著者
李 有姫 武井 明日香 岡田 雅 上田 晃一
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.115-120, 2020 (Released:2020-07-01)
参考文献数
11

リストカットによる瘢痕は,度重なる受傷により広範囲の瘢痕となる。精神安定後も,瘢痕に対する社会的なマイナスイメージのために精神的苦痛が継続するため治療が望ましい。色調や質感の再現のために隣接組織による再建が望ましく,ティッシュ・エキスパンダー(以下TEとする)は手術法の選択肢の一つと考えられる。上肢の皮膚伸展は困難であるが,われわれの考案したラムダ切開を用いることで伸展皮膚を効率的に展開でき,最大限に利用することができる。そこで当科で治療したリストカット後瘢痕の5症例,6部位について検討した。筋膜上にTEを挿入し,全症例に1~4ヵ所のラムダ切開を加えた。TE挿入による合併症として血腫,TEの破損・露出・移動などを認めたが,ラムダ切開を加えたことによる血流障害等の合併症は認めなかった。TEで治療した傷は術後広がりやすい印象であり,十分なfull expansionの期間が必要であると考える。
著者
横山 順一 カンノン キップ 仏坂 健太 伊藤 洋介 茂山 俊和 道村 唯太
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2020-08-31

重力波を用いた宇宙物理学の研究を包括的に展開します。具体的には、①独立成分解析によってノイズを効率的に除去し、KAGRAによる重力波の初検出を目指します。②連星ブラックホールの質量分布関数とパルサーの周期擾乱で観測される長波長重力波背景放射を用いることにより、予想外に多数存在することがわかったブラックホールの正体を明らかにします。また、③連星中性子星合体については、マルチメッセンジャー宇宙物理学において、光学対応物となるガンマ線バースト及びキロノバの物理過程を数値相対論によって明らかにすると共に、r過程元素合成を計算し、銀河の化学進化の観測と照らし合わせて、金や銀などの起源を明らかにします。
著者
内藤 久貴 谷口 広祐 朴 真実 中島 健
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.135-141, 2020-09-30 (Released:2020-10-25)
参考文献数
12

超高齢社会を迎えた日本において,今後,高齢者の顎口腔領域における重症感染症を経験する機会は増加する可能性がある。顎口腔領域の感染症では,咀嚼筋群や舌機能を規定する舌骨上筋群への炎症波及により,摂食・嚥下機能の低下をきたす恐れがあるが,当領域での感染症治療後に舌機能の定量的な評価を行った報告はきわめて少ない。舌圧測定は慢性的な筋力低下のある高齢者や脳血管障害,神経筋疾患患者の口腔機能評価に用いられている侵襲の少ない評価法である。そこでわれわれは,顎口腔領域の感染症治療後に舌圧測定を実施し,舌機能が摂食・嚥下機能に与える影響を定量的に評価した。 症例は,86歳女性で右側顎下部の重症感染症にて当院に救急搬送された。気道狭窄および右側口底蜂窩織炎に対し,全身麻酔下で気管切開術,口腔外切開排膿消炎術を行った。術後創部洗浄を継続し消炎確認後,舌圧測定を行ったところ16.0 kPaと低値を認めた。このため,舌圧強化目的に間接訓練を実施し,定期的な舌圧評価を行った。その結果,舌圧が次第に上昇し,食形態をペースト食から常食まで段階的に上げていくことができた。以上のことから,顎口腔領域における重症感染症の治療後は低舌圧を併発する場合があり,摂食・嚥下機能に影響する可能性が示唆された。また,その客観的評価に舌圧測定が有効であると考えられた。
著者
仮屋園 璋
出版者
活水女子大学
雑誌
活水論文集 (ISSN:02888610)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.17-22, 1974-03

長崎市内のカステラの品質について,保水度や硬さ,比容積の変化及びスポンジ状組織の切断面の状態,Batter生地の泡立ち性などこれらを包含した組織的性状や材料配合の適正そしてデンプン,タンパク質成分等の栄養的消化性など,三つの面より立体化し追究した一つの機構から,その本質を考察し,即ち品質的にすぐれているということは,どのような意味を持っているのか,又一般にカステラの特質というものは何であるかを考察した。主材料の一つである鶏卵卵白をはじめとして,適切な均衡ある諸材料の配合による,丈夫で安定した良く分散された泡立ちの良い,Batter生地の形成において,保水度の高い老化しにくい新鮮な香味の,スポンジ状組織構造が形成され,消化性の高い製品が得られる。品質的にすぐれているというのは,以上のそしてその為の一連の総合された要素によって構成される,一つの立体的機構により知ることが出来る。特にカステラが食品として所在し又それが嗜好される為には,卵白や糖類を中心とした適切な均衡ある諸材料の配合が必要である。ここにおいてカステラとしての品質に基づく特質が存在する。
著者
清浦 雷作
出版者
京都帝国大学
巻号頁・発行日
1942

