著者
松尾 一彦 岡田 直貴 中川 晋作
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.8-14, 2010 (Released:2010-04-28)
参考文献数
16

皮膚の免疫機能を最大限に利用した経皮ワクチンは,注射に代わる簡便で安価かつ非侵襲的な新規ワクチン手法として期待されている.経皮ワクチンにおいては,抗原を表皮組織に存在する抗原提示細胞へと送達する基盤技術の確立が必須であり,その研究開発が精力的に行われている.本稿では,近年の経皮ワクチンデリバリー技術の研究動向についての解説を交えながら,筆者らが独自に開発した親水性ゲルパッチを用いた経皮ワクチンの研究成果について紹介する.
著者
有賀 敦紀 河原 純一郎 渡邊 克巳
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.8, 2008 (Released:2008-11-10)

高速逐次視覚呈示した文字系列中に1000msの時間的な空白(中断)を挿入すると,中断直後で標的同定率が低下する(有賀・河原・渡邊,2007).この結果は,高速呈示状態に対して一旦調節された注意が,系列の中断によって初期状態に戻されたためであると考えられる.有賀らは,中断を挟む文字系列を一連のランダムドット系列に重ねて呈示すると,中断後も注意が維持されることを示した.本研究は,高速逐次系列の連続性の有無を操作し,注意の維持が系列の連続性に依存するのかを調べた.まず,文字系列とそれに重ねて呈示されるランダムドット系列が完全に同期していなくても,注意が維持されることを示した.しかし,中断期間のみにランダムドット系列を呈示すると,中断後の標的同定率は低下した.これらの結果は,注意を維持するためには中断の前後の系列が連続している必要があることを示唆している.
著者
平井章康 吉田幸二 宮地功
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.633-638, 2014-07-02

近年,登場してきた簡易脳波計は携帯可能な大きさであり,装着が簡単で,装着者の行動を制限しない.このため,日常的な使用が可能で,比較的安価で入手し易い利点がある.そこでこの簡易脳波計を用いて脳波情報を取り入れた遠隔教育における指導支援にフィードバックできるシステムの構築を検討している.本論文では昨年の実験で記憶作業に関する反応がlow_γと,ワーキングメモリと呼ばれる短期記憶領域で反応を示しているθ波の2つの波長の関係性を調べ,その特性を利用したサポートシステムを構築,実際に脳波計測において学生の記憶作業中の脳波データの相関関係を実験により比較分析した.その結果,(θ+α)/10とLow_γが同期した波長である事が判明した.またこの2つの波長の特性を利用したプロトタイプシステムを構築し,実験により,(θ+α)/(10×low_γ)がサポートシステムの有無で記憶力の変化が見られた事から記憶の度合いを測る指標として有効であると結果が出た.
著者
王 麒銘
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
慶應義塾大学大学院法学研究科論文集 (ISSN:02863723)
巻号頁・発行日
no.57, pp.53-89, 2017

一 はじめに二 日本人の広東引揚と日本軍の広東攻略(一) 日本人の広東引揚(二) 日本軍の広東攻略三 台湾総督府の占領地統治への協力四 広東省主席と台湾総督の相互訪問(一) 広東省主席の台湾訪問(二) 台湾総督の広東視察五 おわりに
著者
堅田 明義
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.25-38, 2012 (Released:2013-01-25)
参考文献数
61

知的障害児に関する生理心理学的研究は知的障害児の脳波基礎律動の分析的研究から始めた。当時の知的障害児脳波の特徴として,(a)α 波の低周波数化,(b)θ 波の顕著な出現,(c)不規則・不安定な脳波の出現,(d)顕著な個人差が指摘されていた。知的障害児や健常児の脳波を横断的及び縦断的研究から脳波の発達のschema を国内外で提案した。このschema は,従来のα 波周波数の連続的増加に対して,特定成分の交替を特徴とし,また特定成分を生起させるgenerator をそれぞれ有することになる。そこで,特にθ 成分とα 成分の特性の違いを明らかにすることにした。脳波のパワの変動性からθ 波とα 波のgenerator は異なり,かつθ 波のgeneratorはα 波に比べ頭皮上から一層深い位置に関連すると推測した。またθ 及びα 成分の出現の時間的相互関係,光刺激に対する応答性や部位間関係からも両成分の違いを明らかにした。これらから知的障害児脳波の特徴とされた所見のいずれも脳波の発達との関連でみられる特徴であることが指摘できた。結論的には,α 成分が低い周波数成分に対する抑制的役割をしていると想定した。
著者
小出 真理子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

