著者
佐藤 伸
出版者
福岡大学研究推進部
雑誌
福岡大学経済学論叢 (ISSN:02852772)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.41-45, 2013-09
著者
宮本 健市郎
出版者
Japanese Educational Research Association
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.141-150, 1998

本稿の目的は、(1)フレデリック・リスター・バークの教育思想において自発性の原理が形成される過程を精査すること、(2)自発性もしくはダイナミズムの意味の変化に焦点をあてて、児童研究と進歩主義教育との関係を解明すること、である。 1899年から1924年まで、サンフランシスコ州立師範学校の初代校長を務めたフレデリック・リスター・バークは、児童研究運動と進歩主義教育運動との重要なつながりを代表している。彼は、児童研究運動の父G.S.ホールの弟子であり、1920年代の進歩主義教育に大きな影響力を与えたカールトン・W・ウォシュバーンおよびヘレン・パーカーストの恩師であったからである。 バークは1890年代の半ばにクラーク大学で心理学を学んで、G.S.ホールの賞賛者になった。彼は、子どもは完全な自由を与えられれば自然と人類の発展を繰り返すと信じ、子どもの内部の力がその発展を導くと考えた。したがって、幼稚園のカリキュラムはその発展の過程に、すなわち遺伝的な順序に、基づかなければならないと彼は主張した。 バークは1898年に、カリフォルニア州サンタバーバラ公立学校の教育長に就任した。彼は児童研究と反復説に深く心酔していたので、サンタバーバラの公立幼稚園にフリープレイを導入した。フリープレイはいかなる障害もなく自然に発達するための機会を子どもに与えると考えたからである。バークとサンタバーバラ公立学校のスタッフは、子どもの自由で自発的な活動を良く調べ分類する実験をおこなった。この実験から、思いがけずバークが発見したことは、子どもの自発的な活動はただ下等な人類の繰り返しではなく、子どもの創造的な表現を含んでいるということであった。 この実験の後、バークは子どもの発達に関してホールとはかなり異なった見解に到達した。ホールが子どもの生まれつき、すなわち遺伝的に決定された発達を信じていたのに対して、バークは子どもの発達を方向づける環境と創造的表現の重要性に気がついたのである。 1899年にバークはサンフランシスコ州立師範学校の初代校長に就任した。彼は画一的一斉授業をやめて、子どものダイナミズムを開発するための個別教育法を創案した。ダイナミズムは自発性や内部の力だけでなく、子どもの創造性を含んでいると考えられていた。サンフランシスコ州立師範学校でバークの下で働いていたカールトン・ウォシュバーンは、バークの個別教育法を学んで、後にそれを修正し、ウィネトカ・プランと名付けた。当時アメリカ合衆国のすべてのモンテッソーリ学校の監督者であったヘレン・パーカーストは、バークの個別教育法を真似て、ドルトン・プランを発明した。 児童研究を通して、バークは子どもは自然と遺伝に応じて教育されるべきであることを学んだ。しかし、彼は自然と遺伝をあまりに強調する反復説の決定論的見方を変更した。子どもの自発的な活動と思考の中に創造的な衝動があることを発見したからである。彼はそれをダイナミズムと呼んだ。
著者
荒川 歩 白井 美穂 松尾 智康 加藤 賢大
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.263-273, 2019 (Released:2021-04-12)

インタビュイーの中には豊かで巧みな表現を行えるインタビュイーもいれば,あまり話さないインタビュイーも いる。有名な質的研究には,そのフィールドに熟知しているというだけではなく,研究者が引用したいと思うよ うな多くの点を話すことのできる人が関わっていることが多い。そこで,質的研究にとって重要な情報とはどの ような情報なのかを明らかにするために,本研究では学会賞を受賞した 4 つの質的研究を対象に分析を行った。 ほぼすべての引用にラベルを付けたところ,それらのラベルからは 6 つのカテゴリの存在が明らかになった。そ れは,「体験の具体的な説明」「自分(たち)なりの理解,解釈,意味づけ」「問題に直面した場面における自分 (たち)なりの対処」「俯瞰的説明」「異なる時間についての見解」「現実とずれるインタビュイー」である。これ らに基づき,「良いインタビュイー」の特徴と,質的研究の根拠の構造について議論した。
著者
ヤスミーン・ビール=リヴァヤ 阿部 俊大 Yasmine Beale-Rivaya Toshihiro Abe
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.205, pp.204-168, 2020-03-15

