著者
村山知一編
出版者
文昌堂)
巻号頁・発行日
2001
著者
川添昭二著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
1982
著者
岩本 剛
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.87, pp.225-253, 2017

ベンヤミンのアナーキズムは,個人にのみ暴力行使の権利をみとめ,個人の暴力を神からの贈与=負託として擁護するものだが,暴力批判論は,そのような特異なアナーキズムを詳述した論考として解釈することができる。法的暴力の作動/機能の批判的究明を基調とする同論は,法と暴力の共依存的結合を発生させる神話的=運命的な「法措定」のうちに,法的暴力(神話的暴力)の根源を発見した。ただし,同論に提示された法的暴力の「解任」の理念を,一般的なアナーキズムにいわれる意味での法(国家)の廃絶として一義的に理解することは,解釈としてはいまだ不十分である。隠微な両義性を孕んだ暴力批判論の考察は,法的暴力の「解任」がもたらすやもしれぬアナーキー/未開状態の到来に対するベンヤミンの危倶を明かすとともに,法的暴力の「救出」の理念をはからずも提示している。ベンヤミンは,神の正義が個人に贈与=負託した暴力(神的暴力)を,法における「法措定」の契機を未然に阻止することで,法的暴力の自己目的化した作動/機能を抑止し,法を凋落から救出する暴力として擁護する。
著者
皆川 直凡
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
巻号頁・発行日
pp.200, 2007 (Released:2007-10-01)

日本固有の短詩型である俳句は,五七五の定型を原則とする。俳句を実験室において記憶し,それを検索しようとする場合,上五,中七,下五の順に検索すると考えられる。また,上五のあとに切れがある俳句と中七のあとに切れがある俳句とでは,検索のされ方が異なると考えられる。本研究では,プライミング・パラダイムを用いて,この仮説を検証した。実験参加者(大学院生)に俳句を解説文と共に提示し,理解させた後,プライミング・パラダイムによる実験を行った。各試行では,俳句の上五,中七,下五のうち二つを継時提示し,同じ俳句のものか否かを判断させた。その結果,上五のあとに切れのある俳句を用いた条件では,中七と下五のペアに対する反応が上五と他の句のペアよりも速く,中七のあとに切れのある俳句を用いた条件では,上五と中七のペアに対する反応が下五と他の句のペアよりも速いという,差異が認められた。
著者
Abdulsamad Alsalahi Mohammed A. Alshawsh Zamri Chik Zahurin Mohamed
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:13411357)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.517-526, 2018 (Released:2018-11-01)
参考文献数
42
被引用文献数
9

People consume Catha edulis (khat) for its euphoric effect, and type 1 diabetics have claimed that khat could reduce elevated levels of blood sugar. However, khat has been suggested to provoke diabetes mellitus through destruction of pancreatic β-cells. This study investigated the effect of an ethanolic khat extract on pancreatic functions in type 1 diabetes (T1DM)-induced male Sprague-Dawley rats and to assess its in vitro cytotoxicity in rat pancreatic β-cells (RIN-14B). T1DM was induced in a total of 20 rats with a single intraperitoneal injection of 75 mg/kg of streptozotocin. The rats were distributed into four groups (n=5): the diabetic control, 8 IU insulin-treated, 200 mg/kg khat-treated, and 400 mg/kg khat-treated groups. Another 5 rats were included as a nondiabetic control. Body weight, fasting blood sugar, and caloric intake were recorded weekly. Four weeks after treatment, the rats were sacrificed, and blood was collected for insulin, lipid profile, total protein, amylase, and lipase analysis, while pancreases were harvested for histopathology. In vitro, khat exerted moderate cytotoxicity against RIN-14B cells after 24 and 48 h but demonstrated greater inhibition against RIN-14B cells after 72 h. Neither 200 mg/kg nor 400 mg/kg of khat produced any significant reduction in blood sugar; however, 200 mg/kg khat extract provoked more destruction of pancreatic β-cells as compared with the diabetic control. Ultimately, neither 200 mg/kg nor 400 mg/kg of khat extract could produce a hypoglycemic effect in T1DM-induced rats. However, 200 mg/kg of khat caused greater destruction of pancreatic β-cells, implying that khat may cause a direct cytotoxic effect on pancreatic β-cells in vitro.
著者
川島 眞 加藤 俊之 藤井 千恵 加藤 るみこ
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.488-496, 2018
被引用文献数
1

