著者
岩崎 祐貴 折原 良平 清 雄一 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.1J3OS22a4, 2013

<p>近年,ブログやtwitterなどソーシャルメディアの普及により誰でも気軽に情報発信できるようになった.それに伴い頻繁に炎上が起こり,ブログの閉鎖や個人情報の特定といった被害に合うリスクが高まっている.そこで本研究では,実際に炎上したtwitterやブログ記事を収集,分析することで炎上の原因を調査した.また,今後の炎上を防ぐため,過去の炎上事例を教師データとした機械学習の適用方法を提示する</p>
著者
安田 憲二 大塚 幸雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.217-224, 1997-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
12

都市ごみの燃焼にともなうThermal NOxとFuel NOxの排出挙動を定量的に把握するため, 窒素含有量が異なるように組成を調整した都市ごみを用いてパイロットスケールの実験炉による燃焼実験を行った。その結果, Fuel NOxの変換率は燃焼温度およびO2濃度が高くなるほど増大した。また, ごみの燃焼実験におけるFuel NOxの変換率は1.7~9.3%であり, 化石燃料を燃焼しているボイラでの変換率 (30%程度) と比べて1/3以下と小さかった。燃焼域での02濃度を低くすることによりFuel NOxだけでなくThermal NOxの排出も抑制できる。特にFuel NOxの低減率はThermal NOxに比べて2倍から5倍高かった。さらに燃焼温度との関係では, Thermal NOxの方がFuel NOxよりも強い温度依存性を示した。
著者
重永 明義 山本 直弘 吉沢 雄二 鈴木 彰
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.15, no.23, pp.1-6, 1991-03-28 (Released:2017-10-06)

In the special TV program "A GALACTIC ODYSSEY", which presents resent results of solving mysteries of the universe, We made enormuos amount of special effect pictures which heve excellent quality and reality. We introduce the techniques of making SFX pictures using a motion control system, the Ultimatte system and component digital (D-1) video editing system.
著者
宮田 浩二 包國 友幸 小林 正幸
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
no.30, pp.79-86, 2008

This is an implementation report on how a new type of exercise program changes State-Anxiety and body sense.Results are as follows.1) There was State-Anxiety before the exercise in a range of 23 and 57; State-Anxiety after the exercise changed to a low of 21 to a high of 51. The mean level of State-Anxiety decreased significantly from 39.80 before the program to 32.70 after (p <.001).2) Flexibility and mobility improved on the spot according to a questionnaire survey. In addition, mood improvement and facial expression and color tended to the positive; a change in psychological factors was noted.Based on the current results, psychological factors were involved in the improvement of shoulder aches and stiffness of the shoulders; the current program decreased anxiety and was effective at improving physical and mental health.本研究は、新しいタイプの本運動プログラムにより、状態不安及び身体感覚がどのよう変化したかの実施報告である。結果は、以下のとおりである。1)状態不安の変動は、運動前は最低23から最高57の範囲にあり、運動後は最低21から最高57までに変動した。状態不安の平均値は、運動前の39.80から運動後の32.70と変動し、有意な低下を示した。(p<.001)2)アンケート調査より、その場で柔軟性や可動性が改善された。また、気分の改善や顔つきや顔色がプラス志向に変化し、心理的要因に変化が認められた。今回の結果より、肩痛、肩こりの改善に心理的要因が関与しており、本運動プログラムを行うことによって、不安が低減し、身体的・精神的健康に有効であることが示唆された。

1 0 0 0 OA 北海史談

著者
千葉稲城 著
出版者
北海史談発行所
巻号頁・発行日
vol.第1輯, 1922
著者
福嶋 誠宣 濵村 純平 井上 謙仁
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.117-129, 2020-03-31 (Released:2020-04-15)
参考文献数
11