本論文は、モサラベという言葉の定義、またモサラベについての研究史を簡潔にまとめ、スペイン現地を中心とした、モサラベという研究分野の現在に至るまでの研究状況の概要を紹介するものである。著者は中世のイベリア半島をフィールドに、ロマンス語とセム系言語の境界地域における言語の接触、公刊、借用といったテーマを専門とする研究者であり、本論文も、狭義の歴史学研究者が触れる機会が少ない、言語面からの詳細な分析が行われているのが特徴となっている。
著者
奥 裕介
出版者
岩手医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

癌遺伝子産物YAP/TAZの機能を阻害する化合物として、フルバスタチン、ダサチニブ、パゾパニブを同定した。これらは、Hippo経路を活性化し、YAP/TAZの核移行を阻害した。乳がんと大腸がん細胞株におけるこれらの薬剤に対する感受性は、YAP/TAZの依存性とよく相関していた。これら3種の医薬品のコンビネーションによって、効率よくMDA-MB-231乳がん細胞の増殖を抑制することができた。更に、これら3つの薬剤は、古典的な抗癌剤との併用により相乗的にMDA-MB-231細胞株の増殖を抑制した。以上の結果は、これらの薬剤がYAP/TAZ依存性の乳がんに対して有効であることを示唆している。

1 0 0 0 OA 心電図検査

著者
笠巻 祐二
出版者
一般社団法人日本医療機器学会
雑誌
医療機器学 (ISSN:18824978)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.438-447, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
4
著者
中村 徹
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.10-19, 2006

<p>燃料電池自動車の普及実現のために注意深く検討しなければならない問題の一つとして,水素ステーションのリスク評価がある.リスク評価によって明らかにされたリスクをどのように制御・低減していくかがプロジェクトの成否を左右すると言っても過言ではない.市街地設置を前提とした水素ステーションの設置場所選定と設計に必要な対策を,設置場所の立地環境・関与する人・設備(必要な安全対策レベル)の面からリスク評価することによって,実規模水素ステーションの設計へ反映させることが望まれる.</p>
著者
長谷川 信
出版者
静岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

本研究の課題は、国内の商社活動に対して国際カルテルが与えた影響を大倉商事(大倉組)の事例を中心に明らかにすることである。ドイツAEG社は1900年代以降、拡大しつつある日本の電気機械市場への進出を図った。その際、AEGの輸入代理店として市場拡大に取り組んだのが大倉組であった。しかし、1910年代に入ってから、大倉組はそれ自身では解決できない商社活動への制約を受けた。それは、アメリカGE社とAEGの間で結ばれた国際協定に端を発していた。1903年のGE・AEG協定そのものは日本市場を対象としていなかったが、GEは1909年に芝浦製作所と提携し、日本市場における芝浦の排他的権利を認めた。そして、GはAEGと大倉組に対して、芝浦の排他的権利を尊重するよう要求した。GEの要求を受け入れることは、大倉組がAEG製品の輸入販売業務を続けられないことを意味しており、大倉組はこの要求をそのまま受け入れることは出来なかった。最終的には、GEとAEG・大倉組との間で話し合いが行なわれ、大倉組はAEG製品の輸入業務を続けることが出来た。けれども、大倉組・AEGの日本市場における活動には制約が課せられた。具体的には、タ-ビンに関して1913年に芝浦とAEGの間で協定が締結され、(1)GE・芝浦は日本における専売権をAEGに与え、AEGは製造販売権を芝浦に与える、(2)AEGは日本で販売した製品の特許使用料、コミッションを芝浦に支払う、(3)過去4年間の実績に基づいて両者の販売比率を定めることになった。1910年代に入って、GEは、国際協定および特許協定を利用して、自己のテリトリ-を拡大する戦略を採ったと考えられる。そして、このGEの企業戦略によって、大倉組(大倉商事)の商社活動とAEGの日本における事業展開は制約を受けることになった。
著者
川西 秀樹 西亀 正之 江崎 治夫 土谷 太郎 椙山 雅文 中光 晴彦
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.1037-1040, 1981

