著者
岩田 具治 斉藤 和巳 山田 武士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.65-74, 2007-03-15
参考文献数
19

定額制サービスを提供しているオンラインストアが収益をあげるためには,ユーザの契約期間をできるだけ延ばすことが必要である.従来レコメンド法では,購入される確率を最大化するためにユーザの嗜好に合致する商品を提示する.しかしながら,従来法により必ずしも契約期間が延びるとは限らない.本研究では,定額制サービスを想定し,契約期間が延びる確率を最大にするレコメンド法を提案する.提案法では,まず契約期間の長いユーザに特徴的な購買パターンを抽出する.そして,抽出されたパターンと同じような購買行動になるように商品をレコメンドする.生存時間解析を応用し,ログデータから効率的に購買パターンの抽出を行う.また,効果的なレコメンドにするため,最大エントロピーモデルを用いてユーザの嗜好を推定する.契約期間が延びることはユーザがサービスに満足した結果であるため,提案法はオンラインストアだけでなく,ユーザにとっても好ましいレコメンドである.携帯電話用漫画配信サイトのログを用い,提案法の有効性を示す.Online stores providing subscription services need to extend user subscription periods as long as possible to increase their profits. Conventional recommendation methods recommend items that best coincide with user's interests to maximize the purchase probability, which does not necessarily contribute to extend subscription periods. We present a novel recommendation method for subscription services that maximizes the probability of the subscription period being extended. Our method finds frequent purchase patterns in the long subscription period users, and recommends items for a new user to simulate the found patterns. Using survival analysis techniques, we efficiently extract information from the log data for finding the patterns. Furthermore, we infer user's interests from purchase histories based on maximum entropy models, and use the interests to improve the recommendations. Since a longer subscription period is the result of greater user satisfaction, our method benefits users as well as online stores. We evaluate our method using the real log data of an online cartoon distribution service for cell-phone.
著者
谷本 圭志 土屋 哲 長曽我部 まどか
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.513-520, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

日常生活を支えるための生活サービスには様々な種類があり,公共交通,買い物など多岐に及ぶ.今後は人口減少や高齢化の進行に伴い,小規模な自治体では生活サービスの消費者のみならず供給する人材の減少に直面することが予想される.そのためこれらの自治体では,サービス施設の集約や複合化など,生活サービスを維持するための政策立案が必要となる.その際,どれだけの人口規模ならびに地域特性のもとで存続可能性が危うくなるかを事前に把握できれば,生活サービスを維持するために,政策立案の適切な時期を検討する上で有用である.そこで本研究では,地方の小規模自治体における生活サービスの存続可能性をいくつかの観点から評価する.具体的には,サービスを供給する事業所数を一般化線形モデルにより推計するとともに,その推計結果に基づいて,存続可能性に影響を及ぼす要因,業種ごとの特性,消滅と存続の境界にある人口規模を実証的に検討する.
著者
日下部 光
出版者
日本比較教育学会
雑誌
比較教育学研究 (ISSN:09166785)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.51, pp.106-128, 2015 (Released:2020-08-15)

