著者
篠宮 一郎
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤史学 (ISSN:04506928)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.80-92, 1970-04
著者
水野 祐
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.433-440, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)
参考文献数
4
被引用文献数
1

公的資金を使った研究論文のオープンアクセス化が進んでいる。しかし,オープンアクセスといえるためには誰もが自由にアクセスでき,かつ自由に再利用できることが必要とされており,単に公開だけではなく,二次利用にも重点が置かれなければならない。本稿では,オープンアクセス化におけるライセンスとして,世界的にデファクト・スタンダードとなっているクリエイティブ・コモンズの基本的な仕組みや現況を概説する。そのうえで,オープンアクセス化の際にクリエイティブ・コモンズを採用するメリット・デメリット,採用の際の検討事項,ハードルとなりやすい点などを解説する。
著者
ハンリー シャロン 櫻木 範明 伊藤 善也 今野 良 林 由梨 岸 玲子
出版者
日本赤十字北海道看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

子宮頸癌予防HPVワクチンの接種率向上の方策を検討する為、思春期女子を持つ母親を対象とする2つの調査を実施した。ワクチンが無料なら娘に接種させるとした母親が92%だった。接種の障壁は安全性に対する不安と母親の頸がん検診受診歴だった。医師の勧奨は意思決定に前向きな影響を与え、ワクチン効果を納得することもワクチン受容度に関連した。また、頸がん受診率の低い地域では、詳細な情報提供がワクチン受容度を高めることを示した。本研究の結果により、接種率向上の要因が明らかとなった。
出版者
南洋協会
巻号頁・発行日
1938
著者
吉田 寛
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.25-36, 2010

Scholars in many disciplines have talked about the "hegemony of vision" in the modern Western culture and philosophy. We also know that the most critical issue of modern philosophy of perception had been the compatibility between vision and touch, as viewed in the prolonged discussion of Molyneux's Question. But, on the contrary, we know very little about the significance of audition and hearing in the tradition of modern philosophy. This paper is thus intended as a historical sketch of the status of hearing, examining the texts of three philosophers. For Herder, the ear is the most nearest sense to the soul, and the audition stands in the middle of our five senses, dominating the others. But, at the same time, he also attaches great importance to touch, inheriting the tradition of Molyneux's Question, and therefore presupposes a kinship between hearing and touch. Kant exiles the ear from his conception of the critique of judgment, preferring the eye as a normative sense for disinterested and formal judgment. But he emphasizes a moral function of the ear in his critique of practical reason, as an organ hearing the voice of reason, i.e. the divine voice. The ear, finally, gains a definitive advantage over the eye with Hegel. He describes the progress of Romantic art from painting to music as a process of the "negation of dimension." In his view, time is negation (or sublation) form of space, and equally the audition is that of vision. We can say therefore that the hypothetical "hegemony of vision" was never stable, and the status of seeing has always been challenged and undermined by the hearing in the course of modern philosophy.
著者
宮松 浩憲
出版者
久留米大学
雑誌
産業経済研究 (ISSN:03897044)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.95-116, 2007-06
著者
榊 剛史 鳥海 不二夫
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

