著者
高橋 徹 富田 恵一 若杉 郷臣 山田 敦 折橋 健 古賀 信也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.208, 2008 (Released:2008-11-25)
被引用文献数
1

木質系バイオマス燃焼灰の化学組成および有害物質の溶出試験について検討した結果、燃焼灰には肥料主成分が多く含まれており、肥料として十分に利用できることが分かった。また一部の木質バイオマス燃焼灰の溶出液には基準値以上の六価クロム溶出が確認されており、ストーブ材質からの腐食、防腐剤を原料とした燃料からの汚染および木質ペレット燃料中に含有していると推測される。ペレット原料中のクロムは自然由来ではなく,破砕工程,おが粉製造工程およびペレット製造工程で混入したクロムが燃焼し,濃縮・酸化され,六価クロムの溶出が発生したと考えられる。さらに、木質バイオマス燃焼灰を有効利用するために、堆肥と燃焼灰を混合したペレットを製造し、肥料としての安全性を検討した結果、有害成分は基準値以下であり、有害金属溶出試験についても全ての項目で基準値以下であった。混合ペレットは肥料として安全に使用できることが分かった。
著者
下田 元
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生: 日本蘇生学会雑誌 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.63-65, 2012

中学校軟式野球大会の試合を観戦中に,キャッチャーの上体に野手からの送球が直撃後,一過性の意識消失を呈したと思われる状況に遭遇した。直後に診察した結果,応答があり呼吸は保たれ,橈骨動脈の触診では徐脈を認めた。AEDの設置を確認し安静を図りながら視診したところ,右側頸部にボール直撃の形跡として円形打撲痕を認めた。胸部などに外傷の痕跡がないことを再度確認した。以上の他覚的所見から,頸部に及んだ強い圧刺激に起因した頸動脈洞反射による循環動態の急変と判断した。<br> 本経験から,日常でのbystander による迅速な対処と,頸部への衝撃に対しては,頸動脈洞反射を念頭に置いた対応が必要であることを再認識した。
著者
高橋 愛典
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 = Shokei-gakuso: Journal of Business Studies (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.385-405, 2011-03-01

[概要] 日本における乗合バス事業の規制緩和(需給調整条項の廃止)は, 2002年に実施され, まもなく10年が経過しようとしている。本稿は, 規制緩和政策の評価の機が熟していることを受けて, 日本のバス市場およびバス交通政策が規制緩和後に見せた展開を総括し, 規制緩和政策を評価するための方向性を整理する。本稿ではまず, 規制緩和前からのバス市場の経緯をたどり, 規制制度の変化を概説した上で, その影響を基礎的なデータを中心に検討する。 [Abstract] The aim of this paper is to qualitatively analyze the changes in the structure of the Japanese bus market in these ten years under deregulated environment. We first review the structure of Japanese bus market until 1990s, under the regulation called "demand-supply balancing." Secondly we survey the debate over and the main contents of the deregulation policy implemented in 2002. Next we examine the consequences brought by the deregulation, with a particular focus on new entries and competition. We indicate that, in effect, there has been little change in the structure of Japanese bus market so far. In conclusion, we consider why this happens from the viewpoint of institutional changes, in preparation for quantitative analyses.
著者
石原 鉄也 安田 知壱 大門 啓志 引地 康夫 太田 敏孝
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.103, 2003

従来のマシナブルセラミックスは結晶のへき開性を利用しており,低強度で1000℃以上の高温では使用できない. 本研究では,高強度セミックスである3Al_2O_3・2Si0_2(ムライト)にYPO_4を添加し, 焼結後の加工ができ,高強度を維持できるセラミックスの作製を目的とする.実験方法はYPO_4とムライトを湿式ボールミルで混合し, 混合比はYPO_4を0, 10, 20, 30, 40, 100mass%とした. 得られた粉末をCIP成形し,ムライトは1600℃, その他は1550℃, 3時間焼成をした YPO_4を40mass%添加した焼結体について穴あけ加工ができ, 高強度であった.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1472, pp.22-33, 2009-01-05

