著者
白石 純子 草野 佑介 杉村 喜美子 加藤 寿宏
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.45-57, 2021 (Released:2021-10-08)
参考文献数
15

京都府作業療法士会特別支援教育OTチームは,平成19年より特別支援教育における作業療法の有用性を検証してきた。今回,中学生3名に対し約半年間で3回ずつの訪問支援を行い,中学校における作業療法による介入の成果と特性について検討した。ASEBAによる行動チェックリストや授業参観・個別面談に加え,それぞれの主訴に応じた個別アセスメントにより,主訴の背景の解釈や,日常生活および学校生活で実施可能な支援計画を本人・保護者・教員に提案した。その結果,3名全員に学校生活上の改善を認めた。これらの背景には,作業療法の専門性を活かした個人,作業,環境の相互関係を踏まえた包括的アセスメントとそれに基づく課題の調整や学校・家庭の環境調整が有効であったと考える。今後も中学校と作業療法との連携の有効性について検証し,発信していくことが必要であると考えられる。

1 0 0 0 OA 戦術綱要

著者
鴻究学会 編
出版者
有則軒
巻号頁・発行日
1899
著者
八瀬河 裕美 大江 直美 小田 実
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P3009, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】症状としての肩こりは、日常において頻度の高い訴えの一つであるが、その病態は未だ解明されておらず、科学的指標も確立されていない.総じて自覚症状の表現方法に基づいて定義され、他覚症状の有無は問題とされていない.我々は、僧帽筋上部線維・肩甲挙筋の循環動態を評価する目的で近赤外分光法(near-infrared spectroscopy : NIRS)を用いていくつかの知見を得たので報告する.【方法】対象は外呼吸器に問題がなく、肩関節疾患の既往のない者20名(男性13名、女性7名、平均年齢27.3±4.1歳)とした.肩こり群の判定は圧痛所見の有無に関わらず自覚症状のある者とし、肩こりなし群は圧痛所見がなく自覚症状のない者とした.肩こり群は9名、肩こりなし群は11名であった.方法は、レーザー組織血液酸素モニターOMEGA MONITOR BOM-L1TRW(オメガウェーヴ株式会社、東京都)を用い、C7棘突起と肩峰を結ぶ上角内側縁から中枢よりに送受光部一体型プローブを当て、OPSITE FLEXIFIXで固定した.全対象者に研究の趣旨を説明し、同意を得た上で実験を行った.1分間の安静坐位の後、両手に2kgのダンベルを把持した1分間肩甲骨最大挙上運動と3分間の安静を交互に3回繰り返した.評価項目は1回目と2回目のStO2の回復時間(StO2が運動終了時点から回復期における最大時点までの1/2回復に要する時間:以下Tr1、Tr2)とした.統計学的検討は、2群間の対応のない比較にはMann-WhitneyのU検定、対応のある比較にはWilcoxonの符号付き順位検定を用、危険率が0.05未満を有意差ありと判定した.【結果】Tr1は肩こり群:17.1±5.5秒、肩こりなし群:10.5±2.8秒であり、肩こり群のほうが有意に延長した(p<0.05).Tr2は肩こり群:14.1±4.7秒、肩こりなし群:11.2±3.3秒で差はなかった.また、肩こり群においてはTr2が有意に短縮していた(p<0.05).しかし、肩こりなし群はTr1とTr2の間に有意差は認められなかった.【考察】肩こり群にTrの延長が認められ、諸家の報告を支持する結果となった.高桑らは、Trは筋内毛細血管密度の増加、ミオグロビン濃度の増加、ミトコンドリアの大きさ・数の増加,酸化酵素活性、酸素運搬能力などを総合的に反映し、筋の有酸素能力を反映している.Trの延長は筋の有酸素能力が低下した状態であると報告している.坂井らは、肩こり患者の深部組織は健常者のそれと比較して虚血状態にあると報告している肩こり群ではTr2が短縮した.等張性運動は、α運動ニューロンを発火させ、Ia群線維の発火を中止させる.Ia群線維の抑制は、γ-loopによりγ線維の発火を抑え、リラクゼーション効果を生んだと考えられた.運動による熱産生は血流量を増加させ、Trの短縮として現れたと考えられた.今後、年齢・罹患歴・運動習慣などを考慮した更なる検討が必要である.
著者
三宅 哲
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.873-876, 1995-11-05

