著者
山縣 亮介 石原 久代
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.915-923, 2016

<p><tt>フォーマルウェアは社会的側面から欠かせないが,その基準は曖昧であり,最近のフォーマルシーンでの若者の服装の乱れが指摘されている. そこで,フォーマル性評価に関与する要因を探るためにデザイン,柄,服装色についてフォーマル性の高い要因と低い要因を抽出し,それらを組み合わせたデザイン画32 種を作成し,SD 法10 形容詞対の官能検査を行った結果,フォーマル性には被覆度と服装色が大きく影響した. また,デザイン画と実際の服装評価との関係をみるために,3 種の実物製作を行い,モデルに着用させ,その着装画像を4D-box により赤,黄,黒,白の無地に色彩変換し,加えて同色のドット柄と花柄の計30 試料を作成し,先と同様の官能検査を行った結果,フォーマル性にはデザインが最も大きく関与し,色彩ではデザイン画での評価は黒が,実物では白が大きく関与した.しかし因子分析の結果は類似しており,フォーマル性,あたたかさ,力量性の3 因子が抽出され</tt><tt>た.</tt></p>
著者
藤井 伸二
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.67-72, 2009-05-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
36

近畿地方北部におけるオナモミ属3種(イガオナモミ、オオオナモミ、オナモミ)の相対的な過去の変遷について、植物標本に基づいた調査を行った。その結果、オナモミの1950〜1960年代の急速な減少とその後の絶滅、オオオナモミの1950年以降の優占化、イガオナモミの1980年代の急速な勢力拡大は大阪湾を起点にした河川沿いの内陸部への侵入によって起こったことが明らかになった。近縁種群の過去の変遷を知る上で、植物標本の情報を活用することの有効性が示された。
著者
角田 直也 金久 博昭 福永 哲夫 近藤 正勝 池川 繁樹
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.192-199, 1986-08-01 (Released:2010-12-10)
参考文献数
11
被引用文献数
11 3

本研究では, スポーツ選手89名 (短距離5名, 長距離10名, バレーボール8名, サッカー12名, ボート22名, スピードスケート16名, 相撲16名) と一般男子14名を対象に, 大腿四頭筋 (MQF) とそれを構成する大腿直筋 (RF) , 外側広筋 (VL) , 内側広筋 (VM) , 中間広筋 (VI) の各断面積における種目差および等尺性脚脚伸展力 (KES) との関係について検討し, 以下の結果を得た.1.MQF断面積は, 相撲 (110.18cm2) が最も高く, ついでスピードスケート (104.09cm2) , バレーボール (99.36cm2) , ボート (96.30cm2) , サッカー (89.92cm2) , 短距離 (86.34cm2) の順であり, 長距離 (73.86cm2) が最も低い値を示した.短距離および長距離を除く他の種目は, 一般人 (75.32cm2) より有意に高い値であった.2.MQFを構成する各断面積は, 相撲, バレーボール, スピードスケートが高い値を示し, 短距離と長距離は, 一般人とほぼ同様な値であった.3.大腿部の全筋断面積に対するMQF断面積の比率は, バレーボール (58.66%) およびボート (57.53%) が高く, サッカー (53.81%) が低い値を示した.しかし, MQF断面積比率は, いずれの種目も一般人との間に有意な差を示さなかった.4.MQF断面積に対する各構成筋群の断面積比率では, サッカーがRFで, スピードスケートがVLで, それぞれ一般人および他の種目より有意に高く, 種目によって特異的に発達する筋が認められた.5.MQF断面積とKESの間には, 0.1%水準で有意な相関関係が認められた.またMQFを構成する各断面積も, KESと0.1%水準で, 有意な相関関係にあり, 断面積が大きな筋ほど, 相関係係数が高くなる傾向が認められた.6.MQF断面積当りのKESは, サッカー (8.97N/cm2) が最も高く, バレーボール (7.10N/cm2) が最も低い値を示した.サッカーのMQF断面積当りのKESは, 一般人 (8.06N/cm2) および長距離 (7.31N/cm2) より5%水準で, バレーポールと相 (7.50N/cm2) より1%水準で, それぞれ有意に高い値であった.サッカーを除く他の種目間の値には, 有意な差は認められなかった.
著者
白井 徹郎 笠尾 昌史 井上 清
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.284-290, 1997-05-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
16

