著者
杉原 厚吉 伊理 正夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.962-974, 1987-09-15
被引用文献数
12 8

ソリッドモデラにおける最も重要な問題の一つは 図形の交差判定である.図形要素が非常に接近したとき 数値計算の誤差が図形の交差の順序を逆転させることがある.このような誤った判定に基づいて図形を操作すると たとえば立体の表面の表と裏が部分的にひっくりかえったりして システムの暴走の原因となる.これを防ぐために 従来のシステムでは"非常に接近した図形要素は同じ位置を占めているとみなす"という便宜的処理にたよっており 暴走を完全に防ぐことはできていない.本論文では 計算誤差による交差判定の誤りを完全に防止できる多面体モデラの一設計法を提案する.これは 最近 数値計算や計算量の理論などの分野で認識され始めている "有限の桁数で表された原始データを厳密に正しいものとみなすと それを用いた計算結果の符号判定もやはり有限の桁数の計算で厳密に行うことができる"という"新しい観点"を利用したものである.まず この観点からソリッドモデラにおける図形の表現法・操作法をみなおす.そして 多面体を構成する各面の方程式の係数を唯一の基礎的データとみなし すべての図形操作をこのデータにさかのぼって行うことにより 基礎的データの5倍の精度の計算で上の目的を達成できることを示す.また 予備的な計算実験例もあわせて報告する.
著者
浦川 宏 綿岡 勲
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

諸外国からの商品と差別化できる繊維染色加工技術の開発をめざし、インクジェット染色法における基礎研究から技術開発までの一連の検討をおこなった。従来の蒸気で蒸す染料固着の代替として、2枚の熱した鉄板で固着処理をおこなう乾熱固着法での染色機構を明らかにし、天然染料では処理時間の短縮だけでなく従来法よりも濃色に染めうる手法であることを見いだした。またインクジェットを用いた天然染料の金属媒染の検討もおこなった。

1 0 0 0 OA みなのために

著者
コイトランド女史 編
出版者
教文館
巻号頁・発行日
1937
著者
森山 郁子 植田 充治 赤崎 正佳 一條 元彦
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.769-775, 1982-06-01

ヒトの妊娠22週および分娩時における臍帯血を採取し,また,それらの新生児血液を採取し,総アミノ酸量(FAA)を測定し,また,タウリン(T)に注目してその量を測定したところ,胎生期においてはFAAは母体血より高く分娩時に低くなり,以後新生児では一定の値を示したが,Tのみは他のアミノ酸に比べて高い値を示した.臍帯血のT重は胎生期に高く分娩時に次第に低くなり,新生児では日数と共に低下し,出生9日目でほぼ正常値に近づいた.他のアミノ酸と異なる動態が明らかとなった.この事実を解析するために正常およびStarvationの妊娠ラットについて比較を行つたところ,正常妊娠では臍帯静脈血および胎児動脈血では17,18および19日の間でFAA5,800〜7,O00μg/dlおよび5,700〜6,250μg/dlの範囲値で母体血の2,500〜3,150μg/dlのほぼ2倍の値を維持していた.羊水は18日で4,150μg/dlであり,20日では8,850μg/dlと上昇していた.これに対してTは母体血では18日目に最も高く360μg/dlとなり20日目にほぼ半分の正常値に近づいていた.しかし臍帯静脈血では18日目に最も高く680μg/dlで以後20日目に320μg/dlと減少しており胎児動脈血では18日目に1,150μg/dlと異常に高く,20日目には280μg/dlとたった.羊水中では380〜400ug/dlの間にあり,ぽぽ一定の値を示した.この動物にStarvationを行うと母体血ではStarvationの程度がつよいとFAAの値は上昇し,また,臍帯血値も上昇した.羊水中ではほぼ一定であった.しかし,Tのみは母体ならびに胎仔血中では著しく上昇していることが認められた.但し,羊水のみはStarvationの影響は認められず対照とほぼ等しい値であった.これらの実験事実から,著者らはFAAの変動の意義とT生成量の増加について若干の考察を行つだ.
著者
鈴木 貞吉
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
秋の分科会講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.1992, no.1, 1992-09-14
著者
鈴木 眞吉
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
年会講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, 1992-03-12
著者
前田 樹海 山下 雅子 北島 泰子 辻 由紀 古澤 圭壱
出版者
東京有明医療大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

明らかな生命徴候の変化によらず近い将来の患者の死期を予見できる看護師の存在ならびに、かかる看護技術の特性、獲得様式を明らかにするために調査を実施した結果、(1)このような患者の死期を認識した経験のある看護師は経験年数との有意な関連が認められること、(2)生命徴候の明らかな変化によらない患者の死の予見のほとんどが看護記録に残されていないが「その予感を他のスタッフや家族に話した」「他のナースからその予感について聞かされた」など、確認可能な事実を以て事前にその死を予感していたケースがあること、(3)看取り以外にも、せん妄、転倒・転落などのリスクを暗黙的な技術で評価している可能性が示された。
著者
森 雅樹 高畠 博嗣 笹岡 彰一 名取 博 阿部 庄作
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.357-362, 1993-06-20
被引用文献数
1

