著者
岩田 孝仁 浜田 信生
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.621-634, 1986-12-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

In the present study, we have accumulated most complete seismological data and reinvestigated the seismicity associated with the 1944 Tonankai earthquake. Because of poor observation and social difficulty during the World War II, incompleteness and insufficiency in observational data resulted in rather obscure view about the actual process and mechanism of the earthquake. Number of aftershocks and their location accuracy reported by existing studies seem to be dissatisfactory for detailed discussion.We found some observational data that are still available but have not been used yet, then, we applied a modern hypocenter location method to the newly compiled data and succeeded in increasing the number of accurately located aftershocks more than twice. The followings are important findings of the study.The mainshock initiated from the bottom of the fault plane, in the south-west corner of the focal region. This feature is in accordance with the results of some previous studies. Most of aftershocks concentrated in the vicinity of the Shima spur, which extends south-east from the Shima peninsula to the Nankai trough. Temporal broadening of the aftershock region toward south-east along the spur is recognized and this trend seems to continue over 40 years until now. Distribution of aftershocks around Shionomisaki, the southern top of the Kii peninsula, may suggest some overlapping of the focal regions of the Tonankai and the 1946 Nankaido earthquake. Aftershock activity or induced seismicity is also recognized in the middle part of Shizuoka prefecture where some seismologists assume the focal region of a future interplate earthquake, so called Tokai earthquake. Seismicity around the southern Izu peninsula may represent an induced activity along one of the active faults which strikes southeast from the peninsula. Other induced seismic activity in inland area of central Honshu indicates a large extent of the effect of the interplate earthquake on the tectonic environment of the mentioned area. This study will contribute to gain better understanding of the process and mechanism of the Tonankai earthquake.
著者
佐藤 浩 青山 雅史
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100197, 2014 (Released:2014-03-31)

1944年12月7日に発生した東南海地震(M7.9)では、紀伊半島沿岸で甚大な津波被害が発生した。その3日後には、米軍が偵察飛行によって被害状況を調べ、縮尺1/16,000の空中写真を残した。先行研究は、空中写真判読によって三重県尾鷲市中心部の被害状況を報告した。本研究では、尾鷲市南部に焦点を当てて、その空中写真判読によってその被害状況を報告する。
著者
坂本正仁[ほか]編
出版者
雄山閣出版
巻号頁・発行日
1993
著者
伊藤 秀史
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.566-573, 2012-10-01

本稿では,たとえば組織のトップとミドルの関係を表すシンプルなプリンシパル・エージェント理論によって,(a)情報収集努力を行うインセンティブと(b)情報をトップに正直に上げるインセンティブとの関係を分析する.そして,(a)のインセンティブを強めることが(b)のインセンティブを歪め阻害して「イエスマン」を生み出すこと,(b)のインセンティブを与えるためには(a)のインセンティブを弱めなければならないことを明らかにする.
著者
平川 公子 ヒラカワ キミコ
出版者
大阪大学大学院文学研究科社会言語学研究室
雑誌
阪大社会言語学研究ノート
巻号頁・発行日
vol.8, pp.116-131, 2008-03

本稿では福岡市方言における文末詞バイおよびタイについて以下の記述を行う。(a) バイ、タイはいずれも平叙文にのみ生起し(4.1)、ト、ゲナの後、ネ、ナの前の位置に生起可能なモダリティ形式である(4.2) 。(b)バイは、発話時において聞き手にとって新規である(と話し手が判断する)情報を提示する機能を持つ(5 .1 )。(c)タイは、発話時において聞き手にとって新規で、ある(と話し手が判断する)情報を、自己の知識へ確認・照会した上で提示する機能を持つ(5.2.1)。(d)バイとタイに共通するのは「聞き手には発話時において当該情報が無い」とする話し手の判断である(6.1)。(e)バイは発話時における新規情報を提示する以外の機能は持たないが、タイは提示する情報を話し手が自己の知識や記憶に照会・確認するという機能が付加されている(6.2) 。タイの様々な語用論的意味(5.2.2) はこのために生じる。
著者
望月 照彦
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.63-73, 2001

