著者
遠藤 智司
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.145-150, 2020 (Released:2020-12-08)
参考文献数
7

"What solvent should I use?" This is a question environmental chemical researchers and practitioners often ask themselves in the laboratory. This article presents basic concepts of solvent selection, grounded in understanding of intermolecular interactions between solvent and solute molecules.
著者
阿部 己和 梶谷 満信 瀧山 武
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-6, 2021 (Released:2020-12-24)
参考文献数
10

ガソリンエンジンの安定限界制御に関する研究の歴史は非常に長く、その多くは過去のサイクルの燃焼変動率を制御してきた。しかし、次サイクルの変動率を予測できれば、リーン限界を向上させることができると考える。そこで、本論文では燃焼圧センサーを用いたIMEP変動率の予測方法を提案する。
著者
松平 文朗 北村 中也 山田 秀則 藤本 泉 荒井 美香 軽部 裕代 柳田 顕郎
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.230-235, 1998
参考文献数
11
被引用文献数
2

リンゴ未熟果実抽出物(ポリフェノール)の歯垢抑制効果をみるため,洗口液を使ったランダム化比較対照試験を行った。対象は19〜20歳の女性20入で,3日間の歯磨きを禁止し,4日目に歯垢の付着を検査した。歯垢付着はDebris Indexの変法で点数評価した。試験法は試験液と対照液を参加者にランダムに割り付け,試験参加者にも検査者にもマスク化した二重マスク法で,さらにクロスオーバー試験として比較検討した。その結果,対照液での洗口と比較して,試験液での洗口には歯垢付着の抑制効果を認めた(p<0.05)。
著者
鈴木 雅之 荒俣 祐介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.92.19051, (Released:2021-01-31)
参考文献数
38
被引用文献数
4

The purpose of the present study was to develop a scale for measuring motivation in school-based extracurricular activities/clubs based on organismic integration theory, and to examine the relationship between students’ motivation and instructors’ leadership. In study 1, 304 high school students completed the questionnaire. The results of an explanatory factor analysis identified 5 factors: intrinsic regulation, identified regulation, introjected regulation, external regulation, and non-regulation. In study 2, 870 high school students completed the questionnaire. The results of multilevel analyses indicated that the instructors’ leadership to maintain interpersonal relations and guide club members was positively correlated with students’ intrinsic regulation and identified regulation, and negatively correlated with their non-regulation. Furthermore, the results indicated that students’ perception of their instructors’ leadership to maintain interpersonal relations and guide club members was positively correlated with students’ intrinsic regulation and identified regulation, and negatively correlated with their non-regulation.
著者
塩原 みゆき 川端 博子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.732-738, 2019-09-25 (Released:2019-09-25)
参考文献数
4

先行研究では,ストッキングあるいはタイツ単独で,着用による空隙率の増加によって,UV 防御を完璧に行うことが出来ないことが明らかとなったため,本研究では,サンスクリーン剤併用でのレッグウエアのUV 防御能を調べた.サンスクリーン剤単独では,平均して規定量の半量程度しか塗布されていない実態を考慮すると,実際には表示のSPF に達していないことが分かった.サンスクリーン剤を規定量の25%塗布してストッキング等を併用することで,全ての試料でUPF15 以上になり,UV 防御能を有するようになる.さらに規定量の50%塗布で,全ての試料でUPF40 以上のExcellent Protection になる.サンスクリーン剤単独の場合より,ストッキング等を併用することで,1 ランクUV 防御能が上昇する効果が得られることが分かった.
著者
仲地 律雄
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.172-180, 1988
被引用文献数
1

部分てんかん患者にみられる二次てんかん原性焦点の形成機序を研究するために16匹のネコを用いて, 原焦点側 (一次側) 腹側海馬破壊 (5匹), 正中離断 (6匹), 一次側脳弓破壊 (5匹) が扁桃核キンドリング形成に伴う反対側扁桃核への転移現象に及ぼす影響を検討した。<BR>1) 腹側海馬破壊では, 歯状回から海馬錐体細胞に向かう苔状線維がほぼ完全に破壊されていたネコ4匹で転移形成が阻止されたが, 部分破壊に留まった1匹では転移がみられた。<BR>2) 正中離断では6匹中3匹で転移形成が阻止されたが, 脳梁・海馬交連の離断範囲とは一定の関係がなく, この3匹ではいずれも一次側脳弓が完全に破壊されていた。<BR>3) 脳弓破壊では, 一次側脳弓がほぼ完全に破壊されていた4匹で転移形成が阻止されたが, 部分破壊に留まった1匹では転移がみられた。<BR>以上の成績から, 一側扁桃核キンドリングの反対側同部への転移現象に海馬が重要な役割を果たしていると考えられ, 海馬遠心路のうちでは海馬交連を介する経路よりも脳弓を介する経路が重要と考えられた。
著者
笹野高嗣 庄司 憲明 栗和田 しづ子 三條 大助 Takashi Sasano Noriaki Shoji Shizuko Kuriwada Daisuke Sanjo
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.46-52, 1995-06
被引用文献数
1

