著者
小田 亮
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.272-292, 2009-09-30
被引用文献数
1

本論文で提示する「二重社会」という視点は、レヴィ=ストロースの「真正性の基準」の議論の帰結、つまり「近代以降、ひとは、真正な社会と非真正な社会という、異なるあり方をした二つの社会を二重に生きている」というものである。本論文では、この「二重社会」という視点が、ネオリベラリズムやグローバリズムに対応する日常的な実践と、そうした実践を可能とする社会的連帯の基盤となる煩わしさと反復による社会関係の評価を可能とすることを示す。すべてを交換可能なものとして一般化するグローバリズムやネオリベラリズムに対抗するために、比較可能で置換可能な差異としての特殊性に依拠することとそれへの批判は「一般性-特殊性」の軸にそってなされる。また、それを批判するネグリ/ハートの議論も同じ対立軸上でなされている。ここで見落とされてきたのは、ドゥルーズが一般性と対比させる「単独性」と「反復」であり、それは「一般性-特殊性」の軸とは異なる「普遍性-単独性」の軸に位置する。これらの軸はレヴィ=ストロースの真正性の水準の議論における「非真正な社会」と「真正な社会」にそれぞれ対応する。「真正な社会」と「非真正な社会」とでは、同じ貨幣や行政機構などの媒体が、質的に異なったものとなる。それらの一般化された媒体は、真正な社会において、一般性を剥奪される。この一般化された媒体を変換する実践は、人類学では、J・パリーとM・ブロックらによる「貨幣を飼い慣らす」実践として議論されてきたが、それらも、「一般性-特殊性」の軸にそった議論にとどまっている。「二重社会」の視点から見直すことで、こうした実践が「普遍性-単独性」の軸にそって非真正な社会との境界を維持するものであるという点が明らかとなる。このように「二重社会」という視点は、ネオリベラリズムやグローバリズムに対応する多様な実践の意味解釈を可能とする。
著者
緒方 淳 後藤 真孝 江渡 浩一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.11, pp.41-46, 2007-02-09
被引用文献数
7

本稿では、ポッドキャストを検索できる Web サービス「PodCastle」を実現するための音声認識手法について述べる。ポッドキャストでは多様な内容が異なる環境で録音されており、多数の未知語を含む新たな話題も多いため、従来の音声認識システムで適切に認識するのは困難だった。この問題を解決するために、本研究では、Web 2.0 によって得られる様々なデータを用いることによって、継続的に、音声認識システムを改善していく。具体的には、各ポッドキャストの内容に応じた言語モデルの話題適応、Web 2.0 のサービスを通じた単語発音の自動獲得、PodCastle 上でのユーザが音声認識誤りを訂正した結果を用いた未知語の学習等を試みた。実際にポッドキャストを対象とした認識実験を行い、性能向上に有効であることを確認した。This paper describes speech recognition techniques that enable a web service "PodCastle" for searching podcasts. Most previous speech recognizers had difficulties dealing with podcasts because they include various contents recorded in different conditions and new topics with many out-of-vocabulary words. To overcome such difficulties, we continuously improve speech recognizers by using information aggregated on the basis of Web 2.0. For example, the language model is adapted to a topic of the target podcast on the fly, the pronounciation of unknown words is obtained from a Web 2.0 service, and out-of-vocabulary words are automatically acquired by analyzing user corrections of speech recognition errors on PodCastle. The experiments we report in this paper show that our techniques produce promising results for podcasts.
著者
村上 裕一 中村 隆 吉田 明正 家田 清一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.520-527, 1995-07-25
被引用文献数
7

本論文では,無装荷な構造で長方形の1波長ループアンテナが,円偏波用アンテナとして動作することを示し,その原理を明らかにしている.本アンテナは,長方形の長辺と短辺の比により,ループ上の電流分布が制御できることに着目したもので,最も簡単な構造をもつ単一給電アンテナであることが特徴である.本アンテナに対し,電流分布が前進波と後進波の進行波モード電流に分解できることを利用して,ループ各辺中央の電流値と実効長に関する円偏波条件式を導出している.この条件式の実現方法に対する考察に基づいて,ループの1角で偏給電された円偏波アンテナを具体的に設計し,その軸比や指向性などの諸特性を求めている.これより,反射板からのアンテナの高さが0.13λ前後のある範囲で良好な円偏波が得られることを明らかにしている.また,実験によって,これらの理論結果の妥当性も確認している.
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.270, pp.102-107, 1999-04

