著者
阪口 正二郎
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、憲法上の権利を制約する政府の行為の合憲性を判断する基準としてのヨーロッパの比例原則とアメリカの違憲審査基準の比較を行い、①両者の違いはアメリカの違憲審査基準の特殊な歴史的起源から説明できること、②両者はともに規制の合憲性を憲法上の権利と政府の利益の衡量によって判断する利益衡量という考え方を共有していること、③政府の行為の帰結に着目する利益衡量という手法を政府の行為理由に注目する方法によって補完する必要があり、それは実際に可能であることを明らかにした。
著者
立屋敷 かおる 大亦 みち子 寺元 芳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.359-362, 1983

1) 煮切り等の加熱操作により, 酒のアルコール度は減少した.アルコール度の高い酒ほど減少率は大きく, 残存量は少なかった.<BR>2) 2倍に希釈した酒を加熱した結果, いずれの酒も加熱時間に伴ってアルコール度が減少し, 加熱2分で元の約112に減り, 10分で1度以下となった.この経時変化に, 加熱時の蓋の有無と酒の濃度は影響しなかった.<BR>3) 清酒の燗は, 燗の程度によりアルコール度の変化に差があった.ぬる燗 (45℃) ではアルコール度に変化がなく, あつ燗 (60℃) で0.6%, 過度の燗 (70℃) で1.2%減少した.<BR>4) 酒を使用する料理10種の結果では, 多くのものが加熱によりアルコール含量の約90%が減少した.加熱後の料理のアルコール含有率は, ほとんどが1%以下だった.
著者
小泉 桂一 奥 牧人
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-07-18

昨年度までに、以下2つのメタボリックシンドロームマウスに関して、2種類の情報・数理学的な解析方法で「未病」状態を捉える試みを行った。1. メタボリックシンドローム自然発症マウスに対して、DNB解析を行うことで、「未病」状態のタイミングが5週齢で確認された。さらに、このDNB遺伝子は、約147個で構成されていることが明らかになった。今年度、この147個の遺伝子の関連性をGOおよびKEGG パスウェイにより解析した。その結果、GO解析では、炎症反応、免疫反応、細胞接着、ERK1/2カスケード、遊走の関与が、およびKEGG パスウェイ解析では、サイトカイン作用、神経活性化ライガンド作用、ケモカインシグナル、ファゴソーム、補体ー血液凝固系の関与が示唆された。さらに、漢方薬である防風通聖散がこのDNB遺伝子のゆらぎを低下させることも明らかとなった。2. 高脂肪食摂餌によるメタボリックシンドローム発症マウスに対して、超早期の発現変動遺伝子解析を行うことで、「未病」状態のタイミングが3日目で確認された。さらに、脂肪組織において酵素Xの発現が上昇していることが明らかになった。今年度、高脂肪食摂餌によるメタボリックシンドローム発症マウスに対して、酵素Xの阻害剤を投与したところ、顕著な抗肥満効果が確認できた。
著者
林 政彦 安藤 康行 安井 万奈 山崎 淳司
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨
巻号頁・発行日
vol.34, 2012

ブルー・オパールは大変綺麗な色調であり,人気のある宝石の一つである。その中に変色するものがあったので、その原因について報告する。<br>この変色は、標本ケースに入れた状態で生じており、ケース内部が青色になってしまっていることから、オパールから染み出てきたことによることは明らかである。そこで、変色した標本について、X線粉末回析実験とエルギー分散型EPMA により化学組成の分析を試みたので、それらの結果を報告する。<br>(1)X線粉末回折実験<br>装 置<br>・リガク製X線ディフラクトメータ RINT ULTIMA3<br>条 件<br>・X線源:Cu Kα<br>・電圧/電流:40kV / 20mA<br>結 果<br>非晶質のシリカの回折パターンを示す。いわゆるOpal-CTである.<br>(2)エルギー分散型EPMA<br>装 置<br>・日本電子製JSM-6360 + OXFORD製INCA EDS<br>条 件<br>・加速電圧:15 kV<br>・測定範囲:20 mm<br>・積算時間:60 sec<br>結 果<br>銅と塩素が検出された.<br>以上の結果から,青緑色を呈する塩化銅(Ⅱ)のニ水和物によって着色されたオパールと思われる。 なお、無水の塩化銅(Ⅱ)は黄褐色である。<bR>流通しているブルー・オパールのネックレスで、身に着けている間に黄色に変色した報告もある。これは,塩化銅(Ⅱ)のニ水和物が脱水して無水になったためと考えられる。塩化銅が人為的に含浸させたものかどうかは不明であるが、流通しているブルー・オパールの取扱いには注意が必要である。
著者
久米 修
出版者
水草研究会
雑誌
水草研究会誌 (ISSN:13484761)
巻号頁・発行日
no.83, pp.19-21, 2005-10
著者
猪熊 雄治
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.953, pp.24-38, 2020-03-01
著者
猪熊 雄治
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 = Gakuen (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.929, pp.19-31, 2018-03-01
著者
Eri Akita Yaxiaer Yalikun Kazunori Okano Yuki Yamasaki Misato Ohtani Yo Tanaka Taku Demura Yoichiroh Hosokawa
出版者
Japanese Society for Plant Biotechnology
雑誌
Plant Biotechnology (ISSN:13424580)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.417-422, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1 4