サブサハラ・アフリカ地域(以下、アフリカ)の孤児数は約5,000万人であり、アフリカにおける子どもの総数に占める割合は約12%である。アフリカの孤児の就学に関する研究では、貧困やHIVエイズの蔓延と不就学の要因に関する分析が重点的に行われてきた。一方で、孤児を含む個人の能力に焦点を当て、困難や脅威に対応する能力と不就学の要因をミクロな視点から分析する必要がある。その理由として、同じ困難や脅威に直面しても、多くの孤児は就学継続を実現していることが挙げられる。 本研究の対象国であるマラウイは、世界最貧国の一つであり、かつ年間のエイズ死亡者数4.8万人、孤児数79万人のHIV高感染国である。孤児の割合は、初等教育において11%、中等教育では19%に達している。無償の初等教育に対し、中等教育は有償にもかかわらず、多くの孤児が中等教育への就学継続を実現しており、本研究ではこの点に着目する。 本研究の目的は、マラウイの中等学校の孤児を対象に、①孤児自身やその親族の就学継続を可能にする取り組み、および②中等学校における就学支援の実践に対する事例分析をもとに、孤児やその親族、教師の視点から、孤児の生活と就学の実態を明らかにすることである。現地調査は、2014年9月にマラウイ南部ゾンバ地区において、中等学校の孤児生徒(33名)、教師(18名)を対象に、ライフストーリー・インタビューを実施した。 孤児の中には、親の死や生活の困窮など複層的に困難な状況に置かれても、中等学校進学後、学費の工面や生活維持を目的とする収入創出活動を通して、就学継続を可能にしていた。しかし、孤児の努力だけでは就学継続が厳しい場面もある。そのため、政府やNGOの奨学金プログラム、学校レベルでは学費の納入猶予や分納以外に、校長裁量で半額免除や未納の見逃し、教師による緊急時の支援等が展開されている。 孤児は厳しい生活環境の中で、時には、制服を洗濯するための一つの石鹸が確保できないことも、孤児の就学継続に影響を与えている。そのような困難な状況に置かれながらも、孤児自身の取り組みに加え、親族や教師といった周囲の関係者からの支援、政府やNGOの奨学金支援や校長裁量による学校側の柔軟な対応など、個人を取り巻く環境や人々の繋がりにより、孤児の就学継続が支えられている実態が明らかとなった。
著者
松本 健一 石野 福弥
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.33-38, 2004

本論文は,電力リスクヘの社会的取り組みの必要性と社会的プロジェクトにおける非同期コミュニケーションについて議論する.ステークホルダーの多い社会的プロジェクトは,合意形成やコミュニケーションの面で個別プロジェクトと性質が異なる.電力リスク対策はそのような社会的プロジェクトの典型例である.近年の電力関係の事故や災害から,近未来の電力需要の約40%を原子力に依存するとされる日本では,制御不可能な理由で電力不足が生じる可能性を考える必要がある.また,突然の電力不足が何をもたらすかを予測できない状況でもある.そのような電力リスクに対応するために個別に自家発電機を準備している組織はあるが,社会的な設計概念がない.このリスクの影響範囲は広く,個別プロジェクトでは解決できない課題があるので,社会システム改革プロジェクトと各組織による個別プロジェクトの2重構造でこの問題を捉えることが求められる.そして,その上位に位置する社会システム改革プロジェクトはステークホルダーが多いので,個別プロジェクト間のコミュニケーションマネジメントでは,従来のような同期的な情報のやり取りは不向きである.そこで,各組織の状況に応じて非同期的に必要な情報を取得して,リスク対策結果を登録するための公開データベースが必要となる.また,リスク対策レベルの規格化と認証を行う中立的な機関の設置がそれに先立つ必要がある.
著者
湯沢 昭 須田 熈 西川 向一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.458, pp.73-80, 1993
被引用文献数
1

本研究は, 消費者の都心部商業地区における買物・娯楽行動に焦点をあて, 商業地区の選択問題と回遊行動に関する分析を中心に行うものであり, 大きく2つの内容から構成されている. 1つは, 認識の不確実性を考慮した意思決定モデルの作成であり, 2つ目は非定常確率モデルによる回遊行動の分析である. これは商業地区の整備が, 当地区への直接の来街頻度の増加と回遊による増分を同時に評価する上で不可欠なものである. 本研究で提案した商業地区評価手法を, 観測データを用いて検証したところ, その有効性が確認された.
著者
末吉 彩香 柘植 雅義
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.19-32, 2020-03-31 (Released:2020-09-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究の目的は、自閉スペクトラム症 (ASD) 学生の就労支援の文脈で実施される就業体験を通した支援に関して、体験後の振り返りの面談の実態を明らかにすることである。ASD学生の就労支援に携わる支援者 (11名) に半構造化面接を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ (M-GTA) を用いて分析した。その結果、 【支援者が感じる面談時のASD学生の特徴】【面談時の対応】【面談の対応方針 (事前)】【支援者が抱える支援上の困りごと】 の4つのカテゴリーが生成され、ASD学生の障害特性を含む特徴を考慮した面談中の具体的な対応や、具体的対応ではないが支援者が心がける留意点が整理された。特に、支援者は学生が自己を客観的な視点で振り返り、就業体験を肯定的に捉えられるような配慮を重視していた。同時に支援者が対応に苦慮する場合も示され、今後は本研究で得られた知見を生かし、就業体験をより効果的に提供するための振り返りの内容や方法の検討が必要だ。
著者
Yusuke Kito Kazunobu Kuwabara Kiyotaka Ono Kenichi Kato Tatsuyoshi Yokoi Kohki Horiguchi Keisuke Kato Masahiro Hirose Tomomi Ohara Kenta Goto Yumi Nakamura Yoshikatsu Koike Takahiko Horiguchi
出版者
Fujita Medical Society
雑誌
Fujita Medical Journal (ISSN:21897247)
巻号頁・発行日
pp.2021-003, (Released:2021-08-20)
参考文献数
19