■居酒屋激戦区の福岡・天神。魚料理と日本酒を二本柱に,43坪(141.9)で月商1200万円を稼ぐ繁盛店がある。シークス(福岡県那珂川町,津島清次社長)が展開する「櫻家(さくらや)」大名店だ。バーテンダー出身の店長が生み出したレベルの高い接客術で,高客単価を実現。若いスタッフに目標を与え,やる気と能力を引き出している。
著者
藤瀬 幸 孝田 雅彦 桑本 聡史 三好 謙一 木科 学 加藤 順 徳永 志保 岡野 淳一 北浦 剛 武田 洋正 村脇 義和
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.600-606, 2013-09-20
被引用文献数
1

症例は50歳代の女性.入院6年前(2004年3月)からトリクロルメチアジド,ロサルタン,入院3年前からロスバスタチン,入院1年前からはフルボキサミンを内服していた.2010年6月に肝酵素の上昇を認め,入院となった.AST 505 IU/L,ALT 1076 IU/Lと高度の上昇を認めたため,薬物性肝障害を疑いフルボキサミン,ロスバスタチンを中止した.しかし,入院3日目には,AST 545,ALT 1182とさらに上昇したため,トリクロルメチアジド,ロサルタンも中止したところ,肝機能障害の改善を認めた.肝生検では急性肝炎の回復期の像であり,DLSTでロサルタンが陽性を示し,中止後に肝障害の改善が見られたことより総合的にロサルタンによる薬物性肝障害と診断した.6年以上もの長期間ロサルタン内服後に薬物性肝障害を発症した例はまれであり,長期投与薬物も肝障害の原因であることが示唆された.
著者
蝦名 良亮
出版者
学習院大学
雑誌
言語 文化 社会 (ISSN:13479105)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-23, 2011-03

现在日中两国的人听到同文一词,可能会想起同文同种的说法。意为日中两国共同使用汉字并属于同一人种。可是,至少甲午战争以前,晚清中国知识分子并非如此。那时,同文的意思主要是指日中两国共同使用的汉语古文(汉文),或指日本的文言文就是汉文。而且会使人想起同文同轨的典故。这篇论文的主要目的,是对同文同轨的同文观的形成、及其如何失去了其成立条件的考察。晚清的同文观应该从两个方面来研究。一个方面是有关大一统思想,另一个方面是有关日中知识分子间的文化交流。清朝统治体制可以说是用多种语言进行统治的体制。清朝虽然把满文和满语定为国语,可是在以前明朝统治的地域继续使用汉文。并且对明代的旧朝贡诸国,例如朝鲜琉球安南日本等,也继续使用汉文。但是在理藩院管辖的藩部上,允许各个民族使用固有的文字和语言。一般来说,清朝知识分子对日本并没有特别的关心。同时由于日本德川政权实施所谓锁国政策,因而他们关于日本的知识是非常狭隘的。加之,一部分明治日本知识分子的使用汉文的水平也很高,他们能用汉文写作、笔谈乃至吟诗唱酬。其结果,晚清中国开始与明治日本进行交流的时候,中国知识分子以为日本是同文之国,没能注意或是忽视了日本独自的语言、文字和文化。这篇论文,主要论及三个知识分子—俞樾,黄遵宪,梁启超—的同文观。总之,同文同轨的同文观的退潮,是与不以文字为主而以语言为主的语言观的兴起有着密切关系。
著者
安藤 直子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.344-365, 2001-12-30

