著者
小池 春樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.8, pp.1530-1537, 2019-08-10 (Released:2020-08-10)
参考文献数
10

糖尿病,尿毒症,栄養欠乏,アルコール依存症ならびに薬物の副作用等による末梢神経障害(ニューロパチー)は,日常診療で遭遇する機会が多いにもかかわらず,見逃されることが多い疾患である.これらのニューロパチーでは,適切な対処によって進行の停止・改善を期待できることから,不可逆的な変化が生じる前に的確な診断を行うことが重要であり,それぞれの原因で起こり得る症候・検査所見等を常に念頭に置いて診療にあたる必要がある.
著者
藤岡 里美 鷺坂 圭亮 廣田 泰丈
出版者
The Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics
雑誌
日本AEM学会誌 (ISSN:09194452)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.622-628, 2021 (Released:2022-04-01)
参考文献数
18

Ferrofluid can be defined as one of typical “nano-materials” as the basic composition is a blend of real “nm” controlled substances. The history of ferrofluid is more than half century and there are some specific fields where ferrofluid has dedicated to support the key commercial technologies as like HDD, speaker, semi-conductor, smartphone, recycle unit and biomedical manners. Recently we can see more candidate applications adapting ferrofluid to develop new business area. The latest trend of some typical applications is introduced in this paper.
著者
吉井 裕人
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.52(2000-GI-003), pp.33-40, 2000-05-31

本論文では、ゲームのフラクタル仮説というゲームの構造にかんする仮説を提出する。この仮説を元に、ゲームが面白いとはどういうことか?について議論していく。以前行った囲碁に関するパターンの統計研究をレビューし、心理学実験の方針について提案を行う。
著者
磯部 美里
出版者
日中社会学会
雑誌
21世紀東アジア社会学 (ISSN:18830862)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.12, pp.34-46, 2023-03-01 (Released:2023-03-03)
参考文献数
25

This paper is to focus on the treatment practices of Dai medicine of the Dai people living in Xishuangbanna, Yunnan Province, China. I discuss the Medical Pluralism in the area by examining the treatment methods and contents of Ethnic medicine, the relationship between ethnic doctors and patients, the purpose of their visits and reasons, through field research. Besides, I considered the meaning and significance of ethnicity for those who practice ethnomedicine.Through this paper, I found that the people who use Dai medicine do so for economic, linguistic, geographical, and cultural reasons; that it is used not only by the local Dai people, but also by Dai, Han, and other ethnic groups in other regions, as well as people outside the country and that it is used in a complex, multidisciplinary manner. I have pointed out that people who use ethnomedicine are not concerned with which ethnicity the medicine is from, but rather with its therapeutic effects.
著者
柏﨑 郁子 佐々木 晶世 碓井 瑠衣 叶谷 由佳
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.98-106, 2017 (Released:2018-08-01)
参考文献数
52

日本では一般病床での身体拘束を規制する法律は存在しない.一般病床は治療を優先する特性から,介護保険施設向けの「身体拘束ゼロへの手引き」(以下,「手引き」)の要件をそのまま適用するには困難さがある.最高裁判所平成22年1月26日判決は,一般病床での身体拘束に法的な判断を下した唯一の最高裁判決である.その判例評釈と,各医療施設の身体拘束ガイドラインの内容を「手引き」の3要件をもとに比較検討した.結果,裁判で身体拘束是非を判断する根拠は〈切迫性を判断すること〉〈拘束に代替する手段の実施〉〈拘束を行う時間〉〈医師の参加〉〈拘束中における状態確認〉〈説明〉〈承諾書〉〈記録〉であり,同様の視点で一般病床の各ガイドラインでは具体的な看護内容が示されていた.一般病床で身体拘束をする際には,「手引き」の3要件の考え方を踏襲した多くの複雑な手順が必要とされていることが明らかとなり,期待される看護の責任が多岐に渡ることが示唆された.
著者
本多 佑希 兼宗 進
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.583-584, 2019-02-28

ブラウザ上でプログラムの編集・実行が可能なDNCLの学習環境「どんくり」を開発した.どんくりはブラウザ上で動作するため,PCやタブレットのブラウザからアクセスするだけで,手軽にプログラミングの学習が可能である.どんくりでは,DNCLの仕様に配列や関数の宣言など一部機能を拡張している.また,アルゴリズムの学習を目的とした機能として,プログラムを実行した際のプロファイリング情報を確認する機能や,配列操作を簡易化する関数を用意している.本稿では,どんくりの設計と実装について報告する.
著者
菊池 真維子 中島 政信 室井 大人 高橋 雅一 山口 悟 佐々木 欣郎 土岡 丘 加藤 広行
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.176-181, 2019 (Released:2020-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

