著者
高垣 由美
出版者
日本フランス語教育学会
雑誌
Revue japonaise de didactique du français (ISSN:18805930)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.113-123, 2014-09-15

「Le francais diplomatique 外交フランス語」は,教室での利用を想定しない,自主学習用のiPhoneアプリケーションで,外交の分野で使われるフランス語を学びたい日本人学習者向けの教材である。これは非営利目的の研究プロジェクトの成果であり,Apple社のオンラインストアApp Storeで無償公開されている。教材は,選択式聞き取り問題,選択式文法・語彙問題,国旗から国名を当てるクイズからなりたっている。この教材の独自性は,最新テクノロジーを使ったシリアスゲームである点と,日本人学習者向けに特定目的のための(専門分野別)フランス語を学ぶまれな機会を提供している点である。このアプリケーションの開発の過程で,良いスマートフォンアプリケーションの三つの条件がわかった。操作のシンプルさ,1回のセッションが短いゲームであること,繰り返しの使用に耐えるコンテンツである。
著者
山下 晃弘 川村 秀憲 飯塚 博幸 大内 東
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.47-57, 2009-03-27
被引用文献数
1

Web 上の情報量拡大にともなって,オンラインストアなどでは推薦システムを導入する事例が増加している.同時に,これまで様々な推薦アルゴリズムが提案,分析,評価されてきた.システムによる推薦結果は,次にユーザが閲覧するアイテムとなり,結果としてどのアイテムが次に評価されるかに影響を及ぼす.したがって,推薦システムとユーザは相互作用を及ぼしあう関係にあるといえる.しかし,先行研究による推薦アルゴリズムの評価・分析では,一時的な推薦精度のみに着目し,このような相互作用は考慮されてこなかった.そこで本研究では,ユーザをエージェントとしてモデル化することで,推薦システムとユーザの相互作用を考慮した,新たな評価・分析モデルを提案する.さらに,本論文では,基本的な推薦アルゴリズムである 「ユーザ間協調フィルタリング」 と,実システムとしてすでに実用化されている 「アイテム間協調フィルタリング」 を例として取り上げ,その特性について提案モデルを用いて分析した.その結果,既存の評価・分析モデルの枠を超え,より有効な推薦への指針を検証可能であることが示された.The problem of information overload spreading across the Internet has been causing serious inefficiency in browsing and searching for information. As a way to overcome the problem, the recommender systems are recently used in many E-commerce sites. Many algorithms have been proposed to improve the accuracy of recommendation based on user ratings. The relation between recommender systems and users is rather interactive in the sense that recommendations decides which items are recommended to users and the results of ratings by users will affect the next recommendations. However, conventional studies have not considered the interactive aspects so much. Therefore, our aim of this paper is to propose a new evaluation model using multiagent modeling where the recommender system and agents (as users) interacts with each other. The properties of typical recommendation algorithms such as user-based and itembased collaborative filtering will be analyzed with our proposed model. Our results also suggest the possibilities to propose a novel and effective recommendation algorithm.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケ-ション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.322, pp.95-97, 2000-07-17

情報技術(IT)革命から取り残され,旧態依然のネットワークを使い続ける企業間取引。80年代から引きずる通信プロトコルを利用するシステムは,インターネットが巻き起こしたIT革命の"蚊帳の外"に置かれてきた。 しかし,大量の取引を安定して処理している実績は大きな強みだ。
著者
野波 寛 坂本 剛 大友 章司 田代 豊 青木 俊明
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.2103, (Released:2021-11-11)
参考文献数
35
被引用文献数
4

当事者の優位的正当化とは,NIMBY問題の構造を持つ公共施設の立地に関する決定権をめぐって,人々が当事者(地元住民など)に他のアクター(行政など)よりも優位的な決定権を承認する傾向と定義される。これは,当該施設に対する当事者の拒否の連鎖を生むことで,社会の共貧化をもたらす。優位的正当化の背景には,マキシミン原理と道徳判断の影響が考えられる。地層処分場を例として,集団(内集団ないし外集団)と当事者(統計的人数ないし特定個人)による2×2の実験を行った。内集団のみならずマキシミン原理が作動しない外集団でも,当事者の優位的正当化が示された。この傾向は,内集団において当事者が特定個人として呈示された場合に,より顕著であった。また,個人志向の道徳判断から当事者の正当性に対するパスは内集団で顕著であった。NIMBY問題に対する道徳研究からのアプローチには,今後の理論的な展開可能性が期待できる。
著者
吉田 富二雄 小玉 正博
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.35-41, 1987