2009年1月21日。鹿児島県の種子島宇宙センターから、H2Aロケット15号機が打ち上げられる。その発射の瞬間を、万感の思いを胸に心待ちにしている男たちがいる。 さかのぼること6年前。IT(情報技術)バブル崩壊後の不況の荒波は中小企業を襲った。日本一の集積率を誇る古い町工場の街、大阪府東大阪市もその一つ。
著者
渡邉 美樹 保志 真人 武長 太郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.429, pp.82-84, 2010-08

編集部:「日経レストランは、今後20年で居酒屋市場が3割縮小すると予測しています。その主因は少子高齢化と若者の酒離れです。保志(以下、敬称略):本当に若い人たちのお酒の飲み方は変わりましたよね。僕がアルバイトの頃には毎日のように、酔っ払って吐いてトイレを汚したり、暴れるお客さんもいましたけど、今は酔いつぶれるお客さんはほとんどいない。
著者
村瀬 洋一
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.21-40, 1999

政治的影響力は直接測定するのが困難であり, 全国レベルでの政治的影響力の格差に関する実証的研究は乏しかった。本研究は, 政治的影響力の指標として, 「政治的有力者との人間関係 (関係的資源) の保有量」という変数を用いて分析を行った。1975, 1995年の社会階層と社会移動全国調査 (SSM 調査) 男性データを分析した結果, (1) 1975年時点では地域間格差が明確に存在し, 議員との関係的資源は, 大都市部住民の保有は少ないことが分かった。 (2) 1995年時点でも, 大都市部住民の保有は少ないが, 町村や大都市よりも, 人口10万人未満の小規模な市において, とくに議員との関係的資源保有が多く, 地域とつきあい保有は凸型の関連があった。 (3) 資源保有の規定因としては, 年齢, 世帯資産, 自営業であること, などの変数が大きな規定力を持つ。 (4) 1995年では, 学歴や役職などの業績主義的変数が規定力を持つ一方, 地域の効果は縮小している。最近では, 政治的影響力の地域間格差の構造に変化が起きている。
著者
福岡 勇樹 成田 琢磨 小川 正樹 佐藤 朗 寺田 幸弘 松田 亜希奈 保泉 学 梅津 香織 佐藤 雄大 石川 素子 細葉 美穂子 森井 宰 藤田 浩樹 山田 祐一郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.335-339, 2012-05-30
参考文献数
13

35歳,女性.多嚢胞性卵巣症候群,糖尿病あり.インスリン治療にてHbA1c(JDS)5 %台で経過.妊娠34週より口渇,多飲,約8 <i>l</i>/日の多尿が出現.午前中のみの飲水制限で,血清Na 138 mEq/<i>l</i>から144 mEq/<i>l</i>へと上昇,水制限後も血漿浸透圧293 mOsm/kg>尿浸透圧213 mOsm/kg,血漿アルギニン・バゾプレシン(AVP)0.9 pg/m<i>l</i>と上昇なく,中枢性尿崩症が疑われ入院,デスモプレシンの試験的点鼻投与にて尿量は約2 <i>l</i>/日に減少した.出産後はデスモプレシンを中止しても妊娠前の尿量に戻ったが,頭部MRIで下垂体後葉の高信号の低下を認め,高張食塩水負荷試験でAVP上昇が不十分であったことから,妊娠による胎盤バゾプレシナーゼ活性亢進によるAVP需要の増大を代償しきれず,部分型尿崩症が妊娠後期に顕在化した病態と考えられた.妊娠に尿崩症が合併する頻度は4~30万妊娠例に1例と稀な症例であり報告する.<br>
著者
永尾 麻紀 佐中 眞由実 手納 信一 野村 馨 肥塚 直美 岩本 安彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 = Journal of the Japan Diabetes Society (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.275-278, 2006-04-30
参考文献数
7
被引用文献数
1

