著者
大谷 鉄平
出版者
北陸大学
雑誌
北陸大学紀要 = Bulletin of Hokuriku University (ISSN:21863989)
巻号頁・発行日
no.51, pp.173-187, 2021-09-30

〔査読有り〕の研究ノート一般に、挨拶表現の「ありがとう(ございます)」は、感謝の意を受信者に伝達する。一方、これが夕形となった「ありがとうございました」は、同様に謝意をあらわすと同時に、談話の結末部では、暗意としての「会話の終了」を示唆する。本稿では、ラジオ番組の音声資料をもとに、言語運用能力が未発達と思われる年少者と、年長者とのやりとりの観察から、子どもがどのように「会話の終了」との解釈を得るか、または年長者はその解釈を促すためどのような方略を用いるかについての考察を行った。
著者
稲葉 通将
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1779-1791, 2021-11-15

本論文は,プレイヤ間で会話することで進行するパーティゲーム「人狼ゲーム」を題材とし,自然言語によりユーザに上手に説得されることでユーザを楽しませる対話システムの構築手法を提案する.提案システムはゲームの状況とユーザとの対話の流れに応じて適切な応答を複数の応答候補から選択することで対話を進めるものであり,そのためのマルチタスク学習に基づくニューラルネットワークモデルを提案する.また,自然な説得対話の実現には,システム側はユーザの説得に徐々に応じるように態度を少しずつ変化させる必要がある.そのための手法として,自然な説得の受諾を実現するためのデータドリブンな説得対話管理手法を提案する.実験ではデータに基づく客観評価とユーザとシステムが実際に対話を行う主観評価の両方を実施し,ベースラインシステムと比較して自然かつ楽しい対話が可能であることが確認された.
著者
村井 源 松本 斉子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
2022

<p> 本研究では日本語の自称詞,対称詞の表現の多様性に着目し,話し言葉と書き言葉でどのような用いられ方をするか統計的な分析を行った.また,自称詞,対称詞が発話文中で果たす役割を調査するため発話文の語用論的機能を分類し,呼称との関係を分析した.結果として,書き言葉では呼称の頻度が高くまた語彙も豊富であるが,呼称利用のパターンと役割に関しては話し言葉と書き言葉の発話文で大きな違いないことが明らかになった.</p>
著者
小森 瑞穂 上平 員丈 鈴木 雅洋
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.11-14, 2009
参考文献数
4

筆者らは,美術館の絵画など非電子画像の著作権・肖像権を無断撮影からの保護を目的に透かし情報を光を用いて埋め込む電子透かし技術の研究を行っている.この技術では,観察者に気付かれないように光に透かし情報を含ませることがポイントになる.今回,被写体上に照射された透かし情報を含む光について透かしパターンが知覚されない条件を検証した.実験結果から,不可視性はパターンのコントラストに依存するが,本技術を応用する上での実用的な状況において不可視性の可能性を示し,本技術の実現性を示すことができた.
著者
小野束 江川雄毅
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.880-890, 2004-03-15
参考文献数
7
被引用文献数
3

デジタルコンテンツの著作権保護手段として電子透かしが用いられている.しかし,最近は不正コピーの形態も変化しつつある.デジタルデータを不正にコピーする問題以外に書店などでカメラ付き携帯電話により書籍のコンテンツを無断撮影することが社会問題となっている.本論文ではこのような印刷物からの画像撮影に対して抑止力として電子透かしが利用できるか否かを主眼に,印刷耐性のある電子透かしの提案と問題点について検討した.A digital watermark is used as a copyright protection of digital contents. However, illegal copy tools are changing and developing recently. These becomes such a social problem as taking a picture of the book without permission by using the cellular phone with the camera in the bookstore. In this study, a digital watermarking scheme which is robust against such pictures is proposed. Moreover, the watermark is examined for the robustness when the scheme is applied to the image of printed media.

1 0 0 0 OA 諺の研究

著者
藤井乙男 著
出版者
京文社書店
巻号頁・発行日
1938
著者
根來 秀樹 飯田 順三 澤田 将幸 太田 豊作 岸本 年史
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.77-81, 2010 (Released:2017-02-16)
参考文献数
31

発達障害には生物学的背景の存在を示唆する報告が多い。本稿ではそれら報告のうち精神生理学的研究として,頭皮上脳波,聴性脳幹反応,事象関連電位の現在までの知見を概説した。それらの中には客観的指標となる可能性がある知見もあるが,今までの研究の結果には精神遅滞の影響が含まれていた可能性がある。また事象関連電位の研究では発達障害の特徴に応じた課題の工夫などが必要である。
著者
赤真 秀人
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.464-475, 2011 (Released:2011-12-31)
参考文献数
85
被引用文献数
1 2

Henchが関節リウマチ(RA)患者に初めてステロイド(コルチゾン)を試用したのは1948年であった.諸刃の剣であるステロイドの歴史を繙くと,21世紀のリウマチ医も改めて学ぶべき点が少なくない.本稿では基礎研究からは,脂肪組織などの細胞内でコルチゾン(不活性型)からコルチゾール(活性型)への変換を促進する11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 1について簡潔に概説する.さらにステロイドのnon-genomic作用機構とメチルプレドニゾロンパルス療法との関係も推察する.臨床面では,わが国の大規模コホート研究と生物学的製剤の全例調査で得られる実地臨床データを利用して,ステロイドの使用実態を紹介する.近年,日本でも各種生物学的製剤が続々と登場している.ステロイド併用率・投与量の変遷を追跡すること,RA低用量ステロイド療法におけるeffectivenessの詳細を明確化すること,などは今後の課題といえる.いくつかの用語の定義や解説も加え,ステロイドに関する話題を提供する.
著者
遠藤 孝
出版者
中央大学社会科学研究所
雑誌
中央大学社会科学研究所年報 (ISSN:13432125)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.179-197, 2017-09-30

