著者
庄村 康人 樋口 芳樹
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.297-302, 2018 (Released:2018-11-27)
参考文献数
29

Hydrogenases play crucial roles in the hydrogen metabolism by catalyzing the simple reaction: H2 ⇄ 2H+ + 2e–. While the enzymes are of industrial importance, there are a number of serious obstacles to the applications such as the catalytic electrode in the fuel cells, which include the stability to O2. Here we summarize the structural and functional properties of [NiFe]-hydrogenases with focusing the protective mechanism against O2. The recent our studies have revealed that not the catalytic site itself but the Fe-S cluster equipped as the electron pathway is of functional importance for preventing from the attack by O2.
著者
池田 龍二
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学雑誌 (ISSN:00480444)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.587-596, 1991-10-15 (Released:2010-10-14)
参考文献数
28
被引用文献数
76 119

学生解剖学実習用本邦成人死体18体 (平均年齢65.4歳) の骨盤を用いて肉眼的に仙腸関節に分布する神経につき観察を行った. また, 病理解剖用本邦成人死体6体 (平均年齢60.8歳) の仙腸関節を採取し, 組織学的に関節周囲に分布する神経を観察し, 以下の結果を得た.1) 仙腸関節の前方の上部では, 第5腰神経前枝の支配が主であると思われた.2) 仙腸関節の前方の下部では, 第2仙骨神経前枝, または仙骨神経叢の支配が主であると思われた.3) 仙腸関節の後方の上部では, 第5腰神経後枝の外側枝が主に支配していると思われた.4) 仙腸関節の後方の下部では, 仙骨神経後枝の外側枝によって形成される神経叢の支配が主であると思われた.5) 関節面に入り込んでいる神経の枝の直径は部位により明らかな差はなく, 0.292mmから0.997mmまでであった.6) 鍍銀染色標本によると, 関節周囲の靱帯内, 関節包には, 0.2μmから2.5μmまでの太さの神経線維, 5種類の形態を示す神経終末が存在した.
著者
高石 詩織 福田 貴光 小林 長夫
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.1P63, 2011

フタロシアニン(Pc)は高い平面性を有する18π共役系の機能性色素分子であり、その二量体はPc間の励起子的・電子的な相互作用のため、構造や結合様式によって特有の性質を持つことが知られている。本研究では、ビフェニルユニットで連結したプロペラ型のPcダイマーを新たに合成し、その分光特性の解明を行った。目的のPcダイマーは、吸収および円偏光二色性(CD)スペクトルにおいて、Pcユニット間の励起子的な相互作用と、Pc平面間のねじれによる特異な光学活性を示した。本発表では、Pcダイマーの磁気円偏光二色性(MCD)スペクトル、理論計算についても議論する。
著者
吉村 哲彦 中野 美穂 千原 敬也 鈴木 保志
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.189, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

日本の各地で放置竹林の拡大が課題となっており、その対策として竹の伐採・搬出を伴う竹林整備が行われている。竹の内部は空洞であるため、その重量は一般的な木材に比べて軽量であるが、生産性や安全性の観点から機械化が必要ではないと考えた。そこで、本研究ではチェーンソーのエンジンを動力とするカナダ製のチェーンソーウインチ(Lewis Winch 400 MK2)を用いて、竹の長材および短材の搬出作業を下げ荷で行った。比較のために、人力による搬出作業も行った。その際、生産性と労働負担を明らかにするために、搬出作業のビデオ撮影を行い、あわせて心拍計(Polar製OH1)を作業者に装着して心拍数を計測した。その結果、生産性の観点でも作業負担の観点でも短材による搬出が不利になることがわかった。生産性の観点では人力による搬出が有利となるが、人力による竹の搬出作業の労働負担は極めて高く、継続的な作業は好ましくないことも明らかになった。結論として、竹の搬出作業は短時間であれば人力でよいが、長時間継続する場合にはチェーンソーウインチのような機械を用いる必要があることが示された。
著者
望月 雅美
出版者
埼玉大学日本語教育センター
雑誌
埼玉大学日本語教育センター紀要 (ISSN:21875871)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.27-38, 2018

本稿は、ニーズ別語彙シラバスを作成する過程に、情報の重要度という新たな視点を加えるものである。幼稚園の配布文書を調査対象とし、全て一括で集計した場合と「情報のトリアージ」という考えをもとに情報の重要度別に集計した場合の頻出語の違いを比較した。その結果、使われている名詞には情報の重要度ごとに異なる特徴が見られた。ニーズ別語彙シラバスの作成のためには、学習者が読み取らなければならない情報の緊急性、重要性を考え、文書を選別して調査を行う必要性が示唆される結果となった。この「情報のトリアージ」という視点を入れることは、すべての読み手にとって読みかたを選べる有益な手段だと考えられる。
著者
高石 詩織 福田 貴光 小林 長夫
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.158-158, 2009