企業が開示する財務データは有用な研究資源である.例えば,ある特定の管理会計システムの成果変数として,クロスセクショナルに抽出された財務データが使用される場合がある.しかし,財務データの決算月は企業によって異なるため,クロスセクショナルな財務データといっても会計期間が共通しているとは限らない.本論文では,このような会計期間の相違がサンプリングされた財務データの同質性に与える影響を検証している.なお,こうした問題を回避する手段として,会計期間が同じ企業の財務データのみを抽出するという方法も存在する.そこで,このような抽出方法を採用した場合のサンプリング・バイアスについても検証する.結果として,3月期と前年12月期の財務データが含まれるようにサンプリングすることで,より同質性の高いサンプルを得られることが示唆された.また,3月期の財務データのみを抽出すると,業種構成や企業規模の点でバイアスが存在するおそれがあることも明らかとなった.
著者
木戸 聡史 須永 康代 廣瀬 圭子 宮坂 智哉 田中 敏明 清水 孝雄 佐賀 匠史 髙柳 清美 丸岡 弘 鈴木 陽介 荒木 智子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.E4P1197, 2010

【目的】本研究目的は、トイレ内の転倒者の検出による迅速な発見と保護を可能とするため、トイレでの転倒状態をより正確に検出するための解析アルゴリズムを構築することである。そのため、我々は静止画熱画像パターンを用いて健常被験者を対象に、正常なトイレ動作と、模擬的に再現したトイレでの転倒姿勢を16パターンのアルゴリズムで判別分析した。各アルゴリズムにおいて求めた判別率を検証し、より有効な転倒検出方法を検討した。<BR>【方法】被験者は歩行及びトイレ動作が自立できる健常成人男性5名とした。身体特性は、身長172.5±5.5cm、座高93.1±2.2cm、胸囲91.2±3.9 cmだった。熱画像センサはTP-L0260EN (株式会社チノー製)を用いた。熱画像センサの特性は解像度0.5 &deg;C、視野角60°、frame time 3 Hz、data point 2256 (47×48)で、地上から2.5mの高さに設置した。被験者が腰掛けるADL(日常生活動作)練習用便座の高さは0.4mとし、便座から0.4m離れた床面5か所に、印をつけた。被験者は模擬的な正常トイレ動作(NA)を1回実施した。NAは、トイレへの入室、便座への着座 、便座からの立ち上がり、トイレからの退室からなる動作とした。その次に、転倒を想定した姿勢変換(FA)を1回実施した。FAは、あらかじめ印をつけた5箇所の位置で、長座位(開脚・閉脚)、仰臥位(開脚・閉脚)となり、便座に対して着座する方向を変更して実施した。それらの動作および姿勢変換を熱画像センサで記録した。記録した熱画像のデータは47×48=2256 pointの温度データで、3Hzの間隔で取得した。被験者1人あたり、NAから20個、FAから60個の熱画像データを任意に抽出した。抽出した熱画像データは、熱画像のエリアを4、9、16、25、36、49、64、81エリアに分割し、分割した各エリアの分割内平均温度(Avg)と分割内最高温度(Max)を求めた。8×2=16個のデータ処理パターンごとに、被験者5名分のNAの100データとFAの300データを用い、判別分析を実施して、正常/転倒の判別率を求めた。統計解析ソフトウェアはSPSS Ver.17.0を用いた。<BR>【説明と同意】対象者に対して、ヘルシンキ宣言に基づき研究の趣旨と内容について口頭および書面で説明し同意を得た後に研究を開始した。なお本実験は、植草学園大学倫理委員会の承認を受けて行った。<BR>【結果】実験時の周囲温度は24.8±0.2&deg;Cで、被験者がいない状態の熱画像パターンの温度は最低23.9&deg;C、最高26.9&deg;C、25.1±0.3&deg;Cだった。NAの100データの温度は最低24.2&deg;C、最高31.5&deg;C、26.0±1.1&deg;Cだった。FAの300データの温度は最低24.2&deg;C、最高31.8&deg;C、26.0±1.0&deg;Cだった。熱画像パターンから被験者の表情は判別できなかった。4分割でMax(4Max)の判別率は75.0%、4Avgは88.0%、9Maxは90.8%、9Avgは90.5%、16Maxは94.0%、16Avgは94.3%、25Maxは96.8%、25Avgは96.0%、36Maxは96.3%、36Avgは95.5%、49Maxは95.0%、49Avgは96.3%、64Maxは96.8%、64Avgは97.3%、81Maxは96.3%、81Avgは97.8%で最大だった。81Avgでは判別分析で用いた81分割エリアのうち、判別率を導くための判別式の係数となった領域は21箇所だった。判別分析に使用したNA+FAの400データのうち、誤検出した数は、NAをFAと判別したものが1個、FAをNAと判別したものが9個だった。NAをFAと判別したものは判別式に使用しない領域に被験者の最高温度の領域があった。またFAをNAと検出した例は、便座に近接した領域で被験者の最高温度の領域がある場合が多く、便座に着座したパターンとの判別が困難だった。<BR>【考察】本研究は健常者をモデルとして、転倒を検出するためのアルゴリズムを検証した結果、熱画像センサのデータを81分割して各エリア内平均値を判別分析すると、トイレ動作の転倒を97.8%の判別率で検出した。誤検出した2.2%をさらに減らすためには動作や姿勢変換の加速度などの変化を転倒の判定に加えることが有効と考えられた。現状では、誤検出の部分を有人による看視で補助すれば転倒の判定は可能と考えられる。また本実験では、被験者の最高表面温度は約32&deg;Cで熱画像センサの温度分解能は0.5&deg;Cのため、室温31&deg;C以下で使用する条件下であれば、1秒以内に転倒が判別できる、被験者のプライバシーに配慮できる特性が得られた。今後は転倒判別に時系列的な要素を加えてより実用的な転倒判定を目指す。並行して病院や施設のトイレに熱画像センサを設置し、フィールドによる試験を実施する。<BR>【理学療法学研究としての意義】本研究では、高齢者・障害者のADL支援に関するニーズを理学療法士として見極め、現場に必要なシステム開発への発想・着眼とシステムの検証を実施した。研究結果は病院および介護老人保健施設に必要な機器開発のための重要な基礎的データである。
著者
山本 直弘 重永 明義
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.966-967, 1991-08-20 (Released:2011-03-14)

