著者
斉藤 典明 金井 敦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.295-308, 2013-01-15

現在,組織の知識を蓄積するために多くの組織では共有フォルダを用いてボトムアップ的に情報を大量に蓄積している.しかしながら,多くの情報は情報管理の属人化がおこり,組織環境の変化によりどこにどのような情報があるのかが分からなくなった結果,情報が死蔵され,組織知識の忘失がおこる.そこで,長くにわたって情報を継承してきた事例を基に,死蔵することなく組織の知識を継承する手法を検討した.その結果,長期にわたって情報を蓄積するためには,時間(年度),知識分類,案件の順番で情報を管理することが有効である.また,組織知識として蓄積・継承するべき知識の分類には7つの項目があるが,そのうち組織の記録が最も重要であることが分かった.
著者
青柳 誠司
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 = Journal of the Visualization Society of Japan (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.33, no.131, pp.145-148, 2013-10-01
参考文献数
18
被引用文献数
4

無痛針の手本として蚊の針に着目し,高速度カメラと長作動距離拡大レンズを組み合わせたシステムを用い,蚊の穿刺動作の詳細観察を行った.その結果,針が複数本の針が束ねられてできており,そのうちの2本(小顎)の先端部分に独特のギザギザ形状の突起があること,穿刺時に血液を吸引する主要な針である上唇とその左右の小顎の合計3本が,互いに時間的位相差を持って協調動作をしながら穿刺が行われていることを解明した.上唇と,小顎2本の合計3本の針について,それらと同様の形状・寸法を持つ3本の針をマイクロマシニングの技術を用いて工学的に実現した.これらの針を蚊と同様に互いに位相差を持たせて協調動作させ,人工皮膚への穿刺実験を行った結果,穿刺抵抗力が1/3~1/4に低減されることが確認できた.
著者
村上 真 森川 充洋 小練 研司 廣野 靖夫 五井 孝憲 飯田 敦 片山 寛次 山口 明夫
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.1237-1243, 2013-12-31 (Released:2014-07-02)
参考文献数
20

消化器外科手術において汎発性腹膜炎などの創分類classⅢ以上の症例ではSSIは依然高値である。今回,消化管穿孔による汎発性腹膜炎手術でのincisional SSI(以下,I-SSI)予防に持続吸引皮下ドレーンが有用かをretrospective検討した。2006年4月から2011年12月までの期間で,上部消化管を除く消化管穿孔例97例を対象に,持続吸引タイプ皮下ドレーンの有無でI-SSIの発生率を比較した。全体における皮下ドレーン留置群のI-SSIは12.9%で,非留置群の37.9%と比較し有意(p=0.0097)に低率であった。特に大腸穿孔でI-SSIが54.5%から7.1%まで低下した。皮下ドレーンは,使用症例を創分類Ⅲ以上の汚染手術とし,ドレナージチューブの抜去時期,効果的な留置に留意すれば,I-SSIの予防に有効な手段である。
著者
北村 征生
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.20-28, 1986
被引用文献数
1

暖地型マメ科9草種,イネ科9草種について,土壌酸度に対する生育反応と根粒の形成反応を調査した。暖地型マメ科イネ科草種の生育にとって好適な土壌pH域は,一般に,寒地型草種より低いと考えられたが,草種間差があり次のような結果を得た。イネ科草種:バッフェルグラス≒ローズグラス≒モラセスグラス(pH4.5〜6.5)<パラグラス≒ギニアグラス≒パンゴラグラス(5.0〜7.0)<セタリアグラス≒スターグラス≒ダリスグラス(5.5〜7>).マメ科草種 : エンデイバー≒ベラノ(4.5〜6.5)<セントロ≒サイラトロ(4.8〜7)<ロトノニス≒シルバーリーフ≒グリーンリーフ≒クパー(5.0〜7.0)<ギンネム(6.2〜7>)。ただし,ロトノニスとサイラトロは好適pH域が広く,強酸性土壌に対する適応性はベラノやエンディバーに劣らないと考えられた。マメ科牧草の根粒形成に対する好適pH域は宿主植物の好適域よりも高いことが明らかになった。酸性土壌に対する適応は,イネ種草種では根による土壌養分の吸収効率の向上,マメ科草種では根系伸長量の増大に負うところが大きいと考えられた。以上より,暖地型牧草の栽培に必要な石灰施与量は寒地型牧草の場合より少量でよいと考えられた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1995, pp.28-33, 2019-06-17

前日の10月26日に緊急招集された指名委員会。自身もメンバーの一人である潮田氏は、10月19日の会食で「潮田さんがCEOを務めるなら私はいつでも身を引く」という瀬戸氏の発言があったなどと説明。指名委員会は瀬戸氏のCEO解任と潮田氏自身のCEO就任、並びに当時、…
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1430, pp.84-87, 2008-02-25