Atomic force microscopy (AFM) can measure the mechanical properties of plant tissue at the cellular level, but for in situ observations, the sample must be held in place on a rigid support and it is difficult to obtain accurate data for living plants without inhibiting their growth. To investigate the dynamics of root cell stiffness during seedling growth, we circumvented these problems by using an array of glass micropillars as a support to hold an Arabidopsis thaliana root for AFM measurements without inhibiting root growth. The root elongated in the gaps between the pillars and was supported by the pillars. The AFM cantilever could contact the root for repeated measurements over the course of root growth. The elasticity of the root epidermal cells was used as an index of the stiffness. By contrast, we were not able to reliably observe roots on a smooth glass substrate because it was difficult to retain contact between the root and the cantilever without the support of the pillars. Using adhesive to fix the root on the smooth glass plane overcame this issue, but prevented root growth. The glass micropillar support allowed reproducible measurement of the spatial and temporal changes in root cell elasticity, making it possible to perform detailed AFM observations of the dynamics of root cell stiffness.
著者
榎本 裕治 鈴木 啓介 沖田 誠治 江藤 昂平 片山 英二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.141, no.5, pp.423-430, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
25
被引用文献数
6

We have been studying the application of amorphous metals, which have a significantly lower loss than electrical steel sheets, to motors. Thus far, we have studied simple-shaped iron cores that can be machined only by shearing for radial motors. However, it is considered that the loss can be further reduced if the iron core is entirely made of amorphous metal. Here in this report, we report the results of a trial evaluation of a motor in which an amorphous metal is punched using a press die to form a stator core.
著者
桐渕 壽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.649-654, 1992

(1) ビタミンD<SUB>2</SUB>の生成は日光より紫外線照射の方が数倍効果的である.使用したキノコの中ではエノキタケが最も多くビタミンD<SUB>2</SUB>が生成され, 2時間の紫外線照射で約2,000IU/g (乾物), 30分で約1,500IU/g (乾物) であった.<BR>(2) ビタミンD<SUB>2</SUB>強化エノキタケを作るため, 生産レベルでの照射を想定したモデル実験では30分の照射で500IU/g (乾物) のビタミンD<SUB>2</SUB>が生成され, 実用化には培養のプロセスから考えて, 30分位が適当と思われた. (3) 紫外線照射しビタミンD<SUB>2</SUB>が生成されたキノコを乾燥するとビタミンD<SUB>2</SUB>は約10%減少するが, 十分にビタミンD<SUB>2</SUB>供給食品として利用できる.<BR>(4) 日光や紫外線照射により生成されたビタミンD<SUB>2</SUB>は保存中に減少はするものの, 乾燥キノコの場合は6カ月保存しても約80%残存しており, 比較的安定であるといえる.<BR>(5) 紫外線照射後乾燥したビタミンD<SUB>2</SUB>強化エノキタケをビタミンD<SUB>2</SUB>強化食品素材として利用することが期待できる.
著者
網野 皓之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.246-250, 1997-04-15

人間だれもが長寿を願っている.また,医学医療が寿命の延長を目指して努力を重ねてきたのも当然のことと理解できるだろう. しかし,成果は今一つはっきりと日に見えてこない.検診に関しても有効性を科学的に明らかにした研究は少ない.日本においては皆無である.にもかかわらず,全国いたるところで検診車が走り回っている.なぜだろうか.

1 0 0 0 OA 甲斐国志

著者
松平定能 編
出版者
温故堂
巻号頁・発行日
vol.第102巻 士庶部第1,第103巻 士庶部第2,第104巻 士庶部第3,第105巻 士庶部第4,第106巻 士庶部第5,第107, 1884
著者
岡田真由子 金丸隆太#
雑誌
日本教育心理学会第61回総会
巻号頁・発行日
2019-08-29

