著者
石黒 武雄 古賀 直文 高村 恭治 丸山 哲生
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.781-785, 1955-07-25 (Released:2010-02-19)
参考文献数
9
被引用文献数
8 8

The flowers of Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino were soaked in petroleum ether immediately after collection, digested for one week, and filtered with pressing. The aqueous layer of the filtrate was extracted with ether. The residual flowers were then digested with warm dehydrated ethanol for 16 hours.1) The portion soluble in petroleum ether is composed of concretes amounting to 0.214% of the original flowers and its treatment with cold dehydrated ethanol separates it into 0.163% of absolutes and 0.043% of flower wax, which is chiefly composed of triacontane, C30H62.2) The ether solution was chromatographically purified and p-hydroxyphenethyl alcohol C8H10O2, was isolated.3) The ethanol-soluble portion yielded D-mannitol.4) The water-soluble portion was fractionated with lead acetate and basic lead acetate. D-Mannitol was isolated from the filtrate and the presence of D-glucose and D-fructose was detected by paper chromatography. The precipitate obtained by lead acetate and the portion soluble in ethanol, yielded succinic acid.
著者
高浜 功丞 神保 和正 吉村 友宏 安森 太一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.577-585, 2022-10-15 (Released:2022-10-15)
参考文献数
23

上肢機能評価バッテリーGRASSP(Graded Redefined Assessment of Strength, Sensation and Prehension)は,頸髄損傷者を主たる対象とした上肢・手指機能の評価ツールであり,既に海外では北米やヨーロッパを中心に脊髄損傷者の上肢機能評価に多く用いられている.この使用報告がほぼない本邦で,これを用いて脊髄損傷者の上肢機能の評価を行い,信頼性,妥当性,反応性について検証したところ,いずれも先行文献とほぼ同様の結果が得られた.また対象者のADL状況との関連を検証したところ,自助具箸の使用可否との間に有意な関係が示されることが確認された.
著者
髙羽 里佳
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.979, 2022 (Released:2022-10-01)
参考文献数
5

最近の報告から,マジックマッシュルームに含まれる幻覚成分であるシロシビンを治療抵抗性うつ病患者に投与したところ,2回の投与で,投与1週間後に患者の抑うつ症状が減少し,この作用は6か月間持続したことから,シロシビンが即効かつ持続的な抗うつ作用を有することが明らかとなった.その結果は,その後の臨床研究からも支持され,アメリカ食品医薬品局は,シロシビンがうつ病の画期的治療薬に成り得ると報告した.シロシビンをはじめとしたセロトニン作動性の幻覚薬が,うつ病のみならずアルコール依存症,不安障害,心的外傷後ストレス障害などに治療効果を示すとして,徐々に注目されはじめている.しかしながら,これらの薬物は,大脳皮質のセロトニン5-HT2A受容体(5-HT2AR)を刺激することにより,幻覚作用も誘発してしまうことがわかっている ため,治療薬としての応用には課題がある.本稿では,Gタンパク質共役型受容体の結晶構造を活用したリガンド探索により,マウスにおいて幻覚作用を示さずに,抗うつ様作用を示すリガンドの合成に成功したことを報告したCaoらの論文を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Carhart-Harris R. L. et al., Lancet Psychiatry, 3, 619-627(2016).2) U. S. FOOD & DRUG. Breakthrough therapy, 2019年1月4日.3) Michaiel A. M. et al., Cell Rep., 26, 3475-3483(2019).4) Cao D. et al., Science, 375, 403-411(2022).5) Thomas E. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 94, 14115-14119(1997).

