著者
濱田 純一 HALD Gabriele HADL Gabriele
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

平成20年度(20年4月1日〜20年9月29日)の主な研究内容は以下の通り。【文献研究】市民社会メディア、メディア政策やコミュニケートする権利に関する文献(英語、日本語)を収集し、先行研究の確認を行った。【「市民社会メディア研究コンソーシアム」に関する活動】国際的なコンソーシアム(CSMPolicy)をコーディネートした。国際学会でセッションをコーディネートし、来年東京で開催する交流シンポジウムの準備に携わった。【研究会運営】昨年度設立したCSM&Policy@iii研究会を本年度4回開催した。開催の知らせや報告をブログで定期的に公開、調査プロジェクトに協力した。【調査研究】CSM&Policy@iii研究会のメンバーによる調査チームを組み、非商業的なメディア(行政系をのぞく)関係者の意識調査(ウェブアンケート)を実施した。結果を研究会で議論し、仮報告書を執筆した。【学術論文執筆】・「Media and Civic Engagement in Japan」(著者:HADL Gabriele)in Contemporary Civic Engagement in Japan,Henk Vinken&国立民俗学博物館(編).New York:Springer。2010年出版予定。・「コミュニケートする権利と市民社会メディア」(仮称)(著者:濱田純一、HADL Gabriele,浜田忠久)来年学術誌に投稿する予定。【学会および社会活動】・IAMCR学会にcommunity communication分科会副会長として参加(ストックホルム大学、7月)・国際シンポジウム『環境・グローバリズム・メディア』(早稲田大学、2008年5月31日)にて討議者・市民メディアセンターMediRのメディア講座にてゲストスピーカー・早稲田大学大学院政治学研究科・瀬川至朗ゼミ(2008年6月30日)にてゲストスピーカー・Cultural Typhoon 2008学会、セッション「世界の市民メディアを語る」(せんだいメディアテーク、2008年6月28日)にて討議者【学術誌の客員編集者(guest editor)】・Media and Cultural Politics誌(Intellect出版)の「Convergences:Civil Society Media and Policy」特集号(Vol.5.1)学術誌の特集号の企画をたて、論文を募集した。投稿された論文を編集し、複数のレフリーに審査してもらい、その上で最終修正、編集を行った。さらに前書きを執筆した。
著者
兼廣 春之 東海 正 渡部 俊広
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

