著者
菊地 淑晃 後藤 真孝 村岡 洋一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.459-460, 1996-03-06

本稿では、エレクトリックベースによって単独演奏された音楽を対象にした自動採譜システムについて述べる。従来の自動採譜システムや音源分離システムでは、主にピアノなどの鍵盤楽器や吹奏楽器を扱っており、ベースやギター等の弦楽器はほとんど扱われていなかった。これらの研究では、音高および音色(楽器種)を同定していたが、楽器をどのように弾いたかという奏法の種類は判別していなかった。また、楽譜だけでなく弦楽器に固有のタブ譜を出力するトータルな自動採譜システムは報告されていなかった。本研究では、ベースのみによって演奏された音響信号を入力とし、5種類の代表的な奏法の判別できる自動採譜システムを実現した。本システムは楽譜・タブ譜・標準MIDIファイルの3種類の形式で出力できる。これにより、楽譜の読めないベーシストや奏法を自分で判断しながら演奏するのが困難な初心者にとっても、奏法付きのタブ譜があることで自動採譜結果を有効に活用できる。
著者
倉岡 寛 藤井 信忠 上田 完次
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.62-69, 2007-01-26
被引用文献数
2

生態系や社会システムなどの現実のシステムにおいて,いかにして協調行動が創発するかということは,大きな関心事である.また,近年,複雑ネットワーク研究によって,多数の構成要素からなるインターネットやタンパク質の化学反応などのネットワークは,スケールフリー性やスモールワールド性の性質を有し,そのような性質がネットワークの機能に深く関わっているということがわかっている.複雑ネットワークにおいていかにして協調行動が創発するのかということは大きな関心事である.その際,ネットワークの構造自体が構成主体の意思決定の結果として進化するということと,ネットワーク上でのダイナミクスは不可分な関係にあると考えられるため,これらは同時に扱う必要があると考えられる.また,実世界では構成主体間で情報は局在性を有しているため,情報の局在性を陽に考慮する必要がある.本研究では,ゲーム理論における空間囚人のジレンマに対し,情報の局在性を導入してモデル化し,エージェントの相互作用の結果創発する協調行動について,計算機実験による検証をおこなった.その結果,情報の局在性が頑健な協調行動を形成する上で有効である,ということが示された.
著者
前田 恭兵 長岡 千賀 小森 政嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.308, pp.13-18, 2007-11-04

心理カウンセラーによる心理臨床面接場面および高校教諭による悩み相談場面における対面対話中の対話者の身体動作の同調傾向をビデオ解析に基づいて検討した.50分間の心理臨床面接の映像は4事例あり,それぞれカウンセラーの評価により「高評価事例」と「低評価事例」に分類されている.また,悩み相談場面2事例は心理臨床面接場面に登場したクライエントと高校教諭の面接である.すべてのセッションは模擬面接であった.対話者の身体動作の大きさをウェーブレット変換による映像解析によりそれぞれ求め,移動相関分析により両者の身体動作の関係を検証した.その結果,全体的な相関係数は「高評価事例」では「低評価事例」や悩み相談よりも高かった.また「高評価事例」では共通した時間変化パタンが見られた.
著者
金 明蘭 樋口 孝之 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.59-68, 2006-05-31

韓国では1990年から地域の象徴通りとして「文化通り」での整備が進んでいる。本研究では、「文化通り」の街路空間特性の考察、ならびに、完工済みである「文化通り」の現地調査と自治体管理者へのインタビュー調査から舗装面の物理的形態と通りの利用特性について解析を行い、「文化通り」のフットスケープデザインについて総合的な考察を行った。現状では、ローリング工法であるアスファルト舗装と経済的なセメントブロック舗装が大部分を占めており、歩車共存、施工の容易性、経済性が優先されている。美的配慮や地域特性の表現、環境親和へ配慮がなされたフットスケープデザインは少ない。一方で、「文化通り」は地域の要所に設定され人通りも多く、半数の箇所でイベントも開かれていることが確認された。「文化通り」のフットスケープデザインおいては地域のアイデンティティの表現が強く求められ、ブロック舗装をはじめとした多様なパターン展開を容易とする舗装を積極的に活用することが有効である。
著者
〆谷 直人
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.350-358, 1995-08-31
被引用文献数
1

