著者
三谷 徹 岡部 佳代子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.407-412, 2006-03-27
被引用文献数
2

This study aims to observe the spatial characteristics of Zen Buddhism gardens perceived under the minute light environment of the moon. Through the quantitative analysis by PC-simulations based on 'radiosity program,' the following points are recognized ; 1) the amount of moonlight reflection from the white sand surface in the garden is about fifteen times compared to the wet soil surface, and the building interior gains 1.9 times the brightness, 2) this intensive contrast of brightness between garden and building interior causes a distinctive spatial perception, 3) gardens are carefully designed to take advantage of hourly and seasonal change of moonlight. Those built in latter periods achieve better effect of the reflection through the night and seasons. Meanwhile the possibilities of PC-simulation for the garden design study are realized as followings; 1) the comparative analysis by hypothetical modeling is effective to figure out the intention of the design, 2) a number of gardens are able to be observed simultaneously under the same moonlight condition without any climate influence.
著者
秋野 晶二 林 倬史 坂本 義和 山中 伸彦 鹿生 治行
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

PC産業は、細分化された分業構造を基盤としながら、絶えざるイノベーションを特徴として成長を続けてきた。この継続的イノベーションは、部品・周辺機器産業におけるイノベーションと、そのイノベーションを方向づけるバスアーキテクチャのイノベーションとの二重のイノベーションにより実現され、それを可能にする企業内、企業間の開発・生産ネットワークが形成されてきた。ここでは製造機能、開発機能、販売機能のグローバルな分業構造が新たに見られる一方、製造機能は、規模/範囲の経済性を有効に機能させるための水平的統合・垂直的統合が見られる。
著者
武田 邦宣
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

ハイテク産業における合併規制の違法性判断基準のあり方について、米国および欧州との比較から、日本法への示唆を得ることを目的に研究を行った。2004年度に「ハイテク産業における企業結合規制」にて米国反トラスト法における規制事例を網羅的に検討した後に、その後の米国法をフォローするとともに、改正後のEC集中規則の適用事例を整理・検討している。そこでの成果は、独占禁止法の適用余地が少ないと考えられてきたハイテク産業においても独占禁止法適用の価値は大きく、またこれまでの伝統的産業とは異なる全く新しい違法性判断基準作りが必要というものである。「市場獲得のための競争(competition for the market)」は、その分析基軸になるものと考えている。ECではしばしばそのような考え方を規制事例に確認することができ、米国においても政権による揺らぎはあるものの、同様の反トラスト法思想は既に存在するものと考えられる。以上のような比較法研究と同時に、日本法との比較を行うための準備作業を進めた。具体的には、我が国におけるこれまでの企業結合規制の特色を抽出するために、過去の公表相談事例を整理・分析した。本年度はその成果を「企業結合規制にみる公取委の市場画定・市場分析手法」にて公表することができた。また、昨年度のジョンソン&ジョンソンの事例に見られるように、市場の国際化に伴い外国会社同志の合併が大きな問題になるものと考えられることから、市場画定、独禁法の域外適用の問題について基礎研究を蓄積しつつある。
著者
鈴木 祥之 鎌田 輝男 小松 幸平 林 康裕 後藤 正美 斎藤 幸雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、伝統構法木造建物に高い耐震性能を与える耐震設計法、耐震補強法および新しい耐震補強用の構造部材の開発を行い、また京町家や社寺建築など文化財的木造建築物の保全・補強に役立てることを目的として、以下の研究を実施した。(1)伝統構法木造建物の耐震性能評価法の開発:E-ディフェンスで実施した京町家ならびに伝統構法木造住宅の実大振動台実験で耐震性能評価法の検証を行った。また、2007年の能登半島地震、新潟県中越沖地震の被害調査を実施し、民家、社寺建築物の構造詳細により耐震性能評価を行った。(2)木材の構造的劣化診断:木造部材の構造的劣化特性を調査し、耐久性の検査方法を確立し、構造劣化の診断法を開発した。2007年能登半島地震被害調査から腐朽・蟻害などの被害が顕著であった民家を対象に構造部材の劣化程度を調べるとともに軸組の耐震性能に及ぼす影響を調べた。(3)耐震性能設計法の開発:伝統構法木造建築物の耐震性能設計法として、限界耐力計算に基づく設計法の開発を行った。また、2007年6月に建築基準法が改正され、伝統構法の設計において非常に大きな社会問題になった。これに伴い、限界耐力計算による耐震設計法の検討を行うともに、伝統構法木造建築物の設計法の課題となっていた柱脚の滑りや水平構面の変形などの研究を進め、設計法の実用化を図ってきた。(4)既存建物の耐震補強法の開発:伝統構法木造建物に適用可能な耐震補強用の構造部材として乾式土壁を用いた小壁や袖壁やはしご型フレームの開発を行った。振動台実験などで補強効果を検証するとともに、住宅用と社寺など大型木造建築物用として実用化を図った。(5)文化財・歴史的木造建築物の保全・補強への応用:実在の寺院建築物の耐震性能を評価し、耐震補強法の開発を行い、実用化した。この耐震補強法は、有用な方法であり、多くの社寺建築物などの文化財・歴史的木造建築物に応用可能である。
著者
中前栄八郎 多田村 克己 西田友是
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.1077-1085, 1986-11-15
被引用文献数
1