NHKスペシャル「銀河宇宙オデッセイ」の全編にわたって, 我々は, 特殊撮影と合成により高品質でリアリティに富む宇宙の映像を制作した.モーションコントロール, アルチマット, ディジタル映像合成システムによるSFX映像制作の思想、と映像スタッフとしての取組みを紹介する.
著者
池田 央
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.194-203, 1964 (Released:2010-07-16)
参考文献数
10

1. Vector analysis has been widely used in such fields as factor analysis, regression analysis, and the analysis of variance. It is also applicable to the field of test theory.2. Let the transpose of an N-column vector XT={X1, X2, …Xi, …XN}T whose i-th element is the score of the i-th person on the test under consideration.By assuming that the mean of test scores for N persons is zero and by adjusting the unit of the vector, we can obtain the following relations: 1) The length of the vector is equal to the standard deviation of the test scores. 2) The cosine of the angle between two test vectors is equal to the correlation between the two sets of test scores. (See Fig. 1 on Top Page 2.)3. The classical test theory starts from the following assumption and definition in terms of vector algebra: 1) A test vector X may be divided into two orthogonal components, X=T+E and TT·E=0. (See Fig. 4 on Top Page 3.) 2) Two test vectors, X1 and X2, having such characteristics among components that T1=T2, E1T·E2=T1T·E2=E1T·T2=0, and √E1T·E1=√E2T·E2 are called parallel test vectors in a sense that their true components are parallel. (See Fig. 5 and 6 on Top Page 3.)Almost all the basic theorems given in the first nine chapters of Gulliksen's book, “Theory of Mental Tests (1950, Wiley)”, can be derived from the above assumptions without any complicated calculation.4. For example, the reliability coefficient of a test is the square of the cosine of the angle between the test vector X and its true component T. This is equal to the cosine of the angle between two vectors of parallel tests, X1 and X2. (See Fig. 4 on Top Page 3.)5. Spearman-Brown's prophecy formula is considered as the square of the cosine of the angle between the vector sum of parallel tests and the vector sum of their true components. (See Fig. 8 on Top Page 5.)6. The validity coefficient between a test vector X and its criterion vector Y is defined as the cosine of the angle between X and Y. The formula for “Correction for Attenuation” is obtained by calculating the cosine of the angle between the true component of the test vector and that of the criterion vector. (See Fig. 9 on Top Page 7.)7. Errors of measurement, substitution and prediction, pointed out by Gulliksen (1950, Chapter 4), are also interpretable by the concept of vector geometry. (See Fig. 7 on Top Page 5.)8. The use of vector method has at least two advantages; the first is the algebraic aspect which facilitates the solution of complex problems by the use of simple rules of vector operation, and the second is the geometric aspect which helps us in an intuitive understanding of the nature of problems by the use of geometric figures.
著者
高橋 正氣
出版者
日本工業出版株式会社
雑誌
検査技術
巻号頁・発行日
vol.11, no.12, pp.65-78, 2006-12-01