血中CRP微量定量の臨床的意義を明らかにするために,non-radioisotopic immunoassayの一種である高感度測定装置を用い,我々が設定した成人年齢別の正常値に基づいて,各種病態における血中CRP低濃度域の変動について調べ,また他の急性相反応蛋白およびIL-6と比較検討した。成人においてCRP低濃度域ならびに異常低値を示す疾患としては,ホルモン産生腫瘍,乳癌・卵巣癌の一部などの女性の腫瘍があり,良性のものではSLEなどの膠原病に認められた。また,治療によりCRPは低下するが,ステロイド治療,ならびにホルモン剤投与症例では著明な低下が認められた。ステロイド1日投与量10mg以下ではCRPはほとんど変わらず,20mg以上で明らかに低下し,40mg以上では著明に低下した。ステロイド投与患者でCRP値が異常低値ないし低濃度域となる場合に,CRP値を1週間から10日間に2回程度経日的に測定し,CRP値の連続3回以上上昇した場合に,その上昇傾向から感染症合併の有無を判断する指標として有用であると考えられた。CRPは他の急性相反応蛋白およびIL-6の変動と比較し,ステロイド治療後CRPは顕著に低下するが,他の急性相反応蛋白は漸減する傾向が認められた。CRPの著減する機序についてはステロイドによる抗炎症効果とそれ以外の機序が考えられた。
著者
青木 直史 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-09-18

合成音声における自然性の再現を目的として、母音合成時に不規則信号を音源信号に付加する試みがなされてきている。いわゆるmixed excitation音声合成方式として知られる方法は、バズ音源と白色雑音源の併用によってLPCボコーダ等の線形分離音声合成システムによる合成音声の音質の向上を目的としている。ここで提案する音声合成方式も同様に音源信号を周期信号と非周期信号の和で表現する。周期信号には-12dB/octの声帯フィルタを通過したパルス列信号を用いる。非周期信号には1/fゆらぎのクラスに分類される不規則信号を用いる。本方式は音声知覚に重要なacoustic cueを再現することによる合成母音の自然性の向上を目的としている。
著者
青木 直史 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.96, no.565, pp.25-32, 1997-03-06
被引用文献数
4

持続発声母音の自然性の要因として、ピッチゆらぎ(ジッタ)および振幅ゆらぎ(シマ)が重要な役割を担っていることが知られている。本研究では、これまでの報告で考察されているものよりも長時間のジッタおよびシマの解析から、これらが1/f^βゆらぎ、ここで、β≃1の特徴を示すことを明らかにした。さらに、1/fゆらぎとしてモデリングしたジッタおよびシマが、白色特性のジッタおよびシマよりも、正常な持続発声母音の知覚を喚起させるうえで有効であることを音響心理実験によって明らかにした。
著者
渡邊 栄治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.544, pp.31-35, 2006-01-17
被引用文献数
4

本報告では, 計算機にログインする際のパスワード入力動作から抽出したキーストロークダイナミクス(keystroke dynamics)に基づいて, 個人認証を行うための手法について検討する.キーストロークダイナミクスによる認証方法では, キーボードのみを入力装置として利用できる長所を持つものの, 行動的な特徴を利用するために, 同一人物であっても試行ごとに揺らぎが存在する.したがって, このような行動的な特徴から個人ごとの適切な特徴を抽出することが, 認証手法の精度を改善するために重要である.本報告では, キーストロークダイナミクスの統計量に基づいた認証手法およびキーストロークダイナミクスに基づいた階層型ニューラルネットワークによる認証手法について検討し, 実験結果から両手法を定量的に比較検討する.
著者
松尾 剛 山口 満 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.719, pp.1-6, 2004-03-09