Objectives: To determine whether the prevalence of gram-negative bacilli (GNB; Pseudomonas aeruginosa, Klebsiella pneumoniae, and Escherichia coli) in sputum and urine specimens from outpatients and inpatients differed by season and according to temperature and humidity changes.Methods: In this retrospective study, microbiologic data for adult patients from 2008 to 2019 were retrieved from the electronic database of a hospital in Japan. Data were categorized by specimen type (sputum and urine) and specimen collection (outpatient and inpatient). Associations between variables were assessed using Spearman’s rank correlation coefficients. Differences between groups were assessed using Pearson’s chi-square test and analysis of discrete variance.Results: Among inpatients, the frequencies of P. aeruginosa and K. pneumoniae isolation from sputum specimens were higher in summer and autumn. The frequency of P. aeruginosa isolation from urine specimens was higher in autumn. These seasonal trends were observed in specimens from both outpatients and inpatients. No seasonal trend was observed in the frequency of E. coli isolation. Mean monthly temperature was positively correlated with the frequency of isolating P. aeruginosa (r=0.2198, p=0.0081) and K. pneumoniae (r=0.3443, p=0.00002) from sputum as well as with the frequency of isolating K. pneumoniae (r=0.1905, p=0.0222) from urine. Mean monthly humidity was positively correlated with the frequency of isolating K. pneumoniae (r=0.2602, p=0.0016) from sputum.Conclusions: GNB were isolated more frequently in summer and autumn than in other seasons. These seasonal trends were observed for both outpatient and inpatient specimens. Seasonality should be considered for optimal infection control of GNB in hospitals.
著者
中田 真依 服部 ユカリ Mai Nakata Yukari Hattori 北海道文教大学人間科学部看護学科 旭川医科大学医学部看護学科
出版者
北海道文教大学
雑誌
北海道文教大学研究紀要 (ISSN:13493841)
巻号頁・発行日
no.39, pp.39-50, 2015-03

本研究の目的は,急性心筋梗塞で入院中にせん妄を体験した患者の思いを明らかにすることである.闘病記録をnarrative と位置づけ,せん妄に関連のある内容を記録文書データとして収集し,テーマ分析方法を用いて分析した.分析の結果,シークエンス毎に3 つのコアテーマ,テーマ,サブテーマに分類された.コアテーマの《せん妄を発症するまでの思い》からは10 テーマ,《せん妄からの回復過程における思い》からは8 テーマ,《せん妄体験の想起と総括》からは4 テーマが導かれ,表面化されず患者自身しか知り得ない様々な思いが明らかになった.せん妄発症前は束縛恐怖など複数の苦痛や不安が存在し,せん妄発症後は断片的なせん妄の記憶,精神の弱さなどの否定的な思い,長期的なせん妄の余韻,自責の念や葛藤が存在していた.また,患者は家族や医療職者に対する感謝の思いを抱き,時間経過とともに病を克服しながら人生における貴重な体験と意味づけ,narrative を総括していた.これらのことから,患者が抱く様々な思いの存在に着目し,共感的姿勢で関わる重要性および,術前にせん妄の知識を提供するなどの予防的対応,早期に回復できるような個人に適した看護の必要性が示唆された.The objective of this study is to understand patient feelings after experiencing delirium whilehospitalized due to acute myocardial infarction. Using hospital diaries as narratives, we collected descriptions related to delirium as documented data, and analyzed these using thematic analysis. The analysis allowed the data to be classified into three core themes, themes, and sub-themes. From the core themes, we extracted ten themes from "feelings up to the development of delirium", eight from "feelings during the process of recovery from the delirium", and four from "recollections and summary of the delirium experience", which showed a variety of internalized feelings which only the patient could know. It was found that the patient suffered from different fears and anxieties such as the fear of being restrained before developing delirium. After delirium had developed, the patient had only a fragmental memory of the delirium, negative attitudes such as weakness of will, aftereffects after long-term delirium, feelings of remorse, and mental conflicts. The patient showed feelings of gratitude towards the family and medical professionals and overall viewed the experience as a positive life experience in overcoming the illness in the course of time. These findings suggest the importance of providing nursing care withempathy and paying attention to the variety of feelings of patients, as well as the necessity of proactive action, including providing information of delirium before surgery, and personalized nursing care to enable a speedy recover.
著者
塩﨑 隆敏
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.42-52, 2021 (Released:2021-10-20)