システム構築を手がけるベンチャー、ITコア(東京都中央区)の人事グループマネージャーである所由紀は、1週間に2日しか出社しない。5人の部下を持つが正社員としてではなく、「インディペンデント・コントラクター(独立業務請負人、IC)」として働いているからだ。 ICとは聞き慣れない言葉だが、高い専門性を持ち、複数の企業の仕事を請け負うプロの"助っ人"を指す。
著者
金子 茂 カネコ シゲル Shigeru Kaneko
雑誌
二松学舎大学國際政経論集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.73-85, 2000-03-25

日本とアジア諸国のカバディ選手の身長・体重および年齢についての実態を分析して,得られたことを以下に要約する。1.第11回北京アジア大会出場の全日本カバディ選手の身長は174.8±3.4cm,体重は68.6±4.0kgである。年齢は,21.5±1.4歳であった。第12回広島アジア大会の全日本選手は,身長176.7±5.1cm,体重は,71.1±4.4kgである。年齢は,21.0±1.8歳であった。第13回バンコクアジア大会では,身長173.7±4.4cm,体重70.9±4.6kgであった。年齢は24.6歳±1.5歳であった。三つの大会をコミにしてみると,身長が175.0±4.4cm,体重が70.3±4.5kgであった。おおづかみにみて,全日本カバディ選手の身長は175cm前後,体重は70kg前後というところである。年齢については,大学卒業後数年の25歳前後が一番力を発揮できる頃と心算するが,バンコクアジア大会の全日本選手の24.6歳は筆者の考える国際的に力を発揮するカバディチーム編成に符合する。2.第12回広島アジア大会出場選手の身長では,パキスタンチームが177.6±6.7cmと一番大きい。体重でも78.8±0.9kgと一番重く,標準偏差の0.6kgからも規則ぎりぎりの80kg以下の選手でチームを編成してきていることが示されている。各国間の身長の比較をすると,インドとネパールに4.6cmの差があり,パキスタンとネパール間には5.5cmもの開きがみられる。体重においても,インドに4.1kg,日本に7.1kg,ネパールに10.4kgもの差がみられた。広島大会参加の5ケ国の選手をコミにしてみると,身長が175.6±5.2cm,体重が73.1kg±4.7kgである。年齢は,比較的若く,22.6±3.8歳であった。身長と体重の相関係数は,r=0.399(5%水準で有意)ほどであった。3.第8回南アジア連盟大会出場5ケ国(インド(金メダル),パキスタン(銀メダル),スリランカ(銅メダル),ネパール(4位),バングラデシュ(5位)の身長・体重・年齢についてみると,バングラデシュの身長が一番高く181.6±1.3cmであり,インドを5.5cm,ネパールを5.2cm,スリランカを4.3cm上回っていることがわかった。体重については,数値的に違いがみられるのみにとどまった。5ケ国の全選手をコミにしてみると,身長が177.7±4.2cm,体重が74.1±4.1kgというところであった。年齢では,25.4±2.8歳であった。4.第13回バンコクアジア大会出場選手の体重についてみると,パキスタンが79.0±0.4kgと一番重く,次いで,インドの78.4±1.1kg,スリランカの75.3±3.6kg,バングラデシュの74.6±3.6kgなどとなっている。日本は70.9±4.6kgであった。パキスタンチームの体重がアジア連盟規則の80kg以下ぎりぎりのチーム編成をしてきていることが数値からもわかった。しかも体重の標準偏差も±0.4kgと小さく,それだけ80kgに近い選手が集まっていることを物語っている。ちなみに,インドが金メダル,パキスタンが銀メダル,バングラデシュが銅メダル,スリランカは惜しくも銅メダルを逸したが,バングラデシュと引き分けての得失点率で敗れた。こうして見ると,体格的に優位なチームが上位を占めていることに着目できる。日本の体重は70.9±4.6kgであった。5.アジア大会参加のカバディ選手と他のスポーツの選手との比較するために,第8回南アジア連盟大会をT-スコアで50点とし,またその伸びについてみると,全日本男子ハンドボール選手の身長・体重が上回り,T-スコアでみると,身長で65.5点,131%,体重で72.4点,144.8%である。'96世界野球出場全日本男子選手が身長・体重で上回り,T-スコアで53.1点,106.2%,体重で62.0点,124.0%を示している。'96世界野球に出場したキューバ選手には,南アジア大会カバディ選手が,身長で上回り,体重では下回った。J1のサッカー選手との比較では,身長ではJ1選手が51.0点,102%とわずかに上回っているが,ほとんど同じ位であるといえる。体重では,J1選手が40.2点,80.4%と,カバティ選手が10点,20%近く上回っていることが示された。
出版者
日経BP
雑誌
日経コンストラクション = Nikkei construction (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.751, 2021-01-11