本稿では,実際に演奏された実楽器音を対象とした,楽器音のスペクトル構造に基づいた楽器推定法を提案する.その原理は,和音の楽器音をくし形フィルタで単音に分離する.そして,このくし形フィルタの特性を考慮して,くし形フィルタの出力スペクトル構造と各楽器音ごとに用意されたテンプレートのスペクトル構造とのマッチングをとることで楽器を推定する.実際の演奏楽器音に対応するため,音の立ち上がり付近(音長の短い音に対応)のスペクトル構造を使用する.また,ある程度の周波数変動にも対応できるように,二重くし形フィルタ(H^d(z) = (1-z^<-N>)^2:零点付近の減衰大)を使用した.さらに,音源分離に使用したくし形フィルタの影響を補正するとき,くし形フィルタの出力スペクトルでなくテンプレートのスペクトルに二重くし形フィルタの利得を乗ずることで,二重くし形フィルタの零点付近の誤差の増大を抑えた.計算機シミュレーションは,ビオラ,バイオリン,ホルン,クラリネット,アルトサックスの5楽器を使用し,音域3-5オクターブの2和音すべての組合せ(重複音は除く)について行なった.その結果,平均推定誤り率10%以下で推定できた.
著者
西村 拓一 橋口 博樹 関本 信博 張建新 後藤 真孝 岡 隆一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.103, pp.7-14, 2001-10-26
被引用文献数
1

我々は,音楽音響信号のデータベースから,鼻歌のメロディーに類似した区間を見つけ出す音楽検索システムを提案している.本システムでは,個人的に収集したビデオデータからの検索も可能である.しかし,このシステムで用いていた「Model driven path 連続DP」呼ぶマッチング手法は,クエリーの時間軸,データベースの時間軸,音高の軸からなる3次元空間中において,局所類似度を連続DPに基づいて累積し,極大となる累積類似度を計算するもので,その計算量が大きい.そこで,クエリーの始端周辺の音高が正しく推定できたと仮定することで,音高軸を削減した2次元空間における局所類似度の累積に基づく「始端特徴依存連続DP」を提案する.本稿では,ポピュラー音楽20曲について鼻歌検索実験を行い,約7割の検索率を維持しつつ,計算量を従来法の約1/40に低減できることを示す.We have developed a music retrieval method that takes a humming query and finds similar audio intervals (segments) in a music audio database. This method can also address a personally recorded video database containing melodies in its audio track. Our previous retrieving method took too much time to retrieve a segment: for example, a 60-minute database required about 10-minute computation on a personal computer. In this paper, we propose a new high-speed retrieving method, called start frame feature dependent continuous Dynamic Programming, which assumes that the pitch of the interval start point is accurate. Test results show that the proposed method reduces retrieval time to about 1/40 of present methods.
著者
糸山克寿 後藤 真孝 駒谷 和範 尾形 哲也 奥乃 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.37, pp.81-88, 2007-05-11

