著者
鹿園 直建 綱川 秀夫
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
鉱山地質 (ISSN:00265209)
巻号頁・発行日
vol.32, no.176, pp.479-482, 1982-12-15 (Released:2009-06-12)
参考文献数
24
被引用文献数
1

One sample of adularia from the Hosokura Pb-Zn vein-type deposits gives a K-Ar age of 5.8±0.2 Ma. This age is quite younger than that of the host rocks (Hosokura formation) of Daijima to Nishikurozawa (early to middle Miocene).Two samples of adularia from the different veins of the Sado Au-Ag mine give the K-Ar ages of 14.5±0.5 Ma. and 13.4±0.5 Ma. These ages are 25-15 m. y. younger than those of the host rocks (Odate and Aikawa formation).Summary of the ages of the vein-type deposits and those of the host rocks in the Green tuff region previously studied, including the present data on the Hosokura and Sado deposits, suggests that almost all of the vein-type mineralization in the Green tuff region of north eastern part of Japan took place after the Nishikurozawa stage (14-16 Ma.). This implies that the ages of the vein-type mineralization were later than and/or similar to that of the Kuroko mineralization.
著者
吉村 季織 高柳 正夫
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.149-158, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
12
被引用文献数
9 10

近年,化学データを数学的・統計的手法により解析する「ケモメトリクス」が頻繁に用いられるようになってきた.しかし,日本の大学の化学教育の場ではほとんど取り上げられていない.ケモメトリクスや数値計算の専用ソフトウェアを使うことなく,現在最も普及しているソフトウェアのひとつであるMicrosoft Excel(Excel)の基本機能を用いてケモメトリクス計算を行うことができれば,多くの教育・研究機関で役立つものと思われる.シリーズ5回目は,スペクトルなどの観測データの前処理として用いられる平滑化と数値微分を取り扱う.平滑化や数値微分の代表的手法として最小二乗法を基にしたSavitzky Golay法(SG法)が広く知られている.我々はSG法と同原理の平滑化・数値微分法をExcel上で実行する方法を開発したので報告する.まず,SG法の畳み込み係数に相当する係数を求めるワークシートを作成した.さらにGauss関数を例に平滑化・数値微分を実行するワークシートを作成した.平滑化および数値微分値が,Gauss関数及びその導関数とよく一致していることを確認した.本法の平滑化・数値微分係数と,SG法の畳み込み係数を比較し,両者が等しいことを示した.また,畳み込み係数表の誤りも見出すことができた.これらの結果によって,本方法が平滑化・数値微分法として有用であると示された.

2 0 0 0 OA 記号の限界

著者
中島 弘二
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.176-179, 2003-03-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1
著者
坂田 俊文
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.5, pp.732-737, 2019-05-20 (Released:2019-06-12)
参考文献数
14

耳閉感とは「耳がつまった」,「耳がふさがった」,「何かに覆われた」などと訴えられる聴覚異常感である. 外耳疾患, 中耳・耳管疾患だけでなく, 内耳疾患, 後迷路疾患でも発現し得る. 多くの症例では耳閉感以外の症状や諸検査によって比較的容易に診断できる. 一方, オージオグラムで低音障害を示すものと無難聴例では確定診断が得られ難いことがある. 容易に診断がつかない場合には, 耳管機能不全と急性低音障害型感音難聴の可能性を継続的に観察する. 耳管機能不全では鼻すすり型を含めた耳管開放症を診断するため, 耳管閉鎖処置や耳管開放処置などを行いながら, 耳閉感の変化や鼓膜所見の変化を観察する. また, 急性低音障害型感音難聴は自覚症状があってもオージオグラムが正常な時期があるので, 純音聴力検査で低音障害を捕らえるまで一定期間観察する. また, 低音障害がある場合はグリセロールテストも有用である. ちなみに低音障害の気骨導差は伝音障害と感音障害の鑑別に必ずしも有用でない. これらのほかに診断しにくい疾患としては, 上半規管裂隙症候群, 乳突蜂巣内の慢性炎症, 顎関節症などがあり, 慢性的な感音難聴も耳閉感の原因となる. 耳閉感を訴える患者の中には診断困難な例や, 診断できても難治な例があり, 少なからず QOL を悪化させる. 耳閉感の早期改善や完全消失が困難な場合には, 疾患に対する十分な説明が必要であるほか, 認知行動療法の要素を取り入れた診療, TRT 療法など耳鳴治療に準じた対応が有用な例がある. 聴覚補償が必要な難聴があれば, 補聴器適合が望ましく, 耳閉感を克服しやすくなる. 耳閉感の苦痛が強い患者は, 少なからず失聴恐怖や破局視などを抱えていることがあるので, 適切な情報提供により正しい認知が得られるよう導くことも大切である.
著者
上島 幸枝 北村 清一郎 巽 哲男 合田 光男 尾崎 朋文 森 俊豪 松岡 憲二 金田 正徳 竹下 イキ子 西崎 泰清 熊本 賢三
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.317-328, 1994-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13