A hemoperfusion system has been developed in which powdered activated charcoal are embedded in a polyporous polyurethane sheet.<br>In vitro adsorption studies have revealed that tree adsorption of bilirubin and other albumin bound substance by UPC is superior to that by non-coarted charcoal beads with low release of charcoal micro-particles.<br>During batch test removal rate of bilirubin in jaundice dog serum was about 60% by UPC.<br>Dogs with ligated bile duct were subjected to direct hemoperfusion (DHP) through UPC.<br>As a result of these studies, removal rats of bilirubin was about 40%.<br>There was a transient decrease in platelet and WBC during DHP with gradual recovery to the prevalue at the end of therapy.<br>These studies suggest the UPC-DHP is effective in the treatment of FHF.
著者
千葉 直子 関 良明 堀川 裕介 橋元 良明
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.311-324, 2014-01-15

スマートフォンの急速な普及にともない,ネットワークサービスの利用環境はいっそう進展し,青少年の安全なインターネット利用は喫緊の課題となっている.本稿では,青少年にインターネット接続端末を利用させる保護者と家庭の状況に焦点をあて,子どものインターネット利用によるリスクに影響を与える要素を定性的調査によって整理し,家庭における対策レベルの向上施策を議論するためのフレームを与える仮説モデルを構築する.さらにスマートフォンを利用する中高生とその母親300組に対する定量的調査によって仮説モデルを検証する.その結果,子どものインターネット利用における主要なリスクである「プライバシー情報の露呈」「有害情報閲覧」「ネットでの出会い」それぞれのリスクに対する家庭内要素の相関モデルを示した.「プライバシー情報の露呈」「有害情報閲覧」に影響を与える家庭の要素として,規範意識や育児観に代表される保護者の考え方,家族関係,家庭内のルールや対策が存在することを明らかにし,「ネットでの出会い」については,家庭でのルールや対策との相関がなく,家族関係が寄与していることを明らかにした.また家庭内のルールや対策は,保護者の考え方に加えて,保護者のリスク学習経験および家族関係と相関関係があることを明らかにした.With the spread of smartphones, the degree of Internet usage has increased even more, and Internet safety is an urgent problem facing young people. Our research focuses on parents and the home situation of young Internet users. We construct a hypothetical model that provides a framework for discussing how to lessen the risk for young people using the Internet at home based on our qualitative analysis. Furthermore, we tested the hypothetical model based on a quantitative investigation of 300 smartphone-using junior and senior high school students and their mothers. The investigation results clarify the correlation model considering such factors as parenting concepts, family relations, in-home rules and measures as domestic elements that control the risk when children use the Internet. In addition, we clarify that home measures are related to family relations, the parents' learning experience regarding the risk of Internet use, and the implemented parenting concepts.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ネットビジネス (ISSN:13450328)
巻号頁・発行日
no.59, pp.99-105, 2000-06

■"インターネット発"のヒット商品が現実のものになった。東洋水産(マルちゃん)の「インドメン」は既に130万食を販売した。日産自動車がインターネットで限定発売した「ティーノハイブリッド」も、発売からわずか半日で予定の100台を売り切った。■新商品コンテスト、テスト販売、ユーザー向けコミュニティーサイト——。
著者
花田 道子 宮野 のり子
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.15, no.Suppl, pp.Suppl_32-Suppl_33, 2012-07-01 (Released:2013-03-21)
参考文献数
2

自然分娩とは言え、陣痛微弱、逆子の難産で生まれた白いボクサー犬(♀)が断尾後抗生物質投与により嘔吐頻発し、誤嚥性肺炎を発症。この時点から一切の抗生物質投与を中止。人工哺乳及び離乳食に核酸サプリメントを添加。その後の維持食には冷凍生肉、鶏ササミ缶、k/d缶、にサプリメントとして動物用核酸、不飽和脂肪酸、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、を用いることにより、血液検査データに異常値があってもQOLが保て、自己免疫在性咬筋炎、免疫介在性溶血性貧血の際に行った統合医療の効果を上げるとともに、薬剤の副作用緩和にも貢献できたと思われた。
著者
友森 玲子 花田 道子 宮野 のり子
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.15, no.Suppl, pp.Suppl_30-Suppl_31, 2012-07-01 (Released:2013-03-21)
参考文献数
2