21 世紀の盛り場づくりは、カオスの思想・複雑系の発想で展開しなければ、人間にとって面白くわくわくするような環境にはならない。細い小路や小さなブロック、複雑な機能を持った人々が密度高く暮らし過ごす、ごちゃまぜの街。そんな条件を持つ渋谷の公園通りのさらに裏側に今また注目すべき現象が生まれている。商機能や飲食の機能を土壌に、"知の盛り場"が生まれつつあるのである。 すなわち、ニューヨークのシリコンアレーを越える渋谷=SIBU バレー=スーパー・インテレクチュアル・ビジネス・ユニバース・バレーである。 このSIBU バレーは、世界で最初の"知の盛り場"であろう。
著者
伊藤 忠弘
出版者
東京大学教育学部
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.153-162, 1992-03-30

Since Jones & Berglas (1978) presented the conception of self-handicapping, a lot of empirical research on self-handicapping was reported. Some reseachers drew a distinction between "acquired" (or "behavioral") self-handicapping such as drug ingestion, alcohol consumption, effort reduction, and choosing a difficult task, and "claimed" (or "self-reported") self-handicapping such as verbal claim to be ill, socially anxious, test anxious, or in a bad mood. This paper reviewed these studies from three points of view : (a) the situational factors that elicit or inhibit self-handicapping, (b) the individual differences in self-handicapping behavior, (c) the effects of self-handicapping on its users and audiences.
著者
阪内 秀記
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1949-1950, 1988-09-12

配電系は、電力を輸送するシステムの末端に当たり、変電所と、個別需要家をまとめた配電区間からなるネットワークである。配電区間は、遠隔操作可能なスイッチにより他の区間と接続されている。通常、信頼性向上のため、1つの配電区間に対して、2つ以上の経路からの供給が可能な構造をもち、監視所からのスイッチ操作により、配電経路の変更が可能である。実際の事故が起こって停電した場合、事故原因のある区間を迅速に復旧することは困難である。しかし、スイッチ操作による事故区間切り離しと経路変更によって、事故区間以外を迅速に復旧することが可能な場合がある。この復旧は、一時的なものであるが、二重の事故に備えて、変電所内のフィーダの負荷を均一化した解を得ることが重要である。実際の問題におけるスイッチの数は、一ヶ所の監視所で数千のオーダに上るため、有効な計画支援システムが要求されている。本文では、配電系における障害時の対応復旧計画システムの基本方式を提案する。
著者
加藤 径子 小川 英明 河田 克博 内藤 昌
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.542, pp.153-159, 2001

The aim of this paper is to study the characteristics of land use in Spanish cities. We firstly reconstructed city maps, the nanalyzed and compared with respect to the ratio of land use area. The results show the followings; i) land use patterns inhistorical area of Spanish cites are dominated by economic uses, ii) in Barcelona and Madrid, a special patten of land use are observed reflecting their political positions, iii) at the turn of the 20th century, central urban areas were mainly used for economic purpose in all cities.
著者
小野澤 正喜 小池 庸生 周東 聡子 泉水 清志 三浦 哲也 伊藤 優子 櫻田 涼子 幸田 麻里子 金子 義隆 藤原 愛 大島 宗哲
出版者
育英短期大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