フタロシアニン(Pc)は平面π共役系の機能性色素分子であり、その二量体であるPcダイマーはモノマーとは異なる性質を有することが知られている。ビフェニル連結型のPcダイマーは、ビフェニルの二面角が固定され2つのPcがねじれた構造の非平面型ダイマーになると予想されることから、これまでのダイマーにない新たな物性の発現が期待される。本発表ではそのようなビフェニル連結型Pcダイマーの合成と分光学的性質について報告する。
著者
豊島 文子
出版者
共立出版
雑誌
蛋白質核酸酵素 (ISSN:00399450)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1345-1350, 2008-09
著者
Rodrigues Gusthavo Augusto Alves Felipe Danilo De Souza Silva Elisangela De Freitas Wagner Zeferino Higino Wonder Passoni Da Silva Fabiano Fernandes De Carvalho Wellington Roberto Gomes Aparecido de Souza Renato
出版者
理学療法科学学会
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.2849-2851, 2015
被引用文献数
9

[Purpose] This investigation evaluated the acute cardiovascular responses that occur while playing virtual games (aerobic and balance) emulated by Nintendo Wii<sup>®</sup>. [Subjects] Nineteen healthy male volunteers were recruited. [Methods] The ergospirometric variables of maximum oxygen consumption, metabolic equivalents, and heart rate were obtained during the aerobic (Obstacle Course, Hula Hoop, and Free Run) and balance (Soccer Heading, Penguin Slide, and Table Tilt) games of Wii Fit Plus<sup>®</sup> software. To access and analyze the ergospirometric information, a VO2000 analyzer was used. Normalized data (using maximum oxygen consumption and heart rate) were analyzed using repeated measures analysis of variance and Scheffe's test. [Results] Significant differences were found among the balance and aerobic games in all variables analyzed. In addition, the Wii exercises performed were considered to be of light (balance games) and moderate (aerobic games) intensity in accordance with American College Sports Medicine exercise stratification. [Conclusion] Physical activity in a virtual environment emulated by Nintendo Wii<sup>®</sup> can change acute cardiovascular responses, primarily when Wii aerobic games are performed. These results support the use of the Nintendo Wii<sup>®</sup> in physical activity programs.
著者
原 真志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.52, 2009

1.はじめに 文化と経済の双方向での融合が進行し(Scott, 2000),高コストの大都市に集積するコンテンツ産業に対する関心が高まり、わが国でもコンテンツ産業政策支援の議論が活発になって来ている.知識ベース集積論では,イノベーションに重要な暗黙知の共有のために対面接触に有利な近接立地が促進される側面が強調されているが(Maskel and Malmberg, 1999),間接的実証のみで,対面接触の直接的実証が欠如している(Malmberg and Power, 2005).コンテンツ産業の特徴としては,都市空間においてプロジェクトベースで多数の主体が相互作用して離合集散するプロジェクトエコロジーを形成している面が重要であり(Grabher, 2002),単に主体間のネットワークのパターンを静態的に特定するだけでは不十分である.本研究は,コンテンツ産業クラスターにおいて,プロジェクトベースでどんな主体のいかなる相互作用によって,どのようにして多様な主体が時限組織の中に編みこまれて,プロジェクトが開発され,実行されるのかのダイナミズムを明らかにすることを目的とする.2.方法 地理学においては,主体間のコミュニケーション分析として,コンタクトアナリシスがあるが(T&ouml;rnqvist, 1970;荒井・中村,1996),定常的コンタクトの分析が中心であった.報告者は,これまでサーベイ・対面調査・参与観察等の手法により,ハリウッド映画や日本のアニメ・実写のコンテンツプロジェクトにおける主要な主体間のコミュニケーションの実証を行ってきたが(原,2002a;原,2002b;原,2007),プロジェクト期間中の,確定された参加者を対象としたものであった.産業クラスターあるいはプロジェクトエコロジーの核心部分は,プロジェクトがいかに立ち上がるのかという開発段階あるいはそれ以前の試行錯誤を含む相互作用ではないかと考えられる.その検証にはプロジェクトの正式な開始以前の長期のデータ収集が必要となるが,コミュニケーションの対象範囲の特定の困難さ,膨大な量,心理的抵抗,守秘義務などの障壁から,そうした段階の長期のデータ入手は困難であった. 本研究は,調査協力者を得て,こうした問題を克服するために「半リアルタイム定期調査法」という方法を考案してデータ収集を行った.「半リアルタイム定期調査法」では,調査協力者に,日常的にコミュニケーション日誌にすべてのミーティングスケジュールを記録してもらい,それを基に1~2カ月に一度の定期的ヒアリングを実施し,各ミーティングに関する詳細な内容を聞き取るというものである.この手法により,シングルケースであるが,1年間を越える長期の大量のコミュニケーションデータの収集が可能となった.聞き取る項目としては,いつ・どこで・誰と何のために会ったかという基本事項に加え,会う契機,定例-非定例,プロジェクトベースか否か,相談・依頼の有無と方向,金銭の授受の有無,情報の送受信量と相対量,コミュニケーションの結果としての認識の変化や意思決定の有無などの項目が含まれている.3.対象 本研究で具体的な調査対象とする松野美茂氏(現在ミディアルタ社取締役)は映画・テレビのVFXスーパーバイザー・VFXプロデューサー等として活躍しており,代表作に平成ガメラシリーズ,ウルトラマンシリーズ,SDガンダムフォース,生物彗星WoO等がある.企業に所属している時期も,企業を超えた形で次世代技術をいち早く活用するプロジェクトを起こすフリーランス的な仕事を行ってきており,またCG関連のソフト・ハード製品についての先見性が業界で伝説になっている.本研究では,松野氏に対して半リアルタイム調査法によりデータ収集を行い,分析を加えた.データ収集は2005年11月から開始し,2008年度日本地理学会春季学術大会において,2006年末までのデータの分析結果を報告した.今回は,2007年度分のデータを加えて,合計六百件強の約2ヶ年のデータの分析結果を報告するが,2006年には従来のフリーランス的な行動が反映されたものであったのに対し,2007年は松野氏が新規起業に関与していった時期であることに起因する興味深い違いが現われている.
著者
八瀬 哲志
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.787, pp.4-8, 2020-04