心室性不整脈発生と自律神経機能, 特に交感神経活性との関連については以前から注目されているが, 自然発作時における交感神経活性の意義については未だ充分に明らかにされていない.そこで非持続性心室頻拍 (NSVT) およびtorsade de pointes (TDP) 出現前のRR時間および心拍変動を分析し, これら不整脈発生に及ぼす交感神経活1生の影響と予後との関連につき検討した.検討は1) NSVT84例においてNSVT1日出現回数, 最大連発数, 先行洞調律RR時間, 先先行洞調律QT時間, 連結時間等のNSVTに関連したあるいはNSVT出現に関連したHolter心電図所見と長期予後との関係, 2) NSVT21例のNSVT出現前における心拍変動スペクトラル解析からみた交感神経活性と予後との関連, 3) Holter心電図にて単形性NSVTとTDPを頻回に記録し得た二次性QT延長例での心拍変動とTDP発生との関連の3点につき行った.その結果NSVT84例中5例で心臓性急死 (SCD) を認め, これらの先行RR時間は特発性の予後良好例に比し有意に短く, 交感神経活1生優位の状態でNSVTが出現していたと推定された.NSVT出現前10分間でLow frequency power/High frequency power (LF/HF) 比が有意に上昇した交感神経関与群9例では, 非関与群12例に比しVTrateは有意に高く, SCDあるいは心室細動発生率が高い傾向にあった.いずれの検討においても予後不良例は陳1日性心筋梗塞あるいは拡張型心筋症の重症基礎心疾患を有していた.二次性QT延長例においてはVT出現前6心拍においてshort-long-shortサイクルを繰り返しつつその程度が強まるcascade現象を示し, 且つVT開始時のVTrateが高いとTDPになりやすい傾向を認めた.このVT開始時のVT rateの亢進は交感神経活性優位の状態を間接的に示していると考えられた.基礎に重症心疾患があり, NSVT発生に交感神経活性が関与している例でのVT rateは高く, 予後不良となる可能性が示唆された.二次性QT延長例ではcasoade現象を認め, VT開始時に交感神経活性優位の状態にあるとTDPが出現しやすいと考えられた.
出版者
天業民報社
巻号頁・発行日
0000
著者
北 真人 銭 潮潮 此島 健男子 中安 正晃 辻本 哲郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.189-201, 2020
被引用文献数
1

<p> 令和元年東日本台風は東日本を中心に多量の降雨をもたらした.その中で,首都圏に位置する荒川下流域では氾濫危険水位付近にまで水位が上昇した.さらに大規模な降雨が発生した場合,下流での氾濫発生も懸念され,避難行動の基礎資料としてより雨量を増加させたデータが必要となる.本研究では,WRFを用いた海面水温操作による降水量の変化とその影響分析の結果と併せて,再現性の結果について報告する.その結果,ピーク時刻や雨量に差異があるものの全体的な降雨波形については再現していた.そして,海面水温の増減に対応して降水量も増減することを確認した.この理由として,気圧場の変化に伴う台風経路の変化や水蒸気フラックスの増減に加え,荒川流域上流域の地形効果が要因であることが分かった.</p>
著者
濱田 昌司
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.136, no.10, pp.699, 2016

<p>先斗町は三条と四条の間を鴨川に平行に走る石畳の小路で,北端には歌舞練場があり,一見さんお断りのお店も多く並ぶ,京都でも有数の観光名所・花街である。鴨川に納涼</p>
著者
飯田 克実
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.98-103, 1965-09-30 (Released:2017-07-07)

(1)那系4号の種子を8月下旬から翌年の9月下旬まで,ほぼ15日おきに播種して,発芽と生育および収量を調査した。(2)発芽や生育と気温との関係を,日平均気温で示すのは必ずしも最良のものではなく,最高および最低気温や有効および無効温度などの考え方も必要である。しかし,便宜的に日平均気温を指標として用いると,暦日で整理するよりも合理的である。(3)発芽は日平均気温6〜23℃がよく,12〜26℃が発芽期までが短かい。5〜20℃の発芽期は,播種後の積算日平均気温が約110〜130℃なる日であった。5℃以下の播種は著しくおくれ,24℃上以の播種は発芽が悪かった。(4)早春の節間伸長は,播種期の早いほど暦日では早かった。しかし,約1cmになるまでの発芽後日数は,早播きほど長かった。(5) 7月までの合計収量は早播きほど多く,8〜10月上旬播はa当たり1.8〜1.5トンの生草をえた。1カ年間の合計収量は8月播が最も多かった。1日当たりの収量は8〜10月播と2〜3月播が多く,11月中旬〜1月中旬播は少なかった。(6)日平均気温が約5℃以上のときに生育量の増加,10〜20℃で旺盛な生育,20〜25℃では高温ほど生育不良,25℃以上で著しい夏枯れをおこした。その結果,4〜6月は生育旺盛で生産効率が最も高く,ついで10〜11月の生育もよく生産効率も高かった。なお,1〜2月は生育が停滞し,7月中旬〜8月は生育不良であった。(7)粗蛋白質含有率は多肥栽培のため,何れの刈取期でも著しく高く,播種期の差は明らかでないが,6月の刈取では早播区はやや低かった。(8)イタリアンライグラスの上手な栽培は,春と秋の2回ある生育適温を有効に利用して生産効率の高い多収をあげることであり,初秋に日平均気温が25℃以下になれば,できるだけ早播きすることでるあ。
著者
KyoChul Seo
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.1348-1351, 2017 (Released:2017-08-09)
参考文献数
22
被引用文献数
3