脂肪族ポリエステル系の生分解性繊維3種と天然繊維の綿糸と絹糸を、(1)水深約2000mの深海底(鳥取沖カニ籠漁場)に10ヶ月間浸漬、及び(2)富山県水産試験場の富山湾深層水中(試験場内の飼育水槽(水温0.5℃)及び加圧タンク(水圧約20atm、水温約3.6℃))に約1年間浸漬し、繊維の強度低下と海水中における微生物分解の評価を行った。その結果、浸漬したすべての繊維で強度低下が起こり、深層水中での強度低下は綿>絹>脂肪族ポリエステル(PCL≧PHB/V>PBS)の順であった。繊維表面の電子顕微鏡観察の結果、繊維の強度低下は深層水中の微生物分解により起こっているものと推察された。この結果、低水温、高水圧の極限環境下の深層水中でもプラスチックの微生物分解が起こることが確認された。試験に用いた富山湾深層水からプラスチック分解微生物の単離を試みた結果、加圧タンク水から2株のPCL分解微生物(Toyama04とToyama10)の単離に成功した。さらに、他の海域(東京湾表層水)より単離したPCL分解菌2株(TUF-1とTUF-2)の計4株について、それらの生理生化学的特性、遺伝学的特性、プラスチック分解活性の比較を行った。遺伝子解析の結果、4株ともPseudomonas sp.と高い相同性を示し、そのうち、深層水より単離した2株と東京湾表層水より単離したTUF-2はPseudomonas denitrificansと非常に高い相同性を、TUF-1はPseudomonas pachastrellaeと高い相同性を示した。また、単離した4株の形態学的性状及び生理生化学性状を調べた結果、4株ともグラム陰性の桿菌で、運動性を有し、生理生化学性状(生育条件や代謝活性)はほぼ同様の性状を持つことがわかった。単離した4株についてPCLグラニュール液体培地により、4℃、10℃及び25℃におけるPCL分解能を調べた結果、深層水から単離した2株はともに25℃の室温での分解活性を示すとともに4℃及び10℃の低温でも分解活性を示した。一方、表層水から単離した2株は、25℃では分解活性が見られたものの4℃及び10℃の低温では分解活性は見られなかった。
著者
日高 達 市丸 夏樹 冨浦 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は,構文構造の曖昧性解消に利用されてきた語の係り受け関係を句構造文法の統語規則により組み込む方法と,確率文法のパラメタを複合化することにより構文解析の正解率を改善する手法の開発を目的とし,次のような研究成果を得た.1. 語彙の共起制約を包含する文脈自由文法の構成法統語範疇(品詞)に基づく自然言語の句構造文法を,(統語範疇,head word,function word)の3組に基づく句構造文法に組み変えることにより,統語範疇の構造制約と語彙の共起制約の両方を満足する文脈自由文法の構成法を提案した.ここで,語彙の共起制約とは語の係り受け関係と文節における付属語の連接条件を指している.この研究成果は,従来難しいとされてきた,語彙の共起制約の句構造文法への組込み法を与えた点で評価に値する成果である.2. 確率文法の複合化手法の開発確率文脈自由文法の近似性能を向上するための複合化モデルを提案した.複合化することにより尤度の向上が計れることを示し,また複合化度mおよびm組の確率パラメタ推定式をBaumの不等式を用いて導いた.確率文脈自由文法の高速構文解析機であるEarleyの手法を拡張して複合化確率文法モデルの構文解析アルゴリズムを構成した.曖昧な構文構造を生成する文を収集し,正解の構文構造をランダムに選出して,標本集合とし,標本集合からm組の確率パラメタを(1)の推定式に基づいて算出し,(2)の構文解析手法により構文解析を行なって正解率を実験的に算定した.その結果,単独の確率文法を用いることに較べ,複合化確率文法の場合に正解率の向上が顕著であることを実証した.
著者
本江 哲行
出版者
富山工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では,実験室レベルで実験が可能な衝突実験装置の設計,製作,衝突実験の方法と測定方法の検討を行うとともに,実験から,ゴルフボールの特性を定量的に表現することを試みる.また,主研究者が従来から提案した衝突モデルをゴルフボールの適用し,モデルの妥当性の検討を行った.また,ハイスピードカメラを用いた衝突現象の解析の結果,以下のことが,明らかになった.(1)提案した衝突モデルを,ゴルフボール衝突系に適用した場合,シミュレーションと実験に良好な一致を見ることができ,本モデルの適用が可能であることが確認できた.(2)数値シミュレーションを行う場合,計算に用いるばね係数Kは,ボールのコア材のヤング率とポアソン比を用いて計算することが可能であると考えられる.(3)ボールの特性は反発係数に依存し,飛距離用のボールの反発係数は高く,コントロール用のボールの反発係数は低くい傾向にあり,高ヘッドスピードの反発係数は低く,低ヘッドスピードの反発係数は高い傾向にある.また,構造では,2ピースボールの反発係数は高く,3ピースボールの反発係数は低くい傾向にあることがわかった.(4)衝突速度が大きくなると衝突時間は短くなる.反発係数は,衝突力大きさや衝突時間にあまり影響を与えないが,ばね係数は,係数が小さい(剛性が低い)と衝突力は小さくなり,衝突時間は,長くなることがわかった.(5)ハイスピードカメラによる衝突現象解析の結果,衝突力が0になっても,変形が残っている残留振幅現象が確認できた.
著者
山本 晴康 川谷 義行 尾形 直則
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

