著者
稲村 隆弘
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.827-834, 1981-10-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
13

ジョセフソン効果を超伝導の概念に遡って解説し, ジョセフソン接合素子の論理・記憶素子としての動作原理, 特性.特徴, 製作技術の現状などを概観し, これを用いて構想されている超高速コンピューターの予想されている姿と応用の途について, 考えを述べた.
著者
和田 実
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.45-52, 1988-04-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
25
被引用文献数
3 3

Effects of liking, interpersonal distance, and intimacy of topics on nonverbal behaviors were investigated in a setting simulating natural interaction, using a multichannel approach, which simultaneously took account of look, eye contact, body orientation, body lean, head orientation, and utterances. Twenty four male undergraduates interacted in pairs. Their interactions were video-taped. 1. Effects of liking were found on forward body lean, smile, head orientation, eye contact, and quantity of look. 2. Effects of interpersonal distance were found on forward body lean, eye contact, and body orientation. 3. In high liking, the smaller the interpersonal distance (or the greater the immediacy in terms of interpersonal distance), the greater the immediacy defined as a composite of other behaviors, and in low liking vice versa.
著者
古田 榮作 Eisaku FURUTA
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
no.8, pp.33-50, 2008-03-31

五十余人の善知識を訪問し、信仰を深めた善財童子は、愈々彌勒菩薩の所にやってくる。善財は彌勒に「どのように菩薩は菩薩行を学び菩薩道を修められるのでしょうか。お教えください」と懇願すると、彌勒は大樓観にいた大衆の前で「この童子は、不退轉の心で厭きることなく勝れた法を習得しようとして、善知識を求め。親近し供養し法を聞き受持しようとしてきた。この童子は、かって頻陀伽羅城で文殊師利の教えを受けて、善知識を求め、多数の善知識に菩薩行を問い、心に疲倦無く、とうとう私のところにやってきた。この童子のように大乗を学ぶものは甚だ稀有である。」と善財を讃えた上で、「このように学ぶ者は、則ち能く菩薩所行を究寛する。大願を成満し、佛菩提に近づき、一切刹を浄め、衆生を教化し、深く法界に入り、一切の諸波羅蜜を具足し、菩薩行を広め、一切の諸善知識に値遇し、生涯に能く普賢菩薩諸行を具えるであろう。……」と善財の成道の近いことを宣言し、文殊師利に諸の法門と、智慧の境界と、普賢の所行を問うよう勧めるが、善財の更なる菩薩の行を学び、菩薩の道を修する方法の問いにあなたは文殊師利をはじめとする善知識に遇うこともでき、それなりの器の持主でもある。善知識の教える所は諸佛を護念することである。悟りを求める気持である、菩提心は諸佛の種子であり、良田であり、大地であり、浮水であり、……と諭し、善財の成道への大願が不退転のものであるとして、大樓観の中に導き入れられる。樓観の中で自分自身の姿を見るとともに佛の描かれた世界が現出していた。その中で深い三昧に耽っていると彌勒は指を弾き、善財を三昧から覚醒させてお主は菩薩の神力をすべて目の当たりにしたと告げられ、彌勒の示した法門は「入三世智正念思惟荘嚴藏法門」であると示され、菩薩の十種の生庭を示され、その上あなたが先ほど目にしたすばらしい光景は文殊師利の威神力によるものであるとも告げられ、普門城に詣でると文殊師利は手を差し伸べて「でかしたぞ善財、若し信心の根を離れれば憂悔に埋没してしまうであろうし、功徳が具わらねば精勤しようとする心も失せてしまうであろうし、多少の功徳に満足しようものならそれで進歩は止まってしまったであろうに……」と善財の精進を讃え、更にすべての法門、大智光明、菩薩陀羅尼、無量三昧、無量智慧をお主は成就してので、普賢の所行の道場へ入らせるようにした。普賢菩薩は、一つ一つの毛孔より光を放ち、世界を照らし、衆生の苦患を除滅して菩薩の善根を出し、……とさながら盧舎那如来の光の世界を現ぜられる光景に接した。この光景を目の当たりにして善財は不可壊智慧法門をわがものにした。普賢菩薩は、「私は測り知れないほどの長期間に亘って菩薩の道を修め、菩提を求め続けてきた。その功徳で不壊の清浮なる色身を得たので、私の名を聞き、私の姿を見たものは必ず清潭の世界に往き、清浮なる身になるであろう」と諭し、普賢の現じた光の世界に觸れた善財の成道も実現したのである。「譬如工幻師能現種種事佛爲化衆生示現種種身」とされるのであり、「聞此法歓喜信心無疑者達成無上道與諸如来等」と結語する。善財の求道は師・善友(善知識)をを訪ねて教えを請い、その教えを通じて信を深めていくものであったが、ゴータマ・ブッダの場合は、修行法・瞑想法を学ぶための師は求めたが、師と仰ぐ師は見当たらない。瞑想し、思惟することを通じて人生の悩みの解決をはかり、苦行による悟りから離れ、悟りへの障りとなる欲望、嫌悪、飢渇、妄執、ものうさ・睡眠、恐怖、疑惑、みせかけ・強情・名声と他人の蔑視という悪魔を斥けてきたのである。善財の修行の姿には慨怠も見られず、苦悩も見当たらない。経典の中で理想化された修行者の姿と生身の人物?との差異が表れているように思われる。佛教では勤習・数習・薫習という語を重要視する。それは「諸悪莫作諸善奉行自淨其意是諸佛教」を求める。なにげない行動の中に自ら善に趣き悪を避ける、身に染み付いた智慧の習得を求めているものであろう。
著者
加藤 祥 菊地 礼 浅原 正幸
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.853-887, 2020-12-15 (Released:2021-03-15)
参考文献数
41