1 0 0 0 白井町史

出版者
白井町
巻号頁・発行日
vol.史料集 1, 1984
著者
吉良 洋輔
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.107-124, 2013 (Released:2014-09-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

社会的ジレンマは,プレイヤー同士でコミュニケーションを行うことによって解決されやすくなることが知られている.しかし,このメカニズムを数理モデルによって説明することは,未だ行われていない.そこで本稿では,無限繰り返しN人囚人のジレンマ(INPD)ゲームの均衡精緻化を行う.サブゲーム完全ナッシュ均衡では,1人のプレイヤーが戦略を変更する逸脱しか考慮されていない.そのために,INPDにはパレート劣位な均衡が多数存在する.そこで本稿では,プレイヤー同士がコミュニケーションを行うことによって,複数人が同時に戦略変更を行う「結託による逸脱」が可能であることを仮定した.その結果,大多数のプレイヤーが非協力を行うナッシュ均衡は不安定となる一方,ある条件を満たせば全員が協力を行う均衡は頑健であり続けることが分かった.得られた知見は次の2点である.1点目は,社会的ジレンマを解決する上で,長期的関係とコミュニケーションは異なる機能を持つことである.2点目は,より自由なコミュニケーションと行動の変更が認められている状況の方が,社会的ジレンマが解決されやすい場合もある,ということである.
著者
渡辺 信博 飯村 佳織 堀田 晴美
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.151-156, 2022 (Released:2022-04-23)
参考文献数
30

アルツハイマー病(AD)は,脳実質内(神経細胞周囲)にアミロイドβ(Aβ)が異常蓄積することが引き金となって生じると考えられている.近年ではまた,一過性脳虚血などの脳血管障害もADの危険因子のひとつに挙げられている.脳の神経細胞は虚血に脆弱であるが,血管拡張神経を刺激し脳虚血の程度を軽減させると,傷害されるニューロンの数が減少する.すなわち,虚血時の脳血管反応はADの病態に影響を及ぼすと推測される.Aβは脳実質内に加えて,脳表面を走行する軟膜動脈周囲にも蓄積することが知られている.本稿では,Aβ蓄積による脳血管機能への影響について,著者らの研究を含めながら紹介する.
著者
川西 秀樹
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.509-514, 2022 (Released:2022-09-28)
参考文献数
26

血液浄化法の目的は尿毒症毒素を除去することであり,とくに中分子量(MM)が目標になっている.HDF に代表される浄化法が開発され透析低血圧防止・生命予後改善などが示されているがいまだ確定されていない.MM は糸球体を通過する溶質である分子量0.5~58 kDa の範囲として定義され,新たな分類として「small-middle 0.5~15 kDa」,「medium-middle >15~25 kDa」および「large-middle >25~58 kDa」が提唱された.日本ではlarge-middle 領域であるα1 ミクログロブリン(αMG)除去が目標とされてきたが,αMG の生理機能として抗酸化作用が注目され,新たな除去理論が構築されてきている.この機序の臨床的証明がなされれば血液浄化法の更なる発展が得られるであろう.
著者
Bumpei Kikuchi Kazuhiro Ando Yoshihiro Mouri Toru Takino Jun Watanabe Tetsuro Tamura Shinya Yamashita
出版者
The Japanese Society for Neuroendovascular Therapy
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
pp.oa.2022-0047, (Released:2022-10-15)
参考文献数
30

Objective: Time to recanalization is directly linked to cerebral infarction prognosis. However, patients transferred from another hospital take longer to arrive than those transported directly. To minimize time to recanalization, the emergency room (ER) skip strategy for hospital transfers was executed and reviewed.Methods: From April 2019, patients transferred from another hospital for mechanical thrombectomy were carried into the angio-suite using emergency service stretchers. Results for these patients (ER skip group) were compared with those for patients transported directly to our hospital (Direct group).Results: Among 108 cases in 32 months, 99 patients (91.7%) had major cerebral artery occlusion and underwent endovascular treatment. No differences in age, baseline National Institutes of Health Stroke Scale score, effective recanalization rate, or proportion of posterior circulation cases were seen between groups. The ER skip group (26 patients) showed significantly longer median time from onset to arrival (240 vs. 120 min; p = 0.0001) and significantly shorter median time from arrival to groin puncture (11 vs. 69 min; p = 0.0000). No significant differences were evident in time from groin puncture to recanalization (39 vs. 45 min), time from onset to recanalization (298 vs. 244 min), or rate of modified Rankin Scale score 0–2 after 90 days (42.3% vs. 32.9%). Median time from alarm to recanalization (266 vs. 176 min; p = 0.0001) was significantly longer in the ER skip group. Door-to-puncture (DTP) time for the Direct group gradually fell as the number of cases increased, reaching 40 min by the end of study period. In contrast, DTP time for the ER skip group remained extremely short and did not change further. The proportion of patients who underwent both CT and MRI before endovascular treatment was significantly lower in the Direct group (30.1%) than in the ER skip group (57.7%). In the ER skip group, median length of stay in the primary hospital was 119 min, and the median duration of interhospital transfer was 16 min.Conclusion: The ER skip strategy for patients transferred with large vessel occlusion achieved favorable outcomes comparable to that for direct transport cases. Direct transport to a thrombectomy-capable stroke center remains ideal, however, because the time to intervention is improving for direct transport cases each year.
著者
木下 芳一 古田 賢司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.480-487, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
27

