著者
井原 廣一
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.348-356, 1998
被引用文献数
2

近年の工学技術の急激な革新は、医療機器・システムの研究開発を促進し、最近では、医療の場における診断治療と共に医療機関経営においても、計算機をともなった医療機器・システムなしには高度な診療行為が行われがたいといっても言い過ぎでない。ともすれば、医療機器・システムの性能および機能競争に目を向けがちで、医療利用の観点から、特別に重要である信頼性についての議論が少ないようである。医療機器・システムの特性をもとに、これまでの工学の場での信頼性の本質を再考することにより、信頼性の持つ意味がより深まり、工学医療の接近がより進むと思われる。
著者
長沼 理恵 城戸 照彦 佐伯 和子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.28-35, 2006-03-24 (Released:2017-04-20)
被引用文献数
1

目的:日本に在住する日系ブラジル人労働者(以下日系人)の保健指導に生かすため,日系人の食生活と食生活行動に結びつく彼らの文化と考え方を明らかにすることとした.方法:エスノグラフィーを用い,日系人14人への面接調査,参加観察,既存の資料の収集を行った.データ分析により食生活についてのテーマを抽出した.結果:テーマ(1)ブラジルにおける日系人の食事はブラジル食と日本食が混じり合った「日系人食」である.テーマ(2)日本における日系人の食事は「日系人食」の形態を保ちながら,自分達の労働条件や味覚に合った食料品や調味料を取り込んでいる.ブラジルにおける日系人の食事は,父母,祖父母から受け継いだ習慣や周囲の環境などによって個人差がみられた.日系人が食べる日本食の特徴は,「ご飯と味噌汁を基本とする」「ブラジル食と日本食が同時に食卓に出る」「日本の調味料を使用する」であった.日本における日系人の食事に影響を与える要因として,「ブラジルで食べていた日本食の頻度」「現在の生活と労働環境」「居住地域で購入可能なブラジル食料品の状況」「来日の目的」があげられた.考察:ブラジルにおける「日系人食」はブラジルに渡った日本人移民の日本食文化が基盤にあった.日本で働く日系人はその日本食文化を受け継いでいるが,現在の日本における日本食文化が変化しているため,現在の日本食文化に適応する必要があった.
著者
山田 浩久 宮原 育子 櫛引 素夫 林 玉恵 山口 泰史 初澤 敏生
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.237-247, 2020

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;本稿は,2020年8月8日の13:30~15:00に「Post COVID-19に向けた東北の観光戦略」をテーマにオンラインで開催された北東支部例会の報告である.参加者は北海道から九州まで,非学会員を含めて41名を数えた.広域からの参加が認められたことは,Post COVID-19に対する関心が地域を選ばないことの現れであると思われるが,それを支部例会で議論することができたのはオンライン開催のメリットである.会場では,東北地方を対象にして,震災復興事業とCOVID-19対策の両立,国と県の施策のずれ,航空機と新幹線への影響に関する報告があった後,東北地方のインバウンド旅行に大きな影響力を持つ台湾の観光情勢について報告がなされ,総合討論において活発な意見交換が行われた.</p>

1 0 0 0 OA 日本国勢大観

著者
やまと新聞社 編
出版者
やまと新聞社
巻号頁・発行日
vol.下巻(人物篇), 1930
著者
斎藤 隆 高橋 秀幸
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.51-59, 1987 (Released:2007-07-05)
参考文献数
10