フェイクニュースや炎上,エコチェンバー現象など,近年は個人による情報発信における負の側面が注目されている.我々は,それらの現象を引き起こす原因の一つとして,ソーシャルポルノという仮説を提案する.ソーシャルポルノとは,「特定のコミュニティに属するユーザが、脊髄反射的に拡散・共有してしまいたくなる情報」を意味する.本論文では,ソーシャルポルノの観測を行う前段階として,ユーザ反応時間という尺度を定義し,いくつかのツイートについて,ユーザ反応時間分布の違いを考察した.結果として,特定のコミュニティのユーザが拡散する投稿とランダム抽出した投稿には,ユーザ反応時間の分布に違いが生じる可能性が示唆された.
著者
高野 陽太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、外国語副作用foreign language side effectが外国語を使用する日常的な場面でも生じるのかどうかを実験的に調べた。外国語副作用とは、母語に比べて習熟度の低い外国語を使用している最中には、一時的に思考力(非言語的情報処理をおこなう能力)が低下するという現象である。この現象は、Takano & Noda (1993,1995)によって初めて実証的に立証され、その生起機序が理論的に説明された。本研究は、外国語を使用する日常的な場面でもこの外国語副作用が生じるかどうかを調べる研究の一環としておこなったものである。外国語を使用する日常的な場面では、思考の材料は言語的に与えられることが多く、その場合には、思考は非言語的情報処理だけでなく、言語処理も含まれる可能性がある。言い換えると、思考に内言が伴う可能性がある。この内言は、処理の容易な母語である可能性が高い。かりに、思考に母語の内言が伴うとすると、外国語副作用は生じなくなる可能性がある。同時に2つ以上の情報処理をおこなう場合、一般に、処理が互いに類似しているほど相互の干渉は大きくなることが知られている。思考に伴う内言が母語の場合、外言として母語を使用しているときの方が外国語を使用しているときよりも干渉が大きくなり、思考成績は低下することになる。これが外国語副作用を打ち消し、外国語副作用が生じなくなるという可能性が考えられるのである。この可能性を検討するため、実験1では、思考課題に定言三段論法の妥当性判断を使用し、実験2では、知能検査の中で言語性知能を測定するために用いられる問題を使用した。被験者(日本人大学生および大学院生)は、これらの思考課題を言語課題と同時に遂行した。いずれの実験においても、思考課題の成績は、言語課題を母語でおこなったときより、外国語(英語)でおこなったときの方が低下していた。すなわち、外国語副作用が生じていた。従って、これらの実験結果から、思考に内言が伴う場合の多い日常的な外国語使用場面においても、外国語副作用は生じ得ることが明らかになった。
著者
Akira Sakai Tetsuya Ohira Mitsuaki Hosoya Akira Ohtsuru Hiroaki Satoh Yukihiko Kawasaki Hitoshi Suzuki Atsushi Takahashi Gen Kobashi Kotaro Ozasa Seiji Yasumura Shunichi Yamashita Kenji Kamiya Masafumi Abe
出版者
日本疫学会
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
pp.JE20140092, (Released:2014-10-11)
参考文献数
8
被引用文献数
3 14

Background: Lymphocytes are susceptible to damage from radiation, and the white blood cell (WBC) count, including counts of neutrophils and lymphocytes, is a useful method of dosimetry. According to the basic survey of the Fukushima Health Management Survey (FHMS), among 13 localities where evacuation was recommended, Iitate and Namie had more individuals with external radiation exposure of more than 5 mSv than the other evacuation areas. We analyzed whether or not WBC, neutrophil, and lymphocyte counts decreased after the disaster.Methods: The subjects of this study were 45 278 men and women aged 20 to 99 years (18 953 men and 26 325 women; mean age 56 years) in the evacuation zone who participated in the Comprehensive Health Check (CHC) from June 2011 to the end of March 2012.Results: Significant differences were detected in the mean values of WBC, neutrophil, and lymphocyte counts, and for the proportion of individuals under the minimum standard for WBC and neutrophil counts, among the 13 localities. However, the distribution of individuals at each 200-cell/µL increment in lymphocyte count were similar in these areas, and the WBC, neutrophil, and lymphocyte counts did not decrease in Iitate or Namie specifically.Conclusions: No marked effects of radiation exposure on the distribution of WBC counts, including neutrophil and lymphocyte counts were detected within one year after the disaster in the evacuation zone.
著者
一方井 祐子 中村 史一 麻生 尚文 神谷 隆之 近藤 菜穂 久保田 好美 徳田 周子 豊田 丈典 古川 遼 宮田 舞 渡邉 俊一 横山 広美
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.83-93, 2012-06

This study focuses on the difference of public interest and expectation for eight scientific fields. The investigated fields included astronomy, planetary science, particle physics, mathematics, solid state physics, paleontology, seismology, and molecular biology. For analyzing the interest and expectation for the eight science fields, a survey was administered to 780 people over 20 years old. Expectation was rated high in the fields in which research contents are easy to understand and the research findings are believed to be linked to daily life. On the other hand, fields considered to be abstract and not related with daily life were rated lower in public interest and expectation. On the basis of these findings, we will discuss the future of science communication in these fields.
著者
鈴木 亘
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策学会誌 (ISSN:24331384)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.118-129, 2005-09-30 (Released:2018-04-01)

