著者
杉村 佳寿 篠田 岳思 T. N. MATHIAS 阿野 貴史 重富 康文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00075, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
73

現在日本においてはカーボンニュートラルポートの実現が目指されているが,港湾における気候変動対策については実証的な先行研究が少なく,実践との間のギャップにより意思決定者を十分にサポートできていない.本稿では,荷役機械の電動化やハイブリッド化,リーファーエリアへのルーフシェードの設置を行い日本の港湾環境政策を先導する博多港を事例に,コンテナターミナルにおける気候変動対策の効果を実証的に検証した.また,経済性分析と日本の港湾ガバナンスの特徴を踏まえた対策のフィージビリティについて検討した.対策の効果については確認されたものの,経済性の面からターミナルオペレーター等が主導的に講じるのは難しく,港湾ガバナンスの面からも補助金等を含めた政府のイニシアチブが重要であることが明らかとなった.
著者
國村 大喜 小野 千代子 平井 まどか 松崎 ワグナ哲也 村本 政忠 内山 俊朗 白鳥 和人 星野 准一
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.279-288, 2010-09-30 (Released:2017-02-01)

YOTARO is a baby type robot developed to make possible a virtual sensation of play with a baby. When playing with YOTARO, it has many kinds of emotion and reactions, such as smiling, crying, sleepy, angry, sneeze. YOTARO is controlled by emotion control program based in inputs, such as touching soft and warm face, touching stomach, shaking rattle; after that, interactive reactions are output as voices, expressions change, movement of hands and legs, sniveling, and skin's color change. YOTARO is designed about observation of people's viewpoint to babies aiming to elevate the level of interaction.
著者
植田 泰士 片平 真史 鈴木 新一
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2016-CVIM-202, no.4, pp.1-6, 2016-05-05

人工衛星や探査機などの宇宙機システムは多くが非修理系であることから一発勝負の中での高い信頼性確保が必要となる.その信頼性を確保するための方策の一つとして,クリティカルな異常が発生した場合には自律的に故障を検知し,故障を分離し,正常状態へ回復させる耐故障設計が多くの宇宙機システムには導入されている.これまでそのような宇宙機システムの機能の実現,あるいは宇宙機システムの開発プロセスにおいて,コンピュータビジョン技術が直接的に活用される局面は少ないが,本稿では,コンピュータビジョン研究者による今後の宇宙機システムへのコンピュータビジョン技術応用検討の一助となることを期待し,陸域観測技術衛星 2 号 (ALOS-2) を主な題材として耐故障設計の考え方などを紹介する.
著者
池田 研
出版者
大阪歴史博物館
雑誌
大阪歴史博物館研究紀要 (ISSN:13478443)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.55-64, 2013 (Released:2022-06-11)

バイゴマは巻貝のバイの殻を素材にした独楽で、江戸時代には庶民の間で広く普及していたことが知られているが、考古学的には実態の不明な部分が少なくない。本紀要の第9号では大坂城下町とその周辺から出土したバイゴマの集成を行ない、文献史料と比較検討しながら年代、形状や作成技法、ユーザーの実態等について検討を加えた。本稿では、浪速区敷津東で出土した50点を超えるバイゴマや、難波宮・大坂城跡で出土したバイゴマ製造に係わる廃材など、新たに発見された資料をもとに、独楽の素材となるバイの選別基準や切断方法といった製造過程、製造業者の業態などについて検討した。その結果、大きさによって素材の選別が行われており、殻口側から連続して打ち欠くことで殻を切断したと考えられること、またバイゴマの製造業者が貝ボタンの製造を兼業していた可能性があることなどが明らかとなった。
著者
藤井 晴行 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回 (2014)
巻号頁・発行日
pp.2D5OS28b4, 2014 (Released:2018-07-30)