The effects of approach by an unaquainted male to high- or low-neurotic (on the MPI scale) female subjects on physiological responses (heart rates and eye blinks) and self-rated affective/cognitive responses (tension, anxiety and apparent size of the male) were examined. (a) In the first trial, non-neurotic subjects showed an abrupt increase of HR near the personal space boundary, however showed a rapid habituation at the second and third trials. In contrast, self-rated affection (tension and anxiety) increased gradually as the male approached, and habituation was slow at the later trials. (b) Neurotic subjects displayed higher tension than non-neurotic subjects, while tension, anxiety and heart rate were less habituating. (c) INDSCAL analysis revealed that these three self-rated indices clustered together, while the physiological ones did not. (d) It was suggested that the eye blink response had a tension reducing function.
著者
山根 小雪
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.101, pp.84-86, 2007-11

「何も難しいことをお願いしているつもりはないのだが」─。大阪府の担当者はこうつぶやく。大阪府が環境省から受託したバイオエタノール実証事業の開始時期が、石油元売り会社の協力が得られないために、当初予定していた8月上旬から10月以降にずれ込んでいるのだ。
著者
大坪 菜々美 海老原 修
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.88_3, 2018

<p> 国民の誰しもが経験する身体検査や体力・運動能力テストにより暗黙裡に身につけた性向は、同じく誰もが参加する運動会で強化され、さまざまな男女別の区分けに敷衍される。この区分けへの疑義をもたず、アプリオリな制度としてジェンダーの論議の蚊帳の外にある。文部科学省「体力・運動能力調査報告書」のありようが論議されるセクハラやジェンダー・バイアスの源流にあたる可能性を秘めるかもしれず、そこで、本研究では平成27年度調査報告書にテスト項目ごとの加齢に伴う男女の差の変化傾向を手掛かりにこの論議の端緒を求めた。そこには長座体前屈を除くすべての種目で、男子が女子よりも高い水準を示しているという文言が記載され、女子は男子よりも体力・運動能力が低いと判定される。体力・運動能力テストはもとよりスポーツが男女別に運営・管理される理由が再生産される。しかし、積極的な運動能力における男女の差は、全体の平均値のみで求められる調査が多く、男女の差が存在するのかは定かでない。そこで、社会的・文化的な要因によって、男女の体力・運動能力に差が生じたと仮定し、体力・運動能力調査報告書を傍証に、その要因が何であるかを検証する。</p>
著者
山勢 博彰
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.2_95-2_102, 2006-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
25

本研究はCNS-FACE (Coping & Needs Scale for Family Assessment in Critical and Emergency care settings)を測定ツールとして用い,重症・救急患者家族のニードとコーピングの推移の特徴を明らかにし,その関係について因果構造をモデル化することを目的に行った。方法は,救命救急センター,ICU・CCUに入院した患者194名の家族211名を対象とし,日毎のニードとコーピングを測定した。その結果,情報,接近,保証のニードと問題志向的コーピングが経過に従って高くなる傾向が見られ,情緒的サポートと情動的コーピングは経過に従って低くなる傾向にあった。また,患者との相互関係上のニード,自己の安定性を維持するニード,情動的コーピング,問題志向的コーピングを潜在変数とする構造方程式モデリングを作成した。
著者
向山 毅 Takeshi Mukoyama
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.151-164, 2009-03

カール・シュピッツヴェークはドイツで最も愛されている国民的画家であるが、日本ではほとんど知られていない。シュピッツヴェークはビーダーマイヤーの画家といわれており、19世紀前半のドイツの古きよき時代の情景をユーモアとペーソスを持って描いている。彼の生涯と主な作品およびその世界について述べる。
著者
高木 利久 松尾 文碩 二村 祥一 牛島 和夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1133-1134, 1986-10-01

筆者らは、Adbisと呼ぶ、推論関係型データベース管理システムを開発し、1982年以来、九州大学大型計算機センターにおいて実用に供してきた。AdbisはHorn集合の反証に基づく推論機構を備えている。最近、Adbisを使用している機関あるいは使用予定の機関から、エキスパートシステムをAdbisの上に構築したいという要望が出てきた。本研究はAdbisにプロダクションシステムの構築を支援する機構を追加するとともに、これを用いた実用規模のエキスパートシステムの構築を目指すものである。現在、計画のうち、プロダクションシステム構築支援機構の基本設計と、これをHorn集合推論系を用いて実現する方式の設計とを終了した。2節ではプロダクションシステム構築支援機構の外部仕様を、3節ではHorn集合への翻訳方式について述べる。4節ではこの機構の実現に必要なAdbisの拡張の概要について述べる。