日本語の比喩表現の実態把握を目的として,『現代日本語書き言葉均衡コーパス』に基づく指標比喩データベースを構築した.『比喩表現の理論と分類』に掲載されている 359 種類の比喩指標要素を手掛かりとし,『分類語彙表』に基づいて類義用例を確認しながら指標比喩表現候補を展開し,コアデータ6レジスタ(Yahoo! 知恵袋・白書・Yahoo! ブログ・書籍・雑誌・新聞)1,290,060 語から人手で 822 件抽出した.抽出した比喩用例には,喩辞・被喩辞の情報と,その分類語彙表番号を付与したほか,擬人化・擬物化・擬生化・具象化などの種別情報も付与した.さらに提喩・換喩・文脈比喩・慣用表現などの情報も付与した.上記作業は言語学者によったが,非専門家が比喩表現をどのように捉えるかを評価するために,比喩性・新奇性・わかりやすさ・擬人化・具体化(具象化)の 5 つの観点について,1事例あたり 22–77 人分(平均 33 人分)の評定値を付与した.レジスタ毎の相対度数や評定値の分布により,現代日本語の指標比喩表現の使用傾向を確認した.
著者
炭谷 茂
出版者
人権擁護協力会
雑誌
人権のひろば (ISSN:13440756)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.13-17, 2008-09
著者
レティツィア グアリーニ
出版者
お茶の水女子大学ジェンダー研究所
雑誌
ジェンダー研究 = Journal of gender studies, Ochanomizu University (ISSN:13450638)
巻号頁・発行日
no.22, pp.111-129, 2019

女同士の絆は、はかない関係と見なされることが多い。とりわけホモソーシャルな絆(非性的かつ、友愛のコードが適用される同性間の親密性)=男同士の関係という印象が強いため、女同士の絆が不可視のもの、不可能なものとされてきた。その結果、男性間の友情物語と比べて女性間の友情物語が圧倒的に少ない。日本現代文学において女同士の絆の可能性を探った作家として角田光代が挙げられる。角田の作品において母娘関係をはじめ、女同士の関係に焦点を当てたものが多い。『対岸の彼女』(2004)では、現在における小夜子と葵との関係と、葵の高校時代における友人魚ナナコ子との関係、二つの物語を通じて作者が女同士の友情の可能性を模索している。本稿では、(1) 少女同士、(2) ママ友同士、(3) 負け犬対勝ち犬、それぞれの関係を中心に男性ホモソーシャル体制によって支持されている制度による女性の絆の制限の表象を探求し、その絆の可能性について論考を試みる。投稿論文
著者
大倉 龍起 石崎 泰裕 近藤 平人 大川 栄一 棚橋 博史
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.549-553, 2015 (Released:2018-05-10)
参考文献数
7

ブルゴーニュ風牛肉の赤ワイン煮(ブフ・ブルギニョン)のように,肉料理に赤ワインを使用すると,肉が柔らかく,おいしくなることが経験的に知られている。本誌では,先に肉の臭みを抑えるポリフェノールの酸化防止作用を紹介したが(108巻12号),今回は,肉を柔らかくする主成分を明らかにした研究を紹介していただいた。
著者
Clements Rebekah
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国際日本文学研究集会会議録 = PROCEEDINGS OF INTERNATIONAL CONFERENCE ON JAPANESE LITERATURE (ISSN:03877280)
巻号頁・発行日
no.34, pp.79-87, 2011-03-31