CDなどの複雑な多重奏音楽音響信号中の調波構造を持つ楽器音と持たない楽器音を同時に分離するためのモデルの作成と,楽譜情報を事前情報として与えた場合の制約付きモデルパラメータ推定手法について述べる.調波構造の有無によって楽器音の性質は大きく異なるため,従来の手法ではこれらの音を排他的に扱うことしかできなかった.本稿では,調波構造と非調波のそれぞれを表現する2つのモデルを統合した新たな重み付き混合モデルにより,両者の統合的手法を開発した.モデルのパラメータは最大事後確率推定に基づくEMアルゴリズムを用いて推定する.さらに,モデルの過学習を防ぎ同一楽器内のパラメータ一貫性を維持するための制約条件も同時に用いる.ポピュラー音楽のSMFを用いた評価実験で,本手法によりSNRが1.5 dB向上することを確認した.This paper describes a sound source separation method for polyphonic sound mixtures of music including both harmonic and inharmonic sounds, and constrained parameter estimation using standard MIDI files as prior information. The difficulties in dealing with both types of sound together have not been addressed in most previous methods that have focused on either of the two types separately, because the properties of these sounds are quite different. We therefore developed an integrated weighted-mixture model consisting of both harmonic-structure and inharmonic tone models. On the basis of the MAP estimation using the EM algorithm, we estimated all model parameters of this integrated model under several original constraints for preventing over-training and maintaining intra-instrument consistency. We confirmed that the integrated model increased the SNR by 1.5 dB.
著者
YiYU 渡辺知恵美 城和貴
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.93, pp.5-8, 2005-09-21

近年,内容ベースの音楽検索における研究はますます多くの関心を引き付けている.適切な特徴セットを用いた類似検索アプローチにより,計算時間を減少させ検索速度を向上させることができる.本論文は音響ベースの音楽検索に対し以下の二点で貢献している:1.スペクトル特性を研究し,隣接しているフレームのスペクトル特徴が非常に関連していることを示している; 2.基本的な音響特性の分析に基づき,スペクトル相関関係に焦点を合わせた高速で効率的なQuery-by-Exampleによる音楽検索モデルを提案している.また本提案手法の評価としてシミュレーション結果におけるスペクトル相関関係(SC)閾値,データ格納量,計算時間の分析を行い,単旋律および多声音楽における有効性を確認した.Content based music retrieval is attracting more and more research interest. Suitable feature sets and similarity match approaches can help to reduce the tedious computation time and speed up the retrieval. This article mainly contributes in the two-fold to the current acoustic based music retrieval: 1. we report a study of the music spectral property and show that the spectral features of adjacent frames are highly correlated; 2. on the basic acoustic characteristics analysis we propose a fast and efficient Query-by-Example Music Retrieval modeling focused on spectral correlation. The extensive evaluations confirm the effectiveness of the proposed retrieval model for both monophonic and polyphonic music. The simulation results are analyzed with a theoretical approach that seeks to obtain the mathematical relation for our retrieval system parameters such as Spectral Correlation (SC) threshold, storage, and computation.
著者
大石康智 後藤 真孝 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.113, pp.3-8, 2006-10-27
被引用文献数
5

メロディを歌っても,曲名を読み上げても検索可能な楽曲検索システムを提案する.このシステムは,歌声と曲名の読み上げ音声(朗読音声)を自動識別するため,ユーザはシステムの入力モードを切り替えるのではなく,入力音声の発話様式を切り替えるだけで,シームレスに楽曲を検索することができる.これまでに我々が提案した音声識別器を実装し,歌声と識別されれば,ハミング検索手法によってメロディから曲を検索する.一方,朗読音声と識別されれば,音声認識によって書き起こされた曲名から曲を検索する.大規模な歌声データベースを利用して提案システムの評価実験を行った結果,歌声と朗読音声の自動識別性能は96.1%であった.さらに,検索キーのハミング検索,音声認識によって100曲中10位以内に正解の曲が含まれる平均検索率は,それぞれ50.5%と96.7%であった.We propose a music retrieval system that enables a user to retrieve a song by two different methods: by singing its melody or by saying its title. To allow the user to use those methods seamlessly without changing a voice input mode, a method of automatically discriminating between singing and speaking voices is indispensable. We therefore designed an automatic vocal style discriminator and built a music retrieval system that retrieves a song by query-by-humming for singing voice or by dictating the song title by automatic speech recognition (ASR) for speaking voice. Experimental results with a large music database built for singing research show that our system is able to discriminate between singing and speaking voices with 96.1%. The average retrieval rates of correct songs in the top 10 of 100 songs by query-by-humming and ASR for song titles are 50.5% and 96.7% respectively.