本論文は 光の鏡面反射・屈折を考慮する必要のある物体を含む画像を表示するための手法として 処理の速いスキャンラィン法を基本とし 局所的にレイトレーシング法を適用する手法を提案するものである.レイトレーシング法は 光の鏡面反射・屈折を考慮することが可能なことや 各種形状の物体を取り扱えるメリットがある一方 一般に探索する光線と物体との交点を求めるために膨大な計算時間を必要とする欠点がある.そこで 外接箱(bounding box)を用いてこの計算量を節減する手法が開発されている.しかし この手法は 光源数が増すにつれ 影の計算時間が大きな割合を占める欠点がある.これらの問題を解決し 光の鏡面反射・屈折を考慮する必要のある物体を含む画像を高速に表示するために 次のような特徴を持つ手法を提案する.1)レイトレーシング法は鏡面反射や屈折を考慮する物体のみに適用する.この際 可視面(視点からの光線と最初に交わる面)は スキャンライン法によって容易に求められるから レイトレーシング法を適用する領域を容易に局所化することができる.2)レイトレーシング法を適用する際の視点からの光線の探索および形の処理に 外接箱と影空間(shadow volume)を用いる.これにより 計算点に他の物体が影を落とすか否かの判定を高速化できる.
著者
丹野 正
出版者
弘前大学大学院地域社会研究科
雑誌
弘前大学大学院地域社会研究科年報 (ISSN:13498282)
巻号頁・発行日
no.6, pp.3-30, 2009-12-28

今西錦司は、生物のそれぞれの種ごとに、「種個体」たちから成る「種社会」が存在すると提唱した。多くの生物(動物)の種社会は、個体維持能力と種属維持能力を兼ね備えた種個体たちから直接に構成されているだけで、種社会の内部に複数の種個体たちから成る持続的な集団(群れ)を形成していない。彼は野生ニホンザルの種社会の中に社会的単位としての群れの存在を認めたが、ニホンザルの群れのメンバー構成が非常に安定しており、群れ間は対立していることが明らかになるにつれて、無意識のうちにその「群れ」と「種社会」とを重ね合わせてしまい、群れはそれ自身で個体の再生産を果たしている閉鎖的で自己充足的な集団であると見なしてしまった。 その後、ニホンザルの群れは、雌は生まれ育った群れにとどまるが、雄は生まれ育った群れを離脱して他の群れに移籍する、「半閉鎖系」であることが明らかになった。伊谷純一郎はこのことおよび他の霊長類の群れも閉鎖系ではないことを重視し、群れを霊長類の種社会を構成している「単位集団」と位置づけた。ただし彼は、単位集団間の雄または雌の移籍を、インセストの回避機構なのだと解釈した。しかし、種社会が単独生活の種個体たちからではなく、単位集団から構成されている場合、単位集団間に種個体のなんらかの交流ルートが存在すること、すなわち単位集団なるものは通世代的な閉鎖系でありえないことは、種社会論からの論理的帰結であり、この事実は「種社会の実在」を証明する発見だったのであって、インセストの回避機構と解釈すべきものではない。 ヒトの祖先の種社会も最近縁のチンパンジーと同様の単位集団(雌が集団間を移籍する)から成っていたとすれば、こうした種に固有の単位集団から原初の人間社会の居住集団と家族への転換は、血縁関係の相互認知の持続とそれに基づくインセストの自然な回避が他集団に移籍した血縁者にも及ぶようになり、集団間に拡張された親子関係と兄弟姉妹関係のネットワークを頼って女性のみでなく男性も集団間を移動し得るようになって、はじめて実現したのだと考えられる。この意味で「インセストの禁止」は人間社会のすべてに普遍的な制度なのではなく、原初の人間社会の起原よりもずっと後の時代に、「制度上の血縁者たち」とその集団を創出する原理として、そして複数の出自集団・クランから成る「部族」というまさに「制度に基づいた社会」を編成する原理として、打ち立てられたものである。
著者
田井 健太郎
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究プロジェクトでは、近世兵法書を用い、中世に展開された武術の特性について、戦闘技法構造の側面と萌芽的武士倫理性との関連の側面から明らかにした。また、兵法書の中での近世初期の武士倫理が、戦闘者的武士身分観と士的武士身分観の混在状態から、武を司る者による徳治という倫理観への発展がみられることを明らかにした。
著者
籠谷 裕人 南谷 崇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.548-556, 1994-08-25
被引用文献数
12

従来,認識されてきた非同期式回路の有用性が,近年の論理素子の高速化に伴い再び注目を集めている.本論文では,論理素子遅延や配線遅延の上限が予測できないという厳しい遅延仮定のもとに,非同期式回路を合成する基本的な手法を提案する.本手法は,レジスタ間の転送や演算といった基本的な操作の間に成り立つべき依存関係を仕様とし,それを信号遷移の因果関係に直接写像することによって非同期式回路を実現する.具体的にはまず基本操作間の依存関係からなるグラフを仕様として与える.この依存性グラフから正しく回路が合成できるための条件としてsafenessなどを定義する.次にこれをもとに,その機能ノードを対応した回路素片に置換し,これらを接続することで制御回路を合成する.この制御回路はハンドシェークによって2相方式でデータパス部の制御を行う.本手法は,並列性を仕様中に容易に記述でき,論理合成のコストが低いという特徴がある.
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.54, pp.1-195,巻頭2p, 1999-12
著者
王 軼群 野澤 博 土方 嘉徳 仲谷 美江 西田 正吾
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.123, no.6, pp.1155-1165, 2003-06-01
被引用文献数
1

This paper deals with spatio-temporal indexing method for moving objects. In our research, we propose XAT (eXtended Adaptive Tree) structure, consisting of spatial trees and temporal trees, for fast search for spatio-temporal data. The searching process in XAT structure is divided into two steps. The first step roughly narrows down the potential solutions (moving objects) according to the given searching range. The last step fixes the real solution by checking the object's moving track. We compare XAT structure and 3D structure, one of the conventional methods, by computer simulation. The result shows that XAT structure works faster than 3D structure when there is difference between the spatial search range and temporal search range and the objects' moving areas are small.