日本の高密な住宅地区との比較を行うことを目的としている。2.研究調査の実施状況(1)187城中村の開発状況と碑林区の15城中村の開発方法のまとめを行った。(2)昨年度調査した雁塔区東三爻村の借家人64世帯を追加調査し全100世帯の借家人の今後の転居志向を分析した。(3)調査時点(2010年1月)で解体された村65村(西安市全187城中)、その内、村民が新居に入居した9村から集団が改造の主体となっている西何家村を取り上げ、50人についてヒアリング調査を行い改造後の居住変化を分析した。(4)日本側の研究対象とする大阪市の空堀地区との比較を行った。3.これまでの研究で明らかになったことと意義(1)西安市187城中村の開発ではスラムクリアランス型大規模改造方法による住環境改善が可能であることが明らかになったが、下記の課題も判明した。(1)借家人は改造後他の城中村に住む志向性が高く、改造後の城中村が農村部から流入した住民や低収入者の受け皿機能を継承できるかということ。(2)城中村改造は村民の戸籍、土地所有権、経済の形態に変化をもたらし、政府が補償する住宅と店舗は改造後の村民の生活を支えられるかという課題、(3)村民の家族の居住形式や居住世帯、コミュニティに大きな変化をもたらしたこと。(2)日本側の調査では、大阪市の空堀地区には近隣意識、空間、近隣活動、コミュニティには相互に密接な関係性があり近隣空間の持続可能性を考えていく上で必要不可欠な要素であることが明らかになった。(3)社会制度は異なるが日中両国の開発から学ぶことは、日本からは多様なコミュニティを支える自律的な住環境形成と保全的な更新を考える開発方法、中国からは政府が主導する中国城中村の改造スピードを生かすことである。以上、急速に変化している中国城中村の居住実態とデータが得られたことは資料的に大きな価値があると考える。
著者
熊谷 純
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

細胞の存在する状態で放射線照射された培養液を回収し、その被ばく培養液を被曝していない細胞のフラスコへ移し処理すると、被ばくしていない細胞中に放射線影響を受けたかのような挙動を示すものが現れる。これは、培養液を介したバイスタンダー効果と呼ばれ、照射された細胞(ドナー細胞)から分泌されたバイスタンダー因子が、別のフラスコの未照射細胞(レシピエント細胞)に作用して起こる現象と理解されている。我々はバイスタンダー培養液をレシピエント細胞に24時間作用させると、遅発性長寿命ラジカルが生成して突然変異頻度が上がることを見出した。バイスタンダー培養液に24時間晒されたレシピエントCHO細胞では、ドナー細胞の吸収線量が1Gyの場合、ラジカル濃度がそれぞれ27%有意に増加することを見出した。この増分が遅発性長寿命ラジカルにあたり、その濃度はおよそ130pMと見積もられた。ドナー細胞がない場合は培養液を照射してもラジカル濃度は増加しなかった。ドナー細胞の入った系にミトコンドリアの電子伝達阻害剤Myxothiazolで照射前に2時間処理すると(0.5μM)、レシピエント細胞中のラジカル濃度は増加しなかった。従つて、照射されたドナー細胞中のミトコンドリアの機能不全が培養液へのバイスタンダー因子の放出に関与していると考えられる。バイスタンダー培養液にアスコルビン酸(AsA:1mM)を加えると、ラジカル濃度の増加は抑制され為が、NAC(5mM)の場合は抑制されなかった。突然変異頻度試験においても、AsA添加によって突然変異頻度は有意に下がったが、NACを添加しても下がらなかった。本結果はバイスタンダー効果によって誘発された遅発性長寿命ラジカルがAsAによって消去されて突然変異が抑制されたと考えられ、遅発性長寿命ラジカルが直接あるいは間接的に突然変異誘発に関与していると示唆される。
著者
高山 龍太郎
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

シカゴ学派社会学の研究法を範例に、不登校の居場所づくりに関するフィールドワークをおこなった。その目的は、不登校の居場所で繰り広げられる具体的な社会生活を描き、スタッフの役割や居場所を規定する価値観などを明らかにすることである。居場所の活動は、(1)諦めと休息、(2)夢中になる、(3)目標との出会い、(4)仲間との共働、という4つの局面から構成され、子どもは局面(1)から局面(4)へ少しずつ活動の幅を広げていき、居場所の外とつながっていく。居場所のスタッフの役割は、それぞれの局面での活動を活性化させることであり、そのとき生じるトラブルを解決して安心・安全な場を維持することである。居場所を規定する価値観は、子どもの意思やペースの尊重、競争の排除などであり、学校とは対照的である。「学校的価値観と居場所的価値観の行き来」という観点からそれぞれの居場所が想定する子どもの成長の軌跡によって不登校の居場所を類型化すると、(1)補完型(小回り・大回り)、(2)対抗型、(3)代替型という3類型が導き出される。
著者
陣内 佛霖
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