食道癌根治切除術は他の消化器癌手術と比べ侵襲の高度な手術となり,不整脈などの術後合併症が重篤化することもしばしばで周術期管理は特に重要である.当科にて右開胸または胸腔鏡下での食道癌根治切除術を施行した症例中,術中および術後に120回/分以上の頻脈性不整脈の発現を19例に認め,術前から心電図異常を認め(p=0.0001),循環器疾患の既往を認めた症例(p=0.0061)で有意に頻脈性不整脈の発生を認めた.当科では頻脈性不整脈に対する治療の中で,19例中12例に短時間作用型β1選択的遮断薬である塩酸ランジオロール投与を行っており,12例に対する後方視的な検討を行った.塩酸ランジオロール投与により10例(83.3%)が洞調律への改善を認め,全例に血圧低下や呼吸状態の悪化は認めなかった.投与基準に従った食道癌周術期における頻脈性不整脈に対する塩酸ランジオロール投与は副作用を生じることなく安全に投与可能であり,術後成績向上の一助になると思われる.
著者
桑原 博道 墨岡 亮 新井 一 小林 弘幸
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.278-288, 2011-04-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

本邦における脳神経外科領域の医療裁判例30を分析した.裁判上の争点は,いくつかに類型化されるが,このうち説明義務違反に関しては,他の争点に比して肯定されやすい傾向にあった.低侵襲治療もすでに裁判の対象となっており,低侵襲であることのメリットを過度に強調するかのような説明には注意が必要である.判決言渡しまでの期間は大幅に短縮されているが,脳神経外科医などの外科医にとって,裁判を起こされること自体が精神的苦痛であることに変わりはない.また,手技ミスなど,手術に関係する過失を理由とする裁判の増加は,外科手術施行の萎縮,ひいては外科医希望者の減少につながる.そこで,脳神経外科などの外科領域においても,産科領域と同様の無過失補償制度を導入することも考慮に値する.ただし,補償額を算定するにあたって,原疾患や術式の難易をどのように考慮するかが,大きな課題である.
著者
片倉 もとこ
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.76-82, 1993 (Released:2022-07-15)

アラブ・ムスリム社会の人間関係を,主に日本社会の人間関係と対比し,個人と集団の主張がともになされる両極型の集団様式,開放的な人間関係のあり方,個人を所属集団の一因としてよりも個人の資格において認識する考え方,神の前にすべての人間が平等であるとする平等主義や実力主義をもととした,水平型の集団構造などについて考察する.
著者
烏 英嘎
出版者
日中社会学会
雑誌
21世紀東アジア社会学 (ISSN:18830862)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.12, pp.18-33, 2023-03-01 (Released:2023-03-03)
参考文献数
31

本文对居住在内蒙古东部农村地区的39 岁蒙古族未婚男性的生活史进行了考察。 结果表明,从适婚年龄到现在,经历了对婚姻的期待→周围人的压力→对择偶标准的变化→恋爱→分手→对婚姻绝望→交往新女友等不同的阶段。当20 岁出头时,村里还不存在男性的结婚难问题,20岁后半时随着打工潮流,村里的未婚女性越来越少,女性在择偶时比起男性的人格更注重物质条件。随着年龄的增长,周围人带来的压力也越来越大,所以30 岁左右时选择了跟离婚女性交往。但,离婚女性同样对物质条件有很高的要求,最终未能满足要求而分手。 当对婚姻绝望时通过SNS 认识了现在的女友,虽然未提出物质要求,但结婚的决定权掌握在女性手中。本文看似调查对象个人的结婚难事例,其实也反应了现实蒙古族农村地区的男性结婚难问题。
著者
包 嶺小
出版者
日中社会学会
雑誌
21世紀東アジア社会学 (ISSN:18830862)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.12, pp.1-17, 2023-03-01 (Released:2023-03-03)
参考文献数
25

The main motive for modern Japan's interest in Inner Mongolia was the Mongolian animal husbandry resources. After the Russian Japanese War, with the establishment of the "South Manchuria Railway" in 1906, Japan officially began the investigation of animal husbandry resources in eastern Inner Mongolia. Since then, Japan has carried out large-scale livestock variety improvement in eastern Inner Mongolia until the end of the war, and developed it into a major raw material supplier of modern wool industry. In fact, Japan's interest in Mongolian livestock resources seems to have sprouted as early as the early Meiji period. Until the Russian Japanese War, Japan has been trying to introduce Mongolian sheep into Japan. In this context, Japan's focus on animal husbandry resources in eastern Inner Mongolia began with various practical investigations of animal husbandry in the region. This paper will combine the fact that Japan began to pay attention to the animal husbandry resources of Mongolia from the early Meiji period. In view of the complex social situation of eastern Inner Mongolia as Japan's animal husbandry resource center at that time, including the process and results of systematic animal husbandry resource investigation in eastern Inner Mongolia since the early 20th century, and try to discuss Japan's understanding of animal husbandry resources in the early stage of entering Inner Mongolia.
著者
鈴木 隆史
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.226-235, 2019-03-10 (Released:2019-07-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