大部分の逆流性食道炎例ではその治療は難しくはない.プロトンポンプ阻害薬(PPI)を用いた標準治療を行うと8週間で逆流性食道炎例の90%の食道びらん・潰瘍を,80%の自覚症状を消失させることができる.問題はPPI治療に抵抗する少数例の治療をどうするかである.標準的なPPI治療が不成功となる最も重要な原因はPPIによる胃酸分泌抑制が不十分であることである.そこでPPI治療抵抗性の逆流性食道炎の治療では胃酸分泌抑制をより強力にすることを目的として(1)PPIの投与量を増やす,(2)PPIの食前投与や2分割投薬を行う,(3)PPIの種類を変える,(4)PPIに加えて胃酸中和薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬を追加投薬する,などの対応をおこなう.これらの治療を行うことで,逆流性食道炎例の自覚症状を消失させ,またLos Angeles分類grade C,Dの重症例では症状を消失させるだけではなく合併症を予防することが可能となる.
著者
福井 花央 片山 修一 後藤 隆文 中原 康雄 大倉 隆宏 人見 浩介 青山 興司
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1096-1100, 2018-08-20 (Released:2018-08-20)
参考文献数
13

卵巣広汎性浮腫massive ovarian edema(以下MOE)は正常の卵胞構造を有したまま,間質の浮腫により卵巣腫大を呈するまれな病態である.我々は女児に発症したMOEの2例を経験したので報告する.症例1は9歳,女児.主訴は食思不振,嘔吐,腹部腫瘤.下腹部正中から右側に,10 cm大の腫瘤を認めた.MRIで骨盤内腫瘤の被膜下にMOEに特徴的な所見であるネックレスサインと呼ばれる多数の小囊胞構造を認めた.術中所見では右卵巣が捻転しており,腫瘍や壊死の可能性を考え付属器切除術を施行した.症例2は4歳,女児.主訴は腹痛,嘔吐.MRIでネックレスサインを認めた.画像,臨床経験から術前にMOEと診断し,腹腔鏡下右卵巣捻転解除術および固定術を施行した.女児の急性腹症ではMOEの可能性を念頭におくべきである.
著者
鈴木 謙一 高橋 成五
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.307-313, 2022 (Released:2022-03-01)
参考文献数
17

日本を取り巻く広大な海洋及びその資源の有効活用,老朽化する水中インフラや新たな水中インフラの増加に伴う効率的な水中構造物点検,スマート漁業の進展など,今後水中へのICT/IoT 技術の積極的な導入が期待されている.そのため,我々は地上並みの高速ネットワークを水中に実現し,水中の3D データを取得するため,水中ライダの検討を行ってきた.本論文では,特に水中の測距データを取得する水中ライダの開発に向けた取組みについて紹介する.まずライダについて紹介するとともに,可視光ライダ化が水中の物体の測距が可能であることを示す.次に可視光ライダを耐圧容器に収容することにより開発した水中ライダを用いて,実際に水中で物体の3D スキャンを行った結果を示す.今後,実験で明らかになった問題点への対策及び再実験による評価を重ね水中ライダの完成度を向上させる予定である.