The concept of “multitude” occupies an important position in Antonio Negri’s theory.This concept is hard to understanding. Negri discusses that multitude is related to post-Fordism, real subsumption of society under capital, immaterial labor, bio-politics and bio-power. In his discusses bio-politics connects real subsumption and immaterial labor, moreover, it makes multitude as political subjects. The multitude is not classified in the existing social category. Pursuing his writings, for instance Empire, Multitude, and Commonwealth, this article aims to clear the concept of “multitude”.
著者
山階 芳麿
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.6, no.28, pp.145-160, 1929-12-30 (Released:2008-12-24)
被引用文献数
1
著者
山岸 稔 三原 武彦 河西 紀昭 大山 宜秀 小島 邦彦 後呂 みゑ 渡辺 登 小口 弘毅 阿部 由紀子 朝倉 昭雄 塙 勇至 薄井 晶子
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.p371-380, 1981-08

adenosine triphosphate (ATP)の諸作用のうち,これが赤血球膜の電解質調節機構(ポンプ機能)のエネルギー源となることは従来より知られている一方,最近はプリン代謝系酵素に対する作用としてadenylate deaminase (AMPDA)を刺激し5'-nucleotidase (5 Nase)を阻害することが報告された。そこで血清電解質異常の例として高カリウム(K)血症を伴う腎尿細管性アシドーシス(renal tubular acidosis, RTA)遠位K排泄障害型,また赤血球プリン代謝酵素異常の例として赤血球adenosine deaminase (ADA)高値を伴う遺伝性球状赤血球症(hereditary spherocytosis, HS)を選び,各症例の赤血球内外のK値, Na値,およびADA値, nucleoside phosphorylase (NP)値などを中心に測定して検討を加えた。RTA症例では,高K血症のときは赤血球内K値も上昇し,またその値は血清K値とほぼ平行的に変動することがKC1負荷テストで示された。しかしその赤血球膜のポンプ機能は, HSクリーゼ症例のようには増強されていないことがADA, NP測定値より示された。さらにATPのプリン代謝系酵素に対する作用として,これがADAを刺激し, NPを阻害することが推測された。
著者
福田 永
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1106-1113, 1994-11-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
38

近年,電気的にデータの書き込みと消去ができる不揮発性半導体メモリーが注目を集めている.その理由は,集積度の著しい向上により,ハードディスクなどの外部記憶や主記憶の分野へ参入できる可能性が出てきたためである.このメモリーは,データのやりとりをきわめて薄いトンネル酸化膜を介した電子のトンネリングによって行っている.この過程でトンネル酸化膜中に電荷捕獲が起こり,その結果,データの書き換え回数が制限されるという問題が生じている.この酸化膜固有の問題が解決できると飛躍的にメモリーの高集積化が図れ,かつ高性能化が期待できる.本稿では,最初にメモリーの動作原理と極薄酸化膜劣化メ力ニズムについて述べ,次にトンネル酸化膜の改質について紹介する.
著者
植田 康孝

2013 年のダボス会議でも紹介されたように、大学によるインターネット上の教育が台頭している。大学による講義のオンライン配信は以前からあったが、所属学生だけが対象で、形式も単に動画を配信するものが一般的であった。それに対し2012 年から米国で本格的に普及した「ムークス(MOOCS)」は、登録さえすれば誰でも無料で受講できる上、参加している世界の大学から講義を選択できる。日本の場合、「コンテンツ」という用語が用いられる場合、エンタテイメント系や文芸系に関するものが主であることを前提とするが、近年、多くの先進国において教育コンテンツが重要になっている。欧米の知識体系を基盤とした教育コンテンツがインターネットを通じてグローバル、オープン、ソーシャルに展開されていく中、日本の教育コンテンツは「ガラパゴス状態」に陥りつつある。たとえば、電子書籍について議論される場合においても、日本ではエンタテイメントや文芸を中心としたコンテンツの議論がなされるが、欧米では大学における専門教育のようにターゲット層が明確となっていて知識体系が整備されている分野に関する教材から展開されることが多い。欧米の多くの大学は、講義や教材をインターネット上に公開しており、学生にとって、自分ペースで学習できる、分からないことを世界中にいる学生が手助けしてくれる、一方的に講義を聴くのではなくアクティブに参加できる、という利点を有している。オンライン上で無料・安価で受講できる教育革命は経済力の差や地理的なハンディキャップを取り払う。先進国で進む大学のオンライン化は大学、教員、学生の3 者に「大学および大学教育の価値とは何か」という根源的な問いを突き付けている。
著者
松田 輝雄 永島 茂 後藤 征治
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
トンネル工学研究発表会論文・報告集 (ISSN:18849091)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.345-350, 1996-11-26 (Released:2011-06-27)
参考文献数
2

The Higashi-roppongi station is a new station of the Namboku-line which is under construction by the Teito Rapid Transit Authority. And this new station is situated in proximity to the metropolitan expressway structures and worked in the ground with high groundwater levels. Therefore it has been planed to carry out the pre-excavation timbering by transverse diaphragm and the wet excavation for safety works. This report will examine these special methods and analyze influences on the adjacent expressway structures.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1456, pp.6-8, 2008-09-08

「議長ですから、皆さんのお話をよく聞きながら、取りまとめていきたい」──。日本語でも素っ気なく聞こえる福田康夫首相の答えを聞いて、会場にいた古川元久衆院議員(民主党)は、「英語通訳を通して聞く聴衆は、リーダーシップのなさを感じるのではないかと不安になった」という。ダボス会議に見えた予兆 今年1月、スイスの保養地ダボスで開かれた世界経済フォーラム。