褥瘡の発生のメカニズムを検討するため、圧力センサーと血流センサーは重ねて貼付し、踵部の圧と血流の同時測定を行った。健常人での測定では安静仰臥位では踵骨部後面に約350mmHgの圧がかかっておりほとんど阻血状態であった。その後下肢を徐々に挙上していくと120mmHgあたりで血流は再開し始め、10-20mmHgでほぼ正常の半分の血流が得られることが判明した。30mmHgでは無荷重時の74%、10mmHgでは100%の血流が得られた。健常者の除圧時の踵部の血行は27.45±2.64ml/min/100g(n=5)であり、圧力が0になってから血行がmaximumに回復する時間は3秒前後であった。これと比較し、除圧時の踵部の血行は重度の糖尿病をもつ患者では一様に悪く、平均が18.25±6.04ml/min/100g(n=4)であり、健常人の半分以下である患者もいた。50mmHgの圧力でも糖尿病患者では10%以下に血流が低下してしまった。圧力が0になってから血行がmaximumに回復する時間は平均7.14秒であった。一方、片麻痺患者では健常人と比べ、患側でも除圧時の踵部の血行は26.25±12.2ml/min/100g(n=8)と比較的保たれていた。50mmHgの圧力では血流はmaximumの10%に落ち、圧力が0になってから血行がmaximumに回復する時間は平均6.15秒でやはり健常人と比較すると明らかに遅延していた。大腿骨頚部骨折に対して手術を行った患者5例では、踵部の最大血流量の平均は健側30.6ml/min/100g、患側30.2ml/min/100gで、健常者に比較し、低下は見られなかった。しかし、手術した側(患側)はしていない側(健側)に比べ、明らかに少ない圧力での血行障害が生じていた。また、踵部が完全に除圧されてから血流が最大に回復されるまでの時間を調べた結果、健側は平均3.01±134(n=5)秒であるのに対して、患側は平均20秒近くかかっていた(19.44±2.35秒、n=5)。また、5例全ての症例で、患側肢では50mmHgの圧力で、血行がほとんど途絶えてしまっていた。術後安静を余儀なくされている症例では、圧迫により容易に血流障害を生じ、また、圧迫を除去されてからの血流の可塑性も低下していた。
著者
中川 貴雄 JEONG Woong-Seob
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

現代の天文学における大きな課題の一つは、宇宙における大規模構造の形成の原因を解明することにある。我々はその大きな課題に赤外線天文衛星「あかり」を活用して、その謎の解明に挑んだ。「あかり」打ち上げ前には、数値シミュレーションにより、「あかり」の観測戦略を検討し、打ち上げ後は、そのデータ解析活動において、中心的な役割を果たしてきた。宇宙における大規模構造の形成の原因の情報は、積分された形でCosmic Infrared Backgroundの中に埋もれている。我々は、赤外線天文衛星「あかり」のデータを解析し、「あかり」の優れた空間分解能により、Cosmic Infrared Backgroundのかなりを点源として分離できることを示した(Jeong, et. al.2007)。さらに、「あかり」の多色サーベイを用いることにより、さまざまなタイプの銀河を抽出し、銀河の進化を観測的に追うと同時に、極めて珍しい種族の銀河も抽出できることを、数値シミュレーションにより明らかにした(Pearson & Jeong, et. al.2007)。さらに、「あかり」のデータ解析、観測に関して、多くの共同研究を行った。それには、小マゼラン雲において、初めて中間赤外線で超新星残骸を検出(Koo, et. al.2007)、過去の宇宙における星形成史を「あかり」遠赤外線による観測から解明(Matsuura, et. al.2007)、さらに中間赤外線15μmで検出された天体と光学観測との同定(Matsuhara, et. al.2007)など、多くの研究論文が含まれている。
著者
松本 浩一 浅野 春二 丸山 宏
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