問題と目的 学童保育とは,保護者が就労等によって昼間家庭にいない小学生を対象とし,放課後,土曜日や春・夏・冬休み等の長期休業中の子どもの生活を保障する施設である。学童保育では,家庭に代わる役割が求められるため,学童保育指導員(以下:指導員)にも高い能力が求められる。しかし,労働条件の低さ,職務の不安定さから離職が早く,入れ替わりが激しく,指導員同士の連携,チームワークの形成が難しい。また,指導員の研修,経験加算が不十分で,専門性の向上が求められている。岡田(2017)で,発達障害児,診断の付いていないグレーゾーンの児童の対応に苦慮していること,研修で学んだことが,現場との相違により,現場で生かせていないことが明らかになった。 本研究では,発達障害児・グレーゾーンの児童対応における,指導員の困り感の低減を目指した仕組みづくりとして,サポートブックを作成し,その有用性を検討することを目的とした。方 法 全国の教員・特別支援員向けの資料を参考に,ドラフト版を作成し,現場の指導員にヒアリングし,その結果を踏まえ,完成版を作成した。完成版は,“OKブック”と名付け, 1.はじめに2.このサポートブックの使い方3.発達障害とは4.リソース集5.支援シート6.引用文献・参考文献の6項目にした。A4サイズのリングファイル入れて,取り出しができるようにした。支援シートは,書き込み型にし,知識部分は短く,該当場面ですぐに確認できるように工夫した。OKブックはX市,Y市,Z市の12施設に1冊ずつ配布し1ヶ月間使用させ,60名の指導員に事後アンケートと,インタビューを実施した。アンケートとインタビューで得られたデータから,OKブックの有用性を検討した。結果と考察 OKブックの使用により,指導員の困り感は低減し,指導員に変化が見られた。また,OKブックのプラス面とマイナス面が明らかになった。 OKブックは,適性(向き・不向き)があった。それは,施設の環境的要因,指導員の個人的要因,集団的要因,リーダーのOKブックへの積極性が影響すると考えられる。OKブックを改訂するとすれば,以下のような案が挙げられる。1.発達障害児への対応だけでなく,保護者対応や他児への説明に関する対応場面や対応方法について,多くの事例を提示する。2.支援シートは,1枚のシートにする。指導員の中には,場面ごとのシートにすること,アセスメントシートがいいといった指導員もいた。書くことへの抵抗感をなくすためにも,エピソードを書き込む方法も考えられる。 OKブックを使用してもらうための工夫としては,まず使い方の丁寧な説明が重要である。OKブックの使用で指導員の困り感が減るということを強調して説明し,動機付けを高めることが重要だろう。また,支援シートは毎日書く必要がなく,残しておきたい情報を書くということを必ず伝える必要がある。併せて支援シートに情報を残すことによるメリットを伝えることで,書くことへの抵抗感が減るのではないかと考えられる。 学童保育は,1人の指導員が何人の児童を見るのか,教員や保育士のような限度がない。また,雇用状況が不安定で,待遇も決して良くはないにも関わらず,多くの知識,技能を求められ,大変さや矛盾も生じている。そのため,経験年数を重ねていても,自分の能力に自信が持てない指導員もいる。それは,研修機会の少なさ,職場内に先輩がいないからとも考えられる。高岡・籠田(2017)は,指導員の専門性の向上のためには,学習,成長が必要だと示唆した。その方法論の1つとして,野中らが提唱し,高岡らが加筆した,組織的知識創造モデルがある。本研究ではOKブックを使用した際の,指導員の知識創造モデルを提唱した。 本研究は学童保育に関する研究の進歩の上で,その一歩を踏み出したと言える。本研究の結果を基に,改訂版を作成し,HPで公開する予定である。
著者
藤原 宏志
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第57回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.195, 2008 (Released:2008-09-01)

本研究では,MR Elastography による生体組織の弾性率の再構成逆問題に対し,積分型の同定公式を提案し,実測データへの適用例を示す.生体弾性率の同定は,初期癌や細胞組織の壊死に対する非侵食検査法などへの応用が考えられており,MRE を用いた再構成手法としては short wave length 法,数値微分法が提案されている.本研究で提案する積分型公式は,MRI により得られる先験情報をもちい,数値計算が高速であること,および 3 次元データへの適用が容易であるなどの特徴を有する.
著者
松田 智子
出版者
奈良学園大学人間教育学部
雑誌
人間教育 = Online Journal of Humanistic Education (ISSN:2433779X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.7-15, 2020-01

明治以降、国民全体の道徳的価値の育成において、学校教育をコントロールする教育行政は、良い意味や悪い意味においても、大きな役割を果たしてきた。本稿では教育行政の中で、道徳教育=修身が義務教育成立期に、どのような政策のもとに推進されてきたかを歴史的に概観することとする。江戸時代の儒教主義的な道徳政策は、現象面においては、明治政府の欧化主義的な意向を受けて変化したが、その後「教育勅語」により、道徳教育=修身の基本的な中身が、文部行政により大きく方向転換される。明治維新後の教育行政は短期間のうちに、現象面では180度「保守」から「開明」に、またはその反対に揺れ動いていくように見える。しかし本稿では、道徳教育=修身の基盤となる思想には大きな変化がないことも明らかにする。天皇を中心とした復古主義と儒教倫理は、表面上の教育政策は変われども、内包され継続されているのである。