微小循環系の組織血流の測定にレーザードプラー血流計が広く応用されている。この方法は, 水素ガスクリアランス法など従来の血流測定法とは異なるいくつかの利点を有している。しかしながら, この血流測定法は血流の絶対値を表示しない。そこで本研究では, レーザードプラー血流計を臨床における病態診断システムに応用するための基礎的実験として, 歯肉血流の測定値を水素ガスクリアランス法と比較し, レーザードプラー血流計の表示値の意義について検討した。実験にはネコ4匹を用い, 下顎歯肉の同一部位の血流をレーザードプラー血流計および水素ガスクリアランス法で測定した。歯肉血流を人為的に変化させる方法としては頚部交感神経の電気刺激を用いた。この結果, レーザードプラー血流計では複雑なプリパレーションを行うことなく, 非観血的に歯肉の血流を持続的にリアルタイムでモニターできたのに対し, 水素ガスクリアランス法では, 観血的で, 血流の測定は断続的であり, 瞬時の血流変化には対応できなかった。異なる個体間で測定された測定値については, レーザードプラー血流計の値(mV)と水素ガスクリアランス法の値(ml/100g/min)との間に相関は得られなかった。一方, 各々の血流測定法で算出された血流の変化率については, 両者の間に相関が得られた。以上の結果, レーザードプラー血流計の測定値を絶対値に変換することは困難であるが, 血流の変化率は評価できることが確認された。
著者
谷口 卓也
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.31-37, 2021-02-28 (Released:2021-03-04)
参考文献数
16

Molecular crystals seem rigid, fragile, and lack flexibility. However, in spite of such an appearance, this decade has witnessed flexible responses of molecular crystals, induced by external stimuli such as light, heat, humidity, mechanical force, and so on. Such molecular crystals belong to the family of soft crystals due to the flexible features and the response to gentle stimulus. This article reviews the history and recent advances of photo- and thermo-mechanical soft crystals.
著者
清木 雅雄 上木 茂 田中 芳明 添田 美津雄 堀 裕子 会田 浩幸 米田 智幸 森田 仁 田頭 栄治郎 岡部 進
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.257-269, 1990 (Released:2007-02-20)
参考文献数
31
被引用文献数
33 32

新規化合物Z-103の抗潰瘍剤としての有用性を明確にするため,各種実験胃損傷(ストレス胃損傷,塩酸aspirin胃損傷,histamine胃損傷及び塩酸ethanol胃損傷),並びにmepirizole十二指腸潰瘍モデルに対する作用をラットを用いて検討した.対照薬物としてspizofuroneおよびcimetidineを使用した.Z-103は各モデルに対して用量依存的な抑制効果を示し,特に塩酸ethanol胃損傷およびmepirizole十二指腸潰瘍モデルに:おいてはspizofuroneおよびcimetidineよりは,強い抑制作用を示すことが判明した.さらに胃諸機能に対する作用について検討したところ,in vitro実験において,Z-103は制酸効果および抗ペプシン作用を有することが判明した.また,ethanol胃損傷時における胃粘膜被覆粘液量減少,並びにaspirinによる胃粘膜電位差低下に対して,それぞれ用量依存的な予防作用を有することが判明した.一方,ラット胃液分泌に対しては,高用量(300mg/kg)で若干減少させるが,それ以下の用量では影響を及ぼさなく,また,Heidenhain pouch犬の胃液分泌に対して全く作用を及ぼさないことが明確となった.以上をまとめると,Z-103は,ラット各種実験胃損傷,並びに十二指腸潰瘍モデルに対して著効を示し,その抑制効果は抗分泌作用によるものではなく,若干の制酸効果,および防御因子増強作用(mucosal protection作用,胃粘膜関門,並びにmucus bicarbonate barrierの恒常性維持作用)によるものが主体であろうと考えられる.よって,本薬剤はヒトにおいても防御因子増強型潰瘍治療薬として,十分に期待できるものと考えられる.
著者
壹岐 伸弥 宇都宮 裕葵 山崎 数馬 渡 裕一
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.36, 2010