私が強磁場中の電気伝導研究の手伝いをするようになったのは,1958年10月25日の土曜会食のときに「三宅くん,手伝って下さい」とお声がかかったのが始まりであった.それまで久保先生,橋爪先生と一緒にこの仕事をしていた長谷川洋さんがs-d相互作用の問題に移り,またその秋からLa Jollaへ留学することになった.そこで,Journalの論文"Quantum Theory of Galvanomagnetic Effect. I. Basic Consideration"が投稿された(10月4日受理)のを期に選手交替となったらしい,早速,会食が終わるとすぐに久保先生から課題の説明があり,「ちょっと急ぐんですがね」と軽く一鞭がはいって,修士2年生は闇雲に駈け出した.と言っても,非力のために思うようには進まず,両先生をやきもきさせ,本人もしばしば頭を抱えこむこととなった.「統計力学の非常に魅惑的な問題」とPeierlsが書いている強磁場中の電気伝導の問題を,久保先生は前から考えておられたとのことで,橋爪先生によれば,1955年の夏から長谷川さんと計算に取り掛かっておられたそうである.いくつかの方法が試みられた後,久保公式から出発して直流電気伝導率を電子の中心座標の移動で表す式が導かれた.その導出とそれに続くべき計算の方針とが論文Iとして発表された.その内容を以下で簡単に説明しよう.
著者
吉岡 晶子
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育 (ISSN:02890836)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.58-63, 2008-05-01

1 0 0 0 OA 口語文典大要

著者
芳賀矢一 著
出版者
文昌閣
巻号頁・発行日
1913
著者
青木 隆浩
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.156, pp.245-264, 2010-03-15

近年,世界遺産の制度に「文化的景観」という枠組みが設けられた。この制度は,文化遺産と自然遺産の中間に位置し,かつ広い地域を保護するものである。その枠組みは曖昧であるが,一方であらゆるタイプの景観を文化財に選定する可能性を持っている。ただし,日本では文化的景観として,まず農林水産業に関連する景観が選定された。なぜなら,それが文化財として明らかに新規の分野であったからである。だが,農林水産業に関連する景観は,大半が私有地であり,公共の財産として保護するのに適していない。また,それは広域であるため,観光資源にも向いていない。本稿では,日本ではじめて重要文化的景観に選定された滋賀県近江八幡市の「近江八幡の水郷」と,同県高島市の「高島市海津・西浜・知内の水辺景観」をおもな事例として,この制度の現状と諸問題を明らかにした。
著者
宮下 弘 藤巻 有希 正田 八州穂 早乙女 壮彦 小峰 由美子 渡邊 美砂
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.109-116, 2021

<p>母の摂取していた葉酸サプリメントが原因で,新生児期から血便を生じた消化管アレルギー症例を経験した.</p><p>症例は日齢38の女児.日齢5より持続する血便を主訴に受診した.10回/日の下痢と,末梢血好酸球増多(16%),便中ヒトヘモグロビン陽性も認められ,乳児消化管アレルギーを疑った.母乳中心の混合栄養であったため,人工乳を中止し,母に乳製品の除去食を指導したが血便は改善しなかった.しかし母が妊娠前から摂取していた市販の葉酸サプリメントを偶発的に中止したところ,速やかに血便が消失した.そのためサプリメントの経母乳負荷試験を行ったところ,児の便中ヒトヘモグロビンは再上昇し,再現性を確認した.サプリメント成分のプリックテスト,リンパ球刺激試験の結果と合わせて,葉酸サプリメントによる消化管アレルギーと診断し,含有される酵母が原因と推測した.</p><p>本症例より,母体が摂取しているサプリメントが児の消化管アレルギーの原因になり得ることを念頭に置き,サプリメントで葉酸を摂取する場合は,添加物の少ないものが望ましい.</p>
著者
ミュラー ハンス=リューディガー 伊藤 敦広 眞壁 宏幹
出版者
慶應義塾大学大学院社会学研究科
雑誌
慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要 : 社会学・心理学・教育学 : 人間と社会の探究 (ISSN:0912456X)
巻号頁・発行日
no.80, pp.73-84, 2015

[訳者解題]序論教育的タクト言説の主要な三つの筋書き 1. 教授的・方法的原理としての, つまり理論的・一般的なものと, 教育実践ごとに特殊なものとを媒介する道具としての「教育的タクト」 2. 緊張の場において行為を方向づけるものとしての「教育的タクト」 3. 教育的合理性と教育的要求の自己制限としての「教育的タクト」結論論文
著者
内木 哲也
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.127-130, 2018

有名人を起用したTV-CMは多大な影響力を期待できることから世界中で制作され放送されているが、その影響力を捉える社会的文脈は日本と諸外国では大きく異なっている。その相違は、不祥事発生時に当該CM出演の有名人に対して、当人の影響力行使に対する責任を追及するのではなく、一被害者と捉え擁護する視聴者の声として顕著に現れている。これは有名人に対する情緒的反応という以前に、専門職としての有名人の捉え方の相違に基づいた反応と捉えることができる。本報告では、不祥事発生時の有名人CMに対するSNS投稿の日中比較に基づき、日本の社会的文脈の特徴について考察すると共に、日本社会におけるシステムデザイナのような専門職のあり方について議論する。
著者
木子 清敬 伊東 忠太
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.7, no.84, pp.363-364, 1893-12-28
著者
早川 文代 風見 由香利 阪下 利久 上平 安紘 池羽田 晶文
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