ウリ類の花の性分化の生理的機構を解明する一助として, キュウリの側枝基部節に雌花の発現しやすい生理的要因を明らかにすることを目的として, 本来雌花の発現しやすい側枝基部節の花の性を人為的に制御し得るか否かを検討した.1. 側枝基部節における雌花発現状態‘相模半白’,‘夏埼落3号’,‘大利根1号’,‘彼岸節成’ の4品種について, 主茎上第15節までに発生した全側枝の第5節までの節位別雌花発現率をみると,‘彼岸節成’では全節雌花節となり, 他の3品種でも側枝の第1節で雌花発現はかなり安定していたが, 第2節以上の節位で雌花発現は急激に低下した. 次に, 側枝上第1節の雌花発現率を主枝上における側枝の発生節位別にみると,‘彼岸節成’ ではすべての側枝でその第1節は雌花節であったが, 他の3品種では主茎上第2~3節の低節位に発生した側枝で低い雌花発現率を示した.2. 主茎の摘心処理が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘大利根1号’ を用い, 第3葉展開初期に実体顕微鏡下で可能な限り上節位で茎頂部を摘除し, 主茎上第9~12節で摘心した. 摘心部直下から5節までに発生した側枝の第1節の雌花発現状態をみると, 無摘心区ではすべて雌花節となったが, 摘心直下に発生した側枝では全く雌花の発現がみられず, すべて雄花節となり, 側枝の発生節位が摘心部位から離れるほど雌花発現率は高まった.3. 主茎の摘心部位及び摘心時期が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘夏埼落3号’ を用い, 肉眼で可能な限り早期に第5,10, 15節を残して主茎の摘心処理を行った. 各摘心区とも摘心部直下の節位に発生した側枝の第1節の雌花発現率は低下した. また, 第5, 10, 15節摘心可能時に, すべて第5節直上で時期を変えて主茎を摘心した場合, 摘心部直下の節位に発生した側枝の第1節の雌花発現率は摘心時期の早いほど低下した.4. 主茎上の摘葉処理が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘夏埼落3号’ を用い, 第1葉のみ, 第6葉のみ, 第1,4, 7, 10葉を残して他の葉は葉身長1cm以下で摘除し,各摘葉処理区とも第10節分化直後に第10節以下を残して主茎を摘心した. 第1葉または第6葉のみを残して摘葉した区で雌花発現率が低下する傾向を示した.5. 生長調整物質施与が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘大利根1号’ を用い, 第3葉展開初期にGA4+7 30ppmまたはAgNO3 200ppmを散布し, 主茎上第6~12節に発生した側枝第1節の雌花発現状態をみると, GA区では高節位の側枝でわずかに雌花発現率が低下し, AgNO3区では各節位の側枝とも雌花発現率が著しく低下した.6. 摘心処理と生長調整物質施与の組み合わせが側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘夏埼落3号’ を用い, 可能な限り早期に第5, 10, 15節で摘心し, 摘心処理直後と10日後の2回, GA3 20ppmまたはCEPA 30ppmを散布した. 各摘心区において, GA3施与は摘心処理によって低下した摘心部直下の側枝第1節の雌花発現をさらに低下させ, CEPA施与は逆に摘心処理による雌花発現の抑制とは拮抗し, 雌花発現を高めた.
著者
河内 良彰
出版者
佛教大学社会学部
雑誌
社会学部論集 = Journal of the Faculty of Sociology (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
no.72, pp.21-40, 2021-03

本研究は,コロナ禍における大学生の旅行意欲と観光行動を把握するために,佛教大学の学生を対象にアンケート調査を実施し,コロナ下の感染対策と観光復興に寄与することを目的とした。分析の結果,以下8点が明らかとなった。第1に,回答者の過半数は旅行意欲がなく,その理由として「感染する可能性があるから」が最多を占めた。第2に,旅行意欲が高まる要素は,「ワクチンが開発されたら」が最も多かった。第3に,関心のある観光要素は,「自然・景勝」が第1位をとった。第4に,なるべく避けたい交通手段は「長距離バス」,感染予防のために重視する要素は「マスク」が,それぞれ第1位に立った。第5に,「Go To トラベル」キャンペーンで行きたい観光地は,「北海道」が第1位,「沖縄」が第2位,「福岡」が第3位となった。第6に,「マイクロツーリズム」との関連で,京都観光で行ってみたい観光地は,「嵐山」が第1位,「清水寺」が第2位,「天橋立」が第3位となった。第7に,タイプ別観光への関心について「ある」とした回答は,「マイクロツーリズム」が30%となり,海外旅行(41%)をも下回った。最後に,女性のほうが国内旅行(日帰り)やマイクロツーリズムへの関心が高く,学年別で見ると,4年は国内旅行(日帰り),国内旅行(宿泊),マイクロツーリズムへの関心のいずれも比較的高くなった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)旅行意欲観光行動Go To トラベルマイクロツーリズム
著者
竹林 由武 高垣 耕企 広瀬 慎一 大野 哲哉 小幡 昌志 川崎 友也 シールズ 久美 杉浦 義典 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.145-154, 2013-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、不安障害・大うつ病性障害の脆弱性と指摘されている「嫌悪的な事象に対するコントロールの知覚」を測定するAnxiety Control Questionnaire(ACQ)の日本語版を作成し、その妥当性を検討することであった。385名の大学生がACQ日本語版とそのほかの指標に回答した。探索的因子分析の結果、ACQ日本語版は「嫌悪的な刺激や状況に対するコントロールの知覚」と「不快な感情/身体感覚に対するコントロールの知覚」からなる2因子パタンであることが示された。ACQ日本語版は、高い内的整合性と再検査信頼性を示し、抑うつ・不安症状と負の相関、内的統制と正の相関があった。また、過剰な心配を統制した場合に、ACQ日本語版は不安症状との有意な負の相関を維持したが、抑うつ症状との相関は弱くなった。以上から、ACQ日本語版は、十分な信頼性と妥当性の一部をもつ尺度であることが明らかになった。
著者
八島 建樹 高木 敏行 出江 紳 一 永富 良一 浅尾 章彦 森 仁 阿部 利彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.103-109, 2016 (Released:2017-01-15)
参考文献数
24
被引用文献数
4 5