肝臓がんで腹水が貯留しているラブラドール系雑種オス犬を動物愛護相談センターより引取り、余生の QOL 向上のために、当サロンと自然療法を行なっている動物病院で栄養管理を行ったところ消化機能が改善されて、皮膚の状態、外耳道炎等も好転した。保護当初歩行困難を呈していた両側膝蓋骨脱臼に対しては当サロンではプールで運動させ、さらに動物病院では理学療法を施したところ、走れるまでになった。その後、一時飼養ボランティア宅で栄養管理を行ったところ 2 年余り小康状態を維持している。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア (ISSN:09154191)
巻号頁・発行日
no.120, pp.59-62, 1999-10

医薬分業が急速に進んでいる。薬価差益が年々減少しており、院外処方の方が医療機関にとって利益が増えるからだ。しかし、一度は院外処方に切り替えながら、再び院内処方に戻す病医院も出てきている。開業時から院外処方を採用している診療所が院内処方に変えるケースも少なくない。
出版者
早稲田大学産業経営研究所
雑誌
産研シリーズ
巻号頁・発行日
no.42, pp.1-137, 2007-09-30

「ダイレクト・マーケティング研究-海外ジャーナル抄訳集No.4-」について 〔ルディー和子〕 / eマーケティング時代の到来か? -eマーケティングの浸透と企業の業績に関する調査- 〔加藤祥子〕 / マルチチャネル環境における消費者 : 製品の効用、プロセスの効用およびチャネル選択 〔大瀬良伸〕 / 小売チャネル間におけるただ乗りと顧客維持 〔佐藤志乃〕 / イメージ相互作用技術が、オンライン・ストアにおける消費者行動に及ぼす影響 〔中野香織〕 / モバイル・コマースにおける顧客ロイヤルティ決定要因の考察 〔五十嵐正毅〕 / リレーションシップ・マーケティングのプロセス : コミュニケーション、相互作用、ダイアログ、価値 〔松本大吾〕 / 参考文献
著者
葛巻 星 西岡 宣泰 藤代 史 武部 博倫
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.137, no.11, pp.110-115, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
27
被引用文献数
2

A stabilized zirconia oxygen probe was used to measure the oxygen partial pressure (OPP) at an electrode submerged in a copper slag melt at 1300 ℃. The OPP was controlled in the range of 10−10–10−5 atm owing to the presence or absence of a powdered carbon layer on the slag melt using a high-purity alumina crucible in argon (Ar) gas flow. Under suppression of magnetite formation at an OPP of approximately 10−10 atm, the viscosities of the copper slag and FeO-Fe2O3-SiO2-Al2O3 slag melts were measured between 1200 ℃ and 1300 ℃. The obtained values were in the range of 1.0×102–7.8×102 mPa・s. The dependences of total Fe/SiO2 mass ratio and Al2O3 concentration on viscosity were qualitatively interpreted from the aluminosilicate network structure viewpoint.
著者
宮本 真之 北田 敦 安達 謙 深見 一弘 邑瀬 邦明
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.137, no.11, pp.103-109, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
25
被引用文献数
2

CaCl2 is a low-toxic, inexpensive reagent that dissolves in large amounts in water to form highly concentrated aqueous solutions, or hydrate melts electrolyte. In this work, it was investigated that the concentrated CaCl2 aqueous solutions (aq) as novel lead (Pb) electrodeposition baths. While PbCl2 is poorly soluble in water at room temperature, PbCl2 dissolved up to 0.452 mol kg−1 ([Pb(II)] = 93.7 g kg−1) by the formation of PbCl42− complexes in the concentrated CaCl2 aq due to its high Cl− activity. Electrochemical measurements confirmed that the apparent exchange current density and the limiting current density of Pb electrodeposition decreased with increasing CaCl2 concentration. Since the diffusion of Pb(II) species was limited due to the high viscosity and ionic strength of the solution, agitation was effective in improving ion transport and electrodeposition rate. The presence of chloride ions in Pb electrolysis is usually detrimental due to the low solubility of PbCl2, however, the highly concentrated CaCl2 solution can be a potential candidate electrolyte for PbCl2-based electrolytic processes.