著者
坂本 雅明
出版者
国際戦略経営研究学会
雑誌
戦略経営ジャーナル (ISSN:21858985)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.59, 2022-08-25 (Released:2022-11-23)

本研究の目的は、M&A のタイプに応じた効果的なPMI 推進方法を明らかにすることである。PMI に関する最近の研究では、タスク統合に先立って人的統合に取り組むべきことが示されている。しかし、これらの研究の多くはM&A のタイプが考慮されていない。そこでシナジー獲得方法が異なる類似型M&A・補完型M&A という分類に着目し、この両タイプが共存するM&A 事例を比較分析した。その結果、(1) 類似型M&A では概ね通説が当てはまるものの人的融和策だけでは人的統合達成は難しく、途中段階からのタスク統合の併用が効果的であること、(2) 補完型M&A では時間をかけた人的統合が逆機能をもたらすことがあり、むしろ早期のタスク統合が望まれることの2 点が示唆された。
著者
山本 隆之 西村 雅恵 宮島 進 岡田 奈津子 内藤 雅文 阿部 泰士 小林 晏
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.112, no.4, pp.385-391, 2002-03-20 (Released:2014-12-27)

48歳,女性.1986年頃からRaynaud症状がみられ,1988年に手の浮腫性硬化,開口障害,が出現し強皮症と診断された.以来,両足趾に小潰瘍が反復出現し,逆流性食道炎,食道潰瘍を伴うようになった.1998年に生検にて十二指腸にamyloid A(AA)蛋白の沈着を認め,続発性アミロイドーシスと診断され,翌年には直腸にもアミロイドの沈着を指摘された.同時期に心機能の軽度低下,軽度の肺線維化を認め,同年12月心不全,腎不全に陥り,血液透析導入となった.心機能は回復したが,腸管運動の著明な低下がみられるようになった.2000年2月突然心肺停止に陥り,永眠された.剖検の結果,心はアミロイドの高度沈着と強皮症による小型の線維化巣,壊死巣を多く認め,腎はアミロイドの高度沈着と強皮症による弓状―小葉間動脈の求心性内膜肥厚像を認めた.また食道,空腸から結腸にかけては内輪筋の萎縮,消失,線維化がみられ,アミロイドも高度沈着していた.強皮症に続発性アミロイドーシスを合併することは稀であるが,長年の経過を有する強皮症は続発性アミロイドーシスの合併を考慮に入れる必要があると思われた.
著者
小松 賢志 DOMINIQUE Sm CORRY Weemae 田内 広 松浦 伸也 WEEMAES Corry SMEETS Dominique SMEETS Domin WEEMAES Corr 遠藤 暁
出版者
広島大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

ナイミ-ヘン染色体不安定症候群(Nijmegen Breakage Syndrome:NBS)は、小頭症、鳥様顔貌、免疫不全および高発癌性を特徴とする染色体不安定症候群である。細胞学的には放射線高感受性と染色体不安定性など毛細血管拡張性運動失調症ATと類似した所見を示す。NBSの原因染色体を同定するため、我々は各種ヒト染色体ならびに放射線照射により断片化した染色体のNBS細胞への微小核移入を試みた。この結果、8q21-24の領域だけがNBS細胞の放射線感受性を回復させることからNBS遺伝子を同領域にマッピングした。続いて、近親婚のオランダ人家系を用いたホモ接合体マッピングでNBS遺伝子を8q21の7cMの領域にさらに限局した。同様に、NBSの3家系と5例の患者でハプロタイプ解析を行った結果、D8S271からD8S270までのlcM以内の領域に1例を除く8例すべての患者で遺伝子型が一致し、NBSの連鎖不平衡が示唆された。このことは、NBSには創始者効果が存在し、NBS原因遺伝子はD8S1811の近傍に位置すると考えられた。現在、この結果を機能的相補性により確認するために、候補領域からスクリーニングされたYACおよびBAC DNAの移入によるNBS細胞の放射線感受性回復試験を行っている。またNBS遺伝子のクローニングを目的として、D8Sl811マーカーを中心とした約500kbの領域の遺伝子地図の作製を進めており、いくつかの既知および未知のcDNAクローンを単離している。一方、ATMおよびNBS遺伝子機能の1つとしてDNA損傷によるp53を介した細胞内シグナル伝達経路が示唆されている。放射線照射後の細胞内p53およびp21をウェスタンブロットで測定した結果、NBSとAT細胞のp53ならびにp21発現が正常細胞に比較して低下していることが明らかとなった。しかし、NBS細胞ではAT細胞にみられるp53発現時期の遅れはなく、発現低下量もAT細胞と異なっていた。このことはNBS原因遺伝子とATMとの厳密な機能の違いを示唆された。