近年道教研究は、中国文化を理解するにあたっての重要性が認識され、注目を集めるようになっている。しかし中国人の生活・文化のあらゆる面に影響が及んでいる道教の研究を進めるにあたっては、道教を実践する道士ばかりでなく、一般の人々との接点にも目を向け、さらに祠廟の祭典や葬送儀礼あるいは様々な呪術儀礼などの宗教儀礼の意味と、それらを提供する道士をはじめとする様々な宗教職能者の活動の実態、そしてその変遷を実態調査と文献資料の両面からアプローチしていくことが要求される。この研究では、外国人が実態調査を進めるのに制約が少ない台湾を対象とし、台湾の近現代の社会変化を巨視的に押さえた上で、道教と民俗宗教が交差する領域の儀礼・宗教職能者に具体的に現れた変化の相を解明すること、宗教儀礼の文字資料や宗教者の口承資料を努めて収集し分析すること、台湾独自の歴史的動態に即した宗教変化の論点を提起することを目標においた。そして何回かの実態調査と、その際に収集した文献資料とによって、特に彼らの提供する儀礼とその伝承の実態とに関して、それぞれに次のような成果を得ることができた。松本は主として台湾北部の紅頭道士の行う呪術儀礼の実態調査と、その際に用いるテキストの分析を行い、さらにそれらを台湾南部の法師の行う呪術儀礼と比較することによって、儀礼の構造と社会的役割について明らかにすることができた。丸山は南部の高雄・屏東地区の道士について、実態調査と文献の収集を行うことによって、彼らの入門・資格取得儀礼の実態を明らかにし、さらに世代ごとの違いについて比較を行い、彼らに儀礼を依頼した地域の民衆との関わりについても明らかにした。浅野は台南市・高雄県の道士について聞き取り調査を進めるとともに、祠廟の祭祀についての資料を収集し、道士のライフヒストリーとともに、地域の祠廟信仰や家庭祭祀との関係について明らかにした。
著者
志水 泰武
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

最近、食欲を変化させるグレリンと呼ばれるホルモンが胃から分泌されることが発見された。この研究の目的は、グレリンに消化管の運動を調節する作用があるか明らかにすることである。ラットを用いた実験から、グレリンは胃だけではなく脊髄の中でも作られていて、脊髄で作られるグレリンが自律神経を活発にして、大腸の運動を強くすることがわかった。ストレスによる下痢や便秘を改善するために応用可能な現象であると考えられる。
著者
郷間 英世 小谷 裕実
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