本論文においては、岩手県盛岡市の2つの祭礼「チャグチャグ馬コ」と「さんさ踊り」を題材に、祭りが「伝統性」保持と観光化という対立する文脈において変化していく複雑なプロセスと、そのプロセスの中での祭りに携わる人々の「伝統」保持及び観光化への関わり方を分析した。その結果、担い手による多様な「オーセンティシティ(真正性、本物性)」追求の様相が確認された。従来の観光人類学においては「ゲスト(観光地を訪れる人々)」「ホスト(観光を担う人々)」といった二項対立の枠組み上で、ゲストとホストとの関わりが議論され、オーセンティシティ概念も同様の枠組み上で論じられてきた。ゲストが「オーセンティシティ」を追求し、一方ホストは「疑似イベント」を創出しゲストに提供すると論じられ、主にゲストに主体性をおいた「オーセンティシティ」論が展開されてきた。しかしながら、2つの祭りにおいてはホストが訪問者を制して主体性を獲得し、多様な方法でオーセンティシティを主張する様相が確認された。担い手によるオーセンティシティの追求は、ゲストによるそれとは比較できないほど重要かつ切実な問題であると言える。なぜなら、担い手にとってオーセンティシティの追求は、地域社会における中心的な地位の追求と重なっているためである。2つの祭りにおいては、オーセンティシティにより近いと主張し、担い手内部でそのように評価されるほど、祭りの中で中心的な位置を占めることができる。祭り運営組織の役職に就き、運営上の主導権を獲得することは、結果的に担い手の地元内部における社会的プレステージ(威信)を上昇させる。観光化が進むほどにこの傾向は強まり、ホストによるオーセンティシティの主張は活発化し、主張の方法も複雑化している。本論文においては、観光の現場でホストがオーセンティシティを追求する理由を議論し、その概念を深めることを目的とする。
著者
坪井 秀人
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.22-33, 1990-04-10

前回にひき続き伊藤比呂美『テリトリー論1』('87)について以下の二点を中心に考察した。第一は詩集中ほどに配された「コヨーテ」「悪いおっぱい」他に見られる母系世界とプレ農耕的な始原のイメージについて。「娘」に仮託されたそのカオスへの志向を、制度が刷り込んだ<起源>を相対化するものと捉えた。第二は引用の導入を契機に獲得したミニマリズムの方法について。そこでの言葉の意味のずらし・変容による論理の自由さがモラルからの自由と一体のものになっていることを示した。
著者
濱路 政嗣 河野 智 北野 満 松田 光彦
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.358-362, 2006-11-15
被引用文献数
3

感染性腹部大動脈瘤は腹部大動脈瘤全体の0.06〜3.4%,感染性動脈瘤の18%を占める.われわれは,合併症を伴う腎動脈下の感染性腹部大動脈瘤を2例経験し,診断および治療上の問題点を検討した.症例1:75歳,男性.糖尿病,高血圧あり.全身倦怠感,発熱,腹膜刺激症状があり急性虫垂炎と診断されたが,虫垂に異常なく閉腹され,CTで腎動脈下の仮性大動脈瘤と診断された.後腹膜に多量の血腫があり,瘤の内部に悪臭のある膿様の液体が貯留していた.症例2:50歳,男性.高血圧,糖尿病,肝硬変,HCV抗体陽性で食道静脈瘤を合併していた.全身倦怠感,熱発,水様性下痢,血小板減少のため入院し,CTで腎動脈下の感染性動脈瘤と診断された.大動脈分岐部右側の黒色の仮性瘤の内部は,多量の血栓と黒色の液体が貯留していた.術前血液培養はそれぞれKlebsiella pneumoniae,Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus(MSSA)が陽性であったが,瘤壁や周囲組織の培養は陰性であった.2例とも準緊急手術であったが,局所のデブリドマンと解剖学的血行再建で幸い良好な経過を示した.しかし,感染性腹部大動脈瘤に対して,局所感染状況を把握しつつ適切な手術時期を決定することは容易ではないと考えられた.
著者
河井 大介 天野 美穂子 小笠原 盛浩 橋元 良明 小室 広佐子 大野 志郎 堀川 裕介
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.26, pp.265-270, 2011

This paper shows actual use of Social Networking Service(SNS) and its effects with SNS addiction. SNS user is over 70 million, and we can see a topic about internet or SNS addiction on mass media and internet homepage. However there are few paper about SNS addiction. Thus we present this paper about how long, how often, what kind of service, and what kind of scene SNS addicted user use SNS, and what kind of burden and sacrifice SNS addicted felt by using SNS, and change and effects by SNS use.