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著者
山中古洞 著
出版者
芸艸堂
巻号頁・発行日
1942
著者
南部 保貞
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

現在の宇宙の大規模構造は,宇宙初期のインフレーション膨張期に生成された量子ゆらぎが進化したものであると考えられている.しかしながら,量子ゆらぎが宇宙の構造につながる古典ゆらぎ に転化するメカニズニムについては十分な理解がされているとは言い難い(原始量子ゆらぎの古典化問題).本研究では,インフレーション起源のゆらぎの量子性並びにその古典性の意味を,量子状 態の持つエンタングルメントのモノガミー性に基づいて解明する.また,観測的に初期宇宙の量子性を検証する手法として,強度相関の方法の可能性について検討を行う.
著者
Taiki Nishikawa Shinya Shimizu Haruo Kamiya Jun Ueyama Sumio Yamada
出版者
International Heart Journal Association
雑誌
International Heart Journal (ISSN:13492365)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.1107-1114, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
35

Oxidative stress plays a crucial role in the progression of heart failure (HF). We surveyed the fraction of human mercaptalbumin [f (HMA) ], an indicator of the redox state of human serum albumin (HSA), in patients with HF and examined whether f (HMA) is associated with the severity of HF.We enrolled consecutive elderly patients hospitalized for acute HF or exacerbation of HF. The redox state of HSA was measured by the high-performance liquid chromatography with postcolumn bromocresol green method using serum samples collected close to discharge. First, the distribution of f (HMA) in HF was compared to that in community-dwelling elderly individuals (n = 125; median age, 80 years) as a control group analyzed in a previous study. Overall, 133 patients (median age, 81 years; 75 men) were included. Patients with HF showed a lower level of f (HMA) than those of the control group (55.0% [IQR 47.7-61.3] versus 66.3% [IQR 62.8-70.0], P < 0.001]. Multiple regression analysis showed a negative correlation between f (HMA) and log-transformed B-type natriuretic peptide (standardized beta = −0.19).Patients with HF showed lower f (HMA) than those in the control group. Additionally, f (HMA) was related to HF independently with log-transformed B-type natriuretic peptide in the multivariate regression analysis, suggesting that f (HMA) is a biomarker that reflects the redox state in HF patients.
著者
堤 聡 木村 秀 松本 大資 古川 尊子 松岡 裕 木原 歩美 浜田 陽子 湯浅 康弘 石倉 久嗣 沖津 宏 阪田 章聖 山下 理子 藤井 義幸
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.124-127, 2011-03-25

リポイド肺炎は脂肪を貪食したマクロファージが出現する肺炎であるが,一般に無症状であり胸部異常陰影にて偶然見つかることが多い.今回診断に苦慮し胸腔鏡下肺生検にて診断しえたリポイド肺炎を経験したので報告する.症例は79歳,女性.僧房弁狭窄症に対する弁置換術後のフォローアップ中に,胸部X 線像で右中肺野にすりガラス陰影の出現を認めたため当科へ紹介された.明らかな自覚症状や各種検査での異常所見を認めなかったため経過観察としていたが,初診から8カ月後に肺野陰影の増強と拡大を認めたため胸腔鏡下肺生検を施行した.病理組織像では肺胞内に浸出物と泡沫状マクロファージを多数認め,最終的にリポイド肺炎の診断を得た.症状に乏しい胸部異常陰影の鑑別疾患のひとつとしてリポイド肺炎は考慮する必要がある.
著者
松倉 信幸 Nobuyuki MATSUKURA
雑誌
鈴鹿短期大学紀要 = Journal of Suzuka Junior College (ISSN:09158421)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.93-103, 1998-01-01

Functional linguistics has been playing an important role for developing discourse analysis, pragmatics, and language acquisition. Therefore the point I wish to emphasize is that functional linguistics has also been furthering teaching methods for communication. This paper is intended as an investigation about the history of communicative language teaching based on functional linguistic theory, the relation between functional linguistics and communicative teaching, and English education which lays great emphasis on communication.
著者
白肌 邦生
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学 (ISSN:18828930)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.68-73, 2021-06-30 (Released:2021-06-30)
参考文献数
44
著者
岩沢 太司 小原 徹哉 田内 亮吏 瀧村 浩介 細川 佑太 竹市 陽介
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.1206-1211, 2022-11-20 (Released:2022-11-20)
参考文献数
4