博士論文
著者
川又 英紀
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.858, pp.44-49, 2014-04-17

楽天のRFCには二つの役割がある。一つは楽天自身がネット販売する商品の物流機能であり、もう一つは楽天市場の店舗が利用する楽天スーパーロジである。前者は楽天ブックスや傘下のケンコーコム(2014年1月には日用品のネット通販「楽天24」を統合)に代表され…
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1601, pp.26-30, 2011-07-25

満足度指数マイナス35.4(回答者265人)──。「ネット通販」の分野で、「楽天ブックス」が、本誌の調査で過去最低のスコアとなった。これは回答者のうち「やや不満」または「不満」と答えた人が62%に及ぶという内容だ。 楽天ブックスは、楽天がじかに手がけるオンライン書店。単行本やDVD、CDなど200万点を扱う。現在1日約1億円を売り上げ、楽天にとって最大の店舗である。
著者
国士舘史資料室
出版者
学校法人国士舘
雑誌
楓厡 : 国士舘史研究年報 (ISSN:18849334)
巻号頁・発行日
no.4, 2012

1 國士館高等拓植學校設立申請認可書類 802 國士館実務學校拓植科ヲ國士館高等拓植學校へ改称ノ件ニ付書簡 1123 國士館高拓便り 1134 國士館高等拓植學校学則及定員改正 1165 國士館専門學校教員無試験検定許可申請書 1186 國士館高等拓植學校廃止認可書 1367 國士館専門學校教員無試験検定許可申請書 1368 國士館松下村塾景松塾紀要 1409 國士館専門學校興亜科新設ニ付学則変更認可申請書 14310 國士館専門學校興亜科廃止ニ付学則変更認可申請書 15411 國士館専門學校学則中変更認可書原本 15812 國士館高等拓殖學校設立認可書 16613 國士館高等拓殖學校新設ニ付徳富蘇峰宛柴田德次郎書簡 17114 國士館専門學校学則中変更認可書原本 17215 國士館高等拓殖學校廃止ノ件開申 177
著者
藤原 卓 福本 敏 星野 倫範
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

DNAワクチンとは,抗原遺伝子を組み込んだ発現ベクターにより生体内で直接抗原タンパクを発現させ,免疫応答を惹起するもので,我々はグルコシルトランスフェラーゼ(GTF)を標的とするDNAワクチンを構築する試みを行ってきたが,免疫反応を惹起する必要なタンパクレベルでの発現にいたらなかった.構造解析を行ってシグナル直下の約350AAの大きさの多型性領域に高い抗原性を決定し、そこを標的とする新たなDNAワクチン(pSecTag2-gtfB、pSecTag2-gtfC、pSecTag2-gtfD)を構築し,そこからさらにアデノウイスルのプロモーターをもつpAFC3をベースとしたDNAワクチンプラスミド(pAFC3-gtfB, pAFC3-gtfC, pAFC3-gtfD)を作成した.1.DNAワクチンの標的部位の抗原性の解析今回作成したpSecTag2-gtfB、pSecTag2-gtfC、pSecTag2-gtfDには大腸菌における発現プロモーターとしてLacプロモーターを持つので、大腸菌を用いてリコンビナントタンパクを発現させて、そのリコンビナントタンパクの抗原性を解析した.E.coli BL21-AI(Invitrogen)に形質転換し,0.2%のアラビノースを添加して発現を誘導した菌体を、抗GTF抗体をもちいてウエスタンブロットにて解析すると、すべてのDNAワクチンプラスミドで抗体との反応が認められたが、pSecTag2-gtfCが最も強く、pSecTag2-gtfBでは誘導されたタンパクの分解傾向が認められた.2.DNAワクチンプラスミドによる抗原タンパクの発現マウス由来293細胞に3種のDNAワクチンプラスミドを感染後、RNAを抽出し、それぞれのgtfに特異的なプライマーを用いてサザンプロットを行った.その結果、pSecTag2-gtfB、pSecTag2-gtfCに抗原タンパクの発現が認められたが、そのバンドはpSecTag2-gtfCが最も明確であった.これらの結果より、GTFに対するDNAワクチンプラスミドとしてGTFCを標的とすることが、最も効果が高い可能性が示唆された.今後は,pAFC3シリーズを用いて,in vitroおよびラット実験齲蝕系を用いたin vivoにおける抗う蝕作用を解析してゆく予定である.
著者
佐々木 酉二
出版者
北海道帝国大学
巻号頁・発行日
1945

博士論文
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.332, pp.80-84, 2003-07-25