13遺体の26側を用い, 鎖骨, 胸鎖乳突筋, および前頸部下半の4経穴 (気舎, 欠盆, 水突, 天鼎) と, 胸膜頂の体表投影部位との関連を明確にした。胸膜頂の上端は鎖骨より上方 (頭方) に突出した。上端は, 内外方向には胸鎖乳突筋胸骨頭起始部の外側端(CL3)と鎖骨頭起始部外側端(CL5)の間にあり, 上下方向には水突穴より下方 (尾方) で鎖骨頭起始部内側端(CL4)より上方 (頭方) に位置した。胸膜頂の外側端は鎖骨上縁より下方 (尾方) にあった。外側端は, 内外方向にはCL4と欠盆穴の間にあり, 上下方向にはCL5より下方 (尾方) で鎖骨胸骨端上端(CL2)より上方 (頭方) に位置した。胸膜頂の内側端は, 両方向ともにCL2と胸骨上点の間に位置した。一方, 鎖骨より上方 (頭方) に突出する胸膜頂の体表投影域は, 全例で水突穴, 水突穴からおろした垂線と正中線との交点, 胸骨上点, 鎖骨の半肩幅内側1/3 (CL5にほぼ対応) の4点をつなぐ四角領域に含まれた。
著者
上島 幸枝 北村 清一郎 巽 哲男 合田 光男 永瀬 佳孝 尾崎 朋文 森 俊豪 松岡 憲二 金田 正徳 竹下 イキ子 西崎 泰清 堺 章
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.212-220, 1989-06-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14

17遺体を用い, 天突穴, あるいは天突―肩峰間線を基準にした胸膜頂の体表投影部位を調べた。天突―肩峰間線の実長は左右共に平均185mm, 上方への角度は右22度, 左23度, 後方への角度は右が23度, 左が25度であった。右側胸膜頂は, 天突穴を通る前額面上で, 最大限には天突穴の外方0~58mm, 上方へは44mmより下方に存在した。左側ではこれらの値は各々5~58mmおよび49mmであった。一方, 天突―肩峰間線を基準にすると, 胸膜頂はその内側約1/3の範囲に含まれ, 上端は天突穴から約1/4離れた位置で, 最大限にはその上方35 (右) または32mm (左) の高さにあった。
著者
樋口 義治
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.20-21, 2014-02-01 (Released:2015-05-22)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

The effectiveness of β-blockers in the management of chronic heart failure has been widely validated. Patients with simple hypertension are not good candidates for β-blockers. β-blockers should be used for complicated cardiovascular diseases, including coronary artery disease, heart failure, and arrhythmia.
著者
山口 誠
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.111-125, 2017 (Released:2020-01-13)

本論文は、J. アーリとJ. ラースンが著した『観光のまなざし』第3版(Urry & Larsen, 2011 加太訳 2014)のうち、第1版(Urry, 1990 加太訳 1995)および第2版(Urry, 2002)と比較してみえてくる、新しく加筆された議論と変更された論点の2点に照準し、その意図と可能性を検討することで、観光研究の新たな論点を構想する。第一に、同書の第3版では「観光と写真」をめぐる議論が加筆され、その第7章では写真術のアフォーダンスが、第8章ではパフォーマンスが中心的に論じられることで、アフォーダンスとパフォーマンスの相関において具体的に現象する観光のモビリティを分析するための新たな方法論が提起されている。第二に、第3版では集合的まなざしをめぐる議論が大幅に増加し、その派生型とされるメディア化されたまなざしが注目されることで、観光のまなざしの解釈学的循環が重要なテーマとして浮上したといえる。そして、これらの加筆された論点の可能性を尽くさずに後期近代におけるリスク社会論(U. ベック)へ水準を変調させていった第3版の最終章を批判的に検証し、改めて後期近代論と観光研究を接続することで、後期観光と集合的自己という論点を提示し、観光研究の新たなテーマを模索した。そうして今日の再帰的な後期観光では、個人の外部にひろがる世界ではなく、その内部に潜む自己こそが目的地であり、集合的まなざしの共有によって集合的自己を追体験することがアトラクションの一つになっている状況を指摘した。
著者
Takahiro Matsuo Osamu Takahashi Kazuyo Kitaoka Hiroko Arioka Daiki Kobayashi
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.5872-20, (Released:2020-12-07)
参考文献数
52
被引用文献数
20

