著者
水口 雅 高梨 潤一 齋藤 真木子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

急性壊死性脳症(ANE)やけいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)に代表される急性脳症の病態の解明を目的とし、神経、免疫、代謝のクロストークに関する遺伝子解析と機能解析を行った。ANEについては、日本人の孤発性ANEの遺伝的背景としてサイトカイン多型とHLA型を同定し、欧米人の家族性ANEの原因遺伝子であるRANBP2の機能を解析した。AESDについては、自然免疫抑制因子であるCTLA4の多型がAESD発症に関連することを示した。また複数の症候群におけるナトリウムチャネルの変異の関与、また急性脳症全般におけるミトコンドリア酵素CPT2の熱感受性多型の関与を明らかにした。
著者
福井 智紀 佐久間 岳
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.37-42, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

現代の科学や科学者の一面を理解させるため,ES細胞論文捏造事件を素材として,漫画教材の開発を行った。内容は,実際の事件を参考にしつつも,架空のストーリー・登場人物として再構成した。最終的に,A5判型で計 46 頁の小冊子が完成した。教材は2部構成となっている。第1部「トム教授の活躍」では,主人公の教授や彼を取り巻く人物達を紹介し,優れた成果をあげて賞賛を浴びる様子が描かれる。第2部「トム教授への疑惑」では,一転して,研究に対する疑義の提起や追究の過程が描かれるとともに,実際の事件についても簡潔な紹介がなされる。開発した漫画教材を用いて,理科の教員免許取得を目指す大学生を対象に試行した結果,一定の活用効果が見られた。さらに,教材の優れた点や改善点などを把握することができた。教材の理科授業での有用性についても,一定の評価を得た。現代の科学・科学者は,「素朴的」「牧歌的」イメージでは,正確に捉えきれない。科学や科学者について,否定的イメージのみを煽らないように配慮したうえで,理想的とは言えない側面も取り扱うことが,今後は必要だと考える。
著者
倉本 圭
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面と真空 (ISSN:24335835)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.171-176, 2020-04-10 (Released:2020-04-10)
参考文献数
9

A planetary atmosphere is the gaseous layer that divides the planetary surface and surrounding space. Although the Earth's atmosphere occupies a tiny fraction of the total Earth's mass, it plays an essential role to make the Earth's surface environment circulating liquid-water that is thought to be the most fundamental condition for the emergence and evolution of the terrestrial life organisms. The vertical structure of Earth's atmosphere from the Earth's surface to the uppermost region that merges into space is strongly influenced by interactions with space.
著者
大島 浩幸 山田 憲政
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.65-74, 2010

本研究の目的は,運動技術レベルと運動観察能力の関連を実験的に検証することであった.実験は,様々なスポーツにおいて一般的な運動でありながら熟練度によって優劣の差がある投球動作を試技として用いた.まず,第一の実験として40人の実験参加者を投球課題中の肘関節と手関節の時間的位相差を指標に各10人の2群に分けた.A群(上位群):肘関節の伸展角速度の増加が手関節の伸展角速度の増加より先に来る.B群(下位群):A群の関係が逆になる.次に第二の実験では,15セットのスティックピクチャーで構成される映像を,モデルとした熟練投球動作を基に時間的位相差の段階的操作により作成し,2群の各10人,計20人がモデルの実行した映像と作成した映像を観察した;それらの運動間の差異を検出したセット数を記録した.その結果,A群はB群よりも有意に早い段階で運動の差異を検出した(p<0.001).この結果は,運動技術レベルが高い実験参加者の運動観察における差異の検出精度は運動技術レベルが低い実験参加者の運動観察における差異の検出精度に比べ有意に高いということを示す.
著者
穂満 高志 辻 義弘 吉岡 正訓 藤堂 敦 人見 泰正 浅川 徹也 水野(松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.24-28, 2014-01-01 (Released:2014-01-22)
参考文献数
6

