著者
岡田 浩之 山川 宏 大森 隆司
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.244-251, 2001-03-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

The trade-off of exploration and exploitation is present for a learnig method based on the trial and error such as reinforcement learning. We have proposed a reinforcement learning algorism using reward and punishment as repulsive evaluation (2D-RL) . In the algorithm, an appropriate balance between exploration and exploitation can be attained by using interest and utility. In this paper, we applied the 2D-RL to a navigation learning task of mobile robot, and the robot found a better path in real world by 2D-RL than by traditional actor-critic model.
著者
榎本 一紀 松本 直幸 木村 實
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.89-94, 2013

絶え間なく変化する自然環境のなかで,雑多な情報から必要なものを判別し,過去の経験や現在の状況に照らし合わせて,将来の目標を見据えた最善手を打つことは,人間やその他の動物にとって,配偶者や食料,金銭などの報酬を効率よく得るために,また,危険や損失を回避するために必須である。ドパミン細胞は中脳の黒質緻密部,腹側被蓋野などに集中して存在し,線条体や前頭葉,大脳辺縁系などの広範な脳領域に投射しており,報酬を得るための意思決定や行動選択に関わる神経システムにおいて,重要な役割を担っている。過去の研究から,ドパミン細胞の活動は,刺激の新規性や,動機づけレベルなどと同時に,報酬価値情報を反映することが報告されている。ドパミン細胞は条件刺激に対して放電応答を示して,期待される報酬の価値を表現し,また,強化因子に対する応答は報酬の予測誤差を表現する。最近,筆者らはニホンザルを用いた研究によって,ドパミン細胞の活動が,学習によって,長期的な将来報酬の価値を表現することを明らかにした。この研究では,サルに複数回の報酬獲得試行を経てゴールに到達することを目標とする行動課題を学習させ,課題遂行中のドパミン細胞の活動を電極記録した。ドパミン細胞は,条件刺激(各試行の開始の合図となる視覚刺激)と,正または負の強化因子(報酬獲得の有無を指示する音刺激)に対して応答し,その応答の大きさは,目前の1試行だけの報酬価値ではなく,目標到達までの,複数回の報酬価値を表現していた。これらの活動は,強化学習理論に基づく一般的な学習モデルによって推定した報酬予測誤差(TD誤差)によってよく説明できた。また,このような報酬価値の表現は課題の学習初期には見られず,課題の構造に習熟してはじめて観測できることが確かめられた。以上のことから,ドパミン細胞は長期的な将来報酬の情報を線条体や前頭前野などに送ることで,意思決定や行動選択を制御していると考えられる。この結果は,目先の利益にとらわれず,目標に向かって意志決定や行動選択を行う脳の作動原理解明につながることが期待される。
著者
三海 敏昭
出版者
立正大学経済学会
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.73-147, 2004-09-30

わが国では、バブル崩壊後不況脱出のために度重なる財政出勤が行われた。金融政策も金利はほとんどゼロにはりつき、量的緩和は限界まで行きついてしまった。しかし、景気は一進一退しながら、長期不況から脱しきれないでいる。ここで、二つの疑問が出てくる。一つは、10年を超える長期間日本経済の停滞が続いたのはなぜか、いま一つはこれほど大規模なバブルの崩壊があったにもかかわらず、日本がなぜ大恐慌に陥らずに澄んでいるのかということである。数多くの分析・提言の中から、B/S(バランスシート)不況説と構造改革不況説、この二つの仮設を採り上げる。日本の景気はようやく上向いてきたが、これは決して構造改革の成果ではない。リストラをやりぬいた製造業が、輸出の後押しも得て縮む経営から挑む経営へ転換し、地方や中小企業がどん底から立ち上がって、現場から再生を始めているのである。とくに製造業の新商品開発は、デジタル家電はじめ目覚しい。わが国のモノづくりの復活であり、工場建設の国内回帰が進展している。先の参議院選挙後、政権交代が起きず、景気回復が目に見えるようになってくると、構造改革論が自信を取り戻し、財政再建の声も出はじめている。わが国が97年、2001年の間違いを繰り返さぬよう、この小論にいうB/S不況説、構造改革不況説を十分検証してほしい。

1 0 0 0 政治の概念

著者
潮田江次著
出版者
慶應出版社
巻号頁・発行日
1944
著者
潮田江次[著] 多田真鋤編
出版者
慶應通信
巻号頁・発行日
1969
著者
潮田江次著
出版者
泉文堂
巻号頁・発行日
1949
著者
中田 博 大澤 智徳 横山 勝 石田 秀行
出版者
Japanese College of Surgeons
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.198-203, 2006-04-30
参考文献数
16
被引用文献数
3

