著者
樋口 勇夫
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 言語・文化篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; LANGUAGE and CULTURE (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.11-49, 2015-10-31

幾つかのJ-POP広東語カバー曲では,オリジナル曲の楽音の高さを,ある特定の音符だけ個別に変えてあり,それはその音符に対応する歌詞の漢字の声調と関係がありそうである。 拙稿「J-POP 広東語カバー曲における声調の楽音への影響」(1)~(5)にて,1984年から2010年のJ-POP広東語カバー曲,計50曲を例にその様相を探った。本稿ではそのまとめを行なう。
著者
千葉 晃
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.92, 2019 (Released:2019-09-24)

筆者は、2011年3月11日に発生した東日本大震災直後から月末までの岩手・宮城両県太平洋岸のアメダス地点の気温を調査した。この震災直後は体育館や寒い屋外で避難を余儀なくされていた被災者が多く、どの程度の気温であったのかを明らかにしておく必要がある。地震直前の14:40JSTでは0.5〜5.8℃で、直後の14:50JSTでは0.6〜5.6℃であった。16:00JSTに最も低温であったのは宮城県の塩釜で0.0℃を記録した。翌日3月12日に日最低気温が最も低かった地点は岩手県の譜代で-5.6℃、3月31日までも譜代で-6.4℃であった。
著者
大邑 潤三 土田 洋一 植村 善博
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.75, 2010

I 研究目的<br> 北丹後地震は1927(昭和2)年3月7日(月)18時27分、京都府北西部の丹後半島を中心に発生したM7.3の地震である。震源の深さは極めて浅く、震央は旧中郡河邊村付近であると推測されている。丹後半島地域の被害が最も激しく、全体で死者2,925人、負傷者7,806人、住宅被害17,599戸であった。<br>本地震では郷村地震断層近傍の峰山町で約97%、山田地震断層近傍の市場村で約94%という高い住宅倒壊(全壊)率を示しており、地震断層近傍の地域ほど住宅倒壊率が高い一般的傾向であると言える。<br>しかしこれまで住宅倒壊率に関して小地域レベルでの詳細な検討がされてこなかった。そこで今回小地域レベル(大字)での分析を行った結果、一般的傾向にあてはまらない集落の存在が明らかとなった。本研究ではこれらの地域が一般的傾向に当てはまらない原因について、地震断層からの距離や地形・地盤などの観点から考察する。〈BR〉II 被害分析の結果 今回大字別の被害分析を行うにあたって『丹後地震誌』(永濱1929)の大字別被害統計を採用した。ここから各集落の住宅倒壊率の状況を示した地図と、地震断層からの距離と住宅倒壊率の関係を示した相関図などを作成した。これから総合的に判断して_丸1_地震断層辺遠で倒壊率の高い集落、_丸2_地震断層近傍で倒壊率の低い集落の2種類に分類し表1の通り抽出した。尚、山田断層周辺の集落に関しては比較・抽出が難しいので今回は割愛した。<br>相関図による分析を行った結果、地震断層からの距離と住宅倒壊率との関係は全体的に一般的傾向を示しながらも、かなり散らばる形となった。また比較する集落数の違いはあるものの、郷村地震断層下盤側の被害率が高い傾向にある事も明らかとなった。 <br>作成した地図から郷村地震断層の変位量と住宅倒壊率との関係を分析した。変位量の大きな郷村地震断層中部の被害率が高く、変位量が小さくなる南に移動するに従って被害率も低くなる傾向にあることを確認できた。<br>次に、表1に示した郷村断層東側分類_丸1_の仲禅寺などの4集落は、いずれも島津村の集落である。中でも仲禅寺・島溝川直近には仲禅寺断層が走っており、住宅倒壊率が高い原因が活断層による地質・地盤構造の急激な変化にある可能性が考えられる。また同じく島津村の掛津・遊両集落は砂丘地形に立地している。西側_丸1_浜詰村浜詰は浜堤上、木津村上野は砂丘周辺に立地しており、砂質地盤が倒壊率に大きく影響していると考えられる。<br>以上、地震断層辺遠で住宅倒壊率の高い集落は、いずれも地質・地盤状況に強く影響されていると考えられる。活断層の存在や地質・地盤状況が住宅倒壊率にどれほどの影響を与えたか、ボーリングデータなどからより詳細に分析する必要がある。またこれら特徴的な被害が発生した原因を地質・地盤のみに限定して求めることなく、盛土や建築物の構造など様々なレベルや視点から分析する必要性を感じる。
著者
土橋 豊
出版者
学校法人 甲子園短期大学
雑誌
甲子園短期大学紀要 (ISSN:0912506X)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.57-67, 2014-03-25 (Released:2020-02-20)
参考文献数
20