[Purpose] The purpose of this study was to examine the effect of a dance music jump rope exercise on changes Pulmonary Function and body mass index in female overweight subjects in their 20’s. [Subjects and Methods] The subjects were randomly assigned to the dance music jump rope exercise group and the stationary cycle exercise group. All subjects have conducted the exercises three times a week for four weeks. Pulmonary function was evaluated using a spirometer, and body mass index was evaluated using an InBody 3.0. [Results] The findings of this study showed significant improvements in the voluntary capacity and body mass index of the experimental groups. Vital capacity was higher in the music jump rope exercise group than the stationary cycle exercise group, and body mass index was lower in the music jump rope exercise group than the stationary cycle exercise group. [Conclusion] This study showed that the dance music jump rope exercise can be used to improve vital capacity and body mass index.
著者
青木 康彦 龔 麗媛 野呂 文行
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.87-102, 2019-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
41

自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder, ASD)児の療育指導において社会的関わりによる強化は重要であると考えられるが、一部のASD児においては社会的関わりが強化子として機能していない可能性が指摘されており、社会的関わりを条件性強化子とする成立率が高い方法の検討が必要である。本研究では、ASD児、発達障害児や定型発達児を対象とした研究における年齢、診断、条件づけの方法、中性刺激の種類、強化子の種類、中性刺激の種類と強化子の種類の組み合わせごとに条件性強化子成立の差異を検討し、ASD児における条件性強化子成立の条件を検討することを目的とした。条件づけを実施した26篇の研究を対象に、「年齢」、「診断」、「条件づけの方法」、「中性刺激の種類」、「強化子の種類」ごとに条件性強化子の成立率を算出した。また、中性刺激の種類と強化子の種類の組み合わせにおける条件性強化子の成立率を算出した。その結果、年齢、診断、中性刺激、強化子の種類ごとに条件性強化子の成立率に差がみられた。また、中性刺激の種類と強化子の種類の組み合わせでは、ある中性刺激との組み合わせで条件性強化子成立率が高い強化子刺激であっても、別の中性刺激との組み合わせでは条件性強化子の成立率が低い場合がみられた。今後、ASD児にとって社会的関わりが強化子として機能するために、社会的関わりと組み合わせる強化子について検討する研究が多く実施されることが望まれる。
著者
長久保 光明
出版者
Japan Cartographers Association
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.32-40, 1969-09-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1
著者
今原 広次 伊東 泰美
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.10-14, 1982-08-15 (Released:2010-08-06)
参考文献数
16

Tyrosinase activity was manometrically assayed by measuring the rate of Oxygen consumption in dopa-substrate with Warburg's apparatus.The inhibitory effect to tyrosinase with Placenta Extract was tested through the above method and 20 percent to the original activity was inhibited by Placenta Extract.Furthermore, the activity of this enzyme was measured in tyrosin-substrate by the same method and at the initial step of the reaction, 60 Percent to the original activity was inhibited by Placenta Extract.From the above results, we recognized that the reaction processed from Tyrosin to Dopd was extremely inhibited by Placental Extract.
著者
西尾 久美子 NISHIO Kumiko
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.69-78, 2008-12

350年継続する京都花街では、どのようなマーケティング・マネジメントがおこなわれているのか。それは、いったい何を大事にしてきたから、今日まで継続できたのだろうか。本稿では、リレーションシップ・マーケティングのフレームワークを用いて、日本の伝統産業である京都花街の一見さんお断りの取引慣行を分析し、お茶屋を中心とする取引仕組みが、顧客満足度を高め複数の事業者の取引を円滑にするとともに、事業者の提供するサービスの質そのものを高めていることを指摘する。そのうえで、おもてなしというサービスの提供に特化した地域産業が、複数の事業者間の競争と協働により、長期継続的な顧客との関係構築を志向していることを考察する。
著者
青木 康彦 野呂 文行
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.25-32, 2019-03-31 (Released:2019-10-01)
参考文献数
18

本研究では、自己刺激行動が多くみられ、食べ物、玩具を強化子とした随伴ペアリングによって、称賛の条件性強化子が成立しなかった自閉スペクトラム症児に対して、自己刺激性強化子を産出する玩具を強化子とした称賛の条件づけを実施し、その効果を検討することを目的とした。指導では、標的行動が生起した際に、日常生活で聞いた経験の少ない称賛コメントと自己刺激性強化子を産出する玩具を同時に与えた。その結果、自己刺激性強化子を産出する玩具を強化子とした随伴ペアリング後において、12ブロックの間、称賛は強化子として拍手の生起頻度を高めた。また、随伴ペアリングを行なっていない他の行動についても、ベースライン期よりもペアリングⅡ期後の称賛期で生起頻度が高いという結果が得られた。本研究の結果から、自己刺激性強化子を産出する玩具を強化子とした称賛の条件づけの有効性が示唆された。