川をせき止める堰のわきをすり抜けて,小さなせせらぎが流れている。ヨシノボリやウナギといった底生魚や稚魚が,堰を横目にせせらぎをそ上していく。 ここは埼玉県川本町の荒川に,今年5月に改築された「六堰頭首工ろくぜきとうしゅこう」。頭首工と呼ぶ堰本体を農林水産省が改築したのと同時に,国土交通省が「緩こう配魚道」と「流水改善水路」を併設した。
著者
高澤 英樹 飯塚 信太郎 関 博
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.895-900, 2002

軸引張力と曲げモーメントを受けるRC部材のせん断耐力に関して検討を行った。帯鉄筋なしの供試体12体と帯鉄筋ありの供試体20体についてせん断スパン比,軸引張力,帯鉄筋比,主鉄筋強度をパラメータとして実験を行った。次に,有限要素法による解析を行い,得られた実験結果と照合しその妥当性を確認し,さらにせん断耐力に関するパラメータ解析を実施してせん断耐力式を提案した。
著者
中 久郎
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.113-116, 1993

1 0 0 0 OA 超伝導入門

著者
大塚 泰一郎
出版者
CRYOGENICS AND SUPERCONDUCTIVITY SOCIETY OF JAPAN
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.134-143, 1999-04-25 (Released:2010-02-26)

The understanding of superconductivity has progressed in four stages. During the first period following the discovery of disappearance of electrical resistivity of mercury by Kamerlingh Onnes, attempts were made to understand superconductivity based only on zero resistance. The second period was initiated by the discovery of the Meissner effect. Based on new knowledge of the magnetic property of zero resistivity, phenomological theories were developed and new aspects of superconductivity were uncovered, culminating in the establishment of the BCS theory. The rediscovery of a second type of superconductivity together with flux quantization initiated the third period where fluxons play an active role. The fourth period, which is still in progress, was initiated by the discovery of oxides with dramatically high critical temperatures. All these activities were initiated by Kamerlingh Onnes' brilliant insight leading to the discovery of superconductivity.
著者
束田 大樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.318, 2019 (Released:2019-03-30)

1.研究の背景と目的 1993年に制度が開始された「道の駅」は、当時の建設省によって103カ所の施設が登録されてから、毎年増え続け、その数は2019年1月現在、1145カ所にものぼる。高速道路のSAやPAと同じく、一般道路にも休憩施設を整備することを目的としたため、制度開始当初は道路休憩施設という意味合いが強かった。しかし近年、道の駅は、農産物直売による農業振興、観光拠点としての地域振興、更には地域福祉、交通結節点、防災等の役割も担うようになってきており、地域の核となる施設に変化している。 道の駅は原則、地方自治体やそれに代わり得る公的な団体が設置し、管理・運営は地方自治体、または自治体からの業務委託や指定管理により、第三セクターや地域の民間事業者等が行う。そのため、道の駅は地方自治体それぞれの、道路休憩施設や地域振興に対する考え方や財政事情、土地の特徴がよく表れる施設である。 この研究では、自治体が道の駅を設置した背景と目的、設置をした際の国や県の関与、現在の運営状況を明らかにし、立地による違いを分析することを目的とする。2.対象地域と調査方法 対象地域は、群馬県内の道の駅を設置しているすべての自治体と全32か所の道の駅とする。県北部や西部は山間地域が多くを占め、南部や東部には関東平野が広がるため、山間部と平野部の道の駅を比較するのに適当な地域であると判断したからである。 調査方法は、対象地域内各自治体の担当部署への聞き取りを行い、得られた情報をもとに、各自治体にとっての道の駅位置付けを分析する。そして、対象地域を、過疎地域、特定農山村地域、それ以外の地域(主に平野部)に分け、地域ごとに立地する道の駅の特徴を比較する。3.研究結果 調査結果の中で特に注目されるのは、整備手法、設置の際の補助金、条例の3点である。 道の駅の整備方法は、道路管理者と自治体で整備する「一体型」と、自治体で全て整備を行う「単独型」に分けられる。全国的には「一体型」の方が多いが、群馬県は、「一体型」は32か所中4か所しかなく12.5%と極めて低い。 補助金は、一番多かったのが、農林水産省の農業振興に関する補助金であった。道路休憩施設ではあるが、国土交通省の社会資本整備等の補助金は農林水産省の約半数にとどまった。 条例は、自治体が道の駅を設置する際に制定した条例の「設置の目的」に関する条文に注目すると、農業振興や地域振興が多く、道路休憩を目的として明記している自治体は少なかった。 群馬県の道の駅は「単独型」が多く、自治体が独自で設置しているため、道路休憩よりも地域振興や農業振興を重点化する傾向になると考えられる。地域ごとに比較すると、過疎地域、特定農山村地域の道の駅は、農林水産省から受けた補助金が多く、設置目的も地域振興や農業振興が多い。逆にそれ以外の地域では、国土交通省から受けた補助金が多く、設置目的も道路休憩の意味合いが強い。地域の状況によって自治体が道の駅に求めるものが異なるのである。