重症心身障害児・者のQOLの評価検討を行った結果は以下の通りであった。1)重症心身障害児の両親へのインタビューより、(1)重症心身障害児・者も自己のQOL(生活の質)について様々な方法で表現している。(2)社会的役割として、重症心身障害児・者も周囲人々に様々な影響を与えていること。(3)障害児・者を育てたことを肯定的にとらえている親は少なくない、などの結果を得た。2)重症心身障害児に対するQOLの評価用紙を作成し、日常介護に携わっている保護者等に回答を求めた。評価項目は(1)健康(医療や健康)、(2)生活環境(日常生活)、(3)家族、(4)社会的情緒的人間関係、(5)教育や労働(日々の療育活動、労働、学齢時は教育)、(6)レジャー(趣味、楽しみ、レクレーション)、(7)全体的な生活に対する満足度、(8)自己表現や自己選択の度合いの8領域に分けた。その結果、重症心身障害児は、全体としての日常生活に在る程度満足している者が多いが、本人や家族を支援してくれる人は少なく、環境や福祉施策は不充分であり、将来の健康や生活に不安がある者が多いという結果であった。3)学齢児に関しては、養護学校の生徒の重症化の実態やQOLの視点から見た医療的ケアの重要性などについて、これまでの研究やインタビュー調査をまとめ報告した。重度の障害を持つ生徒にとって医療はQOLの基礎を与えると考えられた。これらの結果より、重症心身障害児のQOLの構造は、Subjective QOLとObjective QOLに、またObjective QOLはさらにHealth relatedと他の領域に分けられると考えられた。今後は、(1)QOL評価用紙の一般化、(2)QOLの基本である重症心身障害児・者自身の個人的満足度(subjective QOL)の評価などが課題となっている。
著者
横須賀 俊司
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本年度も昨年度に引き続き、男性頸随損傷者に対して聞き取り調査を行いライフヒストリーを作成していった。その中で明らかになったことは、当初の仮説とは異なるものであった。当初の仮説としては、性機能障害のある男性頸随損傷者は性行動に対して消極的であり、セックス(その中でも特に性交)に対してどちらかというと否定的な意味づけをしているのではないかというものであった。しかし、聞き取りを行った5人の男性頸随損傷者の全員がかなり積極的な性行動をとっていた。健常者の性行動よりもかなり活発に性行動をとっていると思われる人もいた。性交に対して必ずしも否定的な意味づけを意味づけをしているわけでもなかった。それよりは、むしろ、できないことは仕方がないと受け止めて、その状況の中でどのようにやっていくかを志向しているようであったといえる。このように仮説を裏切るものであったが、これを一般化して論じるわけにはいかない。まず、調査対象の人数が少ないという点があげられる。それに加えて、対象者の偏りをあざけるを得ない。性のようなプライベートなことをインタビューすることを誰でもが引き受けてくれるわけではない。そのため、知り合いを伝っていく方法にならざるを得ない。今回のインタビューでもその方法がとられた。その結果、障害者団体の活動や障害者運動に参加しているという人たちばかりであった。ある程度活発に社会参加している人たちであったからこそ、性行動に対して積極的であったり、否定的意味づけをしていないということも考えられるところである。したがって、今後の研究課題としては、社会参加をあまりしていないような男性頸随損傷者にも聞き取りを行い、その人たちがどのような状況にあるのかを明らかにしていく必要がある。それを比較検討していくことで研究を豊かなものにしていくことができるであろう。
著者
池上 将永
出版者
旭川医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、欲求不満状況における対処行動の個人差と前頭前野活動の関連を検討することであった。その結果、報酬の不均衡によって生じる欲求不満状況では、非欲求不満状況と比べて、左右前頭前野の活動が減少する傾向が見られた。また右前頭前野背外側部の活動の個人差には、神経症傾向のような性格特性が関連する可能性が示唆された。欲求不満状況では注意集中の困難が感じられ、この個人差も前頭前野活動の程度に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
池上 貴久
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

キチナーゼを、Pf1-ファージとアクリルアミドゲルを配向剤として用い、静磁場中で配向させ、残余双極子相互作用値(RDC)を測定し、これらを使った系が有効であることを実証した。さらに、この配向状態での緩和分散法の適用法を開発するため、構造交換していることが確実な複合体の系を用いた。これらのstoichiometryを変えると、RDCの値も複合体の比率に依存して変わることを確認した。
著者
池上 博司 川畑 由美子 能宗 伸輔 馬場谷 成
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1型糖尿病遺伝子の解析をヒトとマウスの染色体相同性を駆使して進めた結果、主効果遺伝子であるHLAとの関連にサブタイプ間で差を認めること(劇症と他のサブタイプ間で質的差異、緩徐進行と急性発症間で量的差異)、臓器特異性を決定する遺伝子としてインスリン特異的転写因子MafAが胸腺でのインスリン発現量の変化を介して1型糖尿病の疾患感受性に関与することが示された。
著者
高橋 奈美
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,診断から呼吸器装着前までのALS患者とその家族の支援プログラム作成を目的とした.研究の結果,ALS患者とその家族は,【告知後の精神的ショックに対するサポート】【病気の知識の提供】【病気の進行の見通しの情報提供】【経済的問題に関する相談】【制度の知識の提供】【日常生活介助が必要となった時期の在宅療養支援体制の整備】【介護時間獲得のための支援】【PEG造設の意思決定支援】,【TPPVの意思決定支援】,【療養の場の意思決定支援】の10の支援ニーズを持っていることが明らかとなった.今後,これらの支援ニーズを反映させた支援プログラム作成の必要性が示唆された.
著者
池上 徹 武冨 紹信 杉町 圭史 副島 雄二
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