著者らが開発した末梢神経を刺激することを目的とした磁気刺激装置を用いて,健常者の橈側手根伸筋を刺激し,これ によって誘発される手関節の背屈運動と刺激条件との関係を調べた.磁気刺激の条件として,磁場強度を3 段階,刺激周波数を10 ~ 50 Hz の5 段階,刺激時間を0.5 ~ 2.0 s の4 段階に変化させ,前腕を刺激した.この時に誘発される手関節の運動角度を電子角度計を用いて計測した.刺激条件に応じて,手関節の背屈角度はごくわずかな動きから100 度を超える大きな動きまで誘発できることが明らかになった.
著者
高島 三幸
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.471, pp.64-66, 2013-08

シェアハピネス(東京・中央)が運営する豚料理とワインを主力としたレストラン「ぶーみんVinum(ヴィノム)」。2011年2月に東京・新富町で開店し、料理の品質とワインの充実した品ぞろえで一躍人気店となった。同社の白根智彦社長が、以前から通っていた豚料…
著者
岡田 智秀 横内 憲久
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.919-924, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1

今回の東日本大震災を経験したわが国では、従来のような海岸空間のみで海の猛威を抑えるのではなく、海岸空間とその背後の市街地を一体的に捉えた広域的かつ複合的な新たな海岸まちづくりの視点が重要になると考える。この点につき、米国ハワイ州では、海岸地域を高波等から守るために住宅地を海岸背後へと誘導するとともに、海岸景観や海岸環境にも配慮するために、海岸部には海岸構造物を極力設置しない「海岸線セットバックルール(Shoreline Setback)」という制度を実施している。この制度は、海岸整備と背後のまちづくりを一体的に捉えるという意味において、わが国よりも進んだ取り組みといえ、さらに土地利用コントロールにより海岸構造物を極力設置しないことで海岸景観・環境にも貢献できるという利点ももつ。海岸地域のまちづくりのあり方の大転換が求められるわが国において十分に参考とすべき事例といえる。そこで本稿では、上述した要件を満たすわが国の新たな海岸まちづくり方策の一助とすべく、米国ハワイ州の「海岸線セットバックルール」の取り組みについて報告を行う。
著者
佐藤 邦彦
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.104, pp.33-42, 2007-12-31 (Released:2009-07-31)
参考文献数
7

(1)室内試験において,高湿度条件(相対湿度100%)および湛水条件下におけるクワシロ卵のふ化状況を調査した。高湿度および湛水条件下で7日間保持したクワシロ卵のふ化率は,それぞれ20%と7%に低下し,湛水条件を10日間維持すると卵はふ化しなかった。(2)茶園において,雌介殻内のクワシロ卵を高湿度に保つ方法について,スプリンクラーを用いて試験した。チャの枝が常に濡れた状態になるように,日中断続的に散水(1日1haあたり120~150t)することで,クワシロの卵は雌介殻内で褐変し死亡した。茶園においては,クワシロ卵のふ化開始以降,スプリンクラーを用いて16日間高湿度状態にすることで,クワシロ卵のふ化を効果的に抑制することが可能である。
著者
斉藤 芳枝 畑山 富子 細田 裕子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.139-141, 1974

温州みかん, レモン, グレープフルーツ, 夏みかん, いちご, びわ, もも, ぶどう, プリンスメロン, パインアップル, りんごおよびプラムの果汁を調製し, 5℃に3週間貯蔵してその間のビタミンC, 還元糖, 酸および窒素の量的変化を測定した。<BR>ビタミンC含量の多いプリンスメロンおよび柑橘果汁では3週間後も最初の量の40%以上のビタミンCが残存したが, もも, ぶどう, パインアップル, プラムらは含量も少なく, 残存量も10~20%と低かった。<BR>還元糖は3週間貯蔵後プリンスメロンとももの果汁では増加し, びわとりんごの果汁では最初と同じであったほかはいずれも減少する傾向を示した。<BR>酸は温州みかん, びわ, もも, プリンスメロンの果汁で増加したが他の果汁では大きな変化はなかった。<BR>可溶性窒素は減少するものが多く, それにもかかわらずアミノ態窒素の増加が認められる果汁があったが, これはアミノ酸やペプチドの生成によるものと思われた。
著者
河津 宗蒔 丸田 英徳
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.86-87, 2020

<p>本稿では、複数の太陽電池に接続された昇圧形DC-DCコンバータ同士の出力電流に対して制限を設けた場合の電力制御手法について検討を行ったので報告する。提案手法では、出力電流の合計値が制限値を超えた場合は、電流シェアリング制御を行い、各太陽電池から出力される電流値を同じ割合になるように制御する。それぞれの太陽電池の日照量に対して、変化を加えた場合の提案手法のシミュレーションによる検討を行ったので報告する。</p>