塑性変形が磁気的物理量に大きな影響を与えることは古くから知られている。例えば、Ni3Fe 、Fe3Alや Ni3Mnなどの規則合金に見られる圧延磁気異方性が有名である。圧延磁気異方性の発生メカニズムは1958年に 近角 等が slip-induced directional order モデルで説明した。この考えに辿り着くまでには、多くの議論と実験がなされた。塑性変形により転位が発生し、変形量の増加と共に転位密度が増加する。当時、転位の研究が行われていたが、転位に関する知識は広まっていなかった。その中で、2つのモデルが提案された。どちらのモデルでも結晶中の転位が圧延磁気異方性の発生の原因と考えられた。第1のモデルは転位の周りの応力場が磁気弾性相互作用(磁歪の逆効果)により磁気異方性を発生させるという考えである。この考え方は一旦否定されたが、その後Max-Planck 研究所Stuttgart グループにより誘導磁気異方性の存在がNi, Coや Fe などの金属で理論及び実験的に証明された。一方、Ni3Fe 、Fe3Alや Ni3Mnなどの規則合金中での転位は超転位と呼ばれ、部分転位間に逆位相境界が存在する。この逆位相境界では規則状態とは異なる原子配列が作られ、塑性変形前には存在しなかった原子対が新しくできる。第2のモデルではこの逆位相境界での原子配列が双極子-双極子相互作用によって圧延磁気異方性を誘導させる。もう1つ良く知られている現象がオーステナイトステンレス鋼に見られるマルテンサイト変態である。塑性変形に伴うマルテンサイト変態により、常磁性から強磁性に遷移する現象がある。この遷移メカニズムは簡単であり、磁性を用いた非破壊検査は容易に見えるが、転位とマルテンサイト変態との相関は複雑である。転位はマルテンサイト変態を阻止する役割を果たすからである。マルテンサイト変態に関する話は別の機会にする。
著者
長田 博
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.596, pp.137-143, 2002-05
著者
森本 和寿
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.67, pp.123-136, 2021-03-25

本稿は、ライティング教育はどのような視点から、どのように分類できるかという問題意識の下、米国におけるジェームズ・バーリンとリチャード・ファルカーソンの分類に着目し、ライティング教育の理論的な分析枠組みを描くことを試みた。先行研究において見落とされていた1980年代のバーリンの研究成果を検討することで、ファルカーソンの分析枠組みを修正し、より妥当な枠組みを提供することを目指した。本稿では、価値論/認識論、教授学、評価の3つの観点と現代的伝統修辞学、認知主義、表現主義、批判的/文化研究、手続き的修辞学という5つの立場で構成される新しい分析枠組みを提示した。これにより、①認知主義のポリティクスへの分析視角が保障される、②「プロセス」概念を教授学に組み込むことで分析視角が明瞭になる、③価値論・認識論に関わる論点と評価論に関わる論点を個別に検討できるという改善が得られた。
著者
佐野 和子
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.67, pp.85-98, 2021-03-25

女性の職業的技能形成の主要なパターンである職業資格の有用性について、資格職に就く女性を対象に、職業移動、および賃金を従属変数とするパネルデータ分析を行った。その結果、資格職共通の特徴として同じ職に留まる割合が高く、無職後の復帰職となる傾向が強いことから、企業内部でのスキル形成を選択しない女性にとって、資格は安定的な<職>を保障することで継続的なキャリア形成に貢献している点が示された。実質的な収益に対しては、個別効果を取り除いた固定効果モデルによる分析では資格職の効果は見られない。但し対象を大学卒の女性に限ると医療・保健系資格職に、非大学卒の女性に限ると教員にそれぞれ作業職に対する賃金上昇効果がみられた。女性全員を対象にした分析では企業属性に賃金上昇効果はなく、企業内でキャリアを重ね収益を高めるパターンとは異なる、日本特有のスキル形成システムの縁辺に広がる女性のキャリアが明らかとなった。
著者
加世田 雄時朗 野澤 謙
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.996-1002, 1996-11-25
参考文献数
33