グローバル化の中で外国人との接触が増え、日本人の異文化に関する意識に大きな変容が生じている。異文化との共生の中、群馬県の青年層が異文化をどのように捉え価値観を見いだしているのか調査を行った。調査では、地域のコミュニティよりも学校生活における友人関係が、異文化に対し強く影響を与えている傾向が見られた。
著者
河西 秀哉
出版者
大阪産業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、第一次世界大戦後から1950年代後半までを対象時期として設定し、象徴天皇制の思想的基盤の解明を試みようとしたものである。第一次世界大戦後の世界的君主制の危機を踏まえ、日本でも近代天皇制の再編に関する構想が提起された。昭和戦前期にももちろん断絶した部分もあるが、構想が継続し、敗戦後へと繋がった。それは、大衆化・現代化といった問題への対応だったと考える。
著者
小嶋 恵子
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

談話理解に基づく知識の獲得と改定を調べるために、3系列の実験を行った。第1に、大学生による推理小説の読解過程を検討する実験を4つ行った。推理小説を読むのを途中4ヶ所で止めて、犯人や動機についての推理を述べさせた。解釈の構成と変更を規定する4つの要因に着いて次の事か明らかになった。(1)テキストが与える情報について、テキストを読み進むにつれて推論は正答に達し、あるいは近づいた。一部異なる情報を含むテキストを与えると解釈も異なることが確かめられた。(2)推理小説の筋の運びについての既有知識は正しい推論を促進する場合もあるが、深読みしすぎをまねくこともあった。(3)読み手は自分が一度構成した解釈にこだわれ、変更が困難であることが見られた。(4)解釈の共同見解を2人で作ることを求めると、相手の解釈を採用したり、話し合いによって新しい解釈を生み出したりすることがあった。第2に、多義語(漢字熟語)を含む文章の理解過程を観察し、次の特徴を明らかにした。文章全体についての表象は最新情報にもとづいて変更されたが、多義語の解釈の修正は困難で、生じた矛盾解消のために余分な推論をしていることがみられた。第3に、日本語における辞書的多義性低減の方略について検討し、次の結果を得た。大学生は辞書的多義性に気づいており、辞書的多義性をどうすれば低減できるかについての知識を持っていた。全体として、読み手は談話の中の情報と外の情報との両方を使って知識を構成している。
著者
早瀬 伸子 横山 桂子 五十嵐 慈保子〔他〕
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.57-64, 1997-02-07

1996年度,親の希望も参考にして個別指導目標を作成し,その具体的な指導の手だてを考え,学習時間,休み時間,給食時間,清掃時間などに継続して個別に指導した。二学期末に,児童はチャイムがなると学習の用意をし,静かに課題に取り組むようになった。3年のD君は,一学期一時間に何度も教室から飛び出し,自分の好きな所に行こうとし,それが阻止されると叩いたり噛じった。二学期末には,絵カードでトイレやパソコンなど自分のしたいことを伝え,指示や課題に素直に取り組むようになり,教室から飛び出さなくなった。2年のAちゃんは,一学期は突然泣き出したり,人を叩いた。二学期末には,泣き出すことが少なくなり,級友と追いかけっこをし,課題に取り組むなど予想以上の成果を得た。
著者
朝長 健太 櫻井 康雅 矢寺 和博 川波 敏則 西田 千夏 山崎 啓 中村 武博 吉井 千春 城戸 優光 佐多 竹良
出版者
医療法人茜会・社会福祉法人暁会学術委員会
雑誌
昭和病院雑誌 (ISSN:18801528)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.060-064, 2007-10-01 (Released:2008-03-30)
参考文献数
7

症例は1日25本×50年間の喫煙歴のある67歳男性。15年前から糖尿病の治療歴あり。健診での胸部レントゲン写真異常と労作時呼吸困難のため来院。受診時に低酸素血症(room air SpO2 86%)を認め、胸部レントゲン写真では、両肺野全域にわたる斑状網状影、胸部computed tomography (CT)では気管支周囲の間質を中心としたびまん性の斑状網状影、すりガラス影を認めた。経気管支肺生検にてcellular NSIPに矛盾しない所見が認められ、総合的に非特異的間質性肺炎(NSIP)と診断し、副腎皮質ステロイドパルス療法を含む治療を行い、軽快退院に至った。