肺腫瘤影の検出を目的とした読影実験を行い,読影者の読形成績と読影経験年数の関係について検討した.27名の医師に胸部単純像310枚(肺癌192例,対照118例)を無作為順に読影させ,腫瘤影を検出させた.回答は,腫瘤影の存在性とその部位について,確信度(確実にあり,ぽぽ確実にあり,可能性あり,腫瘤影なし)を付して記入させた.読影結果を確信度によってスコア化し,読影医を読影経験年数によって4群(A,B,C,D)に分けて検討した.腫瘤影の検出について,経験の浅いD群と他の3群の読影者問に読影ス コアに有意差を認めた(p<0.0001).ROC解析を行い,A〜Dの各群間でROC曲線の下の面積に有意差を認め,読影経験年数と読影精度の関連性が示唆された.また,確信度が「可能性あり」までのレベルの有病正診卒および陽性的中卒は読影経験年数により増す傾向が見られたが,無病正診率については一定の傾向は見られなかった.
著者
小宮 正安
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、数あるヨーロッパの都市の中でなぜウィーンのみに「音楽都市」というイメージが具わり現代に至っているのかというテーマについて、観光事業を切り口として文化史的にアプローチした。とりわけ研究の最終年度にあたる今年度は、包括として次の4点を明らかにした。・ ハプスブルク帝国は、統一ドイツの覇権を巡ってプロイセンと熾烈な競争を展開し、その際「ドイツ芸術の護り手」として自らの優位を広く知らしめるため、ドイツ美学の中でもとりわけ重んじられていた音楽に着目し、首都ウィーンを「音楽都市」としてアピールした。・ この流れがオーストリア共和国にも受け継がれた。共和国は、国のアイデンティティを確保し、観光立国として繁栄させるために、「音楽都市ウィーン」のイメージを広め、数多くの観光客を誘致することを必須の課題とした。・ 特に第二次世界大戦以降、共和国が自治権を取り戻し、中立国として再出発するに及び、「音楽」による平和的文化交流の場として「音楽都市ウィーン」のイメージがクローズアップされるようになった。さらに1960年代以降における観光産業の隆盛により、「音楽都市ウィーン」のイメージはさらに強固なものとなった。・ ただしマス・トゥーリズムヘの迎合一辺倒ではなく、利便性に富んだ資料館や図書館を作ったり、音楽をテーマにした企画展を開催したりと、専門家や音楽愛好家のニーズにも応える幅広い政策が、官民の協力によっておこなわれている。これは我が国の文化事業にとっても、重要な示唆となる状況に他ならない。
著者
駒田 致和
出版者
福井大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

哺乳動物の大脳皮質の形成においては、適切な時期に適切な数の細胞が増殖・分化することが重要である。近年、終脳背側においてはradial glial cell(RGC)のほかに、intermediate progenitor cell(IPC)が存在していることが報告されている。我々は終脳背側のHedgehogシグナルが神経幹細胞の増殖や生存、分化を制御していることを報告し、さらに本研究では、特にRGCのIPCや神経細胞への分化、さらにはIPCから神経細胞への分化を調節していることを示した。その作用は胎生16. 5日においてより顕著であり、細胞周期を調節することによってRGCからIPC、さらには神経細胞への分化を制御している可能性がある。ヒトの大脳皮質では2、3層が高度に発達している。IPCは主にこの領域の神経細胞を産生することから、本研究は高次脳機能の形成や精神疾患の発症のメカニズムの解明に寄与することができる。
著者
岩清水 伴美 鈴木 みちえ 三輪 眞知子
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

A市をモデル地区に保育者の認知的スキルに働きかける虐待予防と支援技術向上プログラム開発とその評価をすることを目的に研究を実施した。教育プログラムは、保育者への調査をもとに作成した。プログラム内容は、虐待への理解、虐待による子どもへの影響、保護者への支援方法、子どもへの支援方法、事例検討である。教育プログラムを受講した40名の保育者は、受講前後の調査により虐待の知識と虐待対応の意識は有意に高くなり、子どもへの対応の視点も具体化した。
著者
中道 上 木浦 幹雄 山田 俊哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.10, pp.1-4, 2012-09-06

本研究では,医療情報システム利用時の薬剤師の薬剤処方確認行動を分析し,ヒューマンエラーの防止策,電子カルテチェックの効率化ついて検討を進める.本論文では薬剤師の薬剤処方確認行動における視線の動きやマウス操作に着目し,それらのインタラクションデータを記録する実験プロセスについて検討した.記録されたインタラクションデータに基づき,薬剤師間の個人差や頻出するインタラクションパターンについて分析をすすめ,標準的な処方監査における確認パターンについても検討していく予定である.We analyze pharmacists' behavior of prescription checking with a medical information system. And we consider ways and means to prevention of human errors. In this paper, we focus interaction data such as eye movement and mouse operation, and we propose experimental processes for recording interaction data. We will analyze difference with each pharmacist and frequently-appearing behavioral pattern using interaction data.