旧来のマスメディアに対する信頼が低下しつつある。各報道機関は、記者の取材活動にあたって、行動規範やガイドラインを設けている。しかし、検察幹部と新聞記者らによる「賭けマージャン問題」が明らかになり、その規範が守られていなかったことが表面化した。問題発覚後、朝日新聞社は「朝日新聞記者行動基準」を改定した。 取材源の秘匿は、情報源との信頼性を確保する上で最も重要な理念の1つである。だが、日本においては必ずしも法的な保障がなく、倫理規定の中で、その重要性が唱えられているにすぎない。その一方で、倫理規定において定めた取材対象者との関係性や利益相反について、逸脱するケースがあるというのは、報道機関として自己矛盾と言える。 本稿では、国内の報道機関、海外の報道機関が取材対象との関係性や利益相反について行動規範やガイドラインにどのような基準を設けているかを概観することで、低下しているメディアの信頼をいかに取り戻すかを考える一助になることを目指した。
著者
葛本 佳以 久保田 紀子 齋藤 儀信 藤岡 文夫 湯本 佳良子 日髙 惠以子 川上 由行
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.207-210, 2013-03-20 (Released:2014-12-22)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

Kingella species including K. kingae are non-motile coccobacilli or short straight rods, and their normal habitats appear to be the upper respiratory and oropharyngeal tracts of humans. In recent years, K. kingae strains have been in creasingly recognized as common causes of invasive infections in children at the age of less than 4 years. In Japan, however, invasive K. kingae infections including osteomyelitis have rarely been described. We incidentally encountered isolation of a K. kingae strain from intraoperatively obtained specimens from a previously healthy 44-month-old boy. He first consulted a nearby medical facility and a suspected diagnosis of osteomyelitis was made, after which the patient was then transferred to our Nagano Childrenʼs hospital. There was evidence of inflammation in his right calcaneus and toe walking was noted. He was treated with surgical drainage. An isolate grown on sheep blood agar with positive oxidase and negative catalase was biochemically characterized with the ID-Test HN20(Nissui Pharmaceutical Co., Ltd., Tokyo, Japan)kit system together with genetic examinations involving sequencing the 16S rRNA gene, and the infection was finally identified as K. kingae. The patient was successfully treated with cefotiam(CTM)for the first 7 days followed by the administration of trimethoprim-sulfamethoxazole(ST)for an additional 2 months. The K. kingae isolate was confirmed as a sure causative pathogen by observing that the serum showed high agglutinin titers against the isolate. Accumulation of the case reports in Japan with the isolation of this species is essential for clarifying invasive infections due to K. kingae. Our case report is a noteworthy and useful piece of information.
著者
辻野 綾子 米田 稔彦 田中 則子 樋口 由美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.96, 2003 (Released:2004-03-19)