C型肝硬変に対する肝移植術後インターフェロン(IFN)治療を48週以上施行し得た症例を対象とした。Core領域アミノ酸変異、NS5Aの変異、IL28BSNPとVR率およびSVR率との比較を行った。IFN治療によるSVR率は47. 8%であった。IL28B major/major群(n=29)およびmajor含有群(n=20)のSVR率はそれぞれ68. 9%および15. 0%であった。また、major/major群の内、AA70/91(double wild=1)、ISDR(変異2個以上=1)、IRRDR(変異6個以上=1)で解析すると、合計ポイント0(n=5)、1(n=12)、2(n=10)、3(n=2)それぞれのSVR率は40. 0%、66. 7%、80. 0%、100%であった。またmajor群のSVR率は15/19=78. 9%、minor群のSVR率は33. 3%であった。
著者
岩室 史英 長田 哲也 太田 耕司 吉田 道利 沖田 喜一 泉浦 秀行 長田 哲也 太田 耕司 吉田 道利 沖田 喜一 泉浦 秀行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、京大3.8m分割鏡望遠鏡の分割主鏡の位置を光の波長の1/20の精度で合わせる技術の開発研究を行った。5色レーザーを用いたこの方法は、従来の星を用いた方法とは異なり、大気の状態や天候の影響を受けることなく高速で分割鏡の状態を確認することができる。この新手法と、独自の高精度アクチュエータを組み合わせて、実際の望遠鏡の一部の複製を用いて分割鏡の位置合わせを行うことに成功した。
著者
池上 哲司 朴 一功 村山 保史 加来 雄之 藤田 正勝 門脇 健 西尾 浩二 竹花 洋佑
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

清沢満之の東京大学時代未公開ノート解読を通して、西洋哲学が明治期の日本にどのような形で受容されたかを明らかにしようとした。フェノロサが行った哲学関係の授業についての英文聴講ノートの内容を調査・分析していく過程で、満之と同年入学の高嶺三吉によるフェノロサ講義のノートが発見された。そこで、フェノロサによる複数の哲学関係授業の時期と内容を確定するために、清沢および高嶺の聴講ノートを翻刻・翻訳し出版した。
著者
長崎 勤 菅野 敦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

ディスコースにおいて重要な自他の意図に関する意識や理解の発達を検討するために、複数の中から相手の意図(好み)を尋ねる選択質問を使って健常児のディスコースの発達と発達遅滞児の指導プログラムについての検討を行った。研究Iでは、健常児における他者の欲求意図理解の発達について検討を行った。その結果、2歳〜3歳児は、自他の欲求意図を同一化する傾向があり、4歳〜5歳児になると、自己と他者の欲求意図の自律性の理解ができていた。研究IIでは、研究Iのディスコースユニットモデルを基に工作場面とおやつ場面を設定し、言語発達遅滞児の会話技能の指導を実施した。7歳のダウン症女児に、工作場面で身体援助、言語指示、モデル提示などの段階的な援助を与え、聞き手の意図を想定した発話行為の遂行を促したとごろ、セッションの経過と共に相手の意図を尋ねる行為が可能になった。研究IIIでは、場面によるディスコースの特徴を検討するために、健常児2歳、3歳とダウン症児(MLUマッチング)の母子相互交渉を観察した結果、母子間で知識が共有され、認知的負荷が軽減されている日常生活ルーティン場面の方が、玩具遊び場面よりも時空間的に離れた事象への言及といった、高次な言語使用が多いことが示された。会話内容が「今、ここ」に限定されることが指摘されているダウン症児は、会話初期から既に未来事象への言及が少ないことが示され、指導の必要性が示唆された。研究IVでは、おやつスクリプトの獲得について、10〜20ケ月の健常児とダウン症児(MAマッチング)について縦断的検討を行った結果、スクリプトの中心的要素から細部要素へ(18ケ月頃)という獲得の順序性が示され、また同時期に言語による伝達が開始されたことから、スクリプトの獲得と言語獲得及びディスコースとの関連性が示された。ダウン症児は、スクリプト獲得に遅れがみられ、言語獲得やディスコース発達の遅れの1つの要因である可能性が示唆された。研究Vでは、6歳のダウン症女児にファーストフード店場面を設定し、誤提示を用いて伝達意図の調整を指導したところ、調整を求める選択質問への応答や、相手の要求に応じて意図を調整すると言った伝達の柔軟な調整が可能になり、実際のファーストフード店での般化も確認された。
著者
小松 真
出版者
岩手医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