【目的】モモの品質には果肉部の軟らかさや特有の風味が重要である。しかし、部位差、剥皮時の果肉損傷および剥皮後の褐変が著しいため、官能評価が難しく、その報告例は少ない。本研究では、モモの分析型官能評価法を設計し、品種および追熟条件の異なる種々の試料の官能特性の数値化を試みた。<br>【方法】官能評価設計には、2014年、2015年産のモモ9品種(日川白鳳、浅間白桃、一宮白桃、川中島白桃、なつっこ、さくら、幸茜、甲斐黄桃、黄金桃)を用い、官能評価パネルの討議および篤農家への面接調査を行った。本評価では、2016年産の6品種について、出荷翌日の果実を、追熟なし、5℃あるいは20℃で4日間追熟させ、その後24時間20℃に置いて試料とした。パネルは選抜、訓練された9人とし、赤色照明下のブースで評価を実施した。各パネリストに試料1果を提示し、においかぎによる香りの評価後、自身で試料片を調製させ、風味およびテクスチャーを評価させた。あわせて、硬度および可溶性固形分を測定した。<br>【結果】「花様の香り」「ココナッツの香り」等、18特性について、各試料の官能評価データを得た。追熟によって、テクスチャーの軟化と香りの増加がみられ、その変化は20℃で顕著であった。においかぎによる香りの評価は、試料片の口中香の評価よりも、品種間差および追熟条件間差の検出力が高く、皮の香気の影響および味やテクスチャーとの相互作用の影響が推察された。
著者
福島 正明 伊部 英紀 若井 慶治 杉山 英一 安部 裕宣 呉 倍莉 北川 希代彦 鶴賀 重徳 志村 勝美 小野 栄一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 = Journal of the Japan Society of Material Cycles and Waste Management (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.178-189, 2011-05-31
参考文献数
19
被引用文献数
2

一般市民から資源ごみとして出される使用済みプラスチック製容器包装の熱分解油化技術において,ポリ塩化ビニル (PVC) 等の塩素含有プラスチックの熱分解によって脱離する塩素の効率的処理が,再生製品の品質改善の課題となっている。本研究では二軸押出機方式による脱塩素の滞留時間が短いことに着目し,一軸押出機を使用した脱塩装置の開発を行い,一軸押出機は二軸押出機と同様に脱塩素率が高く,脱塩素時間 (滞留時間) も短いという結果を得た。<BR>本実験結果を基に10倍にスケールアップした一軸押出機 (脱塩装置) を使用した商用熱分解油化プラントを2000年北海道札幌市東区中沼町に建設し,2009年度で運転10年目を迎えている。使用済みプラスチック製容器包装油化リサイクルにおける脱塩素技術の開発成果を報告する。
著者
高島 宏平 上田 真緒
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.8, no.16, pp.84-90, 2009-08-04

1973年生まれ。98年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。EC(電子商取引)グループのコアメンバーとして活動。2000年5月に退社し、同年6月に「一般家庭での豊かな食生活の実現」を企業理念とするオイシックスを設立。
著者
伊藤 貢
出版者
日本豚病研究会
雑誌
日本豚病研究会報 (ISSN:09143017)
巻号頁・発行日
no.63, pp.17-21, 2014-02

動物用医薬品、特に抗菌剤の使用は、人における耐性菌出現の問題、食の安全を脅かす問題として、注目されている。欧州では2006年に成長促進の目的での抗菌剤の飼料添加を全面的に禁止しているが、デンマークに於いては、1995年から生産者が中心となって抗菌剤の使用の適正化を自主的に行っている。その後、政府が中心となって、抗菌剤の使用をデータベース化して、使用状況を把握し、農場毎に抗菌剤の使用量の規定値を設け、それを越えた農場に対して警告、罰則を与える、いわゆるイエローカード、レッドカード制度を導入して、適正使用を進めている。また、米国に於いては、酪農の分野ではあるが、乳房炎治療薬において、セフェム系抗菌剤の使用が禁止されている。このように、畜産先進国では、抗菌剤の使用の制限が、飼養管理に大きく影響を与えており、生産現場では疾病対策に苦慮している面もある。日本の畜産に於いても、これから抗菌剤の適正使用・慎重使用に向けた取り組みが進むと思われるが、現状では養豚管理獣医師が不足傾向にあるため、疾病の対応において、生産者の経験やディーラーが相談に乗るケースもあり、抗菌剤の適正使用・慎重使用の導入は急務な課題であると思われる。本稿では、筆者が開発した指示書発行システムのソフトを使用している診療所のデータを集計解析し、我が国の養豚場における抗菌剤使用の実情を紹介する。加えて、当診療所が行っている動物用医薬品の適正使用・慎重使用に向けた取り組みを紹介する。