【目的】脳卒中片麻痺患者の治療として、端坐位での側方リーチ動作を用いることがあるが、足底接地の条件の違いが運動特性にどのような影響を及ぼすかは明らかでない。本研究の目的は、足底接地の条件の違いによる端坐位における体幹のバランス機能について運動学的・筋電図学的に検討することである。【方法】対象は、健常女性12名(平均年齢20.6±1.9歳、身長158.8±2.4cm、体重51.8±5.0kgであり、全員右利きであった。運動課題は、大腿長55%が支持面となるように腰掛け、膝関節95度屈曲位に設定した背もたれなしの端坐位での肩関節外転90°位で上肢長130%の位置への右側方リーチ動作とした。条件は、(1)足底接地・閉脚位、(2)足底接地・開脚位、(3)足底非接地の3つにした。圧中心(以下COP)の位置を重心動揺計を用いて計測した。頭頂、第7頚椎、第12胸椎、第4腰椎、そして両側の耳介、腸骨稜、後上腸骨棘にランドマークを取りつけ、後方からのデジタルカメラによる画像から骨盤傾斜角度、体幹傾斜角度、立ち直り角度(左屈)を計測した。両側の脊柱起立筋(腰部L4、以下ES)、外腹斜筋 (以下OE)、中殿筋(以下GM)を被験筋とし、安静坐位と側方へのリーチ保持時の積分筋活動量を測定し、最大等尺性収縮時の値で標準化した。3条件間での測定値の比較には、対応のある一元配置分散分析を用い、有意水準を5%未満とした。【結果】1) COP移動距離:条件(1)や(3)より(2)が有意に大きく、(1)が(3)より大きかった。2)Kinematics:骨盤傾斜角度は、条件(1)、(2)、(3)の順に有意に増大した。体幹傾斜角度は、条件(1)や(2)より(3)が有意に大きかった。立ち直り角度は、条件(3)より(2)が有意に大きかった。3)各筋の%IEMG:右GMは、条件(2)が(3)より有意に大きかった。左GMは、条件(3)が(1)より有意に大きかった。左OEは、条件(3)が(1)や(2)より有意に大きかった。右ES、右OE、左ESにおいては、3条件間に有意差はみられず、右側の筋活動は左側に比べ小さなものであった。【考察・まとめ】条件(2)はCOP移動距離が最も大きく、条件(3)はCOP移動距離が最も小さいが左のGM、OEの大きな筋活動を要求した。それにより、開脚位で足底接地した端坐位でのリーチ動作はCOPの移動を行いやすい傾向にあり、足底非接地の端坐位でのリーチ動作はリーチ側とは対側の大きな体幹筋活動を要求するといった特徴があることが示唆された。
著者
金 宣吉 志岐 良子
出版者
国際ボランティア学会
雑誌
ボランティア学研究 = Journal of volunteer studies (ISSN:13459511)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.27-42, 2014

1980年代、90年代に起きた難民条約批准によるインドシナ難民受入、身元引受人制度改善による中国残留邦人帰国者の増大、入管法改定による日系人在留資格拡大、急増した国際結婚などによって外国にルーツを持つ子どもが日本に急増した。日本のような高度産業社会では、外国にルーツを持つ子どもの進学の重要性が認識されるべきであるが、正確な状況の把握さえ十分ではない。外国にルーツを持つ子どもの高校進学率は、日本人の子どもの50%~70%程度と推察されており、その原因として移住家庭をとりまくさまざまな問題がある。子どもたちが何につまずいているかを知ることができないと「学びの保障」について本質的に考えるべき視点も生みだしをえない。本稿では、進学を阻む要因と進学を実現するための支援について、古くからの移住民多住地域である神戸市長田区における進学支援活動から考える。その上で進学支援の成果や課題を、移住家庭で育まれる母文化の継承や民族名の選択といった当事者である子どもの生き方も含めて考えたい。また子どもたちが成長するホスト社会である日本があるべき変化を遂げて受け入れているかという課題についても考察したい。
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.797, pp.18-23, 2005-05-30

「工場の跡地は、森にしよう」。都心の一等地で、そんな奇特な開発計画を打ち出した企業がある。洋食器などの陶磁器製品で知られる名古屋市のノリタケカンパニーリミテドだ。約4万5000m2の敷地を埋めていた生産施設の大半を取り壊した。道路沿いの長い万年塀も撤去した。その跡地に芝を張り、様々な草木を植え、小さなビオトープまでこしらえた。
著者
縄田和満
出版者
多賀出版
雑誌
応用計量経済学
巻号頁・発行日
1997
被引用文献数
2