経験のデザイン,機械作曲,研究方法のデザインなどについての一人称研究の概要とそれらを通して得られた知見を身体性という観点から報告する.デザインの一人称研究は研究者や被験者の身体性を自覚的に扱う研究である.デザインの思考においては記号(設計図,図式,数式,ことば)の操作が身体性をもつことが重要であることは言うまでもない.身体性を欠く思考がデザインにいかなる弊害をもたらすかについても言及する.
著者
柳原 崇男 高橋 治暉 伊勢 昇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00066, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
20

近年,我が国の総人口は減少傾向にある一方,65歳以上の高齢者人口は増加傾向にある.交通行動と健康に関する既往研究では,公共交通を利用すると歩行量が多く,健康への貢献があるとしている.しかし,実際に地域公共交通を対象として,医療費抑制効果を算出した例はほとんどない.本研究では,公共交通利用における歩行量データから医療費抑制効果検討した.本研究では,国土交通省のガイドラインの方法を用いて乗り合いタクシー利用による医療費抑制効果の算出を試みた.1日の歩行データから,乗り合いタクシー利用のみの効果を算出することは困難であり,公共交通利用による歩行増加量から算出した医療費抑制費から利用割合を乗じ算出したところ,乗り合いタクシー利用により約6,101円/年/人の医療費抑制効果があることがわかった.
著者
澤田 雄 秋山 浩利 松山 隆生 和田 朋子 遠藤 格
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.1027-1031, 2012-09-30 (Released:2013-01-08)
参考文献数
25
被引用文献数
1

急性虫垂炎術後のSSIは最も頻度の高い合併症であり,患者QOLの低下や入院期間延長などの医療経済的な側面にも影響を与える。本稿では,急性虫垂炎術後のSSI予防に関する文献について概説し,あわせて当教室および関連病院で行われた急性虫垂炎手術症例のSSIについて報告する。これまでに虫垂切除後のSSI予防に関して,予防的抗菌薬,創縁保護器,吸収糸の使用,腹腔鏡の使用,二期的創閉鎖などが報告されている。われわれの検討では,切開部SSIのリスク因子は,切開法,腹腔内ドレーンの留置,虫垂の炎症所見の3因子であり,臓器/体腔SSIのリスク因子は,出血量,腹腔内ドレーンの留置の2因子であった。壊疽性虫垂炎はSSI発生頻度が高率であったが,創縁保護器の使用によりSSI発生は減少する傾向を認めた。SSI発生高危険群である壊疽性虫垂炎に対して,今後SSI予防策のさらなる研究が必要である。
著者
田淵 利明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.221-227, 1979-06-01 (Released:2017-10-20)

富士写真フイルムの科学技術情報処理システムは,主として三つの検索システムからなる。第一は,画像工学とその周辺技術分野の学術論文や特許文献を抄録し,国際十進分類法で分類するシステムで,洩れの少ない,かつ網羅的調査に適している。第二は,画像工学分野の特許文献をディスクリプタ(descriptor)により索引化するシステムで,狭い範囲の概念について,ノイズの少ない効率的検索をすることができる。第三は,二次資料利用システムで,抄録誌を利用目的に合わせて加工・編集したものである。これは画像工学以外の広範な科学技術分野の調査に利用価値が高い。これら三つのシステムを,研究者・技術者と情報処理担当者が一体となった調査システムによって利用し,効率的な検索を行っている。
著者
松本 昭憲 篠原 一彰 中川 雅之 佐久間 宏規 熊田 芳文 田勢 長一郎 小林 国男
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.9, pp.455-458, 2001-09-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9

Iodoformgauze topical applications are often used to wound infections. We report a postoperative epidural abscess with delirium due to iodoformgauze topical application in an open wound. We had inserted an epidural catheter in 79-year-old man with an epidural abscess. After proper drainage, iodoformgauze was used to cover for the abscess. He suffered consciousness disturbance for 12 days postoperatively. Suspecting iodoform toxicity, we checked protein binding iodine (PBI) and total serum iodine. PBI was 14.5μg/dl and total serum iodine 152μg/dl. We stopped iodoformgauze use, and the man's consciousness cleared, indicating the importance of watching for side effects such as consciousness disturbance when using iodoformgauze.
著者
佐々木 登 高橋 公治 井駒 秀人
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.41-48, 1989-02-28 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11
被引用文献数
3