思春期特発性側弯症(AIS)後方矯正固定術後に,大動脈に近接する椎体がどのように変化をきたしているかの検討を行った.2015年1月から2016年12月までにAISに対して当院で後方矯正固定術を施行した120例中,術前,術直後および術後2年目に骨癒合評価目的にCTを撮像されていた42例を調査した.平均年齢15.5歳(男性2例,女性40例),主カーブ平均Cobb角50.4°であった.手術直後は椎体変形を認めなかったが,手術2年後のCT水平断像で椎体前面に2 mm以上の陥凹を認めた症例を変形ありと定義した結果,変形を認めた症例は20例(47.6%,全例女性)であった.Lenkeタイプ5と6に関しては,全例椎体に変形を認めた.椎体変形有り群と無し群において,各種レントゲンパラメーターを比較すると,術前TLKが前弯傾向であり,術後TLKは有意に前弯を認めていた.AIS術後の椎体,特に胸腰椎移行部の椎体前面は大動脈に近接しているために,経時的に椎体が陥凹変形をきたす可能性がある.そのため,経過観察中に左側ペディクルスクリューの先端が結果的に突出する形となり,大動脈に接触する危険性があり,その長さや位置に注意を要する.
著者
村上 卓 塩野 淳子 石橋 奈保子 石川 伸行 阿部 正一 野間 美緒 坂 有希子 堀米 仁志
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【目的】心房中隔欠損症の多くは思春期まで無症状である。心房中隔欠損症が小児期の身体発育に及ぼす影響について検討した。【対象と方法】2005年1月~2014年12月に15歳以下の心房中隔欠損症103例に延べ106件の心臓カテーテル検査を施行し、他の病態が身体発育に関与しうる25例(染色体異常、左右短絡疾患(心室中隔欠損, 動脈管開存)合併、超低出生体重児、側彎合併、肺動脈弁狭窄治療後、成長ホルモン分泌不全、経管栄養、精神運動発達遅滞)を除外した。1)カテーテル検査時の身長SD、体重SDにQp/Qs、Pp/Ps、Rpが及ぼす影響について検討した。2)心房中隔欠損閉鎖術を施行された症例における術前身長SD、体重SD(カテーテル検査時)と術後身長SD、体重SD(術後6~18か月時)を比較検討した。また、Δ体重SD、Δ身長SD(術前と術後の差)に手術時年齢、術前身長SD、術前体重SD、Qp/Qs、Pp/Ps、Rpが及ぼす影響について検討した。【結果】1)81件(80例)(男35:女46、年齢中央値5y3m(範囲5m~14y1m))の体重SD -0.25±1.09、身長SD -0.16±1.18(平均±SD)と身体発育の低下を認めた。体重SDとQp/Qs、身長SD とPp/Psに負の相関(r=-0.26, p=0.02、r=-0.29, p=0.01)を認めた。2)49例(男27:女22、手術時年齢平均5y5m(範囲9m~13y10m))に心房中隔欠損閉鎖術が施行された。術前体重SD -0.30±1.12 vs 術後体重SD 0.06±0.96(p<0.01)、術前身長SD -0.20±1.12 vs 術後身長SD 0.06±1.01(p<0.01)(平均±SD)と術後に体重と身長の増加を認めた。Δ体重SDは術前体重SD(r=-0.48, p<0.01)や手術時年齢(r=-0.40, p<0.01)と、Δ身長SDも術前身長SD(r=-0.43, p<0.01)や手術年齢(r=-0.58, p<0.01)と負の相関を認めた。【結論】心房中隔欠損症は短絡量や肺動脈圧が身体発育障害に影響している可能性があり、低年齢で身体発育障害が強い症例では閉鎖術により身体発育の改善が期待される。
著者
細尾 綾子 境 泉洋
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.31-41, 2015-01-31 (Released:2019-04-06)

児童青年における体験の回避や認知的フュージョンによる心理的非柔軟性を測定するAvoidance and Fusion Questionnaire for Youth (AFQ-Y)の日本語版を作成し、信頼性と妥当性について検討した。研究Iでは、Item-parcelingを用いた確認的因子分析によって1因子構造であることが示された。また、十分な内的整合性と収束的妥当性が確認された。研究IIでは、中学生に対してアクセプタンス&コミットメント・セラピーを取り入れた集団心理教育を実施し、その前後での日本語版AFQ-Yの得点変化を検討した。その結果、得点が有意に低くなったことにより反応性が確認された。以上のことから、日本語版AFQ-Yは信頼性および妥当性を有すると考えられた。