スクウェア・エニックス(スクエニ)のAI技術を取り入れたのも、もちろんインタラクションの強化が狙いです。スクエニの「メタAI」はプレーヤーのスキルや感情をAIで推測してゲームを面白くするために作られました。具体的にはスキルや感情に応じてゲーム内に…
著者
瀬戸崎 典夫 森田 裕介 全 炳徳
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.561-562, 2020

<p>本研究は,没入型タンジブル平和学習用VR教材の開発に向けた予備調査を実施することによって,教材に対する興味・関心等の評価を得るとともに,改善点や追加コンテンツを明らかにすることを目的とした.その結果,本教材を使用することで,参加者の興味・関心や,活動そのものに対する集中力を高めることが示された.また,平和教育の実践を想定したコンテンツ開発と授業デザインの考案に加えて,原爆投下前の人々の暮らしをバーチャル環境に提示することで,より実感を高める教材となり得ることが示された.</p>
著者
木下 祥尚
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

局所麻酔薬の作用機序に関して、これまで複数の仮説が提唱されてきた。しかし、いずれの仮説も矛盾を含んでおり、結論は得られていない。近年、申請者らは「麻酔薬はラフトの形成を阻害することで、チャネルが活動する場を奪い、神経伝達を阻害する」というラフトを基盤とした仮説を提唱している。しかし、細胞膜に存在するラフトをありのままに標識することは困難であり、ラフトを指向した研究は立ち遅れたままである。本研究では 申請者らが開発した脂質の分布を高精度で追跡できる蛍光プローブを利用し、麻酔薬が脂質ラフト形成に及ぼす影響を調査する。本実験により、脂質ラフトを基盤とした、麻酔作用発現の機序に関するモデルを提唱する。
著者
北川 貴志 谷 浩 山路 泰介 藤田 雅彦 福井 英彦
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.487-493, 2014

黒毛和種去勢牛延べ24頭を用いて,大麦代替としての玄米の給与が産肉性に及ぼす影響を調べた.試験区には玄米を対照区の飼料の大麦の一部代替として肥育全期間10%給与区(RB10区),15%給与区(RB15区),また,大麦の全量代替として前期18%,中後期30%給与区(RB18-30区)の3試験区を設定した.各試験区は対照区のTDNとCPがほぼ同等になるようにトウモロコシの配合割合を減らすなどの調整をした.増体にはいずれの試験区も影響はなかった.飼料摂取量はRB18-30区でのみ濃厚飼料摂取量と推定TDN摂取量が有意に多くなった(<i>P</i> < 0.05).血中ビタミンA濃度はRB10区に影響はなかったが,RB15区とRB18-30区は対照区より有意に低い値となる時期があった(<i>P</i> < 0.01).枝肉成績はRB10区とRB15区に影響はなかったが,RB18-30区では枝肉重量とバラの厚さが対照区より有意に大きくなった(<i>P</i> < 0.05).胸最長筋の脂肪酸組成にはいずれの区も影響はなかった.玄米は大麦の代替としても黒毛和種牛肥育の飼料に使用できると考えられた.