Recent years have seen an increase in studies of the way classical Japanese texts were received during the pre-and-early modern periods. However, research of this nature often concentrates on scholarly commentary at the expense of other types of reception materials. In this paper I will consider the significance of vernacular translation of the classics during the Edo period, focusing on translations of Genji monogatari. There were at least twelve such translations of Genji from Edo through into Meiji, not to mention translations of Ise monogatari and Kokinwakashū. The three earliest vernacular Genji’s are: Fūryū Genji monogatari, 1703, by Miyako no Nishiki (1675-?); the translation published as a series by Baiō (dates unknown) between 1707-1710; and Shibun amano saezuri (Murasaki’s Writings in the Gibberish of Fisherfolk, 1723) by Taga Hanshichi (dates unknown). I will consider who the intended readers of these translations might have been, and discuss the terminology used by each translator to describe their work.
著者
片山 きよみ 上村 文子 舛井 雅子 柳田 惠理子
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.12, pp.39-64, 2008-12-26

初級教科書の作成を初めて2年半、ようやく「試用版」の完成にこぎつけることができた。新学期からの試用を前に、ここで一度、これまでの作成過程を振り返ってみることによって、今後の課題をさぐりたい。 私達が目指したのは、熊本で学ぶ留学生に「日本語でコミュニケーションするときに必要な文法」を教える教科書作りである。初級レベルの学習者が「話す」のに必要な文法項目は何か、従来の初級教科書の文法項目の見直しから始めた。何を教え、何を教えないか、どのような順序で提示するか、さらに、その文法項目を各課でどう教えるか、内容についての検討を重ねてきた。このような試行錯誤の過程の中で、私達がこだわった点、作成の方針にした点などを整理し、新教科書の概要と特徴を示した。最後に、参考資料として、「試用版」で扱う文法項目一覧および主用教科書との対比表を付けておく。
著者
を あ
出版者
東京動物學會
雑誌
動物学雑誌
巻号頁・発行日
vol.1, no.11, 1889
著者
大谷 剛 山本 道也
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.43-76, 1985

