著者
富岡 征大
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.231-239, 2011 (Released:2011-08-30)
参考文献数
51

線虫Caenorhabditis elegansはわずか302個のコンパクトな神経系を持つ。その構造は脊椎動物や昆虫などの脳と大きく異なるが,そこで働く神経回路の様式や分子経路は種を超えて共通したものが多くみられる。線虫は,餌の匂いへの誘引行動や侵害刺激からの忌避行動など,様々な外部刺激に対する応答を示す。さらに,個体群密度や餌の有無など複数の情報を統合し記憶することで,状況に適した行動パターンを選択する。同種他個体から放出される線虫フェロモンにより個体群密度の認識がなされており,フェロモンの作用は幼虫期の発生や,社会性行動,学習など多岐に渡る。学習により後天的に獲得される行動には,インスリン様シグナル伝達やモノアミンシグナル伝達などの種を超えて保存された重要な分子経路が働く。線虫は,遺伝学的解析に有用なモデル生物として古くから用いられてきたが,近年ではそれに加えて神経活動のイメージングによる生理学的な解析も広く行われている。本稿では,線虫の神経系の構造を概説し,化学物質に対する感覚応答や記憶学習を制御する神経回路と分子機構について紹介したい。
著者
小林 奈央子
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.57-78, 2019-09-30 (Released:2020-01-07)

日本の社会において、女性が行者の道を選ぶということは、さまざまな困難や苦労が伴う。五障や血の穢れといった女性を聖なる領域から遠ざける教えや慣習に伴う問題はもちろんのこと、その女性に家庭があれば、直ちに家庭生活、そしてそれに伴う女性に課されてきた性役割との両立の問題を生じ、修行生活の大きな障壁となる。その一方で、男性行者の場合は、同様に家庭があっても、その限りではない。つまり、そこには性別にかかわる差異や非対称性が存在する。そのことを明示的にしてくれるのがジェンダーの視点である。本稿では、女性行者を含む女性宗教者に関する研究の、中心的な担い手となってきた民俗学およびその研究手法に依拠した民俗宗教研究が、今日までそうした女性たちをどのように描いてきたかを批判的に検討する。そして、研究者や宗教者のジェンダーに対する意識改革の必要性と宗教教団が真にジェンダー平等を実現できる方途について論ずる。
著者
大野 雅治 藤井 直樹 小林 卓郎 後藤 幾生
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.1077-1078, 1990-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1

症例は51才男性で,亜急性に高度の深部覚障害を伴う感覚運動型のポリニューロパチーを発症した.既往として26才時に胃部分切除をうけ,その後,輸血後肝炎に罹患した.血中の脂溶性ビタミンは低値で,特にビタミンEが著明に低下していた.消化吸収試験で,ビタミンEの著明な吸収障害が認められた。腹部手術後に長期間経過して発症する神経障害の原因として,ビタミンE欠乏は注意を要するものと考えられる.
著者
楢林 幸一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.18-25, 2013 (Released:2014-02-28)
参考文献数
21
被引用文献数
1

マイクロフィルムの保存方法及びデジタル時代のマイクロフィルムのニーズと技術的傾向について説明する.
著者
都丸 大悟
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.139-143, 2020-02-18 (Released:2020-03-25)
参考文献数
1

日常生活をするうえでは自動車の運転は欠かせないものであり,運転と生活は密着しているものである.高次脳機能障害の方が運転復帰をするために1つの材料として病院に提供している株式会社ぐんま安全教育センターが実施している運転再開講習について,予約から運転講習実施,受講者の今後の運転についてのアドバイスまでの流れと運転技能評価システム(オブジェ)を使った講習の事例(2019年10月受講者)を提示する.受講者の実態と講習の流れを病院の先生方だけでなく自動車教習所に理解をしていただき,広く実施をしていくことが望ましいと考える.
著者
髙田 彩
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.81-95, 2019-06-08 (Released:2021-06-05)
参考文献数
13