本稿では16世紀頃を中心に、風流踊装束の詳細を時系列にして変遷を追った。その際、近世初期風俗画における風流踊装束の詳細を考察した。天文年間を過ぎるころには、特に囃子方の装束に半臂が現れ始めるようになる。この装束については天文期以降の風流踊、囃子方特有のものと考えられた。その後、永禄初年頃には精細に装束表現がなされ、多彩な変化が見られた。囃子方と中踊の装束については、東博模本に現れた半臂などは本図でも見受けられた。また、笠などの頭頂についた飾り物がより明確に表現されていた。このころから、風流踊装束は、日常着の延長として着用されていたものから当該期特有の装束へと変化してきたといえる。その後、踊衆装束の様相は、より色彩も華やかに、意匠も精細に表現されるようになってきた。囃子方の装束では、やはり半臂を着用している様子が見られ、この様相から囃子方の装束の定型ではないかと思われる。半臂とは礼服の一種であるが、風流踊により近い芸能装束では舞楽の常装束で用いられる半臂を彷彿させ、文献においても、舞楽と風流とのとの関連についての記述が見られることから、本図は、舞楽と関連する風流が描かれていると指摘した。
著者
徳永康元著
出版者
汲古書院
巻号頁・発行日
2010
著者
Takeshi Hatta Kenkichi Imamura Takehisa Yamamoto Makoto Matsubayashi Naotoshi Tsuji Toshiyuki Tsutsui
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.219-220, 2017 (Released:2017-03-24)
参考文献数
15
被引用文献数
1 4

This study presents the results of a large-scale, one-year survey of Trichinella spp. in Japanese wild boars (Sus scrofa). We analyzed the tongues of 1,168 wild boars captured by hunters in 30 prefectures of Japan, most of which were boar habitats, from October 2014 to January 2015. The samples were digested, and the prevalence of Trichinella spp. muscle larvae was examined. Examination of pooled samples from 10 individuals (15 g per head) or 117 randomly selected samples (10% of the total number of samples) that were individually processed showed no larval infection. Thus, our data suggests that Japanese wild boars do not play a major role in the sylvatic cycle of Trichinella parasites.
著者
岩下 哲雄
出版者
THE CARBON SOCIETY OF JAPAN
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.207, pp.78-86, 2003-05-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

X-ray dill faction technique, have widely been ftpplicd for crystal structure charactcniation of carbon materi-als and ga c useful information. Progresses, in computer. were remarkable. which made the measurement cI diffrac-tion intensities and their correction, on di fferent factors easier. It was pointed out, therefore, that the procedures for X-ray diffraction measurements, e to he revised so as to take into account of these progresses in computation. In the present paper, computer analysts of digital data of X-ray diffraction, for instance, determination of lattice constants and crystallite size of carbon materials (Gakushin method) using profile fitting technique and calculation of integral inten-sity in the case of estimation of graphititation degree P1 was reviewed. The measurement conditions to obtain a good digital diffraction data, the procedures of smoothing and intensity correction of diffraction profile were introduced.
著者
小川 恵子 並木 隆雄 関矢 信康 笠原 裕司 地野 充時 来村 昌紀 橋本 すみれ 大野 賢二 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.167-170, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

我々は,腰部脊柱管狭窄症による術後残存症状が漢方治療で軽快した1例を経験した。症例は,69歳,女性。主訴は,下肢のしびれ・冷感・疼痛。67歳時に脊柱管狭窄症と診断され,69歳時に腰椎椎弓除去術および腰椎後側方固定術を受けたが,術後も症状は持続した。また,手術縫合創も完治しなかった。このため,術後26日目に,漢方治療を目的として当科に転科となった。帰耆建中湯加烏頭を投与したところ,下肢冷感は著明に改善した。さらに,縫合創も処方後7日目でほぼ治癒した。帰耆建中湯加烏頭により,脊柱管狭窄症術後の残存症状が改善したばかりでなく,創傷治癒を促進したと推察された。
著者
奥 雅博
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1971, no.21, pp.163-171, 1971-05-15 (Released:2009-07-23)
参考文献数
42
著者
佐保 美奈子 入江 真行 古山 美穂 山田 加奈子 髙 知恵 島田 憲次 松本 富美 位田 忍 小杉 恵 岡本 伸彦 石見 和世 松尾 規左 鶴丸 礼子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

総排泄腔遺残症の思春期女性の学業・就労・恋愛・結婚への支援について研究した。①性の多様性と理解 性分化疾患については、医療者も対応に苦慮しているのが実状で、社会全体で理解促進が必要である。②障がい者の就業支援 排泄障害を持つほとんどの者が上司や同僚からの配慮を必要としている。職場・社会全体の理解促進が必要である。③障がいをもつ女性のエンパワメント 総排泄腔遺残症の女性とパートナーのもつ思いやり・やさしさ・強さなどを社会に発信していきたい。研究成果物として、『膣拡張用樹脂製ダイレーター』『総排泄腔遺残症ってこんな病気』『総排泄腔遺残症の就労支援』『DSDの子どもをもつご家族の皆様へ』などがある。