要 旨 マバリーの分類体系により整理した結果、日本で栽培される有毒植物として83科、193属、298分類群が抽出できた。最も有毒植物を多く含む科は、属数ではマメ科で14属、分類群数ではナス科とキンポウゲ科において21分類群であった。これらの中には食用植物34種が含まれていた。本報告は、市民園芸、園芸療法、園芸福祉、園芸教育における園芸活動において、有毒植物による事故軽減のための基礎的情報となると考えられる。
著者
古川 典代
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 文学部篇 = Journal of the Faculty of Letters, Kobe Shoin Women's University : JOL (ISSN:21863830)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-16, 2014-03-05

「文化は経済力の強いほうから弱いほうへと流れていく」という。日中間の音楽のカバー情況からしても、過去には日本の流行曲が数年後に中国語(北京語、広東語、台湾語)にカバーされることが多かった。ところが昨今は、カバーソングに時差が無くなった。日本で流行っている曲がネットの活用により同時期に中華圏でも中国語で流れるようになった。さらに近年では、中国語曲の日本語カバーも散見されるようになり、一方通行だった文化の流動が、時差なく双方向となった。これは両国にとってより豊かな音楽シーンを味わえるという意味で福音である。2007 年から始まった「全日本青少年中国語カラオケ大会」および、2010 年から始まった「西日本地区中国語歌唱コンクール」においては、出場者の選曲がこれまでに多かったカバーソングから、現地の若者に人気の楽曲へと変遷し、同時代同時並行で日本人の若者にも歌われるようになった。かくも情報がワールドワイドに流れ、中国語の歌が溢れるようになった現況においては「中国語で一曲!」はもはや日常のワンシーンと言える。本稿では日中カバーソングの歴史と変遷、歌による語学教育の効用および歌をテーマとした語学学習テキストの日中比較を論じる。
著者
小島 伸之
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-47, 1998-07-06 (Released:2017-07-18)

本稿は、1899年(明治32年)宗教法案の評価を再検討するものである。先行研究における法案の評価は二つに分かれている。すなわち、宗教団体の自治権に変わって政府の直接把握をも射程に入れた宗教統制法だとする立場と、一定の範囲で教派宗派の自治を認め原則として政教分離の主義に立つ法律とする立場の二つである。この評価の違いは、法案の「教会」「寺」「教派」「宗派」規定の理解が鍵になっている。そこで、本稿は「教会」「寺」「教派」「宗派」規定を、条文と議会の議事録の分析によって実証的に検討した。その結果、法案は法人格取得のための許可ないし自治団体としての認可を求めているにすぎず、宗教上の結社一般については許認可を求めていないこと、教派宗派による自治を前提として、「教派」「宗派」と「宗教委員会」規定を置いていることなどを論証した。その結果、前者の立場は取り難いことが明らかになった。
著者
後藤 昌義 池田 佳津子
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.129-139, 1984

