著者
藤原 克美
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済研究 (ISSN:18805647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.2_1-2_14, 2017 (Released:2017-08-08)
参考文献数
20

グローバリゼーションの下で国境を越えた生産の分業が進み,ファッション産業ではファストファッションが世界市場を席巻している.この現象を生産面から見ると,ロシア企業もグローバル企業に追随してアジアへ製造拠点を移転させている.現在のロシアへの生産回帰も一時的な現象にすぎない.一方,販売の面から見ると,ロシア企業は市場の特性の近い旧ソ連圏を足掛かりとして海外進出を図っている.
著者
吉光 真人 内田 耕太郎 小阪田 正和 松井 啓史 上野 亮 藤原 拓也 阿久津 和彦 新矢 将尚
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.43-46, 2022-02-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
3

食品中のアフラトキシン分析法として,平成23年8月16日付け厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知(通知)に基づく分析法が定められている(以下,旧分析法).本研究では,アフラトキシン分析法の操作性と分析性能を向上させるために,イムノアフィニティカラム(IAC)の種類と精製条件の最適化,および旧分析法からIAC精製後の濃縮乾固の操作の省略を検討し,改良法の構築を目的とした.改良法を用いて,9種類の試料にアフラトキシンB1,B2,G1,G2の4種類を2.5 ng/gの濃度で添加して添加回収試験を実施したところ,真度は77.0~99.7%,室内精度および併行精度はそれぞれ,1.7~5.6%,0.9~3.6%となり,通知の目標値を達成した.また,旧分析法と比較して,改良法はアフラトキシン4種類の回収率が4.3~10.5%向上し,前処理時間が約1.5時間短縮された.以上から,改良法は9種類の食品に適用可能で,食品中のアフラトキシン分析法として有用であると考えられた.
著者
千葉 剛 種村 菜奈枝 西島 千陽 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.20-26, 2022-02-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
13
被引用文献数
2

健康被害が多発したことをうけ,食品衛生法が一部改正され,プエラリア・ミリフィカは「指定成分等」として管理されることとなったが,現在も多くのプエラリア・ミリフィカ含有食品が出回っている.そこで,消費者を対象に「指定成分等」の認知度および「指定成分等」含有食品の利用実態についてインターネット調査を行った.その結果,「指定成分等」の認知度は45.9%であった.「指定成分等」という言葉の印象は,効果がありそう32.7%,身体に良さそう18.9%といい印象を持つ者が多かった.しかしながら,「指定成分等」の説明文を読ませたところ,概ねいい印象が減少し,注意すべき成分である印象が増えていた.また,プエラリア・ミリフィカ含有食品の利用率は4.3%であり,その内,利用が原因と思われる体調不良を経験した者は41.3%であった.本調査において,消費者は指定成分等を正しく認知しているとは言えないことが明らかとなったことから,「指定成分等」に関する情報を提供し,正しく認識してもらう必要があると考えられた.
著者
大門 拓実 髙橋 邦彦
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.47-50, 2022-02-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
6

著者らは迅速性,簡便性,汎用性を勘案し,アセトンを用いて抽出後,n-ヘキサンによる脱脂精製,分析種のアセトニトリルへの分配,塩析効果による精製を同時に行うことが可能となる三層分離抽出の原理を応用し,6種の防かび剤迅速分析法の検討を行った.本法は,固相カラムを用いた精製や溶媒の濃縮,転溶操作をせずに試験溶液を調製可能である.妥当性確認の結果,対象とした6種全てにおいて農薬等の妥当性評価ガイドライン(厚生労働省通知)の目標値を満たしたことから,迅速的かつ効果的な防かび剤迅速一斉分析法として適用可能であることが考えられる.
著者
見上 葉子 高木 優子 宮川 弘之 山嶋 裕季子 坂牧 成恵 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.12-19, 2022-02-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
3