第1報の行動目録(OHTANI,1985)にある主要な行動型について,生態学的な側面から分析を試みた(行動型のリストはTable1).観察したフィールドは北海道大学の構内(Fig.1)で,そこで個体追跡したのは31個体である(Table2).私たちが採用した「1個体追跡法」では特別な記録用紙(5秒間隔のスケールが横1列に60個並んで5分,全体で1時間のもの)を用いている.記入の手順は次のとおり:観察している個体の行動が変化したとき,すばやく時計の針の位置を確認,続いて記録用紙の相当する場所に縦線を入れ,すばやく行動型の略号を書き入れる.「結果および論議」では7節に分けたが,まとまりのある結論に至ったところで,「まとめ」を挿入した.これが斜体で書かれたS-1-S-11である.S-1:オスは白っぽい植物上で休息し,メスは産卵植物上で休息する傾向がある.Table3にはモンシロチョウが休息したときの植物とその回数を示してある.世代ごとに雌雄の休息回数の比率を比較してみると,S-1の傾向が読み取れる.S-2:オスはメスよりも高い位置で休息する.Table3の第3グループは白っぽい植物でも産卵植物でもないが,オスが多く休息するのは丈の高い植物,メスは低い植物の傾向がある.そこで,雌雄各1個体で休息位置の高さを測定(目分量)した例をTable4にまとめた.同じ植物(アカザ,C.album var. centrorubrum)でもS-2の傾向が明らかである.S-3:吸蜜の際,オスはメスよりも花にとどまる時間が短い.吸蜜植物に関する情報はTable5に集めた.吸蜜した回数(V)と総時間(D)に分けてある.各世代のものを総合して平均吸蜜時間(D/V,右端の欄)を出すと,S-3の傾向が認められた,詳しく見ていくと,S-1,S-2の傾向も存在する.S-4:飛翔(FL)の継続時間は,産卵メス,非産卵メス,オスで大きく違い,また,メスの越冬世代(G_h)では第一,第二世代(G_1,G_2)より長くなる傾向にある.Fig.2に飛翔の継続時間の分布を示した.探雌飛翔(Ff),逃避飛翔(Ef),移動飛翔(Wf)の3つは記録紙から分けて取り出すのがかなりむずかしいので,Fig.2では混ざったままになっている.オスの飛翔の大半はFfなので,30秒以上のものが多く,非産卵メスでは,あまり動く必要がないので,短いWfが多いと考えられる.産卵メスでは産卵植物への移動がやや長いWfを必要とする.「吸蜜→飛翔」(Fig.2右)の場合は「休息→飛翔」(Fig.2左)の場合より花から花への短い移動を含むので,分布は左側に偏っている.メスの越冬世代の飛翔時間の長さには春の植物の少なさが関連すると考えられる.S-5:飛翔オスは白っぽい物体に引き付けられる.飛翔中のオスは,枯れ葉・タンポポの綿毛・ネギぼうず・ビンの白い蓋など白っぽいものに興味を示して近づき,ときにはちょっと触ったりする.S-6:個体間行動をみると,若い個体は飛翔中の反応が多く,老齢個体では休息中の反応が増える.とくに,老齢メスでは尻あげ反応(Ae)が増加する.Table6は,個体間行動の観察回数を日齢別にまとめたものである.追尾(Ch/),被追尾(/Ch),回転(Gy),上昇飛翔(Af)という飛翔中の行動,および,飛び立ち反応(To),傾き反応(Le),尻あげ反応(Ae),翅閉じ反応(Wd),はばたき反応(Ft)という休息中の反応は,それぞれ雌雄とも日齢を7日で分けると,違いが出てくる.S-7:上昇飛翔(Af)は若い雌雄によって行なわれ,これが若いメスの羽化地からの移出につながるものと考えられる,すなわち,若いメスは老齢メスよりAfをするので,定住的なオスに追い出される格好となる.Afの情報はTable7にまとめた.♂11を除くと,雌雄ともAfをした平均日齢は3.6日であり,時間も午前中が多い.表の右側はAfの前後の行動の流れ.Ch→Af→FLの形をとることが多い.また,Afのあと視界から消えた4例も示してある(→oversighted).S-8:メスは,接近してくるオスに気づかれなくとも,翅閉じ反応(Wd)と傾き反応(Le)をする.生スが気づいて25cm以内に接近すると,メスは尻あげ反応(Ae)に切り替える.休息しているメスに頻繁に見られる3つの反応が引き起こされる距離をTable8に示した.3つの反応に属さないわずかな動き(twitching)と反応があるべき距離の無反応(no response)も示してある.WdとLeの翅の動きがAeと全く違うので,どちらの反応にすべきか迷う場合もあると考えられる.不完全な反応の例を()内に示したが,Aeの不完全なものは完全なものより遠い距離で生じているので(中央値,5.4cm:19.3),判断の迷いが現れたものとみなした.S-9:個体間行動が生じる頻度は,3つの世代ともオスの場合の方がメスよりもずっと多く,オスの活動性の高さを物語っている.各行動型の頻度を世代で比べると,総個体数の変化(G_h<<<G_1≧G_2)と必ずしも一致しない場合がある.G_1とG_2のオスの行動に差があると予想される.個体間行動ではS-8で見たように日齢で影響が出るので,少ない老齢個体データを省き,世代間の違いをTable9(不活動時の個体)とTable10(飛翔時の個体)に分けてまとめた.各世代の比較は,Gの観察総時間を1.00としたときの比を他世代で出し(Table9,10のm),それで観測数を割ったもの(括弧内の数値)で行なった.また,総観測数に対する%でも比較した.S-10:交尾中に接近してくるオスは交尾時間を引き伸ばす原因となるが,飛来するオスが少ないうちは,交尾オスのはばたき反応(Ft)は追い払う効果をもつ.交尾に関する情報は,1976年のデータが少なかったので,1980年に同じ北大構内,1981年に長崎県北松浦郡田平町で追加したものを一緒にしてTable11に示した.交尾を邪魔された指標として,はばたき反応の回数(NFt),結合飛翔に飛び立った回数(Nbf),結合飛翔の総時間(Dbf)を調べたが,交尾時間(DC)との相関係数はNFtが最も高かった(r=0.9055).しかし,NFtが25以下の18例で相関係数を出して見ると,r=0.2825となり,ほとんど相関はないといえる.これを,25以下ならはばたき反応が飛来オスを追い払っている結果と解釈した.Fig.3の写真は,SUZUKI et al.(1977)が報告したスジグロシロチョウの「求愛ホバリング」に似たものとして掲げた.S-11:メスは多くの卵をつぎつぎと広い範囲に産んでいくが,G_2のメスではこの傾向が弱くなる.17個体のメスの産卵についてはTable12に示した.1時間当たりの産卵数(A),1回の産卵行動(El)に費やされた平均時間(B),1時間当たりのElの数(C),1回のElに産まれた卵の平均数(D),1時間当たりの「空産卵」の数(E)を調べ,AとB-Eとの相関係数(CC)を一番下に示した.CとDの間は,1回のEl中に産まれた卵数(1-14)で,それに相当する1時間当たりの例数である.1回のElで1個しか産まないときより,2個,3個と産む場合の方が相関係数が高い.つまり,Elを始めたとき,何個も産む個体の方が多くの卵を産むようである.また,A,B,Dについて世代の集計のところを見ると,G_2の数値がG_h,G_1と違っている.以上のS-1-S-11を踏まえ,総合考察をして,Fig.4に仮想的なモンシロチョウの生活をまとめた.オスの生活はほとんどすべて「メス捜し」にあてられている.しかも,できるだけメスに近いものに引き付けられるために,メスの次によく似ているオス同士で引き合うことになり,これが前から知られている「オスの定住性」につながるものと考えることができる.一方,メスは交尾のときオスに出合うだけでよく,交尾以外のオスをなるべく避けるようにしている.つまり,「オス避け」または「交尾避け」生活である.そして,若いメスは上昇飛翔(Af)でオスを避ける傾向にあり,その結果メスは羽化地をどんどん離れていくことになる.そして,老齢になるに従い,尻あげ反応(Ae)でオスを避けるようになるので,新たな生息地に落ち着くことになる.このように,オスの生活とメスの生活が組み合わさって,メスを初めの生息地から移動させるという構造を作り出し,それが,すばやく多くの卵をばらまいていく移動中のメスの特性とともに,不安定な環境をうまく利用するモンシロチョウの生活を構成している,と考えられる.
著者
湯浅 赳男
出版者
土地制度史学会(現 政治経済学・経済史学会)
雑誌
土地制度史学 (ISSN:04933567)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.1-16, 1966