We have recently developed a novel color print film “REALA” with excellent color reproduction quality. This has been realized by incorporating the fourth light sensitive layer in addition to the conventional red-, green-, and blue-sensitive layers. The fourth layer (CL layer) is sensitive to cyan color (ca. 470-540 nm) and it releases development inhibitors in proportion to the degree of light exposure in order to give a due inter-image effect to the red-sensitive layer thus approximately realizing the negative lobe of color matching functions. In addition, the spectral sensitivities and interimage effects for the conventional three layers have also been optimally designed based upon the color reproduction theory. As a result of these optimization, color mismatches for yellow green colors, certain fabric colors, or deep purple to blue flower colors, which are rather difficult to photograph exactly in previous color print films, have been remarkably improved. It should be also pointed out that the color mismatches caused by photographing under fluorescent lamps are also dramatically relieved thus reproducing all object colors most naturally.
著者
金子 唯 池尻 薫 家城 洋平 横山 和人 川本 英嗣 石倉 健 今井 寛
出版者
一般社団法人 日本中毒学会
雑誌
中毒研究 (ISSN:09143777)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.325-328, 2022-12-10 (Released:2023-01-26)
参考文献数
4

Acetaminophen overdose results in acute liver damage. Measurement of the plasma concentration and a nomogram identify patients who require hepatoprotective treatments. The patient was a 28-year-old woman who ingested 100-200 pills of 200-mg acetaminophen and was found unconscious at home. She was brought to the emergency room and subsequently referred to our hospital 4 days later. The plasma concentration of acetaminophen could not be measured. However, she showed signs of acute liver failure and hepatic encephalopathy, and was treated with N-acetylcysteine (NAC) to treat liver failure. She also required plasma exchange with continuous hemodiafiltration. Treatments were successful in improving her consciousness impairment, and she was discharged on day 9. Although the plasma concentration of acetaminophen could not be measured, it was not necessary for determining the diagnosis and treatment plans.

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著者
平林 莞爾
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.43-53, 1972-04-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
35
著者
中谷 祥恵 藤井 彬 古旗 賢二
出版者
ファンクショナルフード学会
雑誌
Functional Food Research (ISSN:24323357)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.14-18, 2018 (Released:2019-03-15)
参考文献数
29

骨髄中の体性幹細胞には間葉系幹細胞 (Mesenchymal Stem Cell : MSC) や造血幹細胞 (Hematopoietic Stem Cell : HSC) などが存在している.MSC は主に骨芽,脂肪,軟骨細胞への分 化能を有し,HSC は血球系の細胞や破骨細胞などに分化する. 従来,体性幹細胞は外部環境から隔絶したニッチに存在しているため,加齢に伴う外部環境変化 の影響を受けにくいと考えられていた.しかし,最近の研究で,加齢による骨髄環境の変化が骨髄 中の体性幹細胞の性質を変化させ,結果として骨密度を低下させることが明らかになってきた.ま た,加齢だけではなく生活習慣病や食生活によっても体性幹細胞の性質が変化することも明らかに なってきたので紹介する.
著者
矢﨑 久 室谷 心 滝澤 毅
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
教育総合研究 = Research and Studies in Education (ISSN:24336114)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.85-105, 2022-11-30

松本大学総合経営学部総合経営学科では、教育企画として学科1年生に対して、基礎学力向上のためのe-learningシステムを導入している。昨年は2019年度および2020年度の入学生についての基礎学力コースの利用状況、成績との関係、入試区分別、高校課程別、GPA、学修行動調査などIR的視点を併せた分析を実施した。今回は2021年度入学生を加えた分析を行った。