1 0 0 0 均等影

著者
澄川 裕充
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.98-104, 2020-02-01

Point・均等影は肺胞性病変に主体でみられるが,他の様々な病変でも認められる.・均等影以外の所見を合併しているときは,そちらの所見から鑑別を進めることも時に必要である.・均等影の鑑別点として臨床経過・分布・内部性状が挙げられる.
著者
尾島 由紘 岩本 嗣 西岡 求 紀ノ岡 正博 金谷 忠 浅田 雅宣 田谷 正仁
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.176-183, 2008-09-01
参考文献数
21

植物不定胚の同調化は,その後の植物体への安定な再生を実現する上で重要である.本研究においては,アスパラガス(A. officinalis L.) &lsquo;ウェルカム&rsquo; から誘導された不定胚の同調化手法の確立ならびに長期継代培養中における不定胚の形態および遺伝的安定性の評価を行った.不定胚の誘導については,ECの初期PCVに依存して,得られる不定胚のPCVが変化することがわかった.ECの初期PCVが1.0&times;10<sup>-2</sup>m<I>l</I>/100 m<I>l</I>-mediumのとき,誘導後42日後の不定胚PCVが43 m<I>l</I>/100 m<I>l</I>-mediumと最大に達した.このとき得られた不定胚をメッシュで分級したところ,心臓胚から魚雷胚へ移行する不定胚を多く含む画分が60.6%となり,不定胚誘導に適した条件であることがわかった.さらに,継代培養中の不定胚の投影面積ならびに円形度は,不定胚の生長過程を評価するパラメータとなりうることがわかった.誘導42日後の不定胚を用い,メッシュを組み合わせた分級収集を行ったところ,約90%の不定胚が平均投影面積1.0-4.0 mm<sup>2<sup>,円形度1.2-1.6の領域に含まれ,不定胚が同調化されていることが示された.しかし,さらに長期継代培養を続行したところ,誘導70日後において不健全な形態を示す不定胚の存在が認められた.誘導後42日後と70日後の不定胚から再生された植物体を対象にRAPD-PCR法により遺伝子解析を行ったところ,長期継代を経た一部の不定胚は遺伝子レベルで変質している可能性が示唆された.
著者
石崎 健史 滝広 眞利 高田 治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.849-850, 1997-09-24
被引用文献数
1

インターネットやイントラネットの急速な普及に伴い, 音声や映像などを扱うマルチメディア・アプリケーションに対する需要が増大している。マルチメディア・アプリケーションでは, 音声や映像などの大量のデータを遅れやばらつきを少なく伝達する必要がある。従来のLAN (Local Area Network)では, 通信帯域が十分でなかったりパケットの伝送方法がいわゆるベスト・エフォート型であるために遅延に大きなばらつきがあるなどの問題があった。これに対しATM (Asynchronous Transfer Mode)などの通信品質保証をサポートする技術をLANに適用することにより, 広帯域かつ複数メディアを統合したバックボーン・ネットワークを実現できるようになってきた。マルチメディア通信を快適に行うためにはATMのようなマルチメディア通信に適したネットワークを導入するだけではなく, ネットワークの共有リソースである通信帯域などを通信に先立って確保しておく必要がある。この問題を解決する目的で, 予約に基づくATMのPVC利用方式なども提案されている。アプリケーションのユーザからみれば, 現在標準化が検討されているリソース予約プロトコルRSVP (Resource ReserVation Protocol)のようなIPレベルのシグナリングプロトコルと連携して動的に回線を確保できることが望ましい。しかし, RSVPなどのリソース予約プロトコルは, 通信開始時点におけるネットワークリソース要求手順を規定しているのみであり, あらかじめネットワーク使用時刻・使用予定帯域などを指定してネットワークリソースを予約しておくことはできない。さらには予約の判断基準となるべきサービスクラス等については標準が確立していないのが現状である。そこで我々は, 時刻情報やネットワークの運用ポリシに基づくネットワーク・リソース予約機能, その実現方式およびサービスクラスに関して検討を行った。
著者
山田 秀和
出版者
医学出版
雑誌
美容皮膚医学beauty
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.64-68, 2021-02