症例は26歳,女性.8歳発症の1型糖尿病患者で妊娠5週に当センターを紹介され初診.HbA<sub>1</sub>c 7.7%でありコントロールのため入院.糖尿病合併症は認められず,血糖コントロール改善したため退院.妊娠11週頃からHbA<sub>1</sub>c 5%台にもかかわらず,口渇,1日4~5<i>l</i>の多飲および多尿が出現.ADH-アルギニンバソプレシン(以下,AVP)0.15 pg/m<i>l</i>と低値であったため,尿崩症の合併が疑われ,妊娠15週に精査のため入院.DDAVP(デスモプレシン)10 &mu;gの試験的投与にて中枢性尿崩症と診断.DDAVP開始後,自覚症状は改善し尿量も約2<i>l</i>/日に減少した.妊娠38週2日,自然分娩にて3,440 gの女児を出産.児は新生児低血糖を認めたが,他の合併症は認めなかった.授乳終了後に行った頭部MRIでは,下垂体後葉のhigh intensity areaの消失が認められた.妊娠中に尿崩症を発症した1型糖尿病合併妊婦の稀有な症例を試験したので報告する.
著者
水野 孝彦
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.423, pp.40-48, 2010-03

「送別会だけは不況が追い風になっている」─。ある居酒屋経営者がそう指摘するように、リストラに伴う退職者の増加や人員の再配置が後押しする数少ない"有望市場"、それが歓送迎会だ。今からがそのシーズン本番である。 しかし、忘年会に次ぐ重要な時期でありながら、通常の宴会コースを売り込んでいるだけという店が少なくない。
著者
三土 正則
出版者
日本ペドロジー学会
雑誌
ペドロジスト (ISSN:00314064)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1, 1991-06-30 (Released:2018-06-30)
被引用文献数
1
著者
池田 徹郎
出版者
震災豫防調査會
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.97-112, 1925-03-31

付録3頁
著者
並木 頼寿
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.p320-358, 1981-03

Throughout Chinese history, to defend villages from outside enemies, villagers often constructed forts around their communities. Those forts were called yü 圩, chai 寨, and so on. During the White Lotus Rebellion, the Ch'ing government encouraged fortification as a policy that was known as Chien-pi ch'ing-yeh 堅壁清野, or strengthening the walls and clearing the countryside. In the late Ch'ing and the early Republican period, there were many fortified villages in North China. The building of the forts was an influence of the Nien Rebellion in the Taiping period.The Nien Rebellion was strongly characterized by its close relationship with native villages. Nien members lived in villages fortified by yü-chai, organized their corps based on each yü-chai, and went out from yü-chai to battle against enemy forces or to plunder rich gentry property. For the Ch'ing forces, it was very difficult and dangerous to advance against areas that bristled with the yü-chai of the Nien.The Nien Rebellion has been characterized by Fu I-ling as an anti-centralization rebellion of feudal power induced by the medieval t'u-hao 土豪, or local strongmen, and he said, in contrast, with the Taiping movement, the Nien Rebellion cannot be included among peasant rebellions. One of his main arguments is that yü-chai, as the base of the Nien, were ruled by t'u-hao.But, I think, it is incorrect to think there were already many yü-chai ruled by t'u-hao in the area of the Nien before the outbreak of the rebellion. Construction of yü-chai mushroomed in response to expansion of the rebellion. This fact shows us that the organization of the Nien and the rule of t'u-hao should be distinguished. Nien members constructed forts around their communities, nevertheless they made up their own organization against the rule of t'u-hao, and their fortified villages were not equal to the fortifications constructed under gentry supervision.Thus, I think, the Nien Rebellion should be classified as a peasant rebellion, though Nien members were often deeply related by clan connections.After the suppression of the rebellion, however, the rule of t'u-hao based on yü-chai was likely to be rather strengthened in North China villages.
著者
種市 信裕 今井 英幸 関谷 祐里
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.11-17, 1998
参考文献数
6

回帰分析ではあるデータが回帰係数の推定に及ぼす影響を評価するために回帰診断が広く用いられている.Andersen (1992)はセル確率が未知パラメータにより表現される多項モデルのパラメータ推定において,各セルが推定に与える影響力を評価するために回帰診断におけるCook距離(Cook & Weisberg, 1982)に類似した指標を提案した.この指標はセルの観測値が0であるという条件付分布のもとでの推定量を用いて各セルがパラメータ推定に与える影響を評価するために,統計モデル的な意味での解釈が難しい.そこで本論文においては統計モデル的に意味のある影響力評価のための指標の提案を行い,さらにその指標の近似指標を与えた.