プラズマエッチングプロセス中の表面反応過程を解明するためには、プラズマから基板に照射されるイオン・ラジカル・紫外光などの活性種をモニタリングすることが重要です。特に、イオンは基板表面に形成されるシースによって加速され、基板に入射する。MEMSデバイスでは、基板の表面形状サイズがシース長と同程度となるため、シースが基板表面に沿った形となりイオンの入射軌道が曲がり、ホールが斜めにエッチングされてしまうといったマクロな形状異常が発生してしまう。この問題を解決するためには、実際の基板に入射するイオンの情報から、基板形状に沿ったイオン軌道の予測を行うことが必要である。基板上のイオン情報を得る技術として、オンウェハプローブを開発した。オンウェハプローブは、シリコン基板上に電極と絶縁膜で形成されており、プラズマ照射中の電流・電圧特性を測定することができる。この電流・電圧特性から、シース長を求めることができる。これらの値から、基板形状に沿ったシース形状が予測でき、イオン軌道の予測に成功した。オンウェハプローブ測定に基づいたイオン軌道の予測は、基板上で測定することにより、実際のプラズマ状態を反映することができる。この技術は、エッチングプロセス中のマクロな形状異常の発生メカニズムを明らかにするという点において学術的意義があり、同時にプラズマ形状予測にも貢献することにより産業応用的にも意義あるものである。
著者
片岡 孝夫
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

細胞傷害性T細胞(CTL)はパーフォリン依存性経路およびFasリガンド依存性経路によってウイルス感染細胞や腫瘍細胞を殺傷する。エポキシシクロヘキセノン誘導体ECHやRKTS-33は、カスパーゼ8の活性化を阻害し、Fas依存性のアポトーシスを特異的に阻害する。ECHやRKTS-33は、CTLによるFasリガンドの発現誘導に対する抑制作用が弱かったが、パーフォリンを発現していないCD4^+CTLやコンカナマイシンAで処理したCD8^+CTLによるFasリガンド依存性の細胞傷害経路を強く抑制した。しかしながら、ECHやRKTS-33はCD8^+CTLによるパーフォリン依存性の細胞傷害経路を抑制しなかった。これらの結果から、ECHやRKTS-33は、CTLの細胞傷害機構において、Fasリガンド依存性経路の特異的な阻害剤であることが明らかとなった。タンパク質合成阻害剤アセトキシシクロヘキシミド(E-73)は、IL-1による転写因子NF-κBの活性化を抑制せず、TNF-αによるNF-κBの活性化を選択的に抑制する。ヒト肺がん腫A549細胞をE-73で処理すると、TNFレセプター1のA549細胞における発現量が減少し、低分子量化したTNFレセプター1が培地中に増加することが観察された。メタロプロテアーゼ阻害剤GM6001やTACE(TNF-α converting enzyme)阻害剤TAPI-2で前処理すると、E-73によるTNFレセプター1の培地中への蓄積が抑制された。以上の結果から、E-73はTACEによるTNFレセプター1のシエディングを誘導することによって細胞表面のTNFレセプター1の発現量を減少させ、TNF-αに対するA549細胞の反応性を低下させることが明らかとなった。
著者
石田 直理雄 花井 修次 霜田 政美 浜坂 康貴 宮崎 歴
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

種形成のための生殖前隔離分子機構としてショウジョウバエの交尾リズムの重要性を研究してきた。これまでの研究結果は,交尾時間を制御する雌特異的分子機構の存在を強く示唆している。既にこれまでの実験結果からアナナスショウジョウバエもキイロショウジョウバエやオナジショウジョウバエと異なるそれぞれの種独自の交尾リズムを示す事を示してきた。さらに,オナジショウジョウバエの時計遺伝子がどの程度キイロショウジョウバエの交尾リズムに影響を与えるかも解明してきた。現在,ロコモーター行動リズムや羽化リズムに関る脳内中枢は既に同定されているが,交尾リズムの中枢については全く未知である。そこで,交尾リズム脳内中枢を同定する目的で欠失変異株(per0)にPER蛋白質を様々な部位で発現しているトランスジェニックフライを用いてその交尾リズムの有無を解析してみた。その結果交尾リズム中枢は,行動リズムの中枢と別の部位であることを同定した。そこで,RNAi法を用いてこれら複数の領域を絞り込んだところ,DN1,2,3とLNd領域でのperの発現が交尾リズムに必要である事が明1らかとなった。生殖前隔離機構の1つとして雄バエが雌バエを追いかけるproximityリズムをビデオで測定する系を確立し,これに関わる脳内中枢の同定に成功した。脳内中枢の同定には,UAS/GAL4の系を用い,夜時計昼時計特異的な細胞死を起こしたショウジョウバエを使った。その結果,夜時計中枢の破壊を行った時のみproximityリズムが消失した。この中枢は我々が既にお見合い法で同定した雌の交尾受け入れ中枢とは異なる事から雌の交尾成功率を左右する脳内中枢と雄のproximity中枢が共進化することが解明された。
著者
鈴木 友之
出版者
神奈川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