【目的】ネブライザの取り付け位置の工夫が,フロートリガー時の回路内定常流によるエアロゾル損失を抑え,ネブライザ運搬効率を上げると仮説を立て,新たな超音波ネブライザの取り付け位置を提案するために生体外モデルでの検討を行った。【方法】挿管チューブの先端と呼気側回路にそれぞれフィルタを接続し,ネブライザをYピース手前に取り付けた従来法と,Yピースと挿管チューブの間に取り付けた提案法の2種類の模擬回路を作成した。薬液ユニットに10%食塩水10 mlを入れ30分間噴霧させた。噴霧前,噴霧30分後のフィルタの質量を測定し到達率と損失率を求めた。【結果】提案法のエアロゾル到達率は,従来法と比較して有意に高値を示した。また従来法のエアロゾル損失率は,提案法と比較し有意に高値を示した。【結語】提案法は,新たなネブライザ取り付け位置の有用性を示した。
著者
白石 真道
出版者
密教研究会
雑誌
密教文化 (ISSN:02869837)
巻号頁・発行日
vol.1956, no.33, pp.L46-L38_1, 1956-04-20 (Released:2010-03-12)
著者
五十嵐 太郎
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.247-252, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
14

亀田郷は越後平野のほぼ中央に位置し,かつては河川の氾濫による水害常習地帯であり,その大部分が湿地帯であったので,「葦沼」と称されていた.したがって,ここでの水田の開拓と稲作作業は,すべて過酷な水との闘いであった.しかし,大河津分水の開削(1927年),阿賀野川の河川改修工事(1933年)などの治水事業により洪水の被害からのがれ,さらに栗ノ木排水機の新設(1948年)と耕地整理の完了(1956年)により,統一的な地上水の排除が可能となり,ようやく近代農業の基礎が築かれた.ここでは,まず湿地帯すなわち「葦沼」での水田開発と「葦沼水田」の実態,ついで内外の治水対策,とくに内部治水対策,最後に耕地整理(全郷の統一的地上水排除)とこれに伴う稲作技術の対応について述べる.
著者
森川 友義
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

公共選択理論やゲーム理論に基づいて政治に関する仮説をたてる場合、人間は経済的利益を追求する利己的な動物との前提条件を付するのが一般的である。しかし、複数の人間の自己利益と公共利益が並存するような「社会的ジレンマ」等の研究で分かってきたことは、人間は必ずしも自己の利益を追求するばかりではなく、自己を犠牲にしてまでも協力関係を築く可能性があるというということである。研究者の間では、このような人間は例外的としてとらえられてきた経緯がある。しかしながら、本研究では、このような協力的な人間が存在するという至近メカニズム(proximate mechanism)における事実を進化過程にまでさかのぼった根源的メカニズム(ultimate mechanism)からしたところ、条件が整えば、むしろ人間の進化過程では、遺伝子に組み込まれた資質として存在することができることを、数学的手法とシミュレーションを用いて検証した。その条件とは、(1)囚人のジレンマでは、通常の二択ではなく、ゲームに参加しないという選択を持つこと、(2)うそをつく能力を持つこと、(3)うそを見抜く能力を持つこと、(4)できれば、タカ派ハト派ゲームやゼロサムゲームといった別のゲームの選択肢が存在すること、であり、このような条件のもとに2万世代でどのように進化してきたのかについてコンピューターシミュレーションを行って検証したところ、うそをつく能力とうそを見抜く能力は拮抗しつつも、協力関係を促す遺伝子は確実に増殖することを発見した。この二年間に著者の関心は、政治脳へのシミュレーションアプローチから、紛争における自己犠牲の可能性、政治知識と政治脳の関係、男女間の配偶者選択における政治脳の可能性と広がった。特に現在の世界情勢を見るとき、紛争地域における自爆テロは頻繁に発生しており、おそらく遺伝子レベルにおいて戦争状態における自己犠牲の傾向がみられる点における関心が強くなってきている。
著者
浅見 泰司
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.77, pp.48-49, 2012 (Released:2017-06-29)
参考文献数
2
被引用文献数
1

1 0 0 0 OA 大阪築港誌

出版者
大阪市築港事務所
巻号頁・発行日
vol.〔本編〕, 1906
著者
小岩 昌宏
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
まてりあ (ISSN:13402625)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.55-62, 2011 (Released:2012-11-29)
参考文献数
35
被引用文献数
1 4