臨床検査には大きく、検体検査、生理機能検査や画像検査、さらに特殊検査として内視鏡検査がある。医師は、問診や診察に加え、必要と思われるこれら検査を組み合わせることにより疾患・病態の診断、治療とその後の経過観察を行っていく。そのため臨床検査は重要な役割を担っている。健診においてはその多くが症状のない受診者が対象であり、検査の占める割合は大きなものとなっている。したがって、これら検査がきちんとなされていることが、患者あるいは受診者の信頼を得るうえで重要であることは言うまでもない。そのためには検査の高い精度や正確性が求められる。これらを担保するのが精度管理であり、施設あるいは検査室内で行われる日々の管理としての内部精度管理と施設を横断して自らの施設のデータが他施設と比較してどのくらいの位置にあるのか、それを確認し足元を見直すために行われるのが外部精度管理である。内部精度管理あっての外部精度管理ともいえる。本稿では内部ならびに外部精度管理について概説する。一般的に広く行われている血液、尿、便などの検体検査で普及してきた精度管理であるが、生理機能検査や画像検査にもその必要性が求められてきている。さらにベッドサイドで用いられるPOCTにおいてもしかりであり、現状についても触れる。検体検査においては機器や試薬の進歩によりデータの集束状況は非常に良好な状態になってきているが、検査室における日常業務の中にあって機器任せにすることなく絶えずデータを気にしておく姿勢が内部精度管理には欠かせない。外部精度管理では本学会の精度管理事業の位置づけを示しつつ、その重要性について紹介する。昨今、ISO15189 ならびに医療法における「精度の確保」など、検査室の品質保証が叫ばれている。本稿がそれらの理解につながれば幸いである。
著者
東 学 石田 克成 松原 真奈美 林 裕司 坂根 潤一 鈴木 俊紀 古屋 周一郎
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.438-444, 2020-07-25 (Released:2020-09-05)
参考文献数
11
被引用文献数
1

病理組織診断は,医療において最終診断となる重要な役割を果たし,この診断根拠となる病理組織標本の質を担保することは,病理組織検査に従事する検査技師の責務である。しかしながら,病理組織検査においては,染色方法や技量により個人間差や施設間差を生じやすく,特に標本の染色色調については病理専門医の色好みが加わるため,標準化が難しい分野でもある。一般社団法人日本臨床衛生検査技師会病理精度管理ワーキンググループでは,診断に適正な標本が作製されていることの確認と,標本作製過程に対する考え方の統一化及び良質な診断標本作製のための情報共有化を目的として,1972年より外部精度管理事業を開始した。その間,13回の二次サーベイランスを含む25回の染色サーベイランスと,16回のフォトサーベイランスに附随して26回の病理検査業務に関するアンケート調査を行ってきた。2011年度より染色サーベイが廃止され,現在ではフォトサーベイのみの外部精度管理となったが,多くの施設状況を確認し,最低限の知識の浸透を図るため,設問提示方法に様々な工夫を加えてきた。2017年の医療法改正に伴い,外部精度管理を受審する施設の多様化が予想され,今後更なる改善を重ね質の高い病理診断に寄与していきたい。
著者
林 潤 吉村 幸浩 内田 徹郎 前川 慶之 貞弘 光章
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.1531-1537, 2013 (Released:2014-12-27)
参考文献数
11

小児に対する塩酸ランジオロールの使用報告は散見されるが, その有効性や投与量についてはいまだ明確ではない. 今回われわれは, 小児の心臓手術周術期に発生した頻脈性不整脈に対し, 塩酸ランジオロールを使用し良好な結果を得た 3症例を経験した. 各症例の背景や手術内容, また頻脈発作の出現時期やその種類などはいずれも異なっていたが, 血圧低下や徐脈などの有害事象をきたすことなく, 塩酸ランジオロールの持続投与により有効に頻脈性不整脈を抑制した. これまでの小児に対する使用報告からも, 塩酸ランジオロールは成人同様, 小児においても周術期の頻脈性不整脈に有効であることが示唆された.