周知のように心臓拍動の本体は古くHippocrates (B.C.460-370) 以来の疑問であり, プネウマ説ほか諸説があったが, いずれも前近代的な学説であり, 実験科学的な追究はやはりHarvey (1628) の血液循環の発見以後に始まったといえよう。この17世紀以後の研究は心臓拍動の神経原説neurogenic theoryと筋原説myogenic theoryの論争をめぐって展開された。神経原説はWillis (1664) に始まるといわれ, 彼は心臓に至る神経を発見, 骨格筋におけると同様に心臓の収縮もこれを支配する神経の働きによると考えた。しかし一方, 骨格筋の収縮が筋の直接刺激でも出現することを見出したHaller (1754) は心臓へ還流する血液の伸展効果が心房拍動の原因であり, 心房収縮による心室の血液充満が心室収縮の原因と考え, いわゆる筋原説を提出した。<BR>Stannius (1852) がカエルの洞, 房, 室各部の結紮実験を行った頃は神経原説の最盛期であって, Claude Bernardが頸部交感神経の切断でウサギ耳血管の拡張を見出し, 血管収縮神経を発見した歴史的な年でもあり, Stanniusの実験結果も当時は静脈洞のRemakの神経細胞が自動能を支配し, 下位の神経節では自動能が弱いと, 現在の筋原説とは異なった神経原説で説明されていたようである。<BR>今世紀初めの田原 (1906) の房室結節, 刺激伝導系の発見, KeithとFlack (1907) の洞房結節の発見にひきつづき, 数多くの筋原説支持の研究があったが, CoraboeufとWeidmann (1949) の心筋へのマイクロ電極法の導入により, はじめて細胞レベルでの心筋自動能の筋原説が確証されたといえよう。以来, 細胞膜電位, 膜電位固定下の膜電流, 単一分離心筋における膜電位と膜電流, 単一イオンチャネルsingle channelの追究へと研究は飛躍的に発展し, 自動能の本態についても詳細な所見が明らかにされてきた。本総説では正所性または異所性自動能についての最近の進歩を紹介するとともに, その回顧と展望を試みたい。
著者
吉見 憲二
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.155-165, 2017

<p>2014年に行われた第47回衆議院議員総選挙では、多くの候補者がTwitterやFacebookに代表されるソーシャルメディアを利用し、自身の選挙運動に活用していた。一方で、日本ではネット選挙解禁から日が浅く、その利用傾向や有効性の検討に関する研究の蓄積はまだ少ない。また、新聞記事等では政党ごとの利用傾向が取り上げられることが多く、個々の候補者に着目した研究は定性的なものを除いてこれまであまり見られなかった。</p><p>本研究では、著者が独自に収集した候補者のTwitter 投稿データを用いて、選挙期間中の候補者の利用傾向を実証的に検討する。特に、事前の利用実績が選挙期間中の利用にどのような影響を与えているのかに着目し、付け焼刃でのソーシャルメディア利用の問題点について明らかにする。</p>
著者
小森 桂子 友井 理恵子 望月 千枝 丁 元鎭 桝 喜惠 杉本 直俊
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.713-720, 2011 (Released:2012-12-10)
参考文献数
28

Chemotherapy induced nausea and vomiting (CINV) is one of the most frequent adverse events in cancer patients receiving chemotherapy. Thus, preventing CINV is the key to maintaining the QOL of patients. As aprepitant, a powerful oral prophylactic for CINV, has been recommended for this purpose since it came on to the market, we retrospectively examined the adverse events induced by this drug in 36 patients (Control group 20, aprepitant group 16) with gastric cancer who received combination chemotherapy with S-1 and CDDP between November 2009 and October 2010 at Osaka Medical Center for Cancer and cardiovascular Diseases.We examined the different types of adverse events, including emesis and hiccups, all of which were presumably induced by chemotherapy, and evaluated each of them using CTCAE v3.0 JCOG/JSCO. This confirmed the effectiveness of aprepitant against CINV both in the acute phase and delayed phase. Our results suggested that QOL was mostly improved by it, though the incidence of hiccups was higher than before. Therefore when aprepitant is given with CDDP and DEX, measures such as administering metoclopramide should be taken against hiccups.

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出版者
カモミール社
巻号頁・発行日
no.362, 1973-05
著者
池田 浩 森永 雄太
出版者
産業・組織心理学会
雑誌
産業・組織心理学研究 (ISSN:09170391)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.171-186, 2017 (Released:2019-08-05)
被引用文献数
1