再発型単純疱疹(口唇ヘルペス,性器ヘルペス)患者に対するファムシクロビル(FCV)の1日治療の有効性および安全性について,ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験で検討した.<br> 本試験では,FCV 1000 mg(FCV錠 250 mgを4錠)又はプラセボを単純疱疹の前駆症状発現から6時間以内に1回目を服薬し,2回目を1回目から12時間後に服薬した.<br> 1134例の患者がFCV群又はプラセボ群にランダム化された後,531例が治験薬を服薬した(Intent-to-treat).主要評価項目はIntent-to-treatからAborted lesion症例を除いた集団373例を対象に解析した.主要評価項目であるすべての病変部位が治癒するまでの時間の中央値は,FCV群で4.7日,プラセボ群で5.7日であり,FCVの1日治療は,治癒までの時間を有意に短縮した(P=0.008).副次評価項目である病変部位のウイルスが消失するまでの時間およびすべての病変部位が完全痂皮化するまでの時間についても,有意に短縮した(それぞれP=0.042,P=0.004).有害事象の発現率はFCV群で19.0%(50/263例),プラセボ群で11.6%(31/268例)であり,重篤な有害事象は発現しなかった.以上より,FCVの1日治療の有効性が検証され,高用量投与による安全性上の問題は認められなかったことから,本治療法は再発型単純疱疹の有用な治療選択肢の一つとなることが示唆された.試験登録番号JapicCTI-163223
著者
山本 悦子 阪上 愛子 澤田 参子 原 知子 東根 裕子 八木 千鶴
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】平成24年から日本調理科学会「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の研究から山海に恵まれ商都として栄えた大阪府内に1960年から70年頃までに定着した家庭料理・郷土料理の「主菜の特徴」を抽出することを目的とした。<br>【方法】大阪府の行政区分、日本の食生活全集「聞き書大阪の食事」の分類を参考に8地域(泉南・泉北・南河内・中河内・北河内・大阪市・三島・豊能)に分け、その土地に30年以上暮らしている27名を対象に聞き書きを行った。<br>調査時期は2013年11月から2015年9月、方法等は学会ガイドラインに則った。<br>【結果】物流や商業の中心地大阪は「天下の台所」とよばれた。昆布は北海道から北前船で大阪・堺の港に入り、かつおぶしは、薩摩・土佐・紀州から入り、「だし文化」が生まれた。だし巻き卵・小田巻蒸し・関東煮(かんとだき)・どて焼き・ハリハリ鍋などは、だしを利用した主菜である。朝食やお弁当のおかずに作るだし巻き卵は、甘い関東の卵焼きに比して、だしの旨みと塩味(淡口醤油)で味つけされる。小田巻蒸しは、うどんの入っただしたっぷりの茶碗蒸しである。大阪の商家では祝膳に出された。鶏肉、えび、なると、干しいたけ、みつば、ゆずなどをを入れる。関東煮は江戸風味の濃口醤油のだしではなく、淡口醤油が主体のすっきりした味である。大阪では具材に鯨の皮の「ころ」や牛すじ肉、タコ、煮込みちくわ、丸天、ごぼう天などが好まれる。どて焼きは牛すじ肉を茹で、昆布だし、白味噌やみりんでじっくり煮込んだ料理。ハリハリ鍋はくじら肉(尾の身・赤身)と水菜だけのシンプルな鍋で、かつお昆布だしに淡口醤油と酒だけで味つけし、さっと煮て食する。大阪のコナ文化の代表である、きつねうどん・お好み焼き・たこ焼きにもだしは欠かせない。
著者
川村 清志
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.165, pp.175-204, 2011-03-31