大井川の流量減少などを理由に、県内のトンネル着工を認めていない川勝平太知事が、21年7月に任期満了を迎える。半年後に迫る知事選で、川勝氏が再選するか、その後継者が当選すれば、さらに着工が大幅に遅れる可能性がある(図1)。 大井川の直下を通るト…
著者
森 正人
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.522-535, 2014 (Released:2018-01-27)
参考文献数
37
被引用文献数
1

This paper aims to track the interlinked trajectories of the production of aesthetic landscape experience and the creation of senses of belonging to Japan during the formation of the modern nation-state of Japan. Particular emphasis was placed on an examination of the monthly tourist magazine Tabi 旅 (official English title is Travel), as tourism is a visual practice that frames vision, and mobilizes and assembles people and nature. The paper elaborates on how the culture of Japaneseness was embodied in the form of national parks and the selection of the New Eight Landscapes of Japan in the late 1920s and the early 1930s, as well as in the quest for the localness witnessed in the 1970s practice of traveling to and around various Sho-Kyoto sites recognized as pretty historic towns. In particular, the article focuses on the intersection of scale, materiality, visuality, and tourism using two periods of time to illustrate how the landscape of nature shaped the racialized homogeneity of Japan. The article clarifies that the national and local geographical scales of are not opposed, but mutual and supplementary. It also addresses how landscapes of nature materiality were used to instill moral and physical discipline, and how photos as a visual assemblage played a significant role in conveying a particular preference for localities featuring nature.
著者
駒込 乃莉子 和田 涼子 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.91-98, 2021

<p> 本研究の目的は,エスプーマ法により米粥を調製し,その物理的特性を明らかにすることである。さらに,エスプーマ食が高齢者施設等で利用可能かを検討した。</p><p> 米粥の配合は,飯,牛乳,クリーム,砂糖,味噌を用いた。試料調製はエスプーマ法を用いて飯の配合量を変えA,B,C試料を調製した。</p><p> 調製した米粥は,高エネルギー・高たんぱく質食であった。調製後30分間でも離水せず気泡の状態が安定していた。いずれの試料も,えん下困難者用食品の許可基準の規格基準Ⅲを満たした。飯の配合の違いは,気泡の大きさ,気泡面積比,密度,硬さに影響した。官能評価の結果,いずれの試料も好まれた。さらに評価が高いB試料を用いて健常な高齢者を対象に嚥下内視鏡検査を行った結果,咽頭に残留なしと認められた。</p><p> 以上より,エスプーマ法で調製した米粥は高齢者施設で利用できる食形態だと考える。今後の課題として嚥下困難者を対象に検討する。</p>
著者
船山 道隆
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.77-87, 2019-06-25 (Released:2019-07-04)
参考文献数
50

前頭葉機能の解明は症例報告から得られた知見が多く,前頭葉損傷による症例報告は実臨床に重要である.本稿では前頭葉眼窩部を中心とした損傷後に病的収集行動が出現した例,ゴミ屋敷症候群が出現した例,治療抵抗性うつ病が消失した例,顕著な誤認が出現した例など特徴的な例を挙げ,それぞれの機序を推測していく.これらの症状の背景にはさまざまな要因が考えられるが,一度価値があったものに対する保続,イメージした状況とそれに対して惹起されるべき情動が合致しないこと,外界と内界の区別が困難となることが可能性として挙げられた.
著者
濱口 萌子 久保 雅義
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

平成25年度より、文部科学省は「地(知)の拠点整備事業」(以下、COC事業)を実施している。地域の課題と大学の資源の効果的なマッチングによる地域の課題解決策の立案・実施を目的としている。COC事業は「産学連携」の取り組みのひとつであるが、大学発プロダクトアウト型商品開発・事業創出は大きな問題を抱えている。大学との連携企業や地方公共団体は、大学からの成果物を継続的な経営資源として捉えている。一方、消費者生活者視線の販売を意識した開発等がなされないまま市場導入されニーズとのギャップに驚かされることも珍しくないと聞く。本研究は、「藤布の里」産品プロジェクトであり、大学側が自然の藤の花から酵母や乳酸菌等を取り出し、それらを用いて京丹後市の多数の製造業ともに商品を開発した。しかし市場に臨むと話題性はあるものの支持はされず、「モノづくりと販売を分離して考えてはいけない」ことや市場の消費者や生活者の検証やその後の展開までも考えることが改めて必要ということが分かった。
著者
境 和臣
出版者
三重大学
巻号頁・発行日
2007-01-01

三重大学大学院生物資源学研究科博士前期課程生物圏生命科学専攻