本稿の目的は、武州御嶽山の女性が関与する社会組織の機能と役割を明らかにすることである。その際、女性が関与する社会組織が、(1)御嶽山の中でどのような役割を果たしているのか、(2)当事者である御師家の妻にとってどのような意義を持つのかという二点に注目して考察を行う。具体的には、構成原理の異なる三つの社会組織、各家の「なかばあさん」と呼ばれる30~50代の働き盛りの女性が所属する(A)「婦人部」と、各家同士の互助組織でありながら地縁的性格が強い(B)「組合」、血縁的性格が強い(C)「付き合い」を事例に、その機能と役割を検討する。これらの比較を通して、女性が山内の社会組織に組み込まれていく過程と、どのような場で生活慣習などの教育を受けながら、御嶽山の一員になっていくのかという問題を明らかにする。本稿は、先行研究で十分な議論がなされてこなかった御嶽山の社会組織と、そこでの御師家の妻の役割を照射するという点でも意義がある。
著者
山田 恭平 加藤 貴志 外川 佑 藤田 佳男 三村 將
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.239-246, 2018-06-30 (Released:2019-07-01)
参考文献数
27
被引用文献数
7 2

4 つの下位検査からなる脳卒中ドライバーのスクリーニング評価日本版 (J-SDSA) が開発されたが, 本邦における参考値は明確になっていない。そこで本研究の目的は, 脳損傷者において J-SDSA を用いて運転可能と判断される各下位検査のカットオフ値を示すこと, さらに得られたカットオフ値と下位検査の組み合わせから実車評価結果の予測精度を明らかにすることとした。対象は 7 施設, 94 名の脳損傷者である。対象者には J-SDSA を施行し, その後実車評価を行った。実車評価の結果は, 教習所指導員の判定に基づいて運転可能群と運転不適群に分類された。群間比較では, J-SDSA の方向, コンパス, 道路標識の得点で有意差を認め, 可能群の成績が良好であった。上記 3 つの検査のカットオフ値を算出し, 検査の組み合わせを検討したところ, 3 検査ともカットオフ値を上回った対象者については 80%以上の精度で運転可能と予測できた。また, 3 つとも下回った対象者については運転不適と予測できた。
著者
戸崎 敬子 清水 寛
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.11-23, 1989-09-30 (Released:2017-07-28)

1923(大正12)年に劣等児の特別学級が設置された新潟県U小学校について、学業成績不良児と関連の深い原級留置児を学籍簿をもとに分析し、実態を解明するとともに、その背景、および特別学級成立と原級留置との関連を考察した。本論文では次の諸点が明かになった。1.U小では1921(大正10)年頃まで原級留置児が多い。2.原級留置児は1学年と5〜6学年で特に多い。その後の進路は低学年では進級、高学年では退学となる割合が高い。3.留置措置後「就学免除・猶予」となる事例では知的障害を推測できる成績不良児が多い。4.原級留置児の成績は算術が特に低い。しかし留置措置は教科全体の平均成績、操行、出席状況等を総合して決定されている。5.原級留置児の背景に、貧困な教育条件と児童の生活状況に規定される当校の低学力問題が存在している。6.当校の特別学級は、低学力問題に対する施策の一環として設置された。また学級設置によって、原級留置の基準が変化した。
著者
佐藤 元泰 中谷 伸
出版者
特定非営利活動法人 日本電磁波エネルギー応用学会
雑誌
日本電磁波エネルギー応用学会機関誌 (ISSN:24341495)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.9-12, 2023 (Released:2023-08-15)

中谷伸君と私は、核融合中性子によって、定常運転する核融合と核分裂のハイブリッド原子炉の実現を目指しています。
著者
清水 正義
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎法學 (ISSN:13488473)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.181-207, 2005-05
著者
清水 正義
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎法學 (ISSN:13488473)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.1-23, 2009-12
著者
清水 正義
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎法學 (ISSN:13488473)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.33-55, 2010-12
著者
米谷 芳枝 石倉 豊昭 永井 恒司
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.408-415, 1988-06-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
29