This study focused on the anti-economic measures of the Osaka welfare allowance program and calculated its effect and influence on the local economy. Using the example of Osaka, I performed calculations with concrete data of Osaka. As a result, I determined that in 2003, the welfare allowance of 206.0 billion yen finally caused demand increase in the local economy of 345.3 billion yen. On the other hand, a reduction of income taxes only had an economic influence of 241.7 billion yen, and also, public construction spending was only 337.3 billion yen. Therefore, welfare allowances are understood to be a superior policy for stimulating the economy. Furthermore, when calculating the effect upon creating employment, only 25,474 employment positions were created by public constructing spending, and 19,560 employment positions were created by a reduction of income taxes, whereas the welfare allowance program created 27,685 employment positions.
著者
傳田 健三
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.19-26, 2017 (Released:2017-01-01)
参考文献数
27
被引用文献数
10

自閉スペクトラム症 (autism spectrum disorder : ASD) は, 社会的コミュニケーションおよび対人相互性反応の障害, 興味の限局と常同的・反復的行動を主徴とし, 乳幼児期に発現する精神発達の障害である. DSM-Ⅳでは広汎性発達障害という上位概念のもとに, 自閉症, アスペルガー障害, 特定不能の広汎性発達障害などの下位分類が存在したが, DSM-5ではASDという概念で統一された. 近年, ASDへの関心と需要が高まっている一方で, 十分な診療が行われているとは言い難いのが現状である. 本稿では, 自閉スペクトラム症について, ①概念の変遷, ②診断と臨床像, ③治療, ④経過と予後, ⑤心身医学におけるASDの特性理解について述べてみたい.
著者
金子 和哉 伊與 田英輝 沙川 貴大
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.361-369, 2018-06-05 (Released:2019-02-05)
参考文献数
41

ミクロな運動を記述するニュートンの運動方程式やシュレーディンガー方程式は,時間反転に関して対称である.一方,マクロな現象を記述する熱力学は,熱平衡状態への緩和や熱力学第二法則に代表される不可逆性をもつ.一見すると,可逆なミクロの力学と不可逆な熱力学は矛盾している.このミクロとマクロの整合性の問題は,19世紀にはボルツマンが議論し,20世紀初頭にはフォン・ノイマンが量子力学に基づき研究をしたが,解決には至らなかった難問である.近年,冷却原子などの実験系で理想的な孤立量子系が実現されるようになり,不可逆性の起源をめぐる問題が再び注目を集めている.理論と実験の両面から,シュレーディンガー方程式に従った時間発展で,量子純粋状態でさえも,熱平衡状態へ緩和(熱平衡化)することが明らかになってきた.理論的にも,従来の統計力学を使わず,量子力学だけから熱平衡化を理解する試みがなされている.とくに,「量子多体系において,全てのエネルギー固有状態が熱平衡状態を表す」という固有状態熱化仮説(Eigenstate Thermalization Hypothesis, ETH)が,熱平衡化を説明する機構として有力視されている.ETHは,数値計算で多くの非可積分系において確認されているが,数学的な証明はない.一方で我々は,一般の並進対称な局所相互作用する量子多体系において,「(全てとは限らない)ほとんどのエネルギー固有状態が熱平衡状態を表す」という弱い形のETHを証明した.また,以上とは異なる研究の流れの中で,第二法則の基礎についても大きな進展があった.とくに重要なのは,「ゆらぎの定理」の発見である.ゆらぎの定理は,エントロピー生成のゆらぎを考慮することで,第二法則を不等式ではなく等式の形で表現したものだ.第二法則は,ゆらぎの定理から自然に導かれる.しかし,孤立量子系の熱平衡化の研究とは異なり,ゆらぎの定理は統計力学を基にしている.とくに熱浴の初期状態として,通常のカノニカル分布を仮定しているため,冷却原子などの緩和過程には適用できない.というのも,熱浴の初期状態は一般にカノニカル分布とは限らないからだ.では,これら二つの研究の流れを統合し,熱浴の初期状態が量子純粋状態のときにも,第二法則とゆらぎの定理を示すことができるだろうか.我々はこの問題に取り組み,熱浴の初期状態がエネルギー固有状態の場合にも,第二法則とゆらぎの定理が短い時間の間では成り立つことを数学的に証明した.証明の鍵となるのは,ETHに加えて,量子多体系の相互作用の局所性である.相互作用が局所的な量子多体系では,情報の伝搬速度に上限が存在することが,リープ・ロビンソン限界(Lieb-Robinson bound)として厳密に示されている.これを利用して,我々は熱浴がカノニカル分布ではないことの影響を厳密に評価した.我々の結果は量子力学と熱力学第二法則を直接的に結び付けるシナリオを明らかにしたと言え,量子多体系の非平衡ダイナミクスのより深い理解につながることが期待される.