野生状態で生息している御崎馬に関する16年間の行動調査と父子判定の結果を基に,12頭の種雄馬とその51頭の娘を対象に,父娘交配の発生状況とその回避機構について分析した.12頭の種雄馬とその51頭の娘が共に繁殖可能であった176回の繁殖シーズンのうち,82回は両者が互いに異なった地域で過ごした.すなわち,雌子馬が繁殖前に生来地を離れて他の地域へ移出し,繁殖可能なシーズンに父親と異なった地域で過ごすことによって,父親との接触が物理的に回避され,その結果として父娘間の交配が回避された.種雄馬とその娘が同じ行動域で過ごした繁殖シーズンは94回であったが,両者が安定した配偶関係を持った事例は1例も観察されなかった.すなわち,本研究では,雌子馬が性成熟以前に生来群を離れるいわゆる分散によって,父親と娘の間の配偶関係の形成が回避された.父子関係が確定した124例うち2組の父と娘の間に2頭の子馬が生まれた.この2例とも娘は父親とは別の種雄馬の群で生まれ育って,性成熟後に父親とハーレム群を形成した.一方生来群を一度離れた雌子馬が,性成熟後に再び生来群に戻りその種雄馬(幼児期に一緒に過ごした種雄馬)と安定な配偶関係を持った例は1例もなかった.この結果は,野生馬や半野生馬で報告されている「幼児期に同じ群で過ごした経験によって,近親交配が回避されたり,性行動が減少する」という仮説を支持している.
著者
Chikara Ishijima Takashi Motobayashi Madoka Nakai Yasuhisa Kunimi
出版者
JAPANESE SOCIETY OF APPLIED ENTOMOLOGY AND ZOOLOGY
雑誌
Applied Entomology and Zoology (ISSN:00036862)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.155-162, 2004 (Released:2004-05-25)
参考文献数
29
被引用文献数
11 17

We investigated the effects of tillage practices on the densities of wolf spiders and planthoppers and leafhoppers in rice paddy fields. Paddies were subjected to one of two different treatments (no tillage and conventional tillage), and seasonal changes in the densities of wolf spiders and hoppers were investigated over two growing seasons (1999 and 2000). In both years, the density of wolf spiders was significantly higher and the density of hoppers tended to be lower in no-tilled paddies than in conventionally tilled paddies, although the latter difference was not statistically significant. The Iwao's omega values, which represent the degree of correlation between the spatial distributions of wolf spiders and hoppers, were higher in no-tilled than in tilled paddies during August when the hopper density decreased in no-tilled paddies.
著者
Takashi Motobayashi Chikara Ishijima Motonori Takagi Mihoko Murakami Ayame Taguchi Kazumasa Hidaka Yasuhisa Kunimi
出版者
JAPANESE SOCIETY OF APPLIED ENTOMOLOGY AND ZOOLOGY
雑誌
Applied Entomology and Zoology (ISSN:00036862)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.371-381, 2006 (Released:2006-06-06)
参考文献数
40
被引用文献数
11 11

To examine the effects of tillage practices on spider assemblages in rice paddy fields, we investigated the abundance and biomass of spiders in untilled and tilled paddy fields over three cropping seasons (from 1999 to 2001). In total, we collected 6,829 spiders, consisting of 13 species in seven families. The family Lycosidae was the most abundant, followed by Tetragnathidae, Linyphiidae, and Salticidae. Spider abundance and biomass were greater in untilled than in tilled paddies during each cropping season. Although we detected no significant effect of tillage on spider abundance, we did observe a significant effect of tillage on spider biomass in 2000 and 2001. No differences were found in the abundance and biomass of tetragnathid and linyphiid spiders during the cropping season. In contrast, the abundance and biomass of lycosid or salticid spiders tended to be larger in untilled paddies than in tilled paddies, especially later in the cropping season.