Objectives We examined the prevalence of burnout among resident doctors and its relationship with specific stressors. Methods We conducted a nationwide, online, cross-sectional survey in Japan with 604 resident doctors in 2018-2019. Participants and Materials Participants completed the Maslach Burnout Inventory-General Survey to evaluate burnout and provided details of their individual factors and working environmental factors. Chi-square tests and t-tests were conducted for categorical and continuous variables, respectively. The association between burnout and resident-reported causes of stress, ways of coping with stress, number of times patient-safety incidents were likely to occur, and individuals who provide support when in trouble was analyzed using logistic regression analyses after controlling for confounding variables. Results A total of 28% met the burnout criteria, 12.2% were exhausted, 2.8% were depressed, and 56.9% were healthy. After adjusting for sex, postgraduate years, type of residency program, marital status, number of inpatients under residents' care, number of working hours, number of night shifts, number of days off, and resident-reported causes of stress-excessive paperwork (odds ratio [OR]: 2.24, 95% confidence interval [CI]: 1.32-3.80), excessive working hours (OR: 2.75, 95% CI: 1.24-6.04), low autonomy (OR: 3.92, 95% CI: 2.01-7.65), communication problems at the workplace (OR: 2.24, 95% CI: 1.05-4.76), complaints from patients (OR: 6.62, 95% CI: 1.21-36.1), peer competition (OR: 2.22, 95% CI: 1.25-3.93), and anxiety about the future (OR: 2.13, 95% CI: 1.28-3.56)-were independently associated with burnout. The burnout group had more reported patient-safety incidents that were likely to occur per year (>10) (OR: 2.65, 95% CI: 1.01-6.95) and a lack of individuals who could provide support when in trouble (OR: 1.83, 95% CI: 1.01-3.34) than the non-burnout group. Conclusions This study described the prevalence of burnout among residents who responded to our survey. We detected an association between burnout and resident-reported causes of stress, patient-safety incidents, and a lack of individuals who provide support when in trouble. Further interventional studies targeting ways to reduce these concerns are warranted.
著者
丸山 宏二
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖学雑誌 (ISSN:03859932)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.145-154, 1991-09-25 (Released:2008-05-15)
参考文献数
32

マストミス Praomys(Mastomys)couchaの膣垢周期と発情周期の連関性を検討し,膣垢により判定した発情周期および妊娠期の各時期における血漿progesterone濃度の消長を追究して以下の成績を得た.1.成熟非妊娠マストミスの大半(70%)の発情周期では,多数の白血球と有核細胞から成る膣垢(LN期)が6~9日間隔で1~3日間にわたり出現した.LN期の2日前には小型の有核および角化細胞に白血球の混在する膣垢が,前日には有核および角化細胞のみから成る膣垢がそれぞれ観察され,LN期出現後は白血球主体の膣垢に移行した.排卵検査の結果,LN期出現の2日前,前日および1日目は,それぞれ発情前期(PE),発情期(E)および発情休止期第1日目(D1)に相当するものと判断された.2.PEおよびEが各1日,Dが5日間から成る7日周期中の血漿progesterone(P)濃度は,E以後増加してD1に頂値となり,D3には基底値に減少し,7日周期で形成された発情周期黄体からのP分泌は3日以内に減退することが知られた.3.Dが11~13日間持続する長周期のD7のP濃度は高く,7日周期D1の1.8倍で,この動物の示す長周期が偽妊娠である可能性が示唆された.4.妊娠中の血漿P濃度は,妊娠1日目から5日目にかけて増加し,以後7日目にかけて減少して12日目までは低く推移したが,13日目以後胎盤徴候の出現に一致して再び増加し,15~19日目にプラトー値に維持された後,分娩日にかけて急減するという二峰性の変化が観察された.
著者
大竹 孝司
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.56-65, 2002-08-30 (Released:2017-08-31)

This article reviews some basic issues on spoken-word recognition, focussing on the mechanism of speech segmentation and a role of prosody. First, the mechanism of speech segmentation is discussed with reference to the rhythmic hypothesis. Second, the role of prosody in spoken-word recognition is discussed with the illustration of the phoneme activation model. It is argued that unlike the prosody in English and Chinese, the prosody in Japanese is involved with the selection of words in mental lexicon.
著者
和 吾郎 藤田 真二 東 健作 平賀 洋之
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.13-26, 2013-07-10 (Released:2015-02-25)
参考文献数
35
被引用文献数
1

2004年8月と2005年9月に物部川上流域で発生した大規模山腹崩壊に伴う濁質の流出特性の変化を明らかにするため,2001~2011年における下流部の濁質負荷量,濁度と流量との関係(C-Q関係),アユ河川定着期(6~9月)の濁水(濁度10度以上)の発生日数の経年変化を調べた。山腹崩壊が発生した2004年以降,物部川の濁質負荷量,出水時の濁度上昇率(C-Q式の傾き),濁度10度以上の日数は山腹崩壊前(2001~2003年)に比べて増加し,その状況は2007年まで認められた。近年の濁質流出の動向について,2010年と2011年の濁質負荷量は,これら2ヶ年より降水量が少なかった2006年の50%以下まで減少した。一方,2009年以降,濁度10度以上の日数は再び増加傾向を示し,2011年では2006年の70日間に次ぐ54日間を記録した。以上のように,物部川の濁質の流出特性は大規模山腹崩壊を契機として高濃度濁水の発生及び濁水長期化が認められる状況に変化した。近年では高濃度濁水の発生は抑制されつつも,アユへの影響が懸念される水準の濁水は依然として高頻度で発生し,濁水長期化が継続している。