食品添加物であるジブチルヒドロキシトルエン(BHT),ブチルヒドロキシアニソール(BHA)およびtert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)のHPLC分析条件について検討した.内径2.1 mmのカラムを用い,タイムプログラムを使用し各至適蛍光波長に切り替えることにより,25分間で一斉分析が可能となった.蛍光検出をUV検出と併用することにより選択性が向上し,夾雑ピークの影響を大幅に改善できた.また,ガス供給不足に対応するため,GC-MSによる確認法の代替としてLC-MS/MSによる確認法を作成した.さらに,上記3化合物標準溶液の長期安定性について検討した.その結果,0.1%アスコルビン含有メタノールを用い−20℃の条件で,TBHQは約1年間保存が可能となったが,BHT, BHAは著しく減少する場合があった.BHA, BHT混合標準溶液の場合は,メタノール溶液で4℃,BHA, BHT, TBHQ混合標準溶液は0.1%アスコルビン酸含有メタノール溶液で−20℃としたときいずれも約1年間安定であることを確認した.
著者
小椋 たみ子
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.132, pp.29-53, 2007 (Released:2022-03-08)
参考文献数
36

日本の子どもの初期の語彙の構成を日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙(JCDIs)標準化データ,縦断データ,横断データから明らかにした。特に子どもの初期の語彙が名詞優位か動詞優位かの問題を検討した。第1にJCDIsで語彙の構成を調べた結果,名詞が一番高い比率を占めていた。第2に,JCDIsで20ヶ月児158名の名詞,動詞,形容詞,閉じた語の語彙の構成を調べた結果,名詞の比率が高く,Bornstein et al.(2004)の7カ国の結果と一致していた。第3に2名の子どもの縦断データから語彙急増期の後は名詞優位,その後,文法発達に伴い動詞優位になることを明らかにした。母親の語彙は動詞優位であった。第4に,31名の日本の子どもと養育者の玩具場面と絵本場面の観察では絵本場面では一貫して名詞優位であったが,玩具場面では言語発達に伴い動詞優位に移行していった。玩具場面の養育者の発話は動詞優位で子どもの結果とは一致していなかった。以上の結果から,言語発達初期の子どもは名詞を学習しやすい概念的な傾向を有していると結論づけた。最後に名詞優位を引きこす語学習のメカニズムについて論じた*。
著者
前迫 孝憲 青柳 貴洋 丹羽 次郎 西端 律子 菅井 勝雄
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.233-234, 1999
被引用文献数
1

大阪大学人間学部では、平成10年9月に東館竣工記念講演会の映像配信をインターネット、ISDNビデオ会議ネットワーク、デジタル衛星テレビ(DVB)の3者を併用してリアルタイムに実施した。インターネットでは、大阪からRealSystem、東京からMPEG4で配信した。またDVBでは3基の衛星を用いた世界配信を行い、南米コルドバ大学からは質問を受けた他、タイの遠隔教育機関とは異種衛星を使ったメッセージ交換を行った。
著者
Caroline Solomon Ian Hewson
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Soil Microbiology / Taiwan Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Plant Microbe Interactions / Japanese Society for Extremophiles
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.ME21070, 2022 (Released:2022-03-10)
参考文献数
67
被引用文献数
2

The Anacostia River is a highly impacted watershed in the Northeastern United States which experiences combined sewage outfall in downstream waters. We examined the composition of RNA viruses at three sites in the river using viral metagenomics. Viromes had well represented Picornaviruses, Tombusviruses, Wolframviruses, Nodaviruses, with fewer Tobamoviruses, Sobemoviruses, and Densoviruses (ssDNA). Phylogenetic ana­lyses of detected viruses provide evidence for putatively autochthonous and allochthonous invertebrate, plant, and vertebrate host origin. The number of viral genomes matching Ribovaria increased downstream, and assemblages were most disparate between distant sites, suggesting impacts of the combined sewage overflows at these sites. Additionally, we recovered a densovirus genome fragment which was highly similar to the Clinch ambidensovirus 1, which has been attributed to mass mortality of freshwater mussels in Northeastern America. Taken together, these data suggest that RNA viromes of the Anacostia River reflect autochthonous production of virus particles by benthic metazoan and plants, and inputs from terrestrial habitats including sewage.
著者
山内 庄司 中西 重康 石谷 清幹
出版者
The Japan Society of Mechanical Engineers
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.47, no.416, pp.693-702, 1981