クローン病に肝膿瘍・下大静脈血栓を合併した稀な1例を経験したので報告する。症例は20歳, 男性。5年前より小腸大腸型クローン病と診断されていた。今回, 小腸-小腸間の瘻孔に対する手術目的で入院した。術前CTで右下腹部に腹腔内膿瘍と, 肝S6-7に大きさ5.3cm×6.0cmの肝膿瘍が疑われた。また, 腎下極の下大静脈に造影されない部位を認めた。クローン病に伴う肝膿瘍・下大静脈血栓と診断した。手術を延期し, 抗菌薬投与とヘパリンによる抗凝固療法を行ったところ, 4週間後のCTで肝膿瘍・腹腔内膿瘍は著明に縮小し, 下大静脈血栓も消失した。開腹所見では, 回腸末端と口側回腸との間に瘻孔形成を認めるのみで, 肝膿瘍や腹腔内膿瘍は確認できなかった。回盲部切除を施行した。術後6カ月経過した現在, 腹痛・発熱の症状を認めていない。
著者
Kentaro Hayashi Yuka Ogawa Takashi Fujimoto Mitsuto Iwanaga Takeo Anda Takayuki Matsuo
出版者
The Japanese Society for Neuroendovascular Therapy
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
pp.oa.2020-0130, (Released:2020-09-30)
参考文献数
20

Objective: The effects of treatment methods for ruptured aneurysms on the incidence of vasospasm and normal pressure hydrocephalus (NPH) following subarachnoid hemorrhage (SAH) are controversial. We retrospectively examined the Nagasaki SAH registry data, and the complication rates of symptomatic vasospasm and NPH were analyzed based on the treatment methods.Materials and Methods: Between January 2015 and December 2017, 800 SAH patients were registered from 18 hospitals, and their age, sex, World Federation of Neurological Societies (WFNS) grade, Fisher group, size and location of cerebral aneurysms, treatment methods, incidence of symptomatic vasospasm and shunt-dependent hydrocephalus, and prognosis (discharge or 3 months later) were retrospectively analyzed. The effects of treatment methods for the ruptured aneurysm on the incidence of symptomatic vasospasm and shunt-dependent hydrocephalus were then statistically analyzed.Results: The mean age was 66.2 years old. There were 245 (30.6%) male patients and 555 (69.3%) female patients. Cerebral aneurysms were identified in 708 patients (87.5%) and surgical treatments were performed for 620. Neck clipping was employed in 416 patients (67.1%) and coil embolization was employed in 180 (29.0%). Symptomatic vasospasm developed in 118 (28.4%) in the clipping group and 30 (16.7%) in the coiling group (P = 0.0024). NPH developed in 148 (35.6%) in the clipping group and 42 (23.3%) in the coiling group (P = 0.0032). Vasospasm was listed as a major factor for an unfavorable outcome in 23 patients (8.9%) and as a minor factor in 33 (13.3%). NPH was listed as a major factor for an unfavorable outcome in 19 patients (3.5%) and as a minor factor in 46 (18.5%).Conclusions: The multicenter registry study demonstrated lower incidences of both symptomatic vasospasms and NPH in the coiling group than in the clipping group. This superiority may result in better outcomes in the coiling group.
著者
小田 雅俊 加我 宏之 下村 泰彦 増田 昇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.217-222, 2001-10-25 (Released:2017-12-01)
参考文献数
13

The purpose of this study is to investigate the riverside design in Osaka of the Edo period, which by making clear the relationship between managements, uses and the design of riverside. We grasped the management regulations of riverside in those days, and then selected 15 famous landscape portraits. According to the characteristics of uses in those landscape portraits were classified into terminal, market, landing place, and place of entertainment. We analyzed the relationship between the uses and the design of riverside; as a result, we made clear that the riverside was designed to secure by the management regulations and to function by the characteristics of uses in each places.
著者
鈴木 拓児
出版者
自治医科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
巻号頁・発行日
2017