Navier-Stokes方程式の弱解の正則性を圧力に対するある条件の下で証明した.特に,圧力がLorentz空間に基づくスケール不変な空間において十分小さい場合,換言すれば自己相似的に小さい場合の爆発の可能性を排除した。またこの結果はMHD方程式に対しては,圧力項に加え磁場がスケール不変なLorentz空間に属している場合に同様の結果が成り立つことも示された。
著者
村田 芳子 寺山 由美 細川 江利子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、学校体育における「表現運動・ダンス」の学習内容について、その理論的な枠組みを検討するとともに、児童を対象とした題材調査と教員を対象とした実施調査を通して発達段階に対応した学習内容の選定と配列の試案を作成し、小学校及び中学・高校の授業実践を通してその妥当性を検証した。本研究は新学習指導要領の改訂とその実施に向けた時期と重なる中で、それに対応した先駆的な実践研究として高い関心を得るとともにその啓発に大きな成果をもたらした。
著者
中里 洋一 平戸 純子 佐々木 惇 横尾 英明 石内 勝吾
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

脳腫瘍の組織・細胞形態、形質発現、遺伝子異常の観点から、脳腫瘍の特性を解析した。この中でdiffuse astrocytoma,oligoastrocytoma, oligodendroglioma,pilocytic astrocytoma,glioneuronal tumorなどの腫瘍に小型円形細胞が存在し、これが共通して核内転写因子Olig2を発現することを示し、これらの脳腫瘍の発生母細胞であることを指摘した。蛋白発現ではGFAP,Olig2,nestin,NFPなど、遺伝子異常ではIDH1,p53,EGFR,1p/19q,INI-1が重要であり、これらの蛋白発現および遺伝子異常の組み合わせと従来の病理組織学的分類を融合させることにより、脳腫瘍の形態・遺伝子分類の基礎を確立することができた。
著者
時松 孝次 田村 修次 木村 祥裕 鈴木 比呂子 内田 明彦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

近年の地震では、近接した同一条件地盤にある建物間で、杭が損傷し上屋は無事であった事例、逆に、杭は無事で上屋が損傷した事例が認められた。このことは、地盤と構造物の相互作用を理解して構造物設計に反映することで、上屋の応答を低減するとともに基礎被害を防止する可能性を示している。そこで、本研究では、地盤と構造物との非線形動的相互作用の理解を深め、その効果を積極的に利用して、上屋応答と基礎応力の低減を図る基礎構造の可能性を検討し、併せて基礎の合理的設計法、限界状態設計法確立に資する試料を整備するために、遠心載荷振動実験、大型振動台実験、数値解析に基づく検討より、次のことを示している。1)土圧、側面摩擦、構造物慣性力の作用の組み合わせは地盤変位と基礎変位の関係、地盤固有周期と構造物固有周期の関係、液状化層厚により整理できること、(2)群杭の地盤反力は非液状化地盤では前面杭で大きくなるが、液状化地盤では隅杭で大きくなり、その結果、杭頭の水平荷重分担は非液状化地盤では前面杭、液状化地盤では隅杭で大きくなる傾向があること、(3)局部座屈と全体座屈の連成挙動の可能性は杭の細長比、地盤の剛性、固定度などにより整理でき、鋼管杭の座屈荷重は、提案する一般化細長比を用いることで鋼構造設計規準の座屈曲線に対応し、現行の圧縮材の規定を準用できること、(4)地盤・杭-構造物系の応答は、入力動の卓越周期、地盤の固有周期、構造物の固有周期の関係、液状化発生の有無、基礎根入れの有無によって変化し、その結果、杭応力の増大に影響を及ぼす基礎根入れ部の土圧、構造物慣性力、地盤変位の作用の組み合わせも異なることを示している。
著者
金井 篤子 松本 真理子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、より有効な介入システムを構築するため、実際に中学校で起こってしまった事件後に行った緊急介入の際に、心理的支援を目的に実施したIES-Rデータおよび介入経過を分析した。IES-RはPTSDのハイリスク者をスクリーニングする目的で広く使用されている。その結果、事件直後は事件に暴露した生徒の60%、暴露していない生徒の9%にハイリスク群がみいだされたが、1ヶ月後にはそれぞれ4%、3%となった。暴露生徒の支援は当然ながら、暴露していない生徒の支援も重要であることなどが明らかとなった。