コアンダ効果を伴う放電駆動マイクロウォータージェットの軟組織切開に対する性能評価を行い,多目的な外科的切開装置の提案を試みた.その結果,水中放電により直接ジェットを安定駆動する条件を特定し,それが切開に適した性能を持つことを確認した.また切開時の血管等の組織保存に関わるコアンダ効果について,円柱硬組織に対しその効果が出現する接触角度の範囲を大要的に特定した.以上により切開過程の部分的な評価と,広いレンジにわたり強さを調整する方法の確立ができたことで,多部位に適用できるジェットの発生方法を提案できた.
著者
小川 寿美子
出版者
名桜大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

平成19年度は研究の最終年度であったため集大成の結果を国際学会(21st Pacific Science Congress)にて合計四演題を口頭発表をした。第一の発表は、本研究課題のタイトルにもある「沖縄女性のエンパワメント」に関する考察結果の集大成である「Empowerment of Public Health Nurses in Post-WorldWar II Okinawa(第二次世界大戦後沖縄における公衆衛生看護婦のエンパワメントに関する研究)」という演題であった。第二の発表は、戦後沖縄の離島・僻地の地域保健・医療を支えた公衆衛生看護婦(現・保健師)や介輔(医師不足を解消するため戦時中、衛生兵の経験のある者などに離島や僻地など地域限定で一定の診療行為が認められた人)に焦点を当てた「Mid-Level Practitioners for CommunityHealth Services:Lesson-Learned from Post-War Okinawa(実践医療職による地域保健サービス-戦後沖縄の経験から学べる点)」という演題であった。第三の発表は、沖縄の僻地の中でも、特に沖縄北部地域に限定し、1960年代の母子保健事情をまとめたもので「Maternal Health Workforce in Northern Okinawa in the 1960's(1960年代の沖縄北部における母子保健従事者に関する研究:本報告者は共著者の一人)」という演題であった。第四の発表は、現代の沖縄女性でも、特に女性医師に焦点を当てた研究で、離島・僻地で働く医師が未だに不足する原因を、インタビューやアンケート票を用いてまとめた「Women Doctors and the Chronic Doctor Shortage in Remote Areas of Okinawa(沖縄離島・僻地における慢性的な医師不足と女性医師に関する研究)である。本研究を通じて明らかとなったこと、および以上の国際学会での発表の諸結論をまとめると、女性がエンパワメントを受ける強い要因として (1)男性との力関係を競わない条件(戦後沖縄の男性人口の減少)、 (2)職能集団意識(公衆衛生看護婦)、 (3)組織的な活動と後方支援との信頼関係(同上)、 (4)カリスマ的存在への憧憬と尊敬の念(米国民政府のワーターワース、公衆衛生看護の要、金城妙子女史)が条件であったという結論に達した。