【はじめに】<BR>臨床において腰痛を訴える患者は多く、原因として椎間板性、椎間関節性、神経根性、筋・筋膜性、靭帯性などがある。治療には体幹の安定性と可動性が重要であるが、今回、健常者を対象に腰痛の有無による骨盤帯周囲の安定性と可動性の差について比較検討した。<BR>【対象】<BR>対象は下肢・体幹に整形外科的疾患既往のない健常者30名(男性:19名、女性:11名)、平均年齢:24.6±3.7歳、平均身長:164.2±8.0cm、平均体重:54.7±9.2kgであった。今回の研究及び報告にあたり、対象者に対し目的・方法について十分な説明を行い、同意を得て実施した。<BR>【方法】<BR>1)骨盤アライメント評価は上前腸骨棘より上後腸骨棘が2~3横指高いものを良群、それ以外を不良群とした(良群:16名、不良群:14名)。2)日常生活における腰痛の有無を腰痛有り群、腰痛無し群とした(有り群: 15人、無し群: 15人)。3) 指床間距離(以下FFD)は立位で体幹を前屈させ、上肢は下垂し、その時の指尖と床との距離を測定した。4)重心動揺は、前方を注視、端座位にて、インターリハ株式会社Zebris PDM-Sを用い、自然座位、右下肢挙上位、左下肢挙上位の3パターンにおいて30秒間測定。また、その間の重心点(center of pressure 以下COP)X軸、Y軸の平均値を求めた。5)データ処理は、腰痛あり-なし群間の1)、3)差、各群の4)についてMann-WhitneyのU検定とWilcoxonの符号付順位検定を用い有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】<BR>1)骨盤アライメントは腰痛あり群がなし群に対して有意にアライメントの不良が多かった。(p<0.05)。2)FFDは腰痛あり・なし群において有意差を認めなかった。3)腰痛あり群では自然座位より左右挙上位ともに有意に重心動揺が大きかった(p<0.05)。腰痛なし群では有意差を認めなかった。重心点は腰痛あり・なし群ともに自然座位、左右下肢挙上位において差を認めなかった。<BR>【考察】<BR>結果より日常生活において腰痛の有る者、無い者と比較し、端坐位での片脚挙上時に重心点の左右差は認めないが、重心動揺は大きく、立位においては骨盤中間位より前傾または後傾位をとる傾向にあった。これら骨盤の前後傾では腰椎の過前弯や過後弯が生じ、腰椎部でのcoupling motionの運動性が増加すると言われている。このことより腰痛を生じる者においては、下部体幹筋群の協調した同時収縮が困難である事、後部靭帯系システムを効率よく利用できていない事、coupling motionの運動性増加が考えられ、日常生活において姿勢保持時や動作時に個々に要求される外力のレベルにうまく対応できず、動作遂行のために腰部の過剰な運動が強いられている事が腰痛の原因と考えられる。今回は、健常者を対象に行ったが、今後は実際の症例において検討し、体幹の安定性と可動性が腰痛に及ぼす影響について調査し、臨床での評価・治療に生かしていきたい。
著者
川橋 範子
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.31-55, 2019

<p>本稿ではジェンダー論的転回(gender-critical turns)が明らかにする日本の宗教研究の問題点を概観し、それらを修正するいくつかの方向性を提示していく。この作業にあたり、筆者と個人的な交流があるウルスラ・キング(ブリストル大学名誉教授)とモーニィ・ジョイ(カルガリー大学教授)という二人のフェミニスト宗教学の開拓者・先駆者(trailblazer)の理論的テクストの重要性を、日本で文脈化していく。宗教はグローバルなジェンダー正義を保障するための重要で積極的な要因となりうる。宗教の象徴力と組織力が強大であるがゆえに、宗教はジェンダー平等に敏感なものへと再構築される必要があると主張していく。結論部では、宗教と女性の主体を巡る近年の言説の陥穽とそれが日本の宗教研究に及ぼす個別の影響について考察する。</p>