The purpose of this study was to develop a scale measuring multi-faceted work motivations in Japanese organizations. It also sought to verify the scale’s validity and reliability. In study 1, items of the scale were developed based on Barrick, Stewart, and Piotrowski’s (2002) work on a prior scale, and included additional content on motivational aspects of learning. These items were further elaborated and examined in preliminary investigation to determine whether each reflected three core dimensions: directivity, persistence, and strength. In study 2, web surveys comprising the items were administered to 600 Japanese employees whose responses were later analyzed. An exploratory factor analysis was performed to ascertain the scale’s validity and reliability, which revealed 4 factors: accomplishment, competition, cooperation, and learning-oriented motivation. In study 4, a longitudinal survey was administered to 300 Japanese employees to determine test –retest reliability and relationship between work motivation and job performance. The results generally supported the reliability and validity of the multi-faceted work motivations.
著者
内藤 明 北野 庸子 飯田 政弘 石田 克紀 坂井 真 古賀 慶次郎
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.63-67, 1999-02-27 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10

人工内耳装用者における語音聴取能への影響因子と考えられる使用電極数と刺激部位および刺激範囲について検討した。 対象は音入れ2か月以上を経過した成人の人工内耳装用者で22本の電極がすべて使用可能な症例に行った。 方法は使用電極数を減少させた場合と刺激部位および刺激範囲を変えた場合の語音聴取能成績を求めた。 その結果, 使用電極数が1つおき10対使用時で語音聴取能の低下は認められず, 刺激範囲を狭くした場合に明らかな低下を示した。 したがって, 語音聴取能への影響因子として使用電極数だけでなく刺激範囲の影響が示唆された。
著者
青山 修三
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.59-62, 2015-10-25 (Released:2019-04-10)
参考文献数
8

札幌市内で6月と7月に捕獲したヤマトゴキブリ成虫雄5個体と雌9個体集団飼育し,本種の産卵・幼虫の孵化状況と 孵化幼虫の越冬に関する実験を行った.卵鞘数,孵化率,孵化幼虫数はいずれも8月が最多であり,卵期間は短かった.1齢幼虫での越冬は極めて難しいが,2齢から4齢幼虫では越冬できることから,札幌の野外環境で十分な定着が可 であることが示唆された.
著者
小坂田 ゆかり 谷口 陽子 松浦 拓哉 岡地 寛季 塩尻 大也 渡部 哲史 綿貫 翔 丸谷 靖幸 田中 智大
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2019

<p>水文・水資源学若手会(以下,若手会)は2009年から活動を開始し,主に水文・水資源学会に所属する博士課程学生や若手研究者を中心に構成されている研究グループである.これまで本若手会は,分野を超えたネットワークの構築を目的として他分野交流を中心に活動を行ってきた経緯がある.そして,当時若手会の中心であったメンバーが徐々に学位を取得していくにつれ,水文・水資源学に関わる若手〜中堅の研究者,技術者のコミュニティWACCA(Water-Associated Community toward Collaborative Achievement)といった新たな先進的研究グループも本若手会から発足している.今年度の本グループ活動では,学位取得後も続く他分野交流や学際性の取得を目指して,学位取得前の若手の間でも継続した活動の基盤づくりを行うことを目指した.もちろん学生は自身の研究テーマを深めることが重要であるが,今後はより学際性が求められていくことに加え,学生のうちから様々な分野の同世代と意見交換・議論を行うことで,学位取得後にも役立つ幅広い視野とネットワークが得られると考えた.これらの背景,目的を踏まえ,本要旨では,本年度我々若手会の活動について報告する.</p>
著者
登張 真稲 首藤 敏元 大山 智子 名尾 典子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.167-177, 2019
被引用文献数
3

<p>The first purpose of this study was to confirm whether the cooperativeness of adolescents comprises the following three aspects: finding better solutions for self and others, cooperating with others, and concurring with others. Three factors describing these concepts were extracted from the data of three surveys conducted with university and senior high school students. The revised version of the Multifaceted Cooperativeness Scale was developed based on this three-factor solution. The revised scale consists of three subscales: collaborative problem-solving, cooperation, and harmoniousness. The second purpose of this study was to examine the relationship between these subscales and activity and creativity, using two types of the Big Five Scale and the Creativity Scale. The following assumptions were made: collaborative problem-solving correlates with activity and creativity; cooperation correlates with activity, but not with creativity; and harmoniousness correlates negatively with activity and creativity. Another survey conducted with university students generally supported these hypotheses and verified the construct validity of the revised Multifaceted Cooperativeness Scale. The results also indicated that harmoniousness was related to neuroticism.</p>