In the middle of the eighteenth century, France was defeated in the commercial war in world market by England because of the overwhelming inferiority of hers national productivity. This fact gave an severe impact to the ruling class in France and forced it to try a reform of the socio-economic system of the Kingdom in order to elevate industrial potentiality. For example, Bertin, minister of Louis XV, endeavoured to realise a modernisation of feudal agrarian system, namely, division of commons, abolition of open field system, free trade of corn etc.. The establishment of the Creusot, a big modern iron foundry, in Middle France was an important part of this ambitious policy, too. At that time, the iron industry in this country was technically so traditional that it had no capacity to adapt itself to the immense demand of the new policy. For it depended exclusively upon charcoal and waterpower yet. Therefore, De Wendel, a famous noble manufacturer, planned to construct a factory of new model whose technology was imported from England, where coaks and steam-engine were made use of. Of course, this enterprise needed big money ; then several financiers were syndicated. Nevertheless, it necessitated too enormous a capital for them to provide all. Accordingly they demanded the aid of the King. But Wendel's and his collaborators's efforts were rendered very difficult with the grave financial crisis in the pre-revolutionary period. At last they was obliged to establish this enterprise as a joint-stock company that was novel in this field. As it was explaned above, the Creusot was built in accordance with a modern model in technological and financial forms. But when we analyse it radically from the point of view of comparative economic history, it is clear that the social meaning of this establishment is found in the self-reform of the absolute monarchy and the feudal ruling class in order to maintain their domination. Hence, it was overdowned in the highest stage of the revolutionary process.
著者
謝 孟春 小高 知宏 小倉 久和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第49回, no.人工知能及び認知科学, pp.235-236, 1994-09-20

GAがランダムな確率的探索と区別されるのは、操作論的には交叉や突然変異といった遣伝的操作と、理論的には染色体の優秀な断片の結合と成長が進化の主役であるとするビルディング・ブロック仮説である。しかし、GAの数学的基礎はまだほとんど確立していないため、ビルディング・ブロックそのものをどのように表現するか、その形成と成長が世代とともにどのように進化していくのか、よくわかっていないのが現状である。本研究では、ナップザック問題を対象に、世代を通じて伝えられる遺伝情報がどのように存在するか、また遺伝的操作が進化の過程においてどんな役割を果しているかを検討する。