呼吸に必須な肺サーファクタントは、肺II型上皮細胞と肺胞マクロファージによるその産生と分解のバランスによって恒常性が維持されている。肺胞蛋白症とは肺サーファクタント由来物質が肺の末梢気腔内に異常に貯留し呼吸不全に至る疾患群であり、その原因から自己免疫性、遺伝性、続発性などに分類され、その大部分は肺胞マクロファージの機能異常が原因である。申請者らはこれまで、ヒト遺伝性肺胞蛋白症の原因探索、診断、病態解明および新規治療法開発の研究に従事してきた。遺伝性肺胞蛋白症はGM-CSF受容体遺伝子(CSF2RAあるいはCSF2RB)変異によって生じるが、いまだ有効な疾患特異的な治療法はない。そこでマウスモデル(Csf2rbノックアウトマウス)を用いて、肺マクロファージ移植法という細胞治療および遺伝子治療を提唱してきた(Suzuki. et al. Nature. 2014)。同治療法は骨髄移植の際に必要な放射線照射や化学療法などを行わずに、マクロファージを一回、直接肺へ移植する方法であり、長期間にわたる移植細胞の生着と疾患の改善および安全性が確認されており、有効な治療法と考えられる。しかしながら、ヒトで患者数の多い(約9割を占める)CSF2RA遺伝子変異による疾患に相当するCsf2raノックアウトマウスはこれまで存在しなかったために、病態の解析や治療法の検討といった基礎的な研究が困難であった。そこで今回新たにCsf2raノックアウトマウスを作成し、同マウスの病態解析を行っている。さらに同マウスを用いて上記の新規治療法の開発研究をおこなっている。
著者
竹野 雅人
出版者
文芸春秋社
雑誌
文学界 (ISSN:05251877)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.p91-94, 1994-10
著者
菅原 然子
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究 (ISSN:21896933)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.44-55, 2021 (Released:2021-04-21)
参考文献数
6

アーキビストとは、ある組織体の記録資料を管理し活用するための任務にあたる専門職員のことを指す。歴史ある私立学校の多くは、常に創立者の理念を継承し、その現代的な意味付けについて考察することでアイデンティティの確立を行っている。それは、教職員、在校生、保護者など、組織に属するすべてのメンバー内で共有され、検討されていく。本論は筆者の勤務先である私立自由学園をフィールドに、私立学校の組織運営に、アーキビストがどのようにかかわっていけるかを、親組織への資料活用活動を主軸に検討する。1921年、ジャーナリストである羽仁もと子・吉一夫妻によって創立された自由学園は、2021年に創立100周年を迎える。創立者を直接に知る卒業生が少なくなる中、本校教職員中卒業生は約半数となり、過去を知るための道具として学校アーカイブズズの必要性は増している。機関アーカイブズ、収集アーカイブズ1から成る、トータルアーカイブズを、どのように提供していくことが親組織のためになるのか、具体的方法も併せて検討する。なお本論は、同タイトルである2019年度アーカイブズ・カレッジ(国文学研究資料館主催)の修了論文を一部改訂したものである。
著者
恒岡 弥生 富田 幸一朗 高橋 勉 篠田 陽 藤原 泰之
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】メタロチオネイン(MT)はカドミウム(Cd)や亜鉛などの重金属の曝露により肝臓をはじめとする様々な組織で誘導合成されることが知られているが、血管周囲脂肪組織(PVAT)におけるMT誘導合成に関する知見はない。そこで今回、PVATのMT発現誘導に対するCdの影響を検討し、PVATのMT発現誘導における基礎的知見を得ることを目的とした。【方法】8週齢雄性C57BL/6JマウスにCd(1 mg/kg)を腹腔内投与し、3時間後に肝臓およびPVAT付き胸部大動脈を摘出した。さらに胸部大動脈は内膜画分、中膜と外膜画分、PVAT画分の3つの画分に分けた後、それぞれの組織からトータルRNAを抽出し、各遺伝子のmRNA量をリアルタイムRT-PCR法により測定した。【結果・考察】Cd投与3時間後の肝臓におけるMt1 および Mt2 mRNA量は、対照群に比べて約10倍と5倍にそれぞれ有意に増加した。このとき、胸部大動脈から分画した内膜画分ではMt1および Mt2 mRNA量が対照群と比較してそれぞれ約15倍と8倍、中膜と外膜画分ではMt1 mRNA量が約5倍、さらにPVAT画分ではMt1および Mt2 mRNA量がそれぞれ約5倍と4倍に有意に増加していた。以上の結果から、Cdは肝臓と同様に胸部大動脈の内膜組織並びに中膜と外膜組織、加えてPVATにおいても曝露後速やかにMTの発現を誘導することが明らかとなった。MTは有害金属の解毒作用や活性酸素種の消去作用などを示す生体防御因子の一つであることから、PVATをはじめとする血管組織でのMT合成誘導は、Cdによる血管毒性発現の防御に寄与している可能性が考えられる。