本稿は、近代日本の地域社会において、「民謡」が生成する一事例として、「こきりこ」を取りあげる。ただし、ここで扱う「民謡」は、前近代から伝えられてきた口頭伝承の一分野ではない。「こきりこ」は、富山県五箇山地方に伝わる民謡として、全国的に知られているが、近代以後にいったん廃れたものが、戦後になって再発見されたという経緯をもつ。その後、この民謡は、地域の保存会によって歌詞や踊りの形態が整えられ、多くのイベントに出演して知名度を増していった。つまり、「こきりこ」は、「伝統の創出」、あるいはフォークロリズム的な側面を色濃くもっているといえるだろう。しかし、ここで注目しておきたいのは、このような「創出」の過程でどのような人的な資源、文献や口頭の資料、多様なメディア網が駆使されたのかということである。それら近代的な諸制度の配置のなかで、この「民謡」にどのような言説が付与され、錯綜し、さらに剥離していったのかを検証することで、「民謡」の近代を考えていくことにしたい。以下では、まず、民謡が生成する背景、あるいは資源として存在していた近世の地誌類などの文献資料と、それらを再解釈して地域の「歴史」を構成しようとする郷土史家の存在に注目する。次に再発見の過程で生じた「民謡」という象徴資本を巡る地域間での競合的な側面を明らかにしたい。逆説的なことだが、これらの競合を通じて、「こきりこ」の踊りや歌詞、由来についての言説は、一貫した歴史性や物語性を獲得していったと考えられる。そのうえで、郷土史家のような地域の側の主張に呼応する中央の研究者の視点や、両者を巻き込みながら展開していった全国規模での民謡のリバイバルを促す運動についても確認することになるだろう。
著者
飯岡 由紀子 梅田 恵
出版者
一般社団法人 日本がん看護学会
雑誌
日本がん看護学会誌 (ISSN:09146423)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.16-26, 2013 (Released:2016-12-13)
参考文献数
15

要 旨目的:本研究の目的は,ホルモン治療中の乳がん女性の苦痛と対処を明らかにし,その看護を考察することである.方法:外来通院にてホルモン治療中の50歳未満の乳がん女性7名を対象に,グラウンデッドセオリーアプローチを参考に質的帰納的研究を行った.半構成的面接の逐語録をデータとし,質的研究者のスーパーバイズのもと分析した.結果:苦痛は7つの大カテゴリー[生活に支障をきたすつらい症状][コントロールできない気分の不安定さ][自分に対する自信の低下][今までとの違いによる混乱][治療継続に対する葛藤][周囲からの孤立感][自分で対応することへの不安]を抽出した.乳がん女性は治療の副作用や混乱,孤立感などを感じており,コアカテゴリーは『つらい症状とコントロール感低下に伴う混乱』とした.対処は6つの大カテゴリー[体と向き合い生活を再構築する][軌道修正しつつ状況に対応する][周囲のサポートを実感する][信じて気持ちを保つ][あがかないようにしてエネルギーを保つ][見通しをもって事前に備える]を抽出した.心の支えを得ながら苦痛に臨機応変に対応しており,コアカテゴリーは『心の支えをもち軌道修正しつつ状況に対応する』とした.結論:ホルモン治療中の乳がん女性は,治療の副作用とともにサバイバーとして自分の生活や社会環境に適応する過程で生じる混乱や孤立感などに苦痛を抱いていた.それらの苦痛に対して,心の支えを得ながら臨機応変に対応していた.
著者
クラ-ク ケネス
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.875, pp.66-69, 1997-01-27

1月上旬来日し大蔵省のほか運輸,郵政各省と意見交換した。日本の「民営化」はその名に値しないほど不徹底だ,と語る。自分が今日本の政治家だったら,ビッグバンを支持する,とも。欧州統一通貨ができたところでシティの地位は揺るがないと自信。