蒸発管内密度波振動(流れ逸走を含む)の安定限界に対し, 各種因子が及ぼす効果について, 広範囲に解析的に検討した. 圧力降下一定の均一加熱管を対象に, 均質流モデルを用いて解析し, 7個の無次元パラメータによるスケーリングが可能であることを示した. また, 基礎式を線形化, ラプラス変換して得た特性方程式を用いて, ラプラス平面の虚軸をパラメータ空間に写像(ネイマルクのD分割法)することにより, いくつかのパラメータ平面で安定限界の形状を示した. 特に線形パラメータ面上では, D分割境界線の形状に双曲線状のものとだ円状のものがあり, 前者では, 安定限界は対応する漸近線にほぼ一致することを示した. また蒸発管内流動時間と安定限界振動数との関係についても検討し, 奇数次の振動が可能なこと, 本モデルでは極端な例を除いて基本振動が最不安定であることなどを示した
著者
水本 義彦
出版者
アメリカ学会
雑誌
アメリカ研究 (ISSN:03872815)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.79-98, 2013-03-25 (Released:2021-11-06)

The Southeast Asia Treaty Organization (SEATO), established in February 1955, was a Western defense organization designed to contain the spread of communism in Southeast Asia. Following the Laotian civil war in the early 1960s, the Vietnam War provided another occasion to evaluate SEATO’s workability as a collective defense organization. As the United States deepened its commitment to the defense of South Vietnam in the mid-1960s, President Lyndon Johnson and his Secretary of State Dean Rusk actively sought to enlist SEATO’s military support for the Saigon regime. As it turned out, however, SEATO failed to demonstrate its unity of purpose, instead symbolizing Western division and “America’s international isolation” there.Precedent studies point toward French and Pakistani objections as obstacles to SEATO’s action in South Vietnam. In the 1960s, both countries began to gradually tilt toward Communist China, worsening relations with Washington over policies toward Southeast Asia. In addition to these dissents, the Johnson administration continued to perceive Harold Wilson’s British government as a primary impediment to SEATO’s action. The US administration initially expected the United Kingdom, the biggest non-regional military power in Southeast Asia, to make significant contributions, but soon realized its steadfast refusal to provide Saigon any military assistance, either bilaterally or through SEATO. For Johnson and Rusk, Britain’s active support was indispensable in convincing the American and international public of the legitimacy of the US intervention in Indochina. Lacking London’s participation, they feared that the United States would appear to be fighting a war in Asia unilaterally and without any cause. Therefore, the Johnson administration was deeply disappointed at Wilson’s refusal to provide any substantial support.In this article, we examine the Anglo-American disagreement with respect to SEATO by focusing on SEATO’s annual Council meetings and the US-UK bilateral top-level meetings from 1965 to 1968. The US administration attempted to involve Britain in the collective action against communist threats first in South Vietnam and then in Thailand. To such US attempts, however, the British government consistently objected: it rejected the US’s call for “concerted” action in South Vietnam at the 1965 Council meeting in London, rejected Rusk’s request for providing military helicopters to Thailand to combat communist insurgents in the northeastern region of the country, and finally indicated its effective exit from SEA TO by announcing military withdrawal from the East of Suez to be completed by the end of 1971.From the facts above, it can be argued that the Anglo-American discord was largely responsible for the failure of SEATO’s collective defense and its eventual disbandment in 1977.
著者
岩淵 せつ子
出版者
仙台白百合女子大学
雑誌
仙台白百合女子大学紀要 (ISSN:13427350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.69-78, 2002-01-31

市販の代表的な食用油脂13点および人気商品の油菓子とフライ食品から12点を購入し,平成12年現在,日常摂取している油脂の特色・動向について考察した。内部標準法によるガスクロ分析を行い,脂肪酸組成と各脂肪酸の定量値を求め,その結果を解析して以下の知見を得た。 )脂肪酸組成の結果から,食用油脂は飽和脂肪酸型,オレイン酸型,リノール酸型,α-リノレン酸型の4つのタイプに分けられた。ショートニングやマーガリンにMとPの比率が高く,ソフト化が確認された。量的に多く出回っている調合油(サラダ油)を除くと,現在,高オレイン酸型の商品(べにばな油,オリーブ油,なたね油)が多数を占めていた。従来型の高リノール酸型べにばな油は店頭から消え,長い閲読いた「リノール酸ブーム」は終わり,「リノール酸リツヂオイルがプレミアム」として珍重される時代へと,今,移り変わっていることが分かった。 n-6/n-3 の適正比率の観点からα-リノレン酸の摂取をもっと推奨すべきとの研究成果を反映して,バランスオイルやしそ油商品が市場に出始めたが,使い勝手の点で問題も多く今後の動向が注目される。2)油脂利用食品の脂肪酸組成を解析した結果,飽和脂肪酸比率(30〜50%)とオレイン酸比率(40〜50%)の高い点が特色としてあげられた。これらの食品は加工食品としての性格を持つため飽和脂肪酸比率を変えるのが難しいものと推察した。3)油脂利用食品1単位当たりの脂肪酸量(g/単位)を算出してみた。マックナゲットとマックポテトをセットで食べたり,ピーナッツを2個食べることはよくあることだが,その程度で1日の飽和脂肪酸プラスー価不飽和脂肪酸を併せた推奨値36gの1/2以上に相当することが分かった。今回とり上げた油脂利用食品12点は身近にある食品で日常的に食されている。この点を考慮すると,1回に食べる適正量を考え,多量摂取を避ける習慣を身につけることが健康面から大切であると結論された。本研究テーマは,仙台白百合女子大学人間学部人間生活学科健康栄養専攻の当時4年生だった岡田典子さん,児珠昭子さんおよび田母神純子さんの卒業研究として共に行ったことを記します。
著者
Kengo Maeda Yoshiko Sugihara
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.7985-21, (Released:2022-03-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1

A 73-year-old man presented with muscle weakness and atrophy of his right arm. Atrophy of his left brachia and left calf had occurred 13 years before without any improvement or deterioration. His sister and cousin had a history of paralytic poliomyelitis. Serum poliovirus type 2 neutralizing antibody was elevated to 128x. Electromyography revealed chronic denervation potentials not only in the muscles affected previously but also in the unaffected muscles. Acute and chronic denervation potentials were found in the newly affected muscle. Postpolio syndrome should be considered in patients with unilateral muscular atrophy even when they have no history of paralytic poliomyelitis.
著者
加藤 丈雄 清水 健司 原田 昭夫 佐藤 泰
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.344-349, 1991

乳酸菌スターターをを10<SUP>7</SUP> cells/g添加して37℃で発酵することによりソーセージ内部の<I>Staphylococcus aureus</I>の生育は阻止されたが,ソーセージ表面の<I>S. aureus</I>の生育は阻止されなかった.ソーセージに乳酸菌スターターを添加し,直ちに乳酸菌の最適温度で短時間くん煙処理を行うことにより,ソーセージ表面及び内部における<I>S. aureus</I>の増殖とエンテロトキシン産生を効果的に阻止することができた.また,このようなくん